キリストは再び来られる（再臨）　ペテロ第二3：1

キリストは再び来られる（再臨）　ペテロ第二3：1－13　　　　　　主の2005.1.16礼拝

私が神学生の頃に（１９６０年代）に聴いた話です。創世記に神様が天地を六日間で創造し、七日目を安息の日として休まれことが記されています（創世記１－２章）。黙示録によると、キリストが再臨されると千年王国の時代になると預言されています（黙示録２０章）。ある人の計算によると、キリスト以前の旧約時代が4000年あり、キリスト以後の新約時代が間もなく2000年になる。旧・新約時代を合計すると6000年になる。旧・新約時代が6000年になると、キリストの再臨があって、千年王国が始まる。「主にあっては、一日は千年のようであり、一日は千年のようである」（8節）という御言葉がある。旧約4000年、新約2000年合計6,000年は、天地創造の六日間に相当する。だから紀元2000年を迎えると、キリストの再臨があり、千年王国が到来するであろう、という説です。しかし、それはあくまでも仮説でした。なぜなら、キリストが、「父なる神様が、再臨の日を定めるのであって、その日その時は誰にも分らない」（使徒1:7）と言われているからです。キリストの再臨を待ち望むあまりに、人間的な考えから、キリストの再臨は何月何日であると特定するのは行き過ぎであり、信仰を危うくすることになってしまいます。

本日はペテロ第二3：1－13です。8節に「一日は千年のようであり、千年は一日のようである」とあります。この聖句が、先ほどの6000年の時が満ちて、主の再臨があり、千年王国が到来するという話の出所になっています。しかし「一日は千年、千年は一日」と断定されているのではなく、「一日は千年のようである」と言われています。これは神様の尺度と人間の尺度が違っていることを表しています。キリストの再臨があることは確かであり、その前兆は、例えばマタイ24章でキリストご自身が詳しく告げています。しかし、再臨の時期については言われていません。今朝は、世の終りについて、そしてキリストの再臨についての教えをしっかりと理解し、受けとめ、信仰の道を正しく歩んで行くように決断しましょう。祈って、新しい恵みの一週間を出発して参りましょう。

内　容

1、キリストは、すべての人が救われることを願って再臨を延ばしている。3：1－9

2、キリストは、再臨を待ち望む者に対し、きよく生きるように命じている。3：10－13

資料問題

5節は創世記1：1－2、6－10を見よ。6節の洪水は創世記7：11,8：2を見よ。7節、神はノアの洪水の後、二度と洪水で人間を滅ぼすことをしないと約束された（創世記8：21－22）。偽教師は、世界は天地創造の時から変わっていないという。ペテロはノアの洪水による滅びが実際にあったのだから、また滅びがある。それは水によるものではなく、火による滅びであると言っている。8節は神と人間の時間の尺度がまったく異なっていることを教えている。9節は、人間に悔改めの機会を与えるために、わざと再臨を遅らせていることが言われている。10節、盗人のようにやってくるという例えはイエス・キリストに由来すると考えられる（マタイ24:23参照）。13節、クリスチャンにとって、再臨は創造の新たな始まりである。実はこの新たな創造は、キリストの復活によって既に始まっている（Ⅱコリント5：17）。新しい天と地はイザヤ65：17、66：22、黙示録21：1に出ている。再臨を待つ思いは、主の祈り「御国を来たらせたまえ」（マタイ6：10、また「マラナ・タ「我らの主よ、来たりませ」（Ⅰコリ16：22）というなかに表されている。

1、キリストは、すべての人が救われることを願って再臨を延ばしている。3：1－9

ある人々が遅いと思っているように、主は約束の実行を遅くしておられるのではない。ただ、ひとりも滅びることがなく、すべての者が悔改めに至ることを望み、あなた方に対して長く忍耐しておられるのである。（9節）

ペテロは１節、「愛する者たちよ」と呼びかけています。2章で偽教師の誤りを暴いた後に、3章ではキリストの再臨についての真理を述べようとしています。この大事な再臨の教えを、キリストを信じ、キリストに仕え、迫害の中にあって信仰を保ち続けている人々へ知らせたい、という気持を込めて「愛する者たちよ」と呼びかけています。この言葉は8節、14節、17節にも出てきます。

3節後半より4節に、キリストの再臨を否定する者がいると言われています。偽教師は、「世界は変わらない、天地が創造された時と同じだ」と声高に主張しています。そこでペテロは、ノアの洪水の審きがあったことを思い出させています。ノアの洪水後、今の世界は神様の憐れみによって保たれて来ましたが、5節、やがて火によって最終的に審かれる時がやってくる事を告げています。火は聖なる審判の象徴であると同時に、10節には火による審判の具体的状況が描かれています。キリスト以来2000年の月日が流れ、様々な世界情勢（マタイ24章参照）に照らし合わせてみると、もう終りが来てもおかしくない時になっていますが、その終りの時が先に先に延ばされています。その理由は、8節によれば、神様の時間と人間の時間の尺度が違うこと。9節では神様が人間に悔改めの時間を与えるために、わざと世の終りを遅らせていることが明らかにされています。

9節の御言葉に注目して下さい。この御言葉から教えられることがあります。

第一に、「神はすべての人の救いを願っている」ということです。神はすべての人が救われることを願って、キリストの十字架によって救いの道を開いて下さいました。キリストの十字架を信じるならば、どんな人でも罪を赦され、永遠の天国に入ることができます。キリストが十字架にかかった時に、実際に罪を犯した男がキリストのすぐ横で十字架につけられました。彼は死に際に罪を悔改め、「イエス様、あなたが天国の王座に着く時、私のことを思い出して下さい」と願った時に、キリストは「あなたは、きょう私と共にパラダイス（天国）に行くであろう」と約束され、彼の罪を赦し、永遠の命を与えて天国に導いて下さいました（ルカ23：39－43）。

第二に、「神は忍耐深い」ということです。ペテロは自分の生きている間に、キリストの再臨があると思っていたようですし、パウロもそう信じていたようです。しかし、主は「あの人が救われなければならない。この人も救われてほしい」と言って、「もう少し待とう。もうちょっと辛抱して待っていよう」と言われて、キリストの再臨を先に延ばしています。しかし主の忍耐が終わる時が来ることは確かです。昔、ノアの洪水の起る前、主は審判を宣告して120年間忍耐を持って人々が方舟（はこぶね）に入って救われることを願って待っていました。やがて時が来て洪水の起る直前、主はなお七日間の猶予をもって人々に悔改めを促しましたが、遂に方舟の扉が閉ざされ、大洪水が起り、すべてのものを飲み尽くし、滅ぼし去ったのです（創世記6－7章）。主の憐れみによって、私たちは救われた者であることを感謝し、この救いを伝えて行くことを、祈って決断して下さい。

第三に、「神は愛なり」ということを9節の御言葉は伝えています。神が愛でなければ、とっくに終りが来て、私たちは神の審きを受けている者であったに違いないと思います。神の愛は弱い者、小さい者、障害ある者を切り捨てない愛です。日本の一番大きな問題は北朝鮮による拉致事件です。人さらいをしたのであるから、その人たちを返せというのは当然です。愛する者を奪われた家族の痛み、苦しみを受け入れて行くのが真の愛情です。政府の対応は政治的に難しいということを言い訳にして、被害者家族に対する愛情に欠けているように思われます。横田早紀江さんはクリスチャンです。私たちも拉致解決のために祈って行くべきです。話を戻して、主の愛はすべての人に及ぶ愛です。その徴が十字架です。私は、十字架によってすべてが赦され、新しくされることを信じています。牧会伝道をしていれば、裏切られたり、物事を途中で投げ出されて、その後始末をしたり、いろいろなことがあります。しかし、皆さんの愛と祈りに支えられて、恵みのほうが豊かで、大きくて、いっぱいです。ですから「神は愛なり」ということを疑ったことはありません。

2、キリストは、再臨を待ち望む者に対し、きよく生きるように命じている。3：10－12

このように、これらはみな崩れ落ちていくものであるから、神の日の到来を熱心に待ち望んでいるあなた方は、極力、きよく信心深い行いをしていなければならない。（11－12節前半）

やがて、世の終りの時がやって来ますが、その時のことが10節、12節に描写されています。神の超自然的な力が働いて、実際に天体の異変が起るという、人間では予測できないような大きな出来事が起ることが告げられています。

ところでキリストの再臨のことですが、次のように起ることが聖書に示されています。

最初に空中再臨があります。テサロニケ第一4：16－18をご覧下さい。キリストが先ずクリスチャンを迎えに来ます。具体的には、キリストを信じて死んだ人が主の御許に召されます。その次に生きている私たちが、そのまま引き上げられて主の御許に召されます。17節に「空中で主に会う」とあるので、空中再臨と言われています。すべてのクリスチャンがキリストの御許に召されるので、地上の教会は空っぽになります。もしクリスチャンとノンクリスチャンが一緒に仕事をしていれば、突然クリスチャンの姿が消えて大騒ぎになると思います。今日この礼拝の時に再臨があれば、私たち全員が、雲に包まれ空中に引き上げられて行きます。来週、新しい人が教会に来てみたら、牧師も信徒も誰もいないということでビックリすると思います。クリスチャンがいなくなり、この世はサタンに支配され、七年にわたって大患難時代になりますが、そのことは黙示録に預言されています。

次に地上再臨があります。大患難時代の終りにキリストはエルサレムのオリーブ山に再臨され、サタンは閉じ込められ、キリストは千年の間この世を治めます（千年王国）。千年王国の終りに、サタンが最後の戦いを挑みますが、神によって地獄に投げ込まれ、永遠に苦しむという最終的な審きを受けます。また、クリチヤン以外のすべての人々が神の前に呼び出されて審判を受け、「いのちの書」に名前がない者はサタンのいる地獄に投げ込まれ、永遠の苦しみを受けます（黙示録20章）。

大事なことは、自分自身がキリストの再臨に備えているかどうかという事です。ペテロは、「極力きよく信心深い行いをしていなければならない（きよい生き方をする敬虔な人でなければならないー新改訳）」と勧めています。使徒パウロは、「わたしたちは皆、キリストの審きの座の前にあらわれ、善であれ、悪であれ、自分の行ったことに応じて、それぞれ報いを受けねばならないからである」（Ⅱコリント5：10）と述べています。誰もが神の前に立つ時がやってきます。その時に、真っ先に問われる二つのことがあります。

一つは「心を尽くして神を愛したか」という事を問われるでしょう。聖書を読み祈り、日曜日ごとに礼拝を捧げ、祈り会に励み、具体的神を第一にする生活を通して、神を愛することを実践していたかどうかを問われるでしょう。

二つは「自分を愛するように隣り人を愛したか」ということを問われるでありましょう。友のためにどれほど祈っているでしょうか。苦しんでいる人にどれほど助けの手を差し伸べているでしょうか。今度22日土曜日は上野公園ホームレス伝道です。寒空の下に暮らす人々のために、礼拝を通して心の糧である聖書のメッセージを伝えます。そして皆さんからのおにぎりでお腹を満たしてあげるために、おにぎりの捧げものをお待ちしています。

いつ主の前に立つのかは分りませんが、その時は確実にやってくるという事を忘れないで、キリスト第一をモットーに、教会生活に励んで行くことを決断して祈って行くようにお勧めします。

私が時々読み返す本に、三浦綾子さんの「塩狩峠」という本があります。これは実在したクリスチャン長野政雄さんをモデルにした少説です。明治42年北海道塩狩峠を上って行く客車の一部が機関車から離れてしまった。すると客車は、坂道を下り始めた。ブレーキをかけたが故障でブレーキがきかない。このまま行けばスピードが出すぎて脱線転覆し、乗客の命が危ない。その時に長野さんは下って行く列車の前方に身を投げた。その投げ出した長野さんの体の上に客車が乗り上げ、かろうじて客車がストップして、乗客の命は無事助かります。しかし長野さんは列車に無残に轢かれて死んでしまったのです。私は塩狩峠に行って、そのことを記した記念碑を見て感動を新たにしたことを思い出します。長野さんはそれまでにもクリスチャンとして多くの人々に良き影響を与えていましたが、この命を投げ出して乗客を救った事件を通して、多くの人々がキリストの救いに与ったことが記録として残されています。昨年、長野さんが肌身離さず持っていた新約聖書が親族の家から94年ぶりに発見され、その表紙に血の染みた跡が残っていました。長野さんは年頭には遺書を書き、それを常に持ち歩いていました。遺書は次のような内容です。

1、余は感謝して凡てを神に捧ぐ。

2、余が大罪は、イエス君に贖われたり。諸兄姉よ、余の大罪の大小となく凡てを免（ゆる）されんことを。

3、余は、諸兄姉が余の永眠によりて天父に近づき、感謝の眞義を味ははれんことを祈る。

この遺書を常に携行して、キリストにいつ会ってもよいように、信仰の道を長野さんは歩み続け、天に帰って行かれました。

まとめ

１、9節、世の終りがやって来て、悪が審判されます。神はすべての人がキリスとを信じて救われることを願い、忍耐して、世の終わりを延ばしています。神の愛によって救われたことを感謝し、信仰の道を歩んで行くように祈りましょう。

ましょう。

２、11－12節前半、主の前にいつ立ってもよいように、キリスト中心の信心深い、敬虔な毎日を前進するように祈りましょう。

祈　り

　天地の主である神様、救主イエス・キリストの十字架によって、私たちの罪を赦し、神の子にしていただき感謝を捧げます。不信仰な人々が現れて、世の終りはないとかキリストの再臨はないというような偽の教えで人々を滅びに誘い込んでいます。ノアの洪水で古い世界が滅びたことを思い起し、今度は火によって神の審判があることを厳粛に受け止め、それに備えて生きて参ります。

すべての人が救われる事を願って長く忍耐しておられる主の愛に感謝し、キリストを伝道することによって多くの人々が救いに導かれるようにして下さい。いつイエス様が来ても大丈夫なように、きよく信心深く、敬虔であるように教会生活に励んで行きます。そのために何ものにも勝って神様を愛し、隣り人を愛することを実践して行けるように助けて下さい。

ひとりひとりの祈りの課題に答を与えて下さい。特に病んでいる人を癒して下さい。試練、戦いの中にある方を支えて下さい。

午後のネームレス集会を祝福して下さい。家族、友人の救いを願う方が共に集って祈り、伝道する力を与えて下さい。今週の土曜日、上野公園ホームレス伝道を祝福し、たくさんのおにぎりが捧げられ、また奉仕者を備えて下さい。神の聖霊によって日々に祈りを与えて下さい。私たちの救主イエス・キリストの尊いお名前によってお祈りをいたします、アーメン。

参考文献ペテロ注解―黒崎幸吉、フランシスコ会、米田豊、Life Application Bible Commentary,

文語新約聖書略注、「新キリスト教ガイドブック・教会新報社」、「塩狩峠・三浦綾子・新潮文庫」