クリスチャンは、イエス・キリストを信じ、絶えず成長する　第二ペテロ3：15-18

クリスチャンは、イエス・キリストを信じ、絶えず成長する　第二ペテロ3：14―18　主の2005.1.23礼拝

会堂が建築された時、教会の土地・建物は県庁に届ける必要がありました。費用節約のため、自分で続きをしようと県庁へ出かけましたが、何の予備知識もないままに行ったので、書類の書き方など知らないことばかりでした。そこで第一回目の手続きは司法書士に頼みました。二回目は見よう見まねで、自分で手続きをし、三回目は土地家屋調査士に頼みました。この経験で知ったことは、専門知識をもつ必要性ということです。司法書士は「宗教法人に関する届けですね」と、いともたやすく書類を作成し、それに対し所定の料金を支払いました。複雑で間違いが許されない法律的な手続きのために、司法書士は専門知識を学んで、それを生かして仕事をしています。

専門的な知識ということですが、私たちは普通の人が持っていない霊的専門知識を得ています。それはイエス・キリスに関する知識です。専門家は、大学を出て、試験をパスして資格を得ます。イエス・キリストに関する知識、特にキリストを信じてクリスチャンになるのに、試験はありません。キリストを信じるのに必要な事はたった一つだけです。それは「悔改め」です。悔改めには「方向転換」という意味があります。キリストに背を向けていた人が、キリストの方に顔を向けて、「私の罪を赦して下さい」と祈って、キリスとを自分の心の中に迎え入れることが悔い改めです。キリストを信じ、心に迎えるために、家柄、才能、男女の別、年齢の上下、地位、権力、貧富の差などは関係ありません。ただ自分の罪を認めて、心をキリストに向け、キリストを心にお迎えすればよいのです。

本日はペテロ第二の手紙3章14－18節で、この手紙の最後の部分です。ペテロは手紙を閉じるにあたり、「私たちの主また救主イエス・キリストの恵みと知識とにおいて、ますます豊かになりなさい（成長しなさい）」と訴えています（18節）。この手紙の始めでは、「いのちと信心にかかわるすべてのことは、主イエスの神聖な力によって、私たちに与えられている」（1：3）と言われています。様々な異端がはびこる中にあって、ペテロは＜キリストを求め、キリストを深く知り、キリストの恵みに満たされて行くこと＞-が、信仰生活を貫くための唯一の秘訣であることを私たちに訴えています。

内容

1、クリスチャンは、キリストの救いを信じ、聖書に従う生活をする者である。3：14－16

2、クリスチャンは、キリストを切に求め、成長して行く者である。3：17－18

資料問題

14節「それだから（そういうわけで）」、前節までの再臨は必ずあることを受けている。また、この手紙全体の結末を述べようとしているとも受け取れる。「主の寛容（忍耐）は救いのため」、主の再臨が延びているのは9節の通りであることを忘れてはならない。15－16節、パウロの手紙についての言及。当時すでにパウロの手紙が回覧されていたことが分る。パウロの手紙に対する間違った解釈の例として考えられる事：クリスチャンの自由が誤解されて放縦の理由とされた（ガラテヤ5：13）、信仰義認が、行いはたいして重要ではないとする理由に使われた）（ヤコブ2：14－26）。18節前半は用語の点で1：2とほとんど同じで、手紙全体の基調をなしている。「・・・ますます豊かになりなさい」は「成長せよ」「発育せよ」の意。新改訳、新共同訳は「成長しなさい」と訳している。

1、クリスチャンは、キリストを信じ、聖書に従う生活をする者である。3：14－16

また、私たちの主の寛容は救いのためであると思いなさい。このことは、私たちの愛する兄弟パウロが、彼に与えられた智恵によって、あなた方に書き送ったとおりである。（15節）

ペテロは手紙を閉じようとして、14節「それだから（そういうわけで）」と、今まで述べてきたことの結論を記そうとしています。偽教師が現れ、間違った不信仰な教えを教えている。その大きな間違いは、世の終りはないし、キリストの再臨もないという異端の教えであることを指摘し、キリストの再臨は必ずあることを伝えています。本当は今すぐにでも再臨があってもよいのですが、9節に教えられているように、神様は全ての人が悔改めて、キリストを信じ救われることを願って、世の終りを延ばしておられます。15節では、「主の寛容（忍耐）は救いのためである」と言われています。今この時が、「見よ、今は恵みの時、見よ、今は救いの日」（Ⅱコリ6：2）といわれる恵みの時です。この恵みの時期が終わらぬうちに、思いを新たにして家族、友人の救いのために祈りましょう。

15後半－16節ではパウロの手紙について言及されています。ペテロの手紙が記されたのは紀元60年代後半です。キリストが天に帰られてから既に約30年以上が経過していますが、各地に教会が建てられています。その頃は、聖書は旧約聖書だけがまとまっていて、新約聖書はまだまとまった形にはなっていませんでした。そこでキリストの使徒たちの手紙が回覧されていました。特にパウロの手紙は多くの教会で回読され、恵みを与えていました。ペテロは、パウロに敬意を示しつつ、パウロの手紙の内容を誤解して受け取っている人に注意を促しています。

ここで聖書の読み方について幾つかの点を述べておきます。

第一に、とにかく読むことです。読むためには、一日一回は聖書を開くことが大切です。開いて読むことが祝福となります。例えば教会聖書日課で読んでいる人は、一日旧約1章、新約1章を読んでいます。何かの都合で読めない日があったりするでしょう。その時は読めなかった前の日の分は神様にお詫びして、きょうの分を読んで下さい。溜めないで読み進んで下さい。

第二に、キリスト中心に読むことです。聖書全体はキリストの救いの恵みを伝えるために記されています。初めて聖書を読む場合には、キリストについて直接に記している新約聖書から読むほうが理解しやすく、信仰が強められます。

第三に、自分の考えと行動、生活の物差しとして、聖書を自分に当てはめて行くことが肝心です。他人に聖書の御言葉を当てはめて、審いたりする人がいますが、それは間違いです。あくまでも自分に当てはめて、聖書の御言葉を実践することが恵みになります。例えば、「絶えず祈れ」（Ⅰテサ5：17）とあるので、祈ろうと思った。どのようにして祈るのかについて。キリストは、「何事でもわたしの名によってて願うならば、わたしはそれを叶えてあげよう」（ヨハネ14：14）と言われた。ではイエス様のお名前によって祈ろうという事になります。このようにして聖書の御言葉を一つ一つ自分に当てはめながら実践して行くことが肝心なことであり、信仰の急所です。

クリスチャンは聖書を読んで、それに従って生活をします。聖書を読まないと信仰は成長しません。体を維持するためには毎日ご飯を食べます。これは言われなくても、ほとんど自動的に食べます。もし食欲がなければ「調子が悪いのかなー」と心配します。聖書は心のご飯だと言われます。だから言われなくても食べなければ、すなわち読まなければなりません。聖書を読まないことは霊的不調のサインです。聖書を読むコツですが、「読書百遍意自ら通ず」という事がいわれますが、聖書は繰り返し読むことによって意味が分ってきます。また毎週メッセージを聴くことによって、その意味が深く、よく分ってきます。サタンは聖書を読まないように仕向けてきます。「きょうは忙しいから明日読みなさい」。明日になれば、また忙しいことが起きてきます。読むのはきょうです。メッセージを聴くのは今です。

昨日上野公園ホームレス伝道に行って来ました。午後１時すぎに上野公園に着いたのですが、冷たい風の中で既に300名の人が地べたに座って礼拝を待っていました。主を讃美し、祈り、聖書のメッセージが語られ、多くの人がキリストを求め信じる決意をして手を上げました。東京だけで何万人というホームレスの人々がいます。それなのに300人から500人ぐらいの人々に伝えても空しいのではないかという人もいます。インドで貧しい人を助けたマザーテレサも、「インドには何百万人ものホームレスがいる。もっと政府の力で大規模にやるべきだ」と批判されました。その時、彼女は「大海の水も最初は一滴の水から始まりました。大事なことは目の前にいる人を助けることです。それがやがて大きな全体的な働きの実として現れてきます」と答えています。そのとおりになり、その働きは彼女が召されてからも拡大し続けています。上野の働きが、やがて全ホームレスの救いにつながる事を信じ、昨日も祈りに支えられて奉仕できたことを感謝します。

話を戻して、神の御言葉である聖書を読み、祈り、霊的力を養って行くならば、神の御言葉によって力を得、苦境を脱する底力が湧いてきます。大手の会社に勤めている人が30歳代に洗礼を受け、企業の中にあって昇進し、部長になった。ある時、急速に景気が傾き、あの会社は危ないと言われ、その人が対外的な交渉一切を任された。マスコミからは叩かれ、会社の上層部からは何とかしろと言われる。身も心疲れ果ててしまった。その時、ふっと「夕暮れになっても光があるからである」（ゼカリヤ14：5）の御言葉が心に浮かんだ。普通は夕暮れになれば暗くなる。しかし聖書は逆だ。暗くなればなるほど、苦労が多ければ多いほど、混乱が続けば続くほど、その前途には希望があるということを告げている。主がそう言われるのだ。主に縋ろう。そう思ったら、全ての気苦労が吹っ飛び、不眠症から解放された。その後、会社は危機を脱して、自分の責務を果すことが出来たのです。

私自身も「夕暮れになっても光があるからである」という御言葉によって、難しい、時には嫌な、様々な牧会上の事柄を何回も乗り越えてくることが出来ました。今、もし暗い闇の中にいるような問題、病気、課題を抱えている人がいるなら、それはやがて光が差し込み、主の恵みが始まる時です。「わたしは世の光である。わたしに従ってくる者は闇のうちを歩くことがなく、いのちの光を持つであろう」（ヨハネ8：12）と言われるキリストに縋って祈りましょう。祈りの中から新しい恵みが与えられて行きます。

2、クリスチャンは、キリストを切に求め、成長して行く者である。3：17－18

そして、わたしたちの主また救主イエス・キリストの恵みと知識とにおいて、ますます豊かになりなさい。栄光が、今も、また永遠の日に至るまでも、主にあるように、アーメン。（18節）

17節で「あなた方自身の確信を失うことのないように注意しなさい」と言われています。心が常にキリストに向かっていないと、サタンは様々な策略を弄し、私たちを誘惑しようと狙っています。

サタンの策略に、キリスト教を名乗る異端があります。日本では、モルモン教（末日聖徒イエス・キリスト教会）、エホバの証人、統一協会があります。その特徴は聖書の一部を使いますが、神の御言葉とは信じていません。聖書の代わりに自分達の教えの本を持っています。モルモン教はモルモン経典（モルモン教の会堂を見れば細長い避雷針のような棒が立っています）、エホバの証人は新世界訳という聖書で十字架のことを杭と訳しています。世界統一教会は原理講論という本があり、文鮮明が救主になっています。彼らはキリストを救主として信じていません。キリストを告白しない霊は悪霊であり、偽キリストです（Ⅰヨハネ4章）。

18節の御言葉は大事な勧めです。ペテロはクリスチャンに対し、1：4で「神の性質にあずかる者となる」ように成長しなさいと教えています。神のことを表したイエ・キリストのように、愛において、祈りにおいて、あらゆる面で霊的に成長して行きなさい、という意味です。キリストは父なる神様に祈りながら進んで行きました。キリストが父なる神様に縋って行ったように、私たちは何があってもまず主に縋るという信仰に立つことです。何でも人に依存する霊的な子どもではなく、何でも先ず主に祈る、主に縋るという信仰姿勢が大切です。そのためにキリストの恵みを日々に感謝して行くことを忘れないで下さい。

ここでキリストの恵みを幾つか数えてみましょう。

キリストは私たちを闇から光に移して下さいました。罪に沈んで地獄に滅んで行く闇の世界から、キリストの十字架により罪を赦され、光と栄光の永遠の天国へと導いて下さることを感謝します。

罪の奴隷から、キリストの自由の中に移されました。キリストの十字架によって罪の力から解放され、キリストにある自由を与えられています。昨日上野ホームレス伝道に行ったことを話しました。今、上野ホームレス伝道の働きのために献金し、奉仕している方々の中に、元ホームレスの方々がいます。彼らを変えたのはキリストの救いであり、彼らが喜んで主に仕え、人に仕えている姿を見る時にイエス様の救いの力の偉大さに心を打たれます。

サタンの支配から、キリストの支配に移されました。サタンに支配されていた時は呟き、批判、悪口が飛び出していました。今はキリストによって讃美が歌える、聖霊によって祈りがある、人を高め、人のために祈る者に変えられています。

改めて皆さんに勧めます。2005年恵まれたクリスチャンとして日々を喜びながら進んで行くように祈って下さい。ペテロは、「栄光が主にあるように」と手紙を結んでいます。2005年、「この奥義は、あなた方のうちにいますキリストであり、栄光の望みである」（コロ1：27）という御言葉をいただいています。キリストが私たちのうちに住まわれ、私たちを導いておられます。ペテロは、主イエス・キリストに栄光があるようにと祈っています。キリストの栄光が讃えられるということは、キリストを心に宿している私たちが恵まれて生きるということです。家族が、友人が救われて行くことを願い、教会がさらに多くの人々であふれるように祈って下さい。そのためには、人を集めるために躍起になる教会ではなく、教会に人々が駆け集ってくるような群れであることを祈っています。私たち一人ひとりが輝いて生きて参りましょう。クリスチャンになって生きることは楽しいことだ、喜びだということを身をもって表して行きましょう。そのように輝いて生きるためには、御言葉を通してキリストを真剣に求めて行くことが必要です。日曜礼拝に加えて、水曜祈り会、また早天祈祷会に出席して、キリストの恵みを深く学んで行くことを決断して下さい。またファミリーでキリストを中心にして祈り合って行きましょう。

まとめ

1、15節、キリストを信じる恵みを与えられている者は、聖書の御言葉に従います。毎日聖書を読み、祈りましょう。緊急の時、危機の時に御言葉によって信仰の力を得て行くことができます。

2、18節、キリスとを求めましょう。もっともっとキリストの恵みを讃美しましょう。祈りましょう。「イエス様を信じると毎日が楽しい」ということを、この身をもって表して行くように祈って、前進しましょう。

祈　り

天地の主である神様、独り子イエス・キリストの十字架によって救われていることを感謝します。イエス様を信じて進むために、日々聖書を読むように導いて下さい。神の御言葉である聖書に全面的に従うように、恵み深い神の聖霊によって導いて下さい。一人ひとりがキリストの恵みに満たされ、霊的に成長し、教会全体がキリストの栄光を表す群れでありますように導いて下さい。世界に大きな災害が起こり、争いは絶えずあり、偽キリストが出没し、世の終りが近づいていることを思います。心を引き締めてキリストに従う日々を、今週も前進させて下さい。主よ、病気の方を速やかに癒し、戦い・試練の中にある方を励まし、勝利に導いて下さい。主よ、私たちの家族を救って下さい。我らの

救主、主であるイエス・キリストの御名によって祈ります、アーメン。

参考文献ペテロ注解―黒崎、フランシスコ会、バークレー、LAB新約注解、文語新約略注。