キリストの奴隷として生きる　ペテロ第二2：17

キリストの奴隷として生きる　ペテロ第二2：17－22　　　　　　主の2005.1.9.礼拝

初詣に来る人々を目当てに、各地の神社の境内で露店が軒を連ねて様々なものを売るのが正月の光景です。露店が人出で混雑する時を狙って、偽一万円札を使って釣銭を騙し取る詐欺が多発しました。先日は各地の銀行から日本銀行に持ち込まれたお金の中に偽一万円札が見つかりました。各銀行には紙幣を数える機械があり、枚数を数えると同時に偽物を識別するようになっているのですが、それをすり抜けて偽物が混入していたのです。偽物を機械で見破れないとしたら、どのようにして偽物を発見するのでしょうか。決め手は人間の目と手触りによります。本物を取り扱っていると、偽物が混じっていると、目で見て、手で触って、これはおかしいということが分るとのことです。自分の目と手触りによって本物をしっかり覚えることが偽物を見破るコツです。

本日はペテロ第二2：17－22です。2章全体は偽預言者、偽教師について、彼らがもたらす害悪について詳しく記されています。ペテロは、クリスチャンが偽の教えに騙されて、キリストを信じる信仰から逸れないように、罪の道に逆戻りしないようにということを願っています。ペテロの願いは全てのクリスチャンが「主イエス・キリストを知ること」（1：8）、「罪の赦しの恵みを忘れないこと」（1：8）、「キリストによって選ばれ、召されていること」（1：10）を感謝し、信仰の道に励む事です。年頭に「この奥義は、あなた方のうちにいますキリストであり、栄光の望みである」（コロサイ1：27）という御言葉をいただきました。私たちの心には、まことの、生きている救主イエス・キリストがおられます。どんなに偽の教え、異端がはびこったとしても、心の中におられるキリストにすがり、ただ一筋にキリストに仕えて行くならば、過ちに陥ることはないことを確信します。19節に「奴隷」という言葉あります。奴隷はひたすら主人に仕える者です。クリスチャンはキリストの奴隷として、ひたすらキリストに仕えて行く者です。2005年の日々を、キリストの救いを喜び、感謝して行きましょう。御霊の力を受けて、キリストを伝える恵みの日々を前進して行きましょう。

内　容

1、クリスチャンはイエス・キリストの奴隷である。2：17－19

2、クリスチャンはイエス・キリストに固く結びついて生きる。2：20－22

資料問題

2章は偽教師についての警告の章である。10節後半－22節が主要部。1－18節はユダ4－13節に並行。偽預言者、偽教師の前例は列王上22章、エレミヤ28章にある。13節「だましごと」は異端の宣伝を指す。20節の終りの部分はマタイ12：45を見よ。22節の犬のことわざは箴言26：11にある。

1、クリスチャンはイエス・キリストの奴隷である。2：17－19

この人々に自由を与えると約束しながら、彼ら自身は滅亡の奴隷になっている。おおよそ、人は征服者の奴隷となるものである。（19節）

日本中を騒がせたオーム真理教の事件がありました。サリンを製造し、それを松本市内で、また東京の地下鉄車内に撒き散らし、多くの方が亡くなり、また重い後遺症に苦しんでいます。私たちが驚いたのは、事件に関わっていた人々が弁護士、医師、化学専攻などの、この世的にみれば、エリートと言われる部類に入る人々が多数いたということです。サリンを撒き散らせば人が死ぬということは分りきったことです。所が頭がいいと言われている人が、教祖への忠誠心を表すために、サリンを撒き散らしたのは、ふつうの善悪の判断が失われ、心が狂っていたからです。本物の救主イエス・キリストを知らなければ、どんなに頭が良くても、霊的に無知であるので、偽教師の教えに引きずり込まれてしまうのです。聖書は「汝の若き日に、汝の造り主を覚えよ」（伝道12：1）と告げています。良い成績をとって、高い学歴を得ること以上に大切なのは心の教育です。出来るだけ早く、小さい時から聖書の御言葉を教えられ、親子で祈り、本当の救主であるイエス・キリストを知って行くならば、人に害毒を与え、身の破滅を招くような偽教師の教えに惑わされることはありません。

本日のペテロ第二の手紙2章には偽預言者、偽教師のことが出ています。1節を読んでみます。ペテロは、偽教師の特徴について次のように述べています。第一に、偽教師は突然に現れたのではなく、すでに旧約聖書時代に現れていると言っています。その実例は、エレミヤ28章にあります。第二に、偽教師は異端を持ち込みます。自分たちを贖って下さった（買い取って下さったー新改訳）主を否定します。すなわちキリストの十字架による救いを信じないという最悪の教えです。第三は、偽教師は、キリストを否定することによって、自分の身に滅亡を招いています。特に性的罪（不倫、同棲など）を平気で犯しています。こうした偽教師の背後にはサタンがいます。キリストは、終りの時代にはキリストに敵対する偽キリストが現れることを告げています（マタイ24：5）。ペテロは、かつてキリストのすぐ傍にいて、終りの時に偽キリストが現れることを聴いていたので、特に偽教師に対して警戒すべきことを強く私たちに訴えています。使徒パウロは教会の内部から、「曲がったこと」を言って、教会に分裂をもたらす偽り者が現れることを警告しています（使徒20：29－30）。

ペテロは2章において、偽教師のもたらす異端の教えとその害悪について警告し、徹底的にその誤謬を暴いています。ペテロは、2－9節に偽教師に対する神の審きが行われる事、10－12節に偽教師たちが栄光ある者達をそしっている事、13－22節に偽教師たちは、心の定まらない人々を誘惑する呪いの子である、と言っています。

この2章の中より恵みを見出すとしたら何でしょうか。19節をご覧下さい。「おおよそ、人は征服者の奴隷となるものである。（人は誰かに征服されれば、その征服者の奴隷になるのですー新改訳。人は自分を打ち負かした者に服従するものですー新共同訳）と言われています。罪に征服されれば肉欲の奴隷になります。すべての人は罪に征服され、自己中心の生活をしています。罪から解放されるためには、神様に征服されなければなりません。具体的には神の救主イエス・キリストを心に迎え、聖霊に満たされて生きることが必要です。イエス・キリストを心に迎えるという決断は、「私は主の奴隷になって生きて行きます」という意味です。奴隷は主人のために、主人の命令の通りに生きて行かなければならない者です。自分の自由、自分の時間はありません。疲れていても、病気であっても、どんな場合でも主人の命令に従わなければなりません。主人は奴隷を自分に従わせるために、ムチと恐ろしい刑罰をもって奴隷を使います。

私たちはイエス・キリストの奴隷になると言いましたが、キリストは私たちをムチと刑罰で私たちを支配するのでしょうか・・・違います。キリストは、私たちを愛をもって支配する恵みの救主です。

キリストの愛はどんな愛でしょうか・・・キリストの愛は十字架に表された愛です。キリストは、罪ある私たちのために、「わたしが死んでお詫びをしますので、皆を赦してあげて下さい」（ルカ23:34参照）と神に祈りつつ、十字架に両手両足を釘付けにされ、命を捧げて下さった愛の救主です。キリストが死んだかどうかを確かめるために、ローマの兵隊が槍でその脇腹を突き刺すと血と水が流れ出たと記録されています（ヨハネ19：34）。この事は聖歌の中に、「御手と御足のみか心も裂けて、君は死に給いぬ、我らのため」（聖歌401）と歌われています。極度の緊張状態の中にある場合、心臓から水分が流れ出るという事です。罪のない、清い神の独り子であるイエス・キリストは人間の罪の重圧を身に受けて苦しまれ、心臓から血と水を流すような大きな犠牲を払って下さったのです。このキリストの愛によって、私たちは罪を赦され、神の子になり、今は祝福の道を歩んでいます。愛には愛をもって報いるのが原則です。

十字架の救いに感謝し、心の中に住んでいるキリストを讃美し、喜んでキリストに従って行くことを決断して祈って下さい。一皿100円の回転寿司店で注文をすると「はい、喜んで。まぐろ一皿一番カウンターへお願いします」と答えていました。十字架に命を捧げ、愛を示して下さったキリストに「はい、喜んで」という答をもって仕えて行くならば、心は喜びにあふれます。

キリストの愛を受けると、憎しみから解放されます。以前軽井沢キャンプで奉仕して下さった盲目のクリスチャン歌手であり、伝道者である新垣勉さんの事を思います。新垣さんは沖縄でアメリカ人兵士を父として誕生しましたが、出生直後、助産婦が家畜用の目薬をさして失明。父は子どもを捨てアメリカに帰り、母親は自分を祖母に預けて再婚。父を恨み、母を恨み、助産婦を恨みつつ育ったが、高校生の頃に救われた。ある時、「君は素晴らしい声をもっている。これはお父さん譲りかもしれない」と言われ、自分を捨てた父からは何も受けていないと思っていたが、残してくれた声の賜物に感謝し、神は愛であることが分った。そして人に対する恨みも消えて行った。神学校に進み、また武蔵野音楽大学で学び、喜びと愛に満ちて音楽活動をしています。キリストが新垣さんの心に住んで、中から内から助け、導き、今では新垣さんの歌を聴きに一回のコンサートに何千人もの人々が集っています。

主の2005年、「この奥義は、あなた方のうちにいますキリストであり、栄光の望みである」（コロ1：27）という御言葉が与えられています。キリストに心を明け渡しましょう。明け渡せば、キリストが私たちの心の主人になって下さって、心の中から、内から私たちを助けてくれます。

2、クリスチャンはイエス・キリストに固く結びついて生きる。2：20－22

彼らが主また救主であるイエス・キリストを知ることにより、この世の汚れから逃れた後、またそれに巻き込まれ、征服されるならば、彼らの後の状態は、もっと悪くなる。（20節）

偽教師は、救主イエス・キリストの恵みを味わったはずなのに、主の恵みを意識的に、わざと否定する者です。彼らがどんなに素晴らしいことを言っているように見えても、その生活を見れば、再び罪の生活に逆戻りしていることが分ります。キリストは、「汚れた霊が人から出ると、休み場を求めて水のない所を歩き回るが、出て来た元の家に帰ろう」という話を通して、私たちに注意を呼びかけています。汚れた霊は、人の心の中に戻ろうとします。キリストは、私たちの心が神の霊である聖霊に満たされていないと、汚れた霊は「自分以上に悪い他の7つの霊を引き連れて中に入り、そこに住み込む。そうすると、その人の後の状態は初めよりももっと悪くなるのである。」（ルカ11:24－26）と警告しています。　

日本に「千里の堤防も蟻の一穴から」という諺があります。洪水を防ぐために立派な立派な長い堤防が築かれていた。ある時、蟻がやって来て「堤防さん、こんなに長く立派な堤防があれば、どんなに大水がやって来ても大丈夫ですね。ところで巣を作るために、私に堤防の一箇所を貸して下さい。」堤防は「わたしは千里（3600㌔）の堤防だ。頑丈にできている。こんな小さな蟻が作る小さな巣穴ぐらい問題無いだろう」と思って、蟻に巣を作る事を許した。平穏な日々が続いたが、ある時に雨が降り続き、上流からおびただしい濁流が押し寄せてきた。堤防はガッチリ水を受け止めていた。ところが頑丈なはずの堤防に、突然ひびが入り、そこの水が集中し、あっけなく堤防が崩れてしまった。水が入り込んだ所は蟻の巣穴であった。小さい穴の一つ位なら大丈夫、と考えた堤防の大失敗でした。

信仰生活も、これで絶対安心だ。大丈夫だ、ということはありません。朝に聖書を読み、祈ることを「1回位休んでも大丈夫だろう」と思ってサボる。1回の休みが2回になり、2回が10回になり、遂には朝の大事な時に主との交わりを失ってしまうことになります。大事なのは1回1回の積み重ねです。2005年毎日聖書を読み、祈って下さい。また、礼拝、祈り会に出席し続けて行きましょう。そしてクリスマスまでに、誰かにキリストを伝えようという事を申し上げましたが、救われて欲しい方々のために祈り続けましょう。

さらに21節をご覧下さい。キリストの十字架の救いという最善最上のものを知りながら、それを棄て去る者は、最悪のものである滅びを選んだことになります。それはキリストを棄てて、サタンを選ぶことです。天国を棄てて地獄を選ぶ事です。22節は、当時の犬と豚に関する諺を用いて、偽教師の姿について教えています。

もう一度20節を見ます。ここにはキリスとを知りながら、キリストの背を向ける者の姿が出ています。この箇所から、私たちはますますキリストを求め、キリストを愛し、キリストの従い続けて行くことを決意して行くことの重要性を教えられます。

今年も多くの方々から年賀状をいただき感謝しています。ある女性からの年賀状を見て主に感謝しました。その方は若い時にイエス様を真心から信じました。燃えるような信仰をもって主に仕え、喜びの毎日でした。ところが、家族の猛烈な反対と迫害を受け、聖書を取り上げられ、教会に行けない日々が続きました。ある時、年賀状が来て「信仰のことは青春の美しい思い出でした」と記してあった。しかし、その後も年賀状を通して、その方が結婚し、引越しをし、子どもが産まれたことなどを知らされていました。歳月は流れて17年目のある日突然に手紙が送られてきました。その内容は「自分は再びイエス様の所に帰り、教会に行き始めました」という恵みの便りでした。そして、今年の年賀状には「主人が月に2回礼拝に出席しています」ということが記されていました。

神は愛です。一度は信仰から離れ、教会を去っても、イエス様の所に戻れば、主は必ず両手を広げて迎え入れて下さいます。そして、その信仰を恵み、家族にも祝福が及んで行きます。私たちはキリストに結びつき、教会につながって行くことを改めて決断しましょう。そして離れている人が必ず戻ってくることを信じて祈りましょう。

ところで、皆さんの祈りの課題は何でしょうか・・・。祈りの課題を言う前にキリストに決断の祈りを捧げて下さい。

「イエス様、私のために十字架の上に命を捧げて、救いの道を開き、私を神の子にして下さった事を感謝します。私の心の中に住んでいるイエス様にすべてを明け渡して、喜んでイエス様の奴隷になって仕えて行きます。私は何があってもイエス様に固く結びつき、教会生活をして行きます。聖霊の導き、聖書の御言葉、祈りによって、キリストを否定する偽教師を退け、信仰の道を進んで行きます。イエス様、あなたこそが私の救主です。恵み深い御霊をもって、私が平らかな祝福の道を歩むように、助け導いてください」

この祈りを捧げてから、ご自分の課題を祈って下さい。祈りは聴かれて行くと信じ、祈りましょう。

まとめ

１、19節、私たちはキリストに征服された者です。十字架の愛に感謝して、キリストに喜んで仕えて参り

ましょう。

２、20節、私たちはますますキリストに結びつき、教会生活を大事にして、礼拝、祈り会に励み、イエス　

　　様に従う日々を継続して行きましょう。

祈　り

　天地の主である神様、救主イエス・キリストの十字架によって、私たちの罪を赦し、神の子にしていただき感謝を捧げます。私はイエスの奴隷になり、喜んでイエス様に仕え、2005年も教会生活に励んで行きます。神の御言葉と真理の霊である御霊によって偽の教えを退け、光であるイエス様に従って行きます。ファミリーの集いを祝福して下さい。それぞれの祈りの課題に答えて下さることを信じます。イエス・キリストの御名によって祈ります。アーメン。

参考文献ペテロ注解―黒崎、フランシスコ会、LAB、新約文語略注　　新約聖書一日一章（小宮山）