クリスチャンは新生し、再臨を待ち望んで生きる　ペテロ第一4：1

クリスチャンは新生し、再臨を待ち望んで生きる　ペテロ第一4：1－11　主の2004.8.22礼拝

世の終りの年月日を唱える人々がいます。例えば、以前「ノストラダムスの大予言（預言ではない）」という書物が売れたことがあります。ノストラダムスという人物が記した文書を解読すると、多くの事柄が世界の出来事を言い当てている。紀元2000年には恐怖の大魔王がやって来て世界が終わるという予言でしたが、結局は何事も起りませんでした。「エホバの証人（ものみの塔）」という宗教では、1914年に世の終りが来ると言いましたが外れました。その後何回も世の終りを予言しては外れています。

本日の聖書はペテロ第一4：1－11です。7節で、ペテロは「万物の終りが近づいている」ことを伝えています。注意すべきことは、万物の終りが告げられていますが、その日時について何も言われていないということです。聖書は世の終りについて様々な徴を告げていますが（例：マタイ24章参照）、終りの時期については復活されたキリストが「時期や場合は、父がご自分の権威によって定めておられるので、あなた方の知る限りではない」（使徒1：7）と言われています。大事なことは世の終りが到来することを信じ、そのために信仰をもって備えて行くことです。ペテロは、本日の個所を通し、＜キリストの再臨に備えて古い罪の生活に決別して新しい人生を歩もう。教会という交わりの中で、祈りに励み、お互いの愛を熱く保ち、仕え合い、主のために生きて行こう＞と語っています。

今朝、主のメッセージを共に聴き、祈って新しい一週間を出発して参りましょう。

内　容　❶クリスチャンは、主によって生まれ変わり、新しい人生を歩んでいる。4：1－6　　

❷クリスチャンは、再臨に備え、教会生活に励んでいる。4：7－11

資料問題　1節はローマ6：3－11と対比して読むと意味が深く理解できる。キリストは十字架に死んで我々を罪から断ち切って下さった。洗礼によって我々はキリストと一体となり罪から逃れ（罪との関わりを絶った－新改訳、新共同訳）、そして2節、神の御旨（みこころー新改訳、新共同訳）に従って生きる者になっている。3節、キリストを信じる前の生活。異邦人とはノンクリスチャンを指している。4－5節、生まれ変わり、きよい生活をしているクリスチャンを見て、自分達と行動を共にしないと言ってノンクリスチャンはクリスチャンをののしる。このことはクリスチャンには光栄なことである。6節、「死人」とはキリストの福音を聴いて、これを信じ、洗礼を受けたが、キリストの再臨の前に死んだ人達のこと。ノンクリスチャン（肉におけるこの世のことしか知らない人）から見ると、それらの人達は「審き」を受けて、この世から消え去ったように見える。しかし神の目には、霊において生きているのである。7―11節、ペテロはキリストの再臨が間近いことを前提に、兄弟愛を中心にした勧めを述べている。7節、祈りの勧め。8節「愛は多くの罪をおおう」は箴言10：12に基づいている。9―11節、もてなし合う、御言葉を語る、奉仕することを通して、神が崇められて行くのである。以上の事から、教会生活を三つの点にまとめれば、祈りと愛と奉仕である。聖書知識、神学知識に富み、教会の組織制度が整っていても、祈りと愛と奉仕を欠けば、クリスチャンの集る教会とは言えなくなってしまう。

❶クリスチャンは、主によって生まれ変わり、新しい人生を歩んでいる。4：1－6

このように、キリストは肉において苦しまれたのであるから、あなた方も同じ覚悟で心の武装をしなさい。肉において苦しんだ人は、それによって罪から逃れたのである（罪との関係を絶ちました）。（1節）

１節、「キリストは肉（肉体）において苦しまれた」とはキリストの十字架の苦難を指しています。キリストは神の独り子であり、神と等しいお方であったのに、その栄光を捨てて人間となり（ピリピ2：6―８）、僕（奴隷）となって私たちの救いのために黙々として一生を生きて下さったお方です。

キリストは私たちのために何をして下さったのでしょうか・・・。一言で言えば「愛による人助け」です。例えば、キリストは、体の皮膚が腐ってしまう特殊な病気のために、人から忌み嫌われている病人に手を伸ばして触り、その病気をご自分の身に引き受け、瞬時にして癒されました（マタイ8：1－4）。税金取りという仕事のために、人々から仲間はずれにされていたザアカイに声をかけ、その家に泊まり「この人も私たちと同じ仲間である」と宣言されました（ルカ19：1－10）。一人息子が死んで、悲しんでいる寡婦の母親を見て、はらわたが千切れるような同情を寄せ、息子を生き返らせ、母親に返しています（ルカ7：11－18）。様々な愛の奇蹟を行い、神の御言葉を教えたキリストの最大の人助けは十字架に表されました。罪を犯し、死んで地獄に行く定めを背負っている私たち人間を救うために、キリストは私たちの罪を背負って十字架に上り、身代りになって死んで下さったのです。私たちは罪人でしたが、聖霊に導かれて罪を悔い改め、キリストの十字架を信じ、3：21にあるように、洗礼を受けて教会に所属する者になっています。洗礼とはキリストを信じた者が自分の信仰を公にする聖なる式です。洗礼の時に体を水の中に沈めることによって、罪人であった古い自分を葬ってしまいます（お葬式してしまう）。その結果、1節後半にあるように「罪から逃れる、罪と関係を絶ってしまった」という恵みを受けることが出来ます。洗礼によって、罪をキッパリ捨てて、復活されたキリストを心に宿し、新しい人生へと踏み出して行くのです。キリストを信じている者は皇帝礼拝をしないので、ローマ帝国によって迫害されました。現代の日本でもクリスチャンは仏壇、墓参りで焼香をしないので、もめることがある。だが2節、人を怖れず、神の御心に従って行けば、神が助けて下さいます。3節、異邦人とはノンクリスチャンを指していて、彼らは偶像礼拝をしている。だがクリスチャンは偶像礼拝から離れ、悪い習慣から解放された者です。4節、クリスチャンがきよい生活をするので、周りの人がその変わり方に驚いている。5節、罪の生活をしてクリスチャンを罵る者には神の審判が下るという警告です。6節の意味は、キリストを信じて、先に死んだ方々がいるが、彼らの霊は救われてパラダイスに行き、世の終りに体が甦り、天国に移されて行くことを教えています。

3―6節から教えられることは、クリスチャンの特徴は「よいほうに変わる」ことであることが分かります。偶像中心の罪に満ちた生活から、神中心のきよい生活に変わりました。

ところで、よいほうに変わったことを個人的に考えてみましょう。皆さん、キリストの救いを思いながら、帰ったら鏡を見て下さい。「あー、この私のためにイエス様の十字架があった」という感謝で顔がほころび、自分の顔がやさしく変わっていることに気づくでしょう。生活を支える苦労や年齢が顔の皺になっているかも知れない。だが女性の皆さんであれば、内から滲み出る聖霊の恵みによってお顔やお肌が輝いていると思います。男性も同じでしょう。私の場合は上の方も輝き始めている。これは体質ではない。うーん、あの時、あの人があんなに苦労をかけ、ストレスをもたらした結果だ・・・とは思わないし、思ったこともありませんからご安心下さい。話は少しそれますが、私にとっては全てが感謝です。伝道者になるために神学校で3年学び、第一線に出て37年、喜びながら楽しみながら、時には苦しみながらイエス様の働きをさせてもらっている。毎日が感謝であり、本当に素晴らしい仕事をさせてもらっている。そう思うと讃美が溢れてくる。家内が結婚してから言った「あなたは、私と結婚して暗から明になった」と。結婚ということに限定して話をすれば、人生の成功、不成功は結婚相手によって決まるということです。結婚をしている方々は、この人と一緒になってよかったとお互いに感謝し合って下さい。もし未信者であれば、相手の救いのために祈って行けば、神がそれに答えて下さいます。

話を戻して、キリストは私たちの罪の身代わりになって十字架で苦しんで下さった大いなる救主です。ある牧師の証です。この方は戦争に行き、少年飛行兵として敵に向かって行くはずだったが、戦争に負け、家に帰って来た。戦うという人生の目的を失い、人生の目的も失っていたが、教会に導かれ、聖書を読み、キリストを信じた。すぐに教会に駆けつけ、「洗礼をきょう受けたい」と申し込んだ。この方に2節後半にある「肉における残りの生涯を（地上に残された時を）、もはや人間の欲情によらず、神の御旨によって過ごすためである」という決意が与えられたからです。念願かなって洗礼を受けた後に献身し、牧師としての働きを今も継続しています。私たちに与えられたキリストの十字架に感謝し、何があろうとも新しい人生を真っ直ぐに歩み続けることを祈って行きましょう。

❷クリスチャンは再臨に備え、教会生活に励んでいる。4：7－11

万物の終りが近づいている。だから、心を確かにし、身を慎んで、努めて祈りなさい。何よりもまず、互いの愛を熱く保ちなさい。愛は多の罪をおおうものである。（7―8節）

ペテロが生きていた時代には、まだ新約聖書は一冊にまとまっていませんでした。先ず一つの教会にキリストの直弟子であるパウロやペテロが書いた手紙が送られ、それが教会で読み上げられ、一人ひとりがその内容を心に留めます。読み上げられた手紙は次の教会に送られます。このペテロの手紙も教会で朗読されましたが、読む人は4：7にきて、少し声の高さや口調を変えて、厳かに朗読したであろうと思います。私は何回もペテロの手紙を読んでいますが、「万物の終りが近づいている」という御言葉を読む度に身の引き締まる思いがします。「万物の終りが近づいている（萬の物のおはり近づけりー文語訳。The end of all things is near．）」ことは新約聖書の中に繰り返し言われています（例：ローマ14：11、Ⅰテサ1：10、5：2、黙示22：20など）。ある人々は世の終りがやってくるというが、全くそんな様子はないと言います。それに対しペテロは、「愛する者たちよ。この一時を忘れてはならない。主にあっては一日は千年のようであり、千年は一日のようである。ある人々が遅いと思っているように、主は約束の実行を遅くしておられるのではない。ただ、ひとりも滅びることがなく、全ての者が悔い改めることを望み、あなた方に対して長く忍耐しておられるのである」（Ⅱペテ3：8－9）と述べています。

万物の終りの徴は、キリストの預言では「世界中に偽キリストが現れる、戦争、民族の対立がある、飢饉があり多くの人が飢える（現在地球上の三分の一の人が飢えに苦しんでいる）、地震が頻発する、クリスチャンに対する迫害が起る（例：中国では迫害がある）、偽預言者が人を惑わす、人々の心から愛が失われる（犯罪の頻発）、世界の隅々にまでキリストの福音が伝わる」ことなどです（マタイ24章より）。キリストが言われた終りの徴を注意深く見分けて、万物の終りに備えて行くことが必要です。世の終りにキリストは再び来られます。そのことを思いながら、慌てることなく、7節後半－11節にある、クリスチャンとしての生き方に従って行きましょう。

7節後半、「努めて祈りなさい」という祈りの勧めがあります。祈る時に大切なことは「心を確かに」して物事をしっかりと見て行くことです。「身を慎んで」とは酔っているようないい加減な態度ではなく、目覚めた真剣な状態で、ということです。

8節、「互いの愛を熱く保ちなさい」とは熱心に愛し合って行きなさいということです。なぜなら愛は多くの罪をおおうからです。私たちは人の欠点を見つけることは極めて上手です。また直ぐに人の過ちを断罪しがちです。しかし、人を審くことは神に属します。人の欠点を見つけ、相手の落ち度や過ちを見つけることよりも、人のために祝福を祈ることのほうが恵まれます。嫌いな人、赦せない人のために祈ることによって愛を表すことができるように主の助けを求めて下さい。

9節、「互いにもてなし合いなさい」。これはペテロの時代には旅人をもてなすことを含んでいます。昔、宿屋は殆どありませんでしたので、ペテロのような伝道者を迎えてくれる人や家庭があって、主の福音は各地に広まったのです。また信徒相互で助け合うということも大切です。10節の御言葉と重ね合わせて、教会外の人々を助けるということもあります。今週末の28日第四土曜日は上野公園ホームレス伝道です。ホームレスの人々におにぎりを食べていただくために皆さんのお祈りとご協力をお願いします。当教会の奉仕が3年半以上にわたって継続されていることを主と皆さんに感謝します。比留間夫妻は特別な何の援助もなく毎週々々多くのクリスチャンに祈られて、この働きを進めています。働きが実を結び、ホームレスより救われ、社会復帰した人々が働いて得た収入を捧げて、トポス教会（足立区にある教会、ホームレス自立支援センターを兼ねている）の家賃、また上野ホームレス伝道の必要のために献金して働きを継続されています。

11節、御言葉を語る者、また奉仕する者とあり、それは神の栄光のためになされるものであると言われています。

私たちは、万物の終りが近づいている時代に生きています。キリストの救いを受けて、教会にしっかり繫がって信仰生活に励んで行きましょう。どんなことでもキリストの御名によって祈りましょう。キリストの十字架の愛を受けて、愛を表して行きましょう。教会の一員として奉仕に励みましょう。

8節に愛の勧めがありましたが、愛について考えて終わりましょう。愛はいつまでも存続します。なぜなら、神は愛だからです（Ⅰヨハネ4：8）。神は永遠です。ですから愛は永遠です。マザーテレサという方が「地球上にどのくらいの人がいれば、ちょうどよいのでしょうか」と聞かれたことがあります。「昨日は過ぎ去り、明日はまだやって来ません。あるのは互いに愛し合うことです。ですから先の心配はやめましょう。代わりに今日の命を尊び愛し合うことです。昨日は過ぎ去り、明日は来ないかもしれない。無駄な心配事はやめましょう。それよりも、きょう僅かな愛や思い遣り、奉仕を求めている人が大勢いるのです」。本当にそうだと思います。マザーテレサは愛や思い遣りを笑顔で示しなさいと訴えています。あなたの笑顔を誰かにおくって下さい。心に祈りがあるから笑顔が生まれてきます。きょう帰りがけに、あなたの心にある祈りをこめて、笑顔をおくって下さい。

まとめ

❶1節．キリストが十字架に私たちの受けるべき罪の苦しみを身代りに引き受けて死んで下さいました。キリストの十字架を信じ、洗礼を受け（これから受けることを決断して）、罪を断ち切って、祈りをもってキリストに従って行きましょう。

❷7―8節。万物の終りが近づいていることを厳粛に受け止め、祈りをもって、互いに愛をもって、奉仕に励んで、教会生活を続けて行きしょう。特に愛を表しましょう。祈りをこめて、あなたの笑顔をおくって下さい。

祈り　天地の主である神様、万物の終りの時代に、キリストの十字架によって生まれ変わり、古い罪の生活を捨てて、洗礼によってキリストと一つになっていることを感謝します。今朝洗礼を受ける決断をする者を起して下さい。愛が冷えている時代にあって、聖霊に助けられて笑顔をもって愛を表して行くように導いて下さい。病気の方を癒し、信仰の戦いの中にある方に勝利を与えて下さい。イエス・キリストの御名によって祈ります、アーメン。

参考文献ペテロ注解―黒崎、フランシスコ会、バークレー、LAB。　マザーテレサ日本講演テープ（英語）。御翼140号