行き詰まらない信仰　使徒16：6

「行き詰まらない信仰」　使徒16：6－40　　　　　　　　　主の2004.10.17礼拝

先週10日（日）―11日（月）、礼拝は岡山教会、続いて中国教区10の教会が集って聖会が開かれ（会場は岡山県・倉敷勤労総合福祉センター）、そこで3回メッセージを語る機会を与えられ、感謝でした。出かける日に台風22号が関東に接近、羽田13：40発岡山行き飛行機が約1時間遅れて出発し、途中けっこうガタガタ揺れましたが無事到着、岡山は台風が去って、曇りで穏やかな天候でした。後続の飛行機は全部欠航、新幹線も高速道路もストップしたとの事で、最初から皆さんの祈りやメールによって守られ、聖会も主の臨在と皆さんの祈りの応援の中で、メッセージを伝えることが出来て幸いな聖会でした。熊谷礼拝は富田兄が慰めと希望に満ちたメッセージを取り次いで、一人ひとりが恵まれた事、夜の聖日夕拝は睦子が担当し、やはり恵まれたとのことで、心から主に感謝します。

今朝は使徒16：6―40です。私たちはイエス・キリストの復活を記念し感謝して礼拝に集っています。礼拝の事ですが、全てのプログラムが恵みをもたらします。奏楽、聖歌讃美、プレイズ讃美、礼拝祝福の祈り、聖書朗読、献金、メッセージ、メッセージ後の祈り、恵みの座、祝祷、挨拶、報告など全てが大切です。熊谷を開拓して下さったクラー先生が話してくれたことを思い出します。「ある礼拝で、いつもよりメッセージを良く語れたと思った。説教の後に一人の人が信仰決心を言い表した。ところが、その人が『きょうの聖歌がよかったからです。』と言った。もちろんその人はメッセージによって決断を与えられたのですが、聖歌によって心が開かれ、神の言葉を聴いて決断に導かれたので、聖歌が良かったと言ったのです。このように礼拝の全てがキリストを示している。だから礼拝に出席することは祝福である」と。すでに讃美の中に皆さんの心は開かれています。使徒16章から、パウロとその仲間との体験を通して、「行き詰まらない信仰」という主のメッセージを聴いて行きたいと願っています。

内　容　1、主は、様々な状況の中で私たちを導かれる。16：6－10

　　　　2、主の導きに従う時に良い事も悪い事も起るが、全ては恵みに変わる。16：11－40

3、信仰が行き詰まらない秘訣。16：25

資料問題　6節「聖霊に禁じられた」、聖霊はイエスの御霊（7節）と同じ意味。パウロ一行は6，7節、アジアで御言葉を語ることを禁じられ、9節でマケドニヤ人の幻を見てギリシャへ宣教に導かれることになった。10節「確信して」、様々な状況を判断して、考え、祈って結論を導きだすこと。いろいろなことを推論し、信仰によって状況判断をして確信に至るのである。「わたしたち」、パウロの他にルカなどがいて伝道チームを組んでいたことが分かる。11節、トロアスからネアポリスまで200キロ、順風であれば2日間の船旅。ネアポリスからピリピまで12キロ。ピリピはローマの殖民都市。16節「占いの霊につかれた」、占いはピトン（にしき蛇）。悪魔に憑かれた者の意。19節「真夜中ごろ、パウロとシラスは神に祈りさんびを歌い続けた」、キリストが言われた事を実践している（マタイ5：11－12）。34節「喜んだ」、キリストの救いを受ける時に、心は喜びに満ちるのである。

1、主は、様々な状況の中で私たちを導かれる。16：6－10

パウロがこの幻を見た時、これは彼らに福音を伝えるために、神が私たちをお招きになったのだと確信して、私たちは、ただちに、マケドニヤに渡って行くことにした。(10節)

キリストの福音が伝えられて行く歴史の中で、使徒16章は重要な場面です。何故なら、ユダヤの一角から始まったキリストの教えが、海を越えてヨーロッパに伝わって行く過程が記録されているからです。６―7節に、パウロ達はアジアで御言葉を語ることを禁じられています、どういう状況であるのか明らかではありませんが、とにかくその地方では伝道することが出来なかったのです。パウロ達は現在のトルコのあたりを伝道できないままに旅をし、港町トロアスに着きます。八方塞がりの中にあって、パウロが一つの幻を見ます。それがきっかけになって、パウロ達は海を越えて、サモトラケ経由で、200キロ向こうにあるマケドニヤ（ギリシャ）・ネアポリス港に向かいます。パウロ達はネアポリスから12キロ先のピリピに行き、救われる人が起こされ（15節）、ピリピ教会がスタートします。

私たちの人生にも、何故か道が開かれない時があります。多くの人は道が開かれない時に迷い、その解決を求めて占いに頼ったりします。テレビでは星占いが放送され、占いの本が氾濫しています。アメリカ大統領であったレーガンは星占いによって政策を決めたと言われています。16節に「占いの霊」とありますが、占いは原文ではピトン（ニシキ蛇）です。ヘビと言えば、それは言うまでもなくサタンのことです（創世記3章参照）。占いはサタンからのもので、実際には悪霊が導いています。ですから、聖書は占いを厳しく禁じています（レビ20：27、申命記18：9－14）。私たちは日常生活の中で遊び半分でコックリさんをしたり、異教の呪文を唱えたりすることをしないようにする、お札やお守りを持たないという注意が必要です。多くの偶像と異教の習慣が私たちの生活の中に入り込んでいます。特に偶像を通して働く悪霊から守られて行くように祈って行くことが大切です。

パウロ達は伝道できないという八方塞がりの中で、9節、パウロが幻を見て、10節、マケドニヤ（ギリシャ）に行くことを「確信した」とあります。これはパウロが確信し、またパウロの同行者たちも同じように確信したのです。それが「神がわたしたちをお招きになったのであると確信した」（10節）という事です。アジアで福音を伝える事を聖霊によって禁じられ、トロアスの港に来てしまった。その時に一行のリーダーであるパウロ先生が「マケドニヤに渡ってきて、わたしたちを助けて下さい」というひとりのマケドニヤ人の幻を見た。それについて皆で祈り考え、これまでの状況を振り返り、ではこれから一体どうすべきかということを思い計ってみた。この幻は「海を越えてマケドニヤに行け」という神の導きであるという結論に達した。それに対し、「アーメン」という皆の一致が与えられた。だから、「確信した」と言われているのです。聖霊は私たちを導きます。直接に導く事もありますが、大体は様々な状況の中で、皆で祈り合い、考え合って行く時に、主は素晴らしい導きを与えて下さいます。

主はいろいろな導き方をされます。例えば、使徒7章では、エルサレムにクリスチャン達が留まってなかなか地方に出て行かない、伝道しない。そこで神は迫害を起こし、人々は地方に散らされて行き、「地の果てまでキリストの証人となる」（使徒1：8）ということが実現する第一歩が始まって行きます。この16章では、神はアジアで御言葉を語ることを禁じ、トロアス港に導き、幻を見せ、皆に一致が与えられてヨーロッパ伝道が実現します。こうした神のいろいろな導き方を知るためには、聖書を良く読むことが必要になってきます。聖書にはあらゆる事例が出ています。聖書を読んで読んで読み進むことが間違いのない判断を生み出す基礎になります。聖書を個人的に読む、そして礼拝の場で聖書のメッセージを聴いて行くことが大切です。どんなに優れているような意見であっても、聖書を読み、礼拝に忠実に出席している人の心を動かすことは出来ません。ところで本日は42回目の礼拝ですが、皆さんは42勝でしょうか・・・。一つ一つの礼拝を大事にし、積み重ねて1年52回の礼拝に至るように祈って行きましょう。

2、主の導きに従う時に、良い事も悪い事も起るが、全ては恵みに変わる。16：11－40

11節以下の出来事を追ってみましょう。ピリピの川辺で、キリストの福音を聴いてルデヤという婦人が救われ、ルデヤも家族もバプテスマを受けます。ルデヤはパウロ達を自分の家に招き、お世話をするという申し出をしますが、ここからピリピ教会が始まったのです。ヨーロッパ伝道は非常に幸先のよいスタートをきりました（13―15節）。ところが一つの事件が起きます。占いの霊に憑かれた女奴隷が出てきて、パウロの伝道を邪魔します。パウロはイエス・キリストの御名によって彼女から悪霊を追い出します。そうしましたら、占いで利益を得ていた人々から訴えられ、逮捕され、取り調べのないまま、体中をムチで打たれ、足かせをつけられて牢獄に入れられてしまいます。せっかくトロアスでパウロが幻を見て、皆でマケドニヤに渡るという一致が与えられ、やって来たら、すぐに救われる人が起こされて教会が始まるという恵みを受けた。それなのに、パウロとシラスが投獄されるというとんでもない事が起きてしまったという事です（16―24節）。

世の中に宗教といわれるものが沢山ありますが、その殆どは信じればご利益があるという教えを説きます。大抵はお金、健康などの現世利益です。しかし、聖書はこの世の宗教が説くようなご利益を説きません。ご利益信仰から見れば、「信じているのに牢屋に入ったのではつまらない、損だ、そんな教えはやめなさい」と言うでしょう。しかしパウロとシラスは文句一つ言わずに、牢獄に入り、夜中に神に祈り、讃美をささげています。ふたりは、「神は生きておられる、必ず神の側からの助けがある」ということを信じて、神に全てを任せていたのです。すると夜中に突然大地震が起って、人間の予想しなかった形で神の救いの手が伸ばされます。信仰は良くても悪くても主に信頼して行くことです。大地震が起きて、牢屋番とその家族が救われますが、特に31節の御言葉は大切ですから読みます。パウロとシラスは次の日には釈放され、新しい伝道地に向かいます（25―40節）。

信仰をもって主に従っている時に、良い事もある、悪い事もある、しかし最後に全ては益に変わります。旧約聖書ダニエル書の中に三人のユダヤの青年が出てきます。彼らはバビロンに捕虜として連れてこられ、ネブカネザル王に仕える者になります。ネブカデネザル王は巨大な金の像を造り、家来たちに拝むように命じます。しかし三人の青年は小さい時からまことの神様だけを拝むように教えられ、神様を信じて育っています。ですから、いかに王の命令といえども偶像礼拝をすることは出来ない。金の像を拝まない者は、真赤に燃える炉の中に投げ込まれるという罰があります。それを承知で三人の青年は「私たちの神は火の燃える炉の中から私たちを救い出す事ができます。また王よ、たといそうでなくとも、王よご承知下さい。私たちは金の像を拝みません」という信仰に立ちます（ダニエル3章）。彼らは炉に投げ込まれますが、火傷一つせずに救出されます。私達の娘である敦子はアメリカ留学から帰った時に、信仰をなくした状態でした。礼拝に出ていましたが、「祈れない」と言っていました。ある日、「もう一度信仰について考えたい」という事でイギリスの聖書学校に入学しました。娘の信仰が聖書学校で復活するかも知れない、あるいはそのままかも知れないと思っていた時に、「たといそうでなくとも」という御言葉が浮かんできました。皆さんに祈られている子だから、とにかく神に任せれば良いのだ。そう思うことが出来ました。そして主の十字架の愛と多くの方々の祈りによって、信仰を取り戻し、神学校に入り、今は諏訪でふたりの子を育てつつ、伝道者として主に仕えています。主に従い続けることが祝福を与えられて行く秘訣です。何があっても、最後は全てが益に変わることを信じ、主に従う決断の祈りを捧げて下さい。

3、信仰が行き詰まらない秘訣。16：25

真夜中ごろ、パウロとシラスとは、神に祈り、さんびを歌い続けたが、囚人たちは耳をすまして聞きいっていた。(25節)

最後に25節の御言葉を読みます。信仰生活には、良いこともあれば悪い事もあるが、悪い状況の中での態度が大事です。パウロとシラスは絶望状態の中で、神に祈り、さんびをささげています。目の前にご利益がなくても、キリストの十字架によって救いを与えて下さった神を信じ、聖霊によって励ましを受け、イエス・キリストの御名によって祈り続けることが眞に大事なことです。

ご利益のことですが、最大のご利益の一つは罪の赦しです。私たちは、キリストの十字架によって罪を赦され、新しい人生を歩んでいます。「誰でもキリストにあるならば、その人は新しく造られた者である。古いものは過ぎ去った。見よ、全てが新しくなったのである」（Ⅱコリ5：17）。ご利益の中で素晴らしい恵みは永遠の命です。ダビデの「わたしの生きている限りは必ず恵みと慈しみとが伴うでしょう。わたしは永遠（とこしえ）に主の宮に住むでしょう。」（詩篇23：6）という讃美は真実です。70年か80年だけ生きて滅んで行く人生では空しすぎます。キリストは死を打ち破って甦り、今も生きている救主です。来月、大谷拓平さんと武藤賢二さんの記念会を行います。先に天国に行かれた方を思いながら、残された者達が天国での再会という希望を新たにする時です。こういう記念会が行われるという事を覚えて祈って下さい。

生活の中に、祈りとさんびを絶やさないようにしましょう。そのために、聖書を読みましょう。難しい神学や、聖書知識も必要であるかも知れません。だが最も必要な事は、良い時も悪い時もキリストに縋ることです。それが行き詰まらない信仰の秘訣です。

＊主は様々な状況の中で、私たちを導いて下さいます。良い事も悪い事もありますが、やがて全ては益に変わります。そのために祈りとさんびとを捧げて行きましょう。その時に地震を起こすような神の偉大な力によって、行き詰まりはなくなって行きます。「御手の中にすべては変わる」を讃美し、キリストの御名によってお祈りを捧げます。

祈り

天地の主である神様、キリストの救いの中に私たちを入れていただき感謝します。信仰をもっていても患難や問題はあります。その時に聖霊によって祈る力を与えて下さい。主をさんびするように導いて下さい。今朝、重荷を抱えている方々の重荷を取り去って下さい。戦いの中にいる方々に勝利を与えて下さい。私たちの家族を救って下さい。深谷（井桁久志師）、松江（生武嗣幸。由香師夫妻）、諏訪(山本憲治・敦子師夫妻)を豊かに祝福して下さい。井桁正巳・幸枝師夫妻を支え、新しい任地に遣わして下さい。会堂が狭くなっています。また駐車場も必要です。神様の導きを待っていますので、主よ。良き解決を備えて下さい。生きている救主イエス・キリストの御名によって祈ります、アーメン。

参考文献使徒注解―フランシスコ会、バークレー、黒崎、ＬＡＢ，米田。「口語聖書事典」（日キ教団）