クリスチャンの生活の法則　ペテロ第一5：6

クリスチャンの生活の法則　ペテロ第一5：6－11　　　　　　主の2004.9.19礼拝

昨日、この教会に私の親族16名が集り、私の両親と家内の両親、私の二人の弟の記念会を致しました。世間では法事としてお寺に集い、お坊さんにお経をあげてもらい、墓参りをするというのが慣わしになっています。私の親族はクリスチャンということではないのですが、教会に集って記念礼拝を捧げ、交わりをするという記念会が何年も続いています。こうした機会を通して、親族が一歩一歩救いに近づいて行くように神様が導いておられることを信じています。私の両親は、信仰には反対しませんでしたが、私が献身することには反対でした。しかし最終的に二人は信仰をもって天国に召されて行きました。家内の両親は主のために全てを捧げ、開拓当初から私たちと共に住んで、敦子、愛雄を育てること、教会を守ること、私たちの伝道を祈りながら経済的に、実際的に助けてくれました。もし家内の両親がいなかったら、こんなにも伝道の働きは進展しなかったと思います。

　本日の聖書はペテロ第一5：6－11です。７節に「思い煩いを一切神にゆだねるがよい」とあります。私にとって父母の救いは切実な問題でしたが、思い煩いを棄てて、神の力強い御手にすがった時に伝道する機会が与えられ、主を信じる恵みが与えられました。家内の父母は、すべてを神に委ね、老年になってから長年慣れ親しんだ故郷を離れるという冒険をして、右も左も分らない熊谷に来て、信仰の生涯を全うしました。本日の御言葉からクリスチャン生活について主の御心を知り、私たちも主にすがって、主の祝福を受けて行くように祈りを捧げましょう。

内容　1、クリスチャンは、思い煩いを神に委ねる。5：6－7

　　　2、クリスチャンは、信仰によってサタンに抵抗する。5：8－9　

　　　3、クリスチャンは、苦難を通して祝福を受ける。5：10－11

資料問題　6節「神の力強い（大能の）御手」という言葉は、神がその民をエジプトから連れ出して、民のために為した救いと結びつけられてよく用いられている。「主が強い手をもって、あなたをエジプトから導き出された」（出13：9）、「あなたの大いなる事と、強い手とを、たった今、しもべに示し始められました」（申3：24）私たちは神の力強い大能の御手によって人生の道を導かれていることを信じている。例えばヨセフは自分に悪をなした兄弟達に言っている、「あなた方は私に対して悪を企んだが、神はそれを良きに変わらせました」（創50：20）。7節「かえりみる」とは関心を持つこと。苦しみや困難のただ中にある人間に神は関心を持つ。異教の神々は、人間の側で様々な儀式をもって関心を呼び起こさなければならない。聖書の神は、神のほうから先に人間に関心を持たれ、人間のために行動される。8節「敵アンティディコス、悪魔ディアボロス」はヘブル語サタンの訳語。「獅子」は古代人の間では百獣の王の意味はなく、典型的な猛獣を表している（詩22：13）。10節「いやし」は破損した船や網を修理することで、病気であればいやし、生活の破れであれば再確立。「強め」は積極的な奉仕に備える事。「不動のものとして下さる」は基礎づける、揺るがないものにする事。

1、クリスチャンは、思い煩いを神にゆだねる。5：6－7

神はあなた方をかえりみていて下さるのであるから、自分の思い煩いを、いっさい神にゆだねるがよい。（7節）

6－11節にはクリスチャンの生活について、「思い煩うな」（７節）、「悪魔（サタン）に抵抗せよ」（９節）ということが命令されています。

先ず7節「思い煩ってはならない」と言われています。私たちの人生にはいろいろな出来事が起きてきます。その出来事を思い、また考えることは大事な事です。だが考えすぎて、あれこれ心配することが思い煩いになります。以前に話しましたが、あるご婦人は「自分はガンで死ぬ」という事を40年間心配し続けていました。彼女が実際に死んだのは73歳で、死因はガンではなく肺炎でした。ペテロは「自分の思い煩いを、いっさい神にゆだねるがよい」（７節）と命じています。そのためにはどうしたら良いのでしょうか。二つあります。

一つは、「神の力強い御手の下に」導かれていることを信じることです（6節）。神の力強い御手とは、例えば、神はイスラエル民族がエジプトを脱出できるように、その大いなる力をもって、イスラエル民族の出エジプトに反対していたパロ王の心を変えてエジプトを出る許可を出させ、紅海を二つに裂いて乾いた道をつくり、人々を安全に対岸に渡らせて下さいました（出エジプト1―14章）。神は、私たち個々人の人生をも測り知れない大きな力をもって導いて下さっています。旧約聖書に出てくるヨセフは腹違いの兄達に奴隷としてエジプトに売り飛ばされてしまいます。彼は人生のあらゆる辛酸を経た後に、かつて自分を殺そうとした兄達に再会し、こう言う事が出来たのです、「あなた方は私に対して悪を企んだが、神はそれを良きに変わらせました」（創50：20）。神は、神を信じる者の人生を力強い御手をもって導いて下さいます。そう信じ抜いて、謙って神に縋って行けば万事は最善に変わります（ローマ8：28）。

もう一つは、「神が私たちをかえりみていて下さる」ことを信じることです（7節）。「かえりみる」とは関心を持つことで、神様のほうから私たちに関心を持って近づいて下さるという意味です。特に神様は人間の苦しみに関心をもって、近づいて来て下さいます。ところで、なぜ苦しみが人生にはあるのか・・それは私たち人間が命と愛の神に背いて罪を犯し、神から離れたからです。

神様は命の与え主であり、命の親です。命の親である神を知らない心は不安でいっぱいです。孫の慧（１歳半）を見ていますと、親や家族に囲まれている時は安心して遊んでいます。ところが皆が用事があって、自分がほったらかしにされると、特に親の顔が見えないと不安を感じて泣きます。私たちも神から離れたままでいる間は不安です。心が不安であると同時に、命の源である神から離れていれば、体が病気になります。そして誰もが死を迎えるようになっています。

神様は愛の源です。愛の神から離れているので、私たちには愛が欠けています。愛がないから、相手を思いやって心からの交わりができずに孤独になってしまう。友達と仲違いして、友達がいなくなってしまうというような苦しみを抱えているのです。

神様は、そういう人間の現状を知っておられます。神は人間の苦しみを解決するために預言者を遣わし「罪を悔い改めるように」と何回も語りかけて下さったのです。しかし最終的にキリストをこの世に遣わして下さって、神の御心を明らかに告げて下さいました（へブル1：1－2）。キリストは人間となって、人間の持つあらゆる苦しみを体験されました。そして最後には罪がないのに、人間の罪を背負って身代りになって十字架に死んで下さった救主です。私たちは聖霊の導きによって、罪を悔い改め、キリストを信じて救われ、神の子になりました（ピリピ2：6－11、ローマ10：10）。神様はそういう素晴らしい愛をもって、私たちをかえりみていて下さるのです。Aさんは幼い子ども四人を抱え、姑の面倒を見て、あくせくしながら暮らしていた。ある日近所でキリスト教の家庭集会が開かれることを聞いたが、自分には無関係だと思っていた。しかし何となく気を引かれて、ご近所づきあいという名目で出席してみた。その時に「何であなた方はそんなに思い煩って暮らしているのか。野の百合をご覧なさい」（マタイ６：28参照）というイエス・キリストの御言葉が心に突き刺さった。たった一日で枯れる花一輪でさえも、イエス様は豊かに養い、奇麗に咲かせている。この私も守ってもらえるのだという平安が与えられ、イエス様を信じた。それからは神の力強い御手を信じ、神が自分をかえりみていて下さることを信じ、何でも主の御名によって祈りながら、姑を天に送り、子どもたちを育て上げ、日々祈りとさんびの生活を続けています。今朝、私たちも神の力強い御手による助けを信じ、主の御名によって祈って行きましょう。

2、クリスチャンは信仰によってサタンに抵抗する。5：8－9

この悪魔に向かい、信仰にかたく立って、抵抗しなさい。（９節前半）

この個所では「悪魔に抵抗しなさい」という事が命令されています。神がかえりみていて下さるということを信じ、自分の思い煩いを主にゆだねて暮らしているはずなのに、私たちは時々気持が沈んだり、揺れ動いたりします。そうした原因の一つに悪魔の働きがあります。悪魔とはサタンのことです。サタンの仕事は、キリストから私たちを引き離すことです。もともとサタンは神に仕えるために創造された天使のひとりで、特に美しく創造されたと言われています。しかし、その美しさを誇るようになって、遂に自分が神の地位に上ろうとして、神の前から追放され、やがて来る世界の終りの日に最終的に審きを受けて、地獄の火の中に滅ぼされることになっています（イザヤ14：12－17、黙示録20章参照）。私たちも神からいろいろな賜物を受けています。例えば健康もそうでしょう。通訳の方がいますが語学の才能、讃美を歌い楽器を演奏する事など様々なものを神から賜物GIFTとして受けています。そのことを感謝し、「誇る者は主を誇れ」（Ⅰコリ1：31）という御言葉を忘れないで、主に感謝して行きましょう。

サタンは「万物の終りが近づいている」（（4：7）ことを知っています。最後の日に、キリストによって審きを受けて地獄に行くことを知っています。そこでサタンは自分の存在が許されている間に地獄に行く仲間を増やそうと思って、腹のすいた獅子（ライオン、獰猛な野獣という意味）が獲物を求めて歩き廻るようにクリスチャンをつけ狙っているのです。サタンを、尻尾をつけて可愛らしく描いている絵がありますが、あれは嘘です。ペテロがはっきりと告げているように、サタンは神の敵であり、クリスチャンの敵です。ペテロはイエス様が十字架にかかると言った時に、「そんなことをしないで下さい」と反対しました。するとキリストは「サタンよ、引き下がれ」と言ってペテロを激しく叱り付けています（マタイ１６章参照）。それはペテロがサタンというのではなく、サタンがそのように言わせたのです。この事からサタンの目的はキリストの十字架に反対することであり、キリストの救いをぼやかすことにあることが分ります。熊谷福音キリスト教会の標語は「キリストを喜び、キリストを伝える教会」です。どんなに大勢の人が集っても、立派な会堂が出来ても、見事な讃美が歌われても、もし、そこにキリストがいなければ無に等しいのです。

今は聖霊の時代です。パウロは「あなた方は神の宮である」（Ⅰコリ3：16）と言っています。それはキリストを信じる者の群れである教会に聖霊がいて下さると言う意味です。聖霊の務めは真理であるキリストを指し示し、キリストに栄光を帰することです（ヨハネ16：12－15）。キリストを讃えないもの、キリストに反対するもの、キリストを求めることを妨げるものはサタンからのものです。キリストを知りたい、キリストの御言葉をもっともっと知りたい、キリストに仕えて行きたいと願うなら、それは聖霊の導きであり、聖霊の働きです。ですから教会はキリストの恵みを讃え、キリストの救いに感謝し、「イエス様は素晴らしい」と言って、キリストを喜んで行くのです。もし、聖書を読むのが億劫になる、祈りを明日になったら祈ろう、きょうは集会を失礼して次に行こうなどという気持ちになったら、間違いなくサタンが働いています。何をさておいても聖書を読みましょう。私事になりますが、高校２年生の時に創世記から黙示録まで聖書を通読した時に、説教を聴いていると全体的なつながりが分って、説教がよく理解出来るようになったことを思い出します。明日に延ばしてはいけない者は祈りであり、集会出席です。サタンの決まり文句は「この次から聖書を読みます、祈ります、集会に出ます」という言葉です。気をつけて下さい。ではサタンに抵抗すると、どうなるのか・・・ヤコブは「悪魔に立ち向かいなさい。そうすれば、悪魔（サタン）はあなた方から逃げ去るであろう」（ヤコブ4：7）と告げています。キリストの十字架を信じている者が、イエス・キリストの御名によって祈ればサタンは逃げて行くのです。今週もキリストによってサタンに打ち勝って、信仰の日々を進んで参りましょう。

3、クリスチャンは苦難を通して祝福を受ける。5：10－11

あなた方をキリストにある永遠の栄光に招き入れて下さったあふるる恵みの神は、しばらくの苦しみの後、あなた方を癒し、強め、力づけ、不動の者として下さるであろう。（１０節）

私たちの神は「あふるる恵みの神（あらゆる恵みに満ちた神）」です。私たちは人生において迫害を受けたり、苦しみに遭ったりします。それがいつまでも続くのであれば大変なことですが、苦しみは「しばらく」であると言われています。どんな苦しみも限定つきであるということです。旧約の詩人は、「夜はよもすがら泣き悲しんでも、朝と共に喜びが来る」（詩30：5後半）と歌っています。スミルナの教会に対し「あなた方は十日の間、苦難にあうであろう」というメッセージが伝えられています（黙示録2：10）。

苦しみはやがて去り、あなた方は「癒される」とは病気が癒されることであり、生活が再び確立されるという意味から、完全にするということです。「強められて主の奉仕をして行くようになり」、「力を受け」、そして「不動の者として立つようになる」ということが約束されています。ペテロ第一5：10は私の愛唱聖句です。神学校時代に10日の間風邪で寝こんだことがありますが、その時にこの御言葉を読んで力を受けました。牧会していると様々な出来事があります。サタンも攻めてきます。その時に、この御言葉を読みますと、「私の神はあふるる恵みの神である。この問題、困難、頭を悩ませる難問はしばらくの間である」ということを思うことが出来て、心が静まります。何か問題があった翌日、家内が聞きます「よく眠れましたか」。私は「ハイよく眠りました」と答えます。この御言葉に立つ時に、これは私の心の安定剤であり、安眠を与えてくれる神の恵みです。苦難を通して多くの方々を励ましている横田早紀江さんがいます。この方の娘さんのめぐみさんは1977年11月15日、13歳の時に北朝鮮によって拉致されたままです。早紀江さんが記しているのですが、めぐみさんがいなくなる2か月前に、居間で用事をしていると、自分の所にめぐみさんがいつものように近寄って来た。「ねえ、ママ。キリストって信じられる？」「なんでそんなことを聞くの？」「ううん、べつに・・私は何だか信じられる気がするよ」。どこでそんな話を聞いたのかわかりませんでしたが、その時は「聖書は有名な本だから、うちにも一冊置いてあってもいいわね」と、それだけの会話で終わったのです。あとから考えれば、あれはこういうことが起きる伏線として神様が示して下さったのかと不思議な感じがしました。その2か月後にめぐみの事件が起きて、ほどなく私は聖書に初めて出会ったのですから・・。そして、どんな形であれ、どこかでめぐみもキリストの救いにあずかってくれたらどんなにいいかと、ずっと思ってきました」と記しています。横田早紀江さんは苦難を通して、キリストの救いに与り、「あふるる恵みの神」に信頼し、不動の信仰をもって、拉致被害者家族の中心となり、そして北朝鮮、日本、世界の救いのために立ち上がり、戦っています。私たちも神の解決が成就することを信じて祈って行きたいと思います。そして横田早紀江さんのように、いかなる苦難があろうとも主に信頼して行く信仰を与えて下さいと祈りましょう。

まとめ

1、7節、神の力強い御手にすがり、私たちをかえりみていて下さる神に、いっさいの思い煩いをゆだねて行くように祈りましょう。

2、9節前半、サタンは私たちを狙っているが、サタンに打ち勝ったイエス・キリストにサタンを退け、主に従う道を進んで行くように祈りましょう。

3、10節、あふるる恵みの神によって、苦難を乗り越え、苦難に打ち勝つために、どんな時でも主に信頼して行くように祈りましょう。

祈り

天地の主である神様、力強い御手の下に、私たちをかえりみていて下さる神に信頼し、思い煩いから解放され、御霊に導かれて今週の日々を歩ませて下さい。病気の方々を癒し、また神の導きを求める者に助けを与えて下さい。教会の諸行事を祝福して下さい。明日の関城・宇都宮教会合同の個人伝道の学びを祝福して下さい。イエス・キリストの御名によって祈ります、アーメン。

参考文献ペテロ注解―黒崎、フランシスコ会、バークレー、米田、口語略解。　「ブルーリボンの祈り・横田早紀江」