イエス・キリストの恵みに応えて生きよう　ペテロ第二1：5

イエス・キリストの恵みに応えて生きよう　ペテロ第二1：5－11　主の2004.11.28礼拝

本日からアドベントに入ります。アドベントは、イエス・キリストの誕生日であるクリスマス前の四週間の期間を指し、キリストの誕生日であるクリスマスの日を、祈りのうちに待ち望む期間です。本日から12月19日までですが、当教会では12月19日にクリスマス礼拝（洗礼式があります）、教会学校クリスマス、12月23日（木・祝日）は会場を行田市商工センターに移してクリスマス祝会を行います。12月24日―25日は家庭クリスマスをそれぞれに祝って下さい。25日は上野公園ホームレス伝道クリスマスの奉仕があります。

私たち夫婦の神学校の恩師である弓山先生は1900年に生まれ、102歳で天国に召されて行きました。先生は16歳の時にキリストの福音を信じ受け入れ、それ以来86年間の長きにわたり、一貫してキリストを信じ続け、伝道の働きをし、神学校の校長として約500人の牧師、伝道師、宣教師を育てるという大きな働きをされました。90歳をすぎてからお一人で列車に乗って熊谷へ何回も来られ、恵みのメッセージを語って下さいました。

本日はペテロ第二1：5－11です。10節に「ますます励んで（熱心に）受けた召しと選びとを確かなものにしなさい」との勧めがあります。弓山先生はキリストの恵みに応えて伝道者養成において傑出した働きをなされ、86年間ひたすら信仰の馳せ場を走り抜き、天国へ凱旋して行かれました。私たちもキリストの救いに感謝し、今朝もメッセージを聴き、祈ってキリストの恵みに応えて生きる事を決断し、新しい一週間の旅路を前進して参りましょう。

内　容　1、キリストの救いに感謝し、愛を実践する者として成長して行こう。1：5－9

　　　　2、キリストの救いに感謝し、恵みに応える日々を前進して行こう。1：10－11

資料問題　5－11節、クリスチャンは信仰に加えて、徳、知識、節制（自制）、忍耐、信心（敬虔）、兄弟愛、愛を身につけるべき事として示されている。救われたクリスチャンはこうしたものを自分の身に、また生活上に表して、救いの恵みを証しするのである。パウロは御霊の実として「愛、喜び、平和、寛容、慈愛、善意、忠実、柔和、自制」をあげている。（ガラテヤ5：22－23）牧会書簡では「神の人は義と敬虔と信仰と愛と忍耐と柔和とを追い求める」ように命じられている（Ⅰテモ6：11。）

10節、「召しと選びを確かにする」、クリスチャンは3,4節のごとく神に選ばれて召された者である。召しと選びを確かにして行く時に、5－7節に示されているものが身についてくるようになる。「あやまちに陥る」（文語訳、新改訳は躓く）、堕落して躓いて信仰からそれること。11節、「主また救主イエス・キリストの永遠の国」、神の国、天国を指している。

1、キリストの救いに感謝し、愛を実践する者として成長して行こう。1：5－9

[あなたがたは力の限りをつくして、あなたがたの信仰に徳を加え、徳に知識を、知識に節制を、節制に忍耐を、忍耐に信心を、信心に兄弟愛を、兄弟愛に愛を加えなさい]。（5－7節）

ペテロは、クリスチャンに対し、「あなた方は、この世の旅人であり寄留者である」（Ⅰペテ2：11）と告げています。へブル書にも、神を信じる者は永遠の天国を目指す者であり、この地上では旅人であり寄留者であると言われています（ヘブル11：8－16）。私たちはこの地上で何年生きるのかは分りませんが、キリストによって救われたことを感謝し、天国に行く日まで、キリストの心を心として生きることが大切です（ピリピ2：4文誤訳）。キリストの御心とは何でしょうか。二つの事を申し上げます。その一つは、それぞれの立場で十字架と復活によるキリストの救いを伝えるという伝道の使命があります。なぜなら神は「すべての人が悔改めに至ること」（3：8－9）を願っているからです、その御心を実現するために、先に救われた私たちにはキリストを伝道する役目が与えられています。その二つは、キリストを信じた者は信仰を出発点にして、キリストの姿に限りなく近づき、キリストのように愛を実践する者として成長させていただけるのです（エペソ4：12－16参照）。そのためにクリスチャンはキリストの救いを受けたことを感謝し、毎日聖書を読み、祈りを捧げる生活をして行きます。主の日には教会に集って礼拝で恵みを受けます、使徒パウロは救われた者は「愛、喜び、平和、寛容、慈愛、善意、忠実、柔和、自制」という御霊の実を結ぶようになると教えています（ガラテヤ5：22－23）。ペテロも、パウロも愛を重視していることが分ります。ペテロが、この手紙の冒頭の5－7節において、クリスチャンが身につけるべき信仰から始まって愛に至る大切な徳目について述べています。

まず「信仰に徳を加えなさい」とあります。信仰とはキリストを個人的に心にお迎えすることで、あらゆる恵みの土台になるものです。徳とは善き事をする道徳的エネルギーです。信仰を頭だけのものではなく、信仰を実際的なものにして行きなさいという勧めです。「徳に知識」・・善い事をするために、様々なことを洞察し理解する知識が必要です。「知識に節制（自制）」・・知識は人を傲慢にさせることがあるので、自分をコントロールする自制が必要になります。「節制に忍耐」・・忍耐とは何があっても為すべきことを行って、神が善い事をなし遂げてくださることを待ち望むことです。「忍耐に信心（敬虔）」・・神を畏れ、敬う敬虔な信じる心が大切です。「信心に兄弟愛」・・互いに助け合って行くことが兄弟愛です。「兄弟愛に愛」・・すべてを愛する愛、良い者の上にも、悪い者の上にも太陽を昇らせ、雨を降らせて下さる神の愛を受けて、どんな人を愛するというまことの愛です。

これらの信仰から愛に至る八つの善きもの全てはキリストのうちにあるものです。キリストは常に父なる神に個人的に信頼する信仰をもっていました。ゲッセマネの園で自分の思いではなく、神の思いに従っています（マタイ26：36－49）。キリストのうちには徳があり、常に善き事をするという道徳的エネルギーがあふれていました。一人息子を亡くして悲しむナインの寡婦の姿を見て、腸が千切れるような深い同情を寄せられ、「泣くな」という慰めの言葉をもって接して下さいました（ルカ7：11－17）。キリストは智恵と知識とのお方です。ローマ皇帝に税を納めるべきか否かという問いに対する答を聞いて、人々はキリストの智恵に驚嘆しています（マタイ22：15－22）。キリストは常に自分を節制（自制）して謙った態度を示しています。キリストを快く迎えない人々を、「火をもって滅ぼしましょう」と弟子達が言った時に、それをたしなめています（ルカ9：51－56）。キリストは限りない忍耐をもっています。裏切ったペテロを見捨てずに、彼の愛を確かめ、再び使命を与えています（ヨハネ21：15－22）。キリストは常に神を信じる信心（敬虔）を持って父なる神に祈り（マルコ1：35）、私たちを友と呼んで下さる兄弟愛を表して下さっています（ヨハネ15：12－17）。そして十字架に命を捧げることによって、まことの愛を示して下さいました（Ⅰヨハ3：16）。

昨日は上野公園・ホームレス伝道の日でした。毎週土曜日に行われているホームレス伝道に比留間夫妻が献身しています。熊谷は毎月第四土曜日に奉仕しています。昨日、祈りの中に皆さんからのおにぎり634個を持参しました、その他にお米30キロ、バナナ、石鹸、洗剤、衣料品などの献品を有り難うございました。ホームレス伝道に行く度に、貧しい人、社会の中で打ち棄てられている人々に愛をもって接したイエス様のことを思います。ペテロは信仰から始まり、様々な徳といわれるものを身につけ、最後は兄弟愛、また愛の人になるようにと言っています。上野へ行って思う事は、なぜホームレスになったのかを問うことも必要かも知れませんが、とにかく食べ物がない、住む所がない人々のために先ず助けの手を伸ばす事が必要であること痛感します。上野では物を分かち合う前に先ず礼拝があることは素晴らしい恵みです。なぜなら「人はパンだけで生きるものではなく、神の口から出る一つ一つの言葉によって生きる」からです（マタイ4：4）。イエス様は5千人の人々を養う前に、先ず福音を伝えています。昨日も礼拝メッセージを通して多くの方々が手をあげて信仰決心を表明しました。比留間夫妻は決心した人々に機会ある毎に必ず個人伝道をして、個人的にキリストを信じるように導いています。心にキリストを迎え入れた人々が、トポス教会（東京・足立区・比留間師夫妻）に出席し、洗礼を受け、社会復帰を果たし、献金をささげ、教会の働き、また上野ホームレス伝道のために献金し、奉仕にあたっています。私は昨日説教をしながら、社会の片隅に追いやられている人々がメッセージ聴き、個人伝道を通してキリストを心に迎え入れ、洗礼を受けてトポス教会員になっていることは本当に大きな恵みであること、かつてはホームレスだった人々が、今度はホームレス伝道のために働いている姿こそ、キリストが活きている大いなる証である事を思いました。キリストを知り、信じる事によって、罪が赦され、過去がきよめられ、神と人に恩返しをする人生に変えられている事こそ真の奇蹟であると信じます。

2、キリストの救いに感謝し、恵みに応える日々を前進して行こう。1：10－11

兄弟たちよ。それだから、ますま励んで、あなた方の受けた召しと選びとを。確かなものにしなさい・そうすれば、決してあやまちに陥ることはない。（躓くことなど決してありません）（11節）

10節、ペテロは、クリスチャン達に対し、キリストによって救われたことを感謝し、信仰の道を一筋に進んで行こうと力強く勧め、11節にはキリスト一筋に進んで行くゴールは天国であるという励ましの言葉が記されています。この手紙を受け取った人々はローマ帝国による迫害の中にいます。そして教会の中には偽教師が忍び込んで来て、クリスチャン達をキリストから引き離そうとしています。そうした危機の中にあって、ペテロは、「あなた方は神であり、救主であるイエス・キリストを信じるという尊い信仰を授かっている」（1節）、「いのちと信心とにかかわる全てのことは、主イエスの神としての力によって全て私たちに与えられている」（3節）、「信仰を土台にしてキリストの愛を実践して行こう」（5－9節）という勧めをし、そして10節で「信仰に励もう。受けた召しと選びとを確かにして行こう」とのさらに強い勧めがなされています。もう一度10-11節の御言葉を読んでみます。ここから主の御心を幾つか教えていただきましょう。

第一に、キリストの召しと選びとに感謝し、キリストに従う信仰に徹して行くことが大切です。「受けた召しと選びとを確かにせよ」・・・キリストは、多くの人々の中から、特に私の名前を呼んで、救いの中に召して下さいました。聖書朗読したイザヤ書の中に「恐れるな、わたしはあなたを贖った。わたしはあなたの名を呼んだ」（43：1）とあるように、私たちひとりひとりの名前を呼んで下さるのです。それはキリストがひとり一人を大切にしている証です

第二に、キリストを一筋に信じて行く事です。「ますます励んで（ますます熱心に）」という勧めがあります。「信仰の導き手（創始者）であり、またその完成者であるイエス・キリストを仰ぎ見ながら（イエス・キリストか目を離さないで）」進んで行くことが信仰生活の秘訣です。（ヘブル12：2参照）

第三に、私たちのゴールは天国です。イエス・キリストは「天国は激しく襲われている。そして激しく襲う者たちがそれを奪い取っている」（マタイ11：2）と言われました。天国を目指して、日々に聖書を読み、祈り、集会を重んじ、献金をし、伝道と奉仕をもって主に仕えて行くという姿勢が基本です。私たちの思いの中心がキリストであり、「まず神の国とその義とを求める」（マタイ6：33）という姿勢をもって日々を生きることが、やがて天国というゴールへ私たちを導いて行くのです。新聞にこういう記事が紹介されていました。

「勉強に身が入らない息子に主人公が言う。『富士山に登ろうと心に決めた人だけが富士山に登ったんです。散歩のついでに登った人はひとりもいませんよ』」。（11月14日読売新聞「編集手帳」）確かにそのとおりです。私も、夏の富士山に登ったことがあります。富士山へ登るために、富士山の麓へ行く鉄道を調べる、頂上への登山ルートを調べる、日程を決める、登山靴、登山服、食料などの備えをして、仲間と励まし合いながら山頂に向かい、明け方に頂上に着いたことを思い出します。夏の富士山は五合目までバスが行くので、そこまで行って、普通の服装、靴で、散歩気分で山頂に向かっても途中で靴がだめになり、山は天気が変わりますから、普通の服装では雨などに対処できません。信仰生活もキリストを中心にして、天国を目指して進もうと言う目標をもって進むことが大事です。キリストは、「天国は激しく襲われている」という御言葉をもって、天国を目指して真っ直ぐに進んで行きなさいということを教えて下さいました。ペテロは、「信仰を第一にして天国を目指して進んで行こう。ますます励んで、熱心になって行こう。救いの恵みに感謝して進んで行けば、あやまちに陥り、躓くことはない」と確信をもって語っています。

まとめ

1、5－7節、キリストの救いに感謝しましょう。力の限りを尽くして、信仰を土台にして兄弟信仰の恵みによって、徳、知識、節制（自制）、忍耐、信心（敬虔）、兄弟愛、愛において成長を求めて行きましょう。クリスマスの季節です。特に

愛を求め、愛をあらわすことが出来るように祈って行きましょう。

2、10節、キリストの救いに感謝しましょう。信仰の中心であるキリストに結びついて、信仰第一に祈りながら、天国への道を進んで行きましょう。

祈り

天地の主である神様、私たちをキリストによって救っていただき、今や私たちは神の子であることを感謝します。どうか私たちがキリストを見上げながら、信仰を土台にして様々な恵みを受け、特に愛において成長することができるように導いて下さい。信仰の道を励んで、熱心に進むことによって、私たちをあやまちや躓きから守って下さい。クリスマスに向かってのすべての準備を祝福し、また家族や友達がキリストを信じる機会として下さい。そのために私たちに祈りと共に伝道する力を与えて下さい。病んでいる方々を守り支えて下さい。仕事を求めている方に仕事を備えて、困難、戦いの中にある方々を支え、勝利を与えて下さい救主イエス・キリストのお名前によって祈ります、アーメン。

参考文献ペテロ注解―バークレー、黒崎、ＬＡＢ，フランシスコ会、口語略解、米田。