イエス・キリストこそが信仰の中心　ペテロ第二1：1

イエス・キリストこそが信仰の中心　ペテロ第二1：1－4　　主の2004.11.21礼拝

先週はスティブン・ケイラー師を迎え、神の御霊に導かれ、キリストの恵みに満ちあふれた集会が2回行われました。皆さんひとりひとりが恵まれ、力を受け、祈りの中に主に従って行く新たなる決断を与えられた事を信じ、感謝します。（週報にケイラー師よりの手紙を記してあります）

イギリスに説教の王といわれ、また各種の養護施設をつくり孤児や老人の福祉に尽くしたスポルジョン（1834－92）という方がいました。少年時代に数年間救いを求めて多くの集会に出席しましたが、どうしても救いが分からず悩んでいました。ある日曜日、大雪のために教会に行き着くことが出来ず、やむなく途中にあった小さな教会の礼拝に出席しました。雪のために牧師は来られず、出席者も僅かでした。すると無学なひとりの職人が、聖書を開き、「地の果てなる諸々（もろもろ）の人よ、汝ら我を仰ぎ望め、さらば救われん」（イザヤ45：22）という聖句に基づき、単純にイエス・キリストの救いを説くのを聴いて、スポルジョンはその場でキリストの救いを受け入れました。それ以来、一生の間キリストに仕え、特にキリストの恵みを宣べ伝える説教者として用いられ、彼の説教集が刊行され、日本語にも訳され、今もなお多くの人々に読み継がれています。（キリスト教例話事典3巻）

本日はペテロ第二の手紙1：1－4です。使徒ペテロは、クリスチャンに対し、「主イエスを知る」（2節）ことによって、キリストの救いの恵みをより確かなものにして、迷うことなく天国に進んで行こうという励ましのメッセージを伝えています。スポルジョンは「キリストを仰ぎ見よ」いうメッセージを聴いて、救いを受けました。キリストを求め、キリストを信じ、キリストに結びついて教会を中心にして生きて行くことが信仰の中心です。イエス・キリストこそが信仰の中心です。メッセージに耳を傾け、祈ってキリストに従う新しい一週間を共に出発して参りましょう。

内　容　1、私たちはキリストを信じる尊い信仰を授かっている。1：1－2

　　　　2、私たちはキリストによっていのちと信心とを与えられている。1：3－4

資料問題　1節、「シメオン」はペテロの名前シモンという発音をギリシャ文字で表記したもの。ここと使徒15：14に出てくる。「わたしたちの神と救主イエス・キリスト」は「わたしたちの神、救主、イエス・キリスト」の訳すほうがよい。ヨハネ1：1、20：28、ヘブル1：8参照。2節、「知る」とはキリストを心に迎えて、キリストの素晴らしさを体験して行くこと。3節、「ご自身の栄光と徳とによって私たちを召された」、キリストは比類ない神としての完全な愛によって、またその偉大な力によって私たちを救いに招き入れて下さったことを現している。4節、「神の性質にあずかる者となる」、罪のために滅びるべき者が、キリストの十字架と復活によって罪を赦され、滅びる命から永遠の命へと命の質が新しくなったことを意味している。

1、私たちはキリストを信じる尊い信仰を授かっている。1：1－2

イエス・キリストの僕また使徒であるシオン。ペテロから、私たちの神と救主イエス・キリストの義によって、私たちと同じ尊い信仰を授かった人々へ。(1節)

ペテロは、紀元67年頃、現在のトルコ地方にいる多くのクリスチャンに対し、この手紙を記しています。その頃クリスチャンはローマ皇帝礼拝を拒否したので、ローマ帝国による激しい迫害を受けていました。迫害に加えて、教会の中に偽教師が忍び込んできて、信仰を覆そうとしている危機の時でもありました。例えば、①キリストが神の子であり、救主であることを否定する教え、②罪の恐ろしさを隠して、好色と放縦の罪（淫らな罪）に陥って身を滅ぼして行く教え、③キリストの再臨はないという聖書から外れた教えです。現代も様々な教えが教会内に入り込もうとしています。例えば、①キリストが神の子でないし、救主ではないと説くエホバの証人、モルモン教、統一協会があります。②一人の男と一人の女という結婚のあり方を否定し、不倫を認め、その結果子どもが生まれても誰が本当の親か分らない、或いは養育の責任を果たさないという問題が生じています。③キリストの再臨はない、だから罪が罰せられることはないと言って、快楽主義に走ったりしています。ペテロはこの第二の手紙を通して、こうした間違った教えを説く偽教師たちの間違いを鋭く指摘し、キリストを信じる信仰に固く立って行こうということを強く訴えています。

1節を読みます。口語訳では「わたしたちの神と救主イエス・キリスト」とありますが。「わたしたちの神であり、救主であるイエス・キリスト」という意味です（新改訳参照）。ペテロは、この手紙の冒頭で、キリストは私たちの神であり、同時に私たちの救主であることを明らかにしています。そして「あなた方ひとりひとりも、わたしたちと同じようにキリストから尊い信仰を授かっている」と述べて、共にキリストを信じる尊い信仰にしっかり立って行こうということを訴えています。ところで、尊い信仰とは何を示しているのでしょうか。幾つかの点を考えてみましょう。

第一に、尊い信仰は私たちの神であり救主であるイエス・キリストを信じる信仰です。キリストを信じるとは、自分の罪を認めて、キリストの十字架による救いを個人的に信じる信仰です。私事になりますが、高校2年生の9月にキリストを信じるために祈りました。様々な罪が思い浮かび、キリストに赦しと救いを求めて祈りました。その時はキリストが十字架に血を流して身代りになって死んで下さった意味がよく分りませんでした。とにかくキリストを信じれば、自分は生まれ変わってクリスチャンになれるということを信じ、心に喜びが与えられ、11月に洗礼を受けました。その後、礼拝メッセージを聴き、聖書を読んで行くうちに、十字架で死んで下さったキリストの愛が段々と心に深く響いてきました。やがて、イエス様の愛に報いるために自分の身を献げて伝道者になろうという思いが与えられ、道が開かれて神学校に学び、伝道者になり今日まで守られてきました。私にとってキリストの十字架を個人的に信じることが全ての恵みの土台であり、私たちの一生を支える力になっています。皆さんにとっても、このことは同じです。キリストを信じる信仰を与えられたことを主に感謝して行きましょう。

第二に、尊い信仰は神とわたしたちの主イエスを知ることによって、心に平安と恵みをいただくことができました。「知る」とはキリストを心に迎え、キリストの素晴らしさを個人的に知る事を意味しています。数学や科学の公式を知るという事は、頭の中に公式を知識として憶えるということです。キリストを知るという事は、ただ知識としてキリストを知る事ではありません。キリストを信じて自分が生まれ変わっていることを体験として知ることです。キリスとが、罪のために滅びるはずだった私たちの罪の身代りになって、罪の罰を受けて十字架に死んで下さったという事を信じるだけで、私たちは神の子になりました。それが恵みです。キリストを信じて生まれ変わり、神様をお父さんと呼んで、お祈りして、すがって行けると言う心の平安が与えられています。現代は平安の反対に不安の多い時代です。戦争は終わらず、地震が次々に襲ってきます。身近かなことでは、例えば健康がすぐれないという悩みがあります。一生懸命にやっているのに報われないという苛立ちがあります。人間関係がうまく行かない。子どもが言うことをきかない。経済的に苦しいなど気持を不安にさせることが次々にあります。なぜ不安になるのか、それは頼って、自分を任せるという心の拠り所をもっていないからです。ペテロは様々な悲観的な事を見る前に、キリストを知ろう。そしてキリストにすがって行こう。命を投げ出して私たちを愛して下さったのはキリストだけです。キリストは「わたしがあなた方の重荷を背負ってあげよう」（マタイ11:28参照）と言われます。

第三に、尊い信仰は豊かなものです。先週ケイラー師は、神は良いお方だ。神はグッドなお方だ、超ベリグッドなお方だと力説しておられました。そのとおりです。「神は善にして善を行われる」（詩篇119：68前半）恵みの神です。私たちを裁き、苦しめ、規則でしばり、頑張れ頑張れと駆り立てるようなお方ではない。キリストはすでに十字架にかかって、私たちの全ての苦しみの元である罪を赦して下さっている。恵みを疑わせるのはサタンの仕事です。私たちは聖霊に助けられて、主は私に最善をなさるという思いをもって祈って行きましょう。

2、私たちはキリストによっていのちと信心とを与えられている。1：3－4

いのちと信心とにかかわることすべてのことは、主イエスの神聖な力によってわたしたちに与えられている。（3節前半）　主イエスの神としての御力は、いのちと敬虔に関するすべてのことをわたしたちに与えるからです（3節新改訳）

信心（敬虔）とは、実践的な信仰を意味する言葉です。キリストを実践的に信じるとは、例えば長血の女性のようにキリストに行こう、キリストの衣に触るだけで病気を治してもらえるという心の思いと行動が一つになって、癒され、救われたような、キリストにすがって行く信仰です（マルコ5：25－34）。キリストを信じる前は、私たちの命は滅んで行く命でした。しかしキリストが来て下さって十字架によって滅びる命を、永遠に生きる命に変えて下さったのです。主イエス様が神としての力を現されて、誰でもキリストを信じれば、生まれ変わることができる恵みの道を十字架と復活によって開いて下さったのです。それが、3節にある「いのちと信心にかかわるすべてのことは主イエスの神聖な神としての力によって私たちに与えられている」という恵みです。

この当時、偽教師は自分の好きなことをしていい、罪を犯してもかまわないと教えを吹き込もうとしていました。4節に「世にある欲のためい滅びる」という言葉があります。罪を悔改めないで、欲のままに生きて行けば身の破滅を招きます。先日、大きな鉄道会社の社長が長年にわたって、不正な行為をしてお金を溜め込んでいたということが報じられていました。また一流といわれる会社が不正な経理巣操作をしていたというニュースもありました。大学を出て、エリートと言われる道を歩んでいても、キリストを信じていなければ、罪が忍び寄り、欲によって身を滅ぼすようになってしまいます。

また偽教師は、このままで人間は救われると説いていました。しかし、生まれつきのままでは罪があります。心の内には、憎しみや情欲、自分さえ良ければいという自己中心の思いがあります。だから、キリストの十字架を信じて生まれ変わって、4節にある「神の性質にあずかる者」になって行くことが絶対に必要なことなのです。いのちと信心による新しい命を受けるためには悔改めることが絶対に必要です。悔改めには二つの要素があります。一つは今までキリストから離れた生活をしていたが、心の向きをキリストに方向転換して、罪から離れ、キリストを心にお迎えするという悔改めです。キリストを信じて生まれるという決断の時です。も一つは、キリストを信じている私たちですが、この世の中に生きていることによって、知らず知らずのうちに世と調子を合わせていることが多いことを自覚します。そこで祈ってキリストのほうに心の向きを向けて行くという日々の悔い改めがあります。そのために日々聖書を開き、祈って行くということが大切な日課になります。

私たちがキリストを信じると、キリストが心の中に住んで下さいます。ガラテヤ2：20で使徒パウロが「生きているのは、もはや私ではない。キリストが私の内に生きておられるのです」と言っている通りに、私たちはキリストを心の真ん中において生きる者に変わって行きます。キリストの心を心として生きるように、神の性質に似る者に成長させてもることができます。

ある方が、はじめて教会へ行った。しかし「別にキリストでなくても、どんな神様でもいいのではないか」と思っていた。ある日、仕事に行き詰まり、自分に何の力もないことが分って「イエス様、助けて下さい」と言って聖書を開いてみた。すると自分が神様から離れているために罪があり、その罪のためにイエス様が十字架にかかって下さったこと、そして復活されたことが分った。「私はイエス様を信じて行こう。イエス様は十字架にかかって命を棄ててまで私を愛して下さっている」。そう信じて新しい人生が始まった。その方は絵を描く仕事をしているが、キリストを信じてから、その作品に対し、「見るとほっとする」という評価が与えられるようになった。これからもキリストを求め続けて、キリストの命に満たされ、この仕事を通してキリストを少しでも伝えるようにという思いで仕事をしているということです。キリストを心にお迎えしたことによって、自分が崇められるという欲のためではなく、キリストを信じて罪から解放されて喜んでいると喜びを伝えることが出来るのは幸いなことです。

まとめ

1、1節、キリストを信じる尊い信仰を与えられていることを感謝しましょう。

2、3節前半、キリストを信じて、欲のために滅びることを免れ、キリストによって新しい心を与えられていることを感謝しましょう。

祈り

神様、恵みのうちに11月第3週の礼拝を導いていただき感謝を捧げます。キリストが

私たちの神であり、救主であることを感謝します。キリストを信じる尊い信仰を与えられている恵みに感謝しながら、今週の日々を歩ませて下さい。きょう子どもたちの祝福のために祈りました。ひとりひとりが光の子供として心も体も真っ直ぐに成長するようにお願いをします。明後日は関東北東聖会が東京・千代田公会堂で開かれ、当教会は午後の聖会で讃美をもって教会紹介に加わります。心からの讃美をささげる時となるように、全てを神の栄光となるように導いて下さい。教会の会堂のため、駐車場のためにも主の導きを与えて下さい。私たちに恵みと平安とを与えて下さっている救主イエス・キリストの御名によってお祈りを捧げます、アーメン。

参考文献ペテロ注解―黒崎、フランシスコ会、ことば社講解、LAB,佐藤「御翼」、口語略解。