イエス・キリストは真のクリスチャン生活の源である ロマ13:11−14    主の2006.11.26礼拝

開拓伝道を始めてから14年ほど家を借りて集会場兼住いとしていました。すぐ隣りは一杯飲み屋で、夜になると演歌のカラオケが鳴り響き、酒のみの声が深夜まで聞こえてくる所でした。ある日、飲み屋の女主人と私たち夫婦でお茶を飲む機会があり、「タバコをどうぞ」と勧められました。「私は吸いませんから・・・」、「ほんとに吸わないんですか。じゃ、こっちのほうはかなりいけるんでしょう」と飲む仕草をしながら言いますので、「いやー、お酒は飲まないんですよ」。すると「じゃ、生きている楽しみがないじゃないですか、一体なにが楽しみなんですか・・・」と真顔で言われたことを思い出します。最近はタバコの害が強調され、殆どの場所が禁煙区域になっています。酒は飲む人の理性を失わせ、飲酒運転による交通事故や、酒を飲んだ勢いでケンカし殺人事件になったというニュースが頻繁に報道されています。タバコ、酒の外に麻薬の害があります。さらには不倫、買春などによって性病の害が広がっている事が大きな社会問題になっています。クリスチャンは、イエス・キリストを心に宿し、この身は聖霊の宮になっていて(Tコリント6:19)、聖霊による喜びが与えられています(ガラテヤ6:22−23)。私たちは自分の霊と心と体とを潔く保ちつつ、キリストの救いに感謝し、天の御国に向って前進しています。

本日の聖書はロマ13:11−14です。この手紙が記されたのは今から1950年ほど前、ロマ帝国の時代です。ロマ帝国は繁栄していましたが、貧富の差が拡大し、奴隷制度による差別主義、飲んで酔って腹いっぱいになり、不倫に走るという快楽主義の横行、離婚の増加による家庭崩壊などの罪の闇が社会を覆っていました。そうした状況を踏まえて、使徒パウロは神の霊感を受けてロマ教会に手紙を書き送り、クリスチャンは世の流れに巻き込まれ、妥協してはならない。闇の業(わざ)を捨てて、主イエス・キリストを着る生活をしなさい、と勧めています(12節、14節)。キリストを着るとは、キリストに倣って、キリストのように生きなさいという事です。現代は機械化され、ロマ時代よりはるかに便利になっています。しかし、神を信じない人間の心から生まれる行いは、ロマ時代と変わらない罪と悪に染まっています。

今朝「主イエス・キリストを着なさい」という御言葉を心に刻み、祈って主イエス・キリストに従う信仰生活を前進して行くように決断をいたしましょう。

内容区分

1、クリスチャン生活は、キリストを信じる信仰に徹して行く生活である 13:11-12

2、クリスチャン生活は、主イエス・キリストを着る生活である 13:13−14

資料問題

11−12節で、使徒パウロはキリストの再臨が切迫していることを強調している。キリストご自身も再臨の近いことを教えている(マルコ9:1、マタイ24:42−51)。パウロは伝道初期から、再臨が間近であることを伝えている(Tテサ4:15−5:8、Tコリ7:26−31)。しかしUコリ5:2−10では自分がこの地上にいる間は再臨がないと感じているようである(11:25参照)。12節「光の武具」、エペソ6:13−17参照。13節「宴楽と泥酔、淫乱と好色、争いとねたみ」、Tコリ6:9−11参照せよ。14節「キリストを着る」、キリストは私たちの知恵であり、義と聖と贖いとになられたのである(Tコリ1:30−31)。「着る」とは古代ギリシャ語で誰かのように考え、感じ、行動する事を言う。キリストを着るとはキリストらしく、キリストのように生活することである。

1、クリスチャン生活は、キリストを信じる信仰に徹して行く信仰生活である 13:11−12

なお、あなた方は時を知っているのだから、特にこのことを励まねばならない。すなわち、あなた方の眠りからさめるべき時が、すでに来ている。なぜなら今は、わたしたちの救いが、初め信じた時よりも、もっと近づいているからである。夜はふけ、日が近づいている。それだから、わたしたちは、闇の業を捨てて、光の武具を着けようではないか。(11節−12節)

ここにおられる皆さんはイエス・キリストを信じ、生まれ変わってクリスチャンになった方々です。長い方は50年以上クリスチャン生活を続けています。この後に3名の方々が洗礼を受け、今日から正式に信仰生活に出発します。私たちはどのようにしてクリスチャンになったのでしょうか・・・。

私たちはイエス・キリストを信じる決心をして、次のような祈りを捧げました。

天の神様、

a. 私は、私の罪を告白します。そして悔改めます。

b. 私は、罪が赦され、解放されたことを信じます。(Tヨハネ1:9)

c. 私は、私の心を開いてイエス・キリストを.受け入れます。

d. 私は、キリストが私の心と生活の中に入って下さったことを信じます。

e. どうか、私に新しい命と、生まれ変わりと、新しい出発を与えて下さい。

f. どうか、私を助けてくれるクリスチャンの友を与えて下さい。(教会の交わり)

イエス・キリストのお名前によってお祈りします、アーメン。

以上の事柄を含む祈りを「信仰決心の祈り」として捧げ、私たちはキリストによって神の子にさせていただきました。信仰決心の次に洗礼を受けて教会に加わり、毎週御言葉によって魂を養われ、聖餐式を通してキリストの十字架を信じていることを感謝し続けています。パウロはロマ教会の人々にキリスト信仰の原点について教えると同時に、「あなたがたの眠りからさめるべき時が、すでに来ている」と伝えています。これは、「あなた方の信仰は生き生きとしていて、恵まれていますか」、という問いかけです・・・・救われている、教会に出席している、奉仕をしている、献金をしている・・・・これらは当然のことです。しかし、自分は信仰の面でエキスパートになったと自惚れて、信仰がマンネリ化していないか、信仰が眠っていないかということを問いかけているのです。

ところで「眠りからさめる」とは何を意味しているのでしょうか。

余談ですが、教会には眠り族がいます。説教が始まると眠る、終わりごろ、眠りから覚めて、説教のまとめを聴き、祈るというのです(当教会出身のある献身者がそう告白していました)。

本題に入って、「眠りからさめる」とはキリストを信じる信仰に徹して行くことです。

日本はクリスチャン人口が少ないという事が言われていますが、調べてみると多くの方々がクリスチャンになっています。彼らは「眠りから覚めて」ハッキリとしたキリストを信じ、信仰生活に徹しています。初代文部大臣森有礼は礼拝を守るために、日曜日を休みにしています(昔はまだ日曜休みが徹底していなかったのです)。歯磨きなどのライオン株式会社の小林富次郎は事業失敗から信仰によって立ち直った人です。森永製菓の森永太一郎は盛んに伝道活動をしています。野口英世博士は19歳で洗礼を受け、医学の分野で貢献しています。「花」、「荒城の月」の作曲者滝廉太郎、「赤とんぼ」の作詞者三木露風、「故郷」の作曲者岡野貞一はクリスチャンです。矢内原忠雄は軍部が権力を握っていた時代に、クリスチャンとして軍国主義に反対し、東大教授を首になってしまいます。しかし戦後東大の総長になるように要請され、礼拝を守るので日曜日は仕事をしないという条件で総長を引き受けています。ソニー創立者井深大、クロネコ大和創立者小倉昌男もクリスチャンです。分り易くするために社会的に名前を知られた人を紹介しましたが、私たちの周りには信仰一筋に、キリスト信仰に徹した多くの方々がいます。

今日、3名が洗礼を受け、本年は10名の方々が洗礼の恵みに与るという祝福の年であることを感謝します。洗礼を受けて、一生涯の間キリストに従い、教会につながって、信仰を貫く事がまことの信仰です。ここにいる全ての方々が、キリストを信じる信仰に徹して行くように、お互いに祈り合って、キリストに従う道を前進して参りましょう。

2、クリスチャン生活は、主イエス・キリストを着る生活である。13:13−14

そして、宴楽と泥酔、淫乱と好色、争いとねたみを捨てて、昼歩くように、つつましく歩こうではないか。あなたがたは、主イエス・キリストを着なさい。肉の欲を満たすことに心を向けてはならない。(13−14節)

12節後半から13節にかけて、「罪を捨ててしまえ」との勧めがあります。まもなく世の終わりがやって来て、キリストが再臨する時が近づいている。きよい義の王であるキリストを迎えるためにやみの業である罪を捨てよう。宴楽と泥酔という酒盛りとドンチャン騒ぎをやめよう。淫乱と好色という男女の浮気、不義、不倫を捨てよう。性の表現は自由であると言って、ポルノ雑誌、ビデオなどが氾濫している。そうした身に纏わりつく罪を全部かなぐり捨ててしまえ、という非常に強い勧めです。

「主イエス・キリストを着なさい」というのは、今まで自分の体につけていた不潔、不義、酒、麻薬、好色、争い、妬みなどの古い闇の衣、罪の洋服を脱ぎ捨てて、それに代えて、自分の上にすっぽりとキリストを着なさい、という勧めです。キリストを着るとは、キリストの生き方に倣って、キリストのように生きて行きなさいということです。

「主イエス・キリストを着なさい」とはどのようなことでしょうか。

先ほど、信仰決心の祈りを確認しました。その中に、「私は、私の心を開いてイエス・キリストを受け入れます。私は、キリストが私の心と生活の中に入って下さったたことを信じます」という祈りがありました。キリストは私たちの心の中に住んでおられます(ガラ2:20)。キリストが私たちの人生の主です。私たちはキリストに従う人生を歩みます。それは次のような人生です。

第一に、主イエス・キリストを着るとは、『イエス様が一番』という人生です。

当教会結婚式の度ごとにエルヴィス・プレスリーが現れてお祝いの歌をうたいます。本物のプレスリーは1977年8月16日ストレスから逃れるために、医師が処方した鎮痛剤・ビタミン剤・睡眠薬などの飲み方を誤って天に召されています。彼の一生を調べてみると、グラミー賞を3度もらっていますが、それは彼の本業のロック部門ではなく、ゴスペル部門であり、彼はそれを誇りにしていたということです。彼は聖書を読み、よく祈っていたということも伝えられています。余りにも有名になりすぎて、教会出席ができず、ゴスペルの仲間と共に一晩中ゴスペルを歌い、テレビ福音番組を熱心に見て、霊的祝福を吸収していました。ある時、彼のショーで熱烈な女性ファンが、「あなたはキングだ。Elvis, you are the King!」と書いた横断幕を広げた。すると彼は「王はイエス・キリストだ。No, Jesus Christ is the King.」と答えたとのことです。

第二に、主イエス・キリストを着るとは、『イエス様が一番』という事を分ち与えて行く人生です。

先ほどのプレスリーですが、数え切れないほど多くの団体に寄付をしています。しかもほとんどが匿名であるので、その全体は把握できていません。彼はお金に困っている人には援助をし、悩み事のある人のためには、聖書を読んで解決策を考えてくれたという事を、プレスリーの身近にいた人が証言しています。彼は歌で有名になりましたが、彼自身は、キリストを王とし、人々に喜びを分ち与える人生を送っています。

キリストは、「受けるよりは与えるほうが、さいわいである」(使徒20:35)と言われました。今年もクリスマスがやってきます。プレスリーは悩み事のある人のために聖書を読んであげました。それはキリストを紹介することにつながります。クリスマスは、イエス様の救いを伝える絶好の機会です。私たちは救われていることを感謝し、キリストを伝えましょう。

12月23日(土・祝日)「クリスマス祝会」は家族や友達にキリストを知ってもらう機会ですので、共に出席して下さい(於:行田市商工センター)。

来週12月3日(日)「聾(ろう)者クリスマス会」を通して、新しい方々が導かれるように祈って下さい(於・教会堂)。12月17日(日)は「こどもクリスマス」です。

お願いがあります。12月16日は本年最後の上野公園ホームレス伝道です。昨日も300名のホームレスの方々が集り、礼拝及び給食活動も恵まれました。皆様のお祈りに感謝します。昨日は安定した天候でしたが、しかし上野公園はシンシンと冷えていました。これから寒くなる一方ですが、12月16日(土)路上生活者に対する本年最後の奉仕を、熊谷福音キリスト教会が行うことが出来るようにお祈りし、あなたもおにぎりを捧げ、また奉仕に加わって下さい。

第三に、主イエス・キリストを着るとは、『イエス様が一番』であることを伝道する人生です。

プロ野球は、今年は北海道に本拠地を置く日本ハムファイターズが、アメリカ人ヒルマン監督に率いられて、日本一の栄冠を手にしました。この方は「信じられないー」という言葉で有名になりましたが、クリスチャンです。「野球は副業、宣教が本業」と言っているほど信仰熱心な方で、機会あるごとに信仰の証をしています。ファンの感謝デーにサイン入りのクリスマスカードと共に十字架の形をしたお菓子を配り、十字架の意味を説明した文を添えています。彼の願いは、「プロ野球選手の中にヒーローを求めるのではなく、イエス・キリストこそが真のヒーローであることを知ってもらいたい」という事です。テレビ番組に出演する前に、「好きな言葉は『信仰・希望・愛』です」というカードを司会者に渡しています。そして本番の中で、「これは神様の御言葉です」と語っています。彼は乱暴な言葉を使いませんが、それはヤコブ3章にある「舌を制御する」という御言葉に従っているからであると証しています。ヒルマン監督は、機会あるごとにキリストを信じる信仰を語り続けています。私たちからキリストを信じる信仰を取ったら何も残りません。私たちはキリストを信じる信仰を与えられているから、平安があり、感謝があり、何が起きても「イエス様が万事を相働かせて益として下さる」という希望をもって生きることができます。この素晴らしいイエス様のことを、もっともっと周りの人々に紹介し、伝道して行くように祈りましょう。

まとめ

*ロマ13:11−14をもう一度読みます。

1、クリスチャン生活は、キリストを信じる信仰に徹して行く生活です。

2、クリスチャン生活は、主イエス・キリストを着る生活です。キリストを着るとは、「イエス様が一番」ということを現し、イエス様の恵みを分ち与え、イエス様を伝道する生活です。

祈 り

天地の主である神様、御子イエス・キリストの十字架によって救われていることを感謝します。キリストを信じる信仰に徹して、イエス様を着る生活を実践するように導いて下さい。「イエス様が一番」という生活をすることが出来るように日々の生活を導いて下さい。

これから、Sさん、Oくん、Hくんが洗礼を受けます。3人がイエス様によって愛されていることを信じ、感謝します。

病気の方を癒し、信仰の戦いの中にある方に勝利を与えて下さい。仕事のこと、学びのこと、経済のこと、健康のことなど全てを祝福して下さるように助け、導いて下さい。クリスマスに向っての全ての準備を導いて下さい。主イエス・キリストの御名によって祈ります、アーメン。


参考文献

ロマ注解―福田、フランシスコ会、黒崎、佐藤、米田、文語略解、LABN、竹森。

「心と心の伝道・実践篇・豊留真澄」、「御翼・佐藤順」、「クリスチャン新聞・ヒルマン監督特集」