キリスト中心の生活　コロサイ2：6

キリスト中心の生活　コロサイ2：6－7　　　　　　　　　　主の2004.10.3礼拝

昨年の日記の中に、「指紋の神様、宇平さん、熱き心」というメモが記してありました。「熱き心」というのは、警察の鑑識課で指紋の専門家である元警察官宇平さんの言葉です。犯罪が起きた場合、現場に残された指紋が犯人逮捕の重要な決め手になります。宇平さんは警察官として指紋一筋に仕事をして犯人逮捕に貢献し、遂に指紋の神様と言われるような、指紋鑑定の権威になった人です、その宇平さんがテレビインタビューで、「熱き心をもって仕事をすることが大切」と答えていたのを、日記帖に書き止めてあったのです。熱き心をもって一つのことに打ち込み、その道の権威となった人の言葉として含蓄があります。これを信仰に当てはめれば、熱き心をもってイエス様を信じ続け、従って行くならば、神の恵みを豊かに体験し、心に感謝があふれ、霊的に恵まれる者になると信じます。

本日の聖書箇所はコロサイ2：6－7です。ペテロの第一の手紙が終り、ペテロの第二の手紙に入る前に、本日の聖句からイエス・キリスト中心の信仰の恵みを教えていただきたいと願っています。キリスト中心は信仰の極意です。信仰の極意の実践は至って単純で誰にもできることです。それは主イエス様に繫がり、イエス様に従って教会中心の生活をして行くことに尽きます。キリスト中心を忘れて、教会から遠ざかれば、確実に信仰の恵みが失われてしまいます。本日の聖句は「キリストを受け入れ、彼（キリスト）に従って歩け。彼（キリスト）に根ざして行け。そうすれば信仰が確立され、心から感謝があふれる。」と告げています。主のメッセージを共に聴いて祈り、新しい一週間を出発して参りましょう。

内　容　1、クリスチャンは、キリストを心に信じ受け入れ、キリストに従って行く者である。2：6

2、クリスチャンは、キリストに根ざし、感謝をもって生きて行く者である。2：7

資料問題　コロサイの手紙は使徒パウロによって紀元62年に記された。ローマの獄中においてコロサイ

のほかにエペソ、ピリピ、ピレモン書が記され、これらの四つはパウロの獄中書簡として知られている。

コロサイはキリスト論、エペソは教会論、ピリピは喜びの書簡、ピレモンは愛と赦しについて述べられ

ている。6節「主イエス・キリストを受け入れた」。心にキリストを迎え入れることが信仰の出発点で

あり、キリストを宿して生きる事が信仰生活の中心であり、土台である。「受け入れた」という事葉は、

Ⅰコリント15：1で、コリント教会の人々が、わたしたちの主イエス・キリストに関する正統的な教

えを「受け入れた」という事葉と同じである。7節「教えられたように」は、1：7「この福音を、わた

したちと同じ僕である、愛するエパフラスから学んだのであった」と言われている。

1、クリスチャンは、キリストを心に信じ受け入れ、キリストに従って行く者である。

このように、あなたがたは主キリスト・イエスを受け入れたのだから、彼にあって歩きなさい。（6節）

世阿弥（足利時代の能楽師、1363－1443）という人が、「初心忘るべからず」という言葉を残しています。これは芸術に携わる者への教えで、最初の志を保ち続けるための含蓄ある教えです。聖書の中に、「もし最初の確信を、最後までしっかりと持ち続けるならば、わたしたちはキリストに与る者となるであろう」という勧めがあります（ヘブル3：14）。イエス・キリストは「死に至るまで忠実であれ。そうすれば、いのちの冠を与えよう」と私たちに呼びかけています（黙示録2：10後半）。この二つの御言葉は、＜クリスチャンよ、信仰とは、まさに初心忘るべからずである。『きょう』という今の時に、最初の確信をもって、主イエス様に従って行くことが信仰である。何十年信仰していようが、イエス様を信じた時の初めの確信を忘れず、死に至るまで忠実に主に従い続けよ＞との励ましを伝えています。イエス・キリストを心に信じ受け入れ、従って行くために三つの大事なことがあります

第一に、「あなたがたは主キリスト・イエスを受け入れた」のです。主イエス様は自ら私たちの所に来て下さり、「見よ、私は戸の外に立ってたたいている。誰でも私の声を聞いて戸を開けるなら、私はその中に入って彼と食を共にし、彼もまた私と食を共にするであろう。」（黙示録3：20）と親しく呼びかけて下さいました。皆さんが心の扉を開いてイエス・キリストを個人的に自分の心の真ん中に受け入れたのはいつだったでしょうか。「あなたがたは主キリスト・イエスを受け入れた」とあります。受け入れたという言葉の中身は、「私が最も大事なこととしてあなたがたに伝えたのは、私自身も受けたことであった。すなわ

ち、キリストが聖書に書いてあるとおり、私たちの罪のために死んで葬られたこと、聖書に書いてあるとおりに甦ったことである。あなたがたは、それを受け入れた」と言うことです（Ⅰコリ15：1－11参照）。私はキリストを受け入れた時に、涙を流して悔い改めるという劇的な変化はありませんでしたが、安心感が腹の底から湧き上がってきたことを思い出します。ある方はキリストを受け入れて涙を流しています。私の父は泣きましたが、それは私にとって終生忘れることの出来ない貴重な思い出です。ある方は「イエス様は私の心の中にいる」と言ってうれしそうにニッコリしましたが、美しい笑顔でした。ある方は正座して「重荷を委ねます。救って下さい」と言ってキリストを信じ、心にお迎えしました。ある方は「でもこれはどうなんですか。じゃ、あれは・・・」といろいろと言うので、信じる気持がないと思っていたのですが、最後に「やっぱり信じるのが当然ですね」と言って信じ、あとは素直になりました。北海道のある会社の社長は勤務中だったのですが、「実に素晴らしい教えだ」と言って社長室でイエス様を心に信じ受け入れて祈りました。その所へ現地の牧師と信徒の大学の先生と私と一緒に行ったのですが、大学の先生は「すごい、イエス様はすごい。私も伝道したい。」と喜びに溢れていたことを思い出します。イエス・キリストを心に信じ受け入れて、神の子にされている恵みを感謝しましょう。

第二に、「・・彼（キリスト）にあって歩きなさい」と命じられています。主イエス様を信じることが信仰の始まりです。信じた者は「キリストにあって歩きなさい」と命じられています。信仰の極意はイエス・キリストに繫がり、キリストに従う信仰生活をして行くことであると言いましたが、「キリストにあって歩きなさい」というのはキリストに従って行きなさいということです。キリストに従うことは、「きょうも主であるイエス・キリストに従って行きます」という決断をもって祈ることから始まります。例えば、日曜日、「甦ったキリストを喜び祝い、神を礼拝せよ」との教えに従い、「礼拝をささげよう」という決断をもって私たちは日曜日ごとに集っています。関連して大事な事として、水曜日に朝、夜の祈り会があります。教会の日曜日、水曜日の集まりは車の両輪のようなものです。水曜日の集りに出席し、御言葉を深く学び、あらゆる事柄のために共に祈って下さい。「水曜日出席できるように導いて下さい」という決断をして祈りましょう。ファミリーの集りも大事です。ファミリーの一員として共に集り、何でも分かち合い、祈り合って行くように決断して行きましょう。この午後はファミリー家長会があります。家長さんは特別な人ではなく、主の僕として皆さんのお世話をしています。家長さんのために祈って下さい。午後、教会学校教師会があります。教会学校の教師として、日曜日朝早くから奉仕している方々のために祈って下さい。総務の集り、伝道のためのネームレスの集り、聖歌隊、手話教室、ゴスペルクワイヤー、早天祈祷会、上野ホームレス伝道などの集りに出席すること、目に見えるところ、見えないところで奉仕している方々のために祈ろうという決断をもって、キリストに従う生活をして行きましょう。主イエス・キリストに従うことを第一にして行く時に、仕事、学業、家族なども守られ、支えられて行きます。

第三に、「彼（キリスト）にあって歩きなさい」ということを実践するために、「クリスチャン生活は大小さまざまな決断の連続である」ということを心に留めて下さい。次の図は「キリストに従う生き生きとしたクリスチャン生活」を送るための図解です。大きい丸は大きな決断、小さい丸は小さい決断を表しています。例えばいきなり信仰決心という大きな決断に至るわけではなく、教会出席、聖書を読むなどの小さい決断を積み重ねて、キリストを救主、また主として信じる大きな決断がが出来るのです。

いきいきとしたクリスチャンライフ

1、クリスチャン生活は大小さまざまな決断の連続である。主の招きに何の決断もしないクリスチャンは形だけの命のない、喜びのない信仰生活を送ることになる。信仰から落ちて行く危険性がある。決断しないクリスチャンは信仰が成長しない。

2、小さい決断は、大きい決断を生み出して行く。

3、イエス様は私たち一人一人にできることを決断するように招かれる。主の語りかけ、招きに応じて決断することから信仰の成長が始まる。喜びに満たされたクリスチャンライフが始まる。

＊なぜクリスチャンは決断しなければならないか。

イエス様が決断の神であるからである。イエス様は天の栄光の位を捨てて、私たちを救う為にこの世に降られ、十字架で死ぬ決断をされた。その生涯は決断の連続であられた。

2、クリスチャンは、キリストに根ざし、感謝をもって生きて行く者である。

また、彼（キリスト）に根ざし、彼（キリスト）にあって建てられ、そして教えられたように、信仰が確立されて、あふれるばかり感謝しなさい。（7節）

第一に、「キリストに根ざす」とはキリストに深く結びつくことです。「建てられる」というのは堅固な土台の上に家を建てることから、キリストを土台として揺るぎない信仰生活をして行きなさいという意味です。「教えられる」とは教会生活を通して、聖書の御言葉によって教え養われて、しっかりと「信仰が確立されて（堅い信仰）」行くということです。私事になりますが、高校生位の時は牧師の説教の内容を全部理解するということは出来ませんでしたが、とにかく説教を聴くようにしたことを思い出します。その時はよく理解できなかったり、一部分しか憶えていなかったのですが、しかし、メッセージはいつの間にか私の心の中に浸透していて、信仰を形成する力になっていったのです。例えば説教を準備しながら、一つの御言葉を読んで祈り考え、瞑想する時に、注解書を読まないのに、御言葉の意味、前後関係、関連事項が浮かんできます。それは若い時から聞いてきたメッセージの蓄積があり、それを御霊が思い出させてくれるからであると感謝しています。

第二に、キリストに根ざして行く時に、試練を乗り越える力が与えられます。プロ野球はセ・リーグはドラゴンズが優勝し、パ・リーグは最後の優勝争いをしています。アメリカではイチロー選手、松井選手などの活躍が報じられています。プロ野球では、チームは優勝する事、選手は成績によって評価されます。プロ野球の世界にあって、成績をあげ、同時にクリスチャンとして証をしている選手がいます。阪神タイガースのアリアス選手です。彼はサインを頼まれると名前のほかにP.F.T.L（Play For The Lord主のためにプレーする）と書き添えています。7月31日甲子園球場でジャイアンツと対戦、家族の見ている前でジャイアンツ・シコースキー投手の投げたボールが左側頭部にあたり、倒れてしまった。「まず最初に家族が心配するだろうなと思い、次に相手投手にリベンジしてやろうという事でした」。シャワーを浴びながら腹がたち、涙が出てきた。「神様なぜこんな事を起こされたのですか」と祈った。その時「神様に『赦せ』と言われている」と感じた。ちょうど試合前日、聖書から『赦し』について学んでいた。「・・神様が彼を使って自分をテストされたのだと思います」。病院へ向かう時、シコースキー投手が駆けつけ「申し訳ない」と謝った。「大丈夫、心配しなくいいよ。もう私は赦すよ」。キリストに頼り、キリストに根ざして行く時に、試練に遭っても、それを乗り越える力が与えられます。（クリスチャン新聞10/3号）

第三に、キリストに根ざして行く時に、感謝が湧いてきます。感謝する時には「あふれるばかり感謝しなさい」と言われています。恵みを数えて思いっきり感謝しましょう。感謝するということは、意識的に、口に出して、身振り手振りで、自分のうちにあることを表すことから始まります。私事になりますが、慧を保育園に迎えに行きますと、私を見て

ニコニコする、そして手を胸に当てて「うれしい」という喜びを表します。もし迎えに行っても「迎えに来たのか」と二コリともせず、「私を連れて帰れ」というような態度をしたら、いくら孫でも可愛いとは思わないでしょう。私たちの心のうちにある感謝を、幼子のように、主に向かって祈りの中に、さんびの中に溢れるほどに表して参りましょう。

まとめ　

1.６節、キリストを心に受け入れた者として、キリストに従って行こう。そのために決断の生活をして行こう。

2.７節、キリストに根ざし、試練を乗り越え、あふれる感謝をもって生きて行こう。

祈　り　天地の主である神様、救主イエス・キリストが私たちを救うために地上に来られ、十字架に命をささげて下さるという大決断をもって、救いの道が開かれました。私たちは聖霊によってイエス様を信じ受け入れる決断を与えられ、感謝します。今週もイエス様に従う喜びの日々を導いて下さい。イエス・キリストの御名によって祈ります、アーメン。

参考文献コロサイ注解書―フランシスコ会、口語略解、黒崎、バークレー、佐竹、LAB、米田、文語新約略注。