光の子らしく歩きなさい　エペソ5：8

光の子らしく歩きなさい　Live as children of light. 　　エペソ5：8　　　　　主の2005.3.13礼拝

前に話したことがありますが、４５年程前に教会のユースグループで秩父の三峰山に登った帰り、標識が誤った方向を示していたので、迷ってしまいました。明るいうちに帰る予定でしたので、懐中電灯の用意がなく、真っ暗な山道を互いに声を掛け合い、聖歌を歌いながら下って行きました。その時に、麓近くから一筋の光が暗闇を突き破って、目の中に飛び込んで来ました。そばに近づいて分ったのですが、その光は、小屋に吊るされていた60ワットほどの裸電球の光でした。その小さな光が何百メートルもの暗闇を突き破って、私たちを導いてくれたのですが、暗闇を貫く光の偉大な力を忘れることが出来ません。ある国の市場は、周りを囲ってあるだけの窓のない薄暗い店の中に荷物が置かれています。それで、例えば布を買う時には、品物を外に持ち出し、太陽にかざして見ます。光をあてる事によって、薄暗い店の中では分らなかった破れとか汚れを見つけることが出来ます。光にはすべてものものを明らかにする力があります・

本日はエペソ5：8「光の子らしく歩きなさい」という御言葉です。暗い罪の世の中にあって、私たちを導くのは、世の光であるイエス・キリストです。闇であった私たちの心の中に、光であるキリストが入ってきて下さいました。暗い闇の山道を貫いて届いた光は小さな裸電球でしたが、光にはどんな闇をも貫く力があります。闇である私たちの中にキリストは光となって入ってこられて、全ての罪の闇を滅ぼし、追い出して下さいました。キリストを信じて、今や、私たちは光の子どもです。光は明るさ、喜び、希望をもたらします。キリストを信じて光の子となった私たちクリスチャンの特徴は明るさです。心の中から喜びが湧いてきます。何があっても、主が私たちと共におられて、万事を益として下さる希望を持って生きています。今朝、新しい気持をもって、「光の子らしく歩きなさい」という御言葉に耳を傾け、祈って新しい一週間の旅路を前進して参りましょう。

内容

1、キリストは、私たちの人生を闇から光に変えて下さる愛と力の救主である。

2、キリストは、私たちの人生に祈りと讃美を与えて下さる恵みの主である。

資料問題

エペソ書は使徒パウロがローマの獄中で記したもの（紀元62）。彼はキリストを信じて以来、世界を駆け巡って伝道し、各地に教会を設立した伝道者である。彼はユダヤ人としてラビとしての教育を受け、旧約聖書に精通していた。多忙な伝道生活の中にあって、彼は１３通の書簡によって、各地に設立した教会を励まし、問題解決の指針を示し、キリスト再臨の備えをするように訴えている。

エペソ書は、彼の晩年の円熟期に「教会論」としてのまとまりをもって記されたものである。本日の節は、８－１４節にキリストに結ばれたクリスチャンの生活を「光」、「光の子として歩むこと」として述べている。キリストを信じない者は「闇」であり、「闇の中にいる」者であると述べている。救いに関連して使われる光と闇について、旧約聖書ではイザヤ９:1、26：19、60：1にある。新約聖書ではルカ1：79、ヨハネ9：5、12：35－36、ローマ13：2、Ⅱコリント6：14、コロサイ1：13、Ⅰテサロニケ5：4－8、ヘブル6：4,10：32、ヤコブ1：17、Ⅰペテロ2：9、Ⅰヨハネ1：5－7。

1、キリストは、私たちの人生を闇から光に変えて下さる愛と力の救主である。

「光の子らしく歩きなさい」・・・この御言葉の前には「あなた方は、以前は闇であったが、今は主にあって光となっている」と言われています。闇の中にいたとか、闇の中をさ迷っていたというのではなく、神とその独り子である救主イエス・キリストを信じない者は闇であったと言われています。闇そのものですから、その考え、行動は全て暗いものでした。5：5に「偶像を礼拝する者」と言われていますが、神に背を向け、キリストの十字架を信じない者の心は偶像に支配され、その考えるところは自己中心で傲慢なものです。アメリカのある牧師が、この世にいる人々の十戒を次のように作っています（佐藤順「御翼」より）。

1、良い一日を過ごしなさい。Have a good　ｄａｙ.

2、買い物をしなさい。Ｓｈｏｐ.

3、苦痛を取り除きなさい。Ｅｌｉｍｉｎａｔｅ　ｐａｉｎ.

4、流行に乗り遅れてはならない。Ｂｅ　ｕｐ－ｔｏ－ｄａｔｅ.

5、リラックスしなければならない。Ｒｅｌａｘ.

6、自己主張をする。Ｅｘｐｒｅｓｓ　ｙｏｕｒｓｅｌｆ.

7、幸せな家庭をつくる。Ｈａｖｅ　ａ　ｈａｐｐｙ　ｆａｍｉｌｙ.

8、人を愉快にさせる。Ｂｅ　ｅｎｔｅｒｔａｉｎｉｎｇ.

9、愉快な思いになる。Ｂｅ　ｅｎｔｅｒｔａｉｎｅｄ.

１０、愉快を買う。Ｂｕｙ　ｅｎｔａｅｒｔａｉｎｍｅｎｔ.

そして11番目として、自分の気持に正直になる。Ｇｅｔ　ｔｏｕｃｈ　ｗｉｔｈ　ｙｏｕｒ　ｆｅｅｌｉｎｇｓ.

この教えのように、自分の気持の求めるものに従って行動しても、人は幸せになることは出来ないでしょう。何故なら自分の気持は絶えず揺れ動き、安定がなく、その結果は不安です。だが、闇の状態の中にいる者は、この11の教えのように生きています。私たちも以前は自己中心で、自分の気持に従って生きることが最善であると思っていました。しかし聖書を読み、キリストの光に照らされて、私たちは偶像礼拝の罪を指摘され、悔改めて、キリストの十字架を信じ、心が生まれ変わって新しい人生に歩みだす者になりました。今は、私たちは心の中にキリストを宿し、キリストは私たちの心の中から、内から支えて下さっています。

比嘉さんという女性の方がおられます。福祉教育コーデイネーターとして働いていますが、全盲の方です。少女時代、友達は遊び半分に畑のキュウリを盗んで食べていた。しかし、教会で「悪い事をしたら、親は知らなくても神様は知っている」と言われたことが心に残っていて、盗みには加わらなかった。しかし、１１歳の時に自分だけが目が見えなくなった（網膜色素変性症）。「どうして盗まなかった私だけが目が見えなくなるのか。神様はおかしいのじゃないか」・・・盲学校に通い、点字を習い、独りで歩く訓錬をしながら、見る事ができない現実を受け入れるのは難しかった。不公平な世の中で、神の存在を否定し、自分の力で生きようと決心した。努力が実って、２２歳の時に障害者技能競技大会で電話交換手の部で労働大臣賞を受賞した。しかし賞を受けても幸せを感じることが出来ず、ショックであった。神を否定して生きてきたが、「人にはどうにもならないことがある。そして、人を超えた力がある」と肌で感じ取り、教会に足を向けた。しかし教会に通い始めても「苦しみ」は去らなかった。２５歳の時に、突然、婚約を破棄された。「なぜ？どうして？神様はどうしてこんなひどいことをいっぱいするのか」。神に対して文句を言い、尋ねた。答がなければ自殺をしようと決めた。「その時、聖書を読めと神様が言われたんです」。どこを読んでいいか分からなかったが、点字聖書は分冊になっている、その一冊を抜き出して読んだ。「試練を耐え忍ぶ人は幸いである。それを忍びとおしたなら、神を愛する者たちに約束されたいのちの冠を受けるであろう」（ヤコブ1：12）という御言葉を読んで、今までの試練は「これからいのちの冠を受けるためだったのだ」と悟ることができた。今まで教会に通いながらも、隠れキリシタンのように、友人に教会に通っていることを隠していた自分を悔改め、祈った。目を開けると、「天上から、青白い光が私をパッと包んだのです。神様が祝福して下さることが分かった」。その日のうちに牧師の所へ行き、一週間後に洗礼を受けた。この方は肉体の目を閉ざされていた。そして心もキリストに対して閉ざされていた。しかし、悔改めた時に、見えない目に神の青白い光が自分を包むのを見た。同時に心の目が開かれ、キリストを信じ、洗礼を受け、社会の第一線に立って活躍しています。その人生は闇から光へ、絶望から希望へ、不信仰から信仰へと見事に変えられて行きました。

キリストが私たちの人生を明るく導きます。キリストを信じて光の子どもになっている事を感謝し、「恵みの日々を前進させて下さい」と祈りましょう。

2、キリストは、私たちの人生に祈りと讃美を与えて下さる恵みの主である。

「光の子らしく歩きなさい」・・・キリストを信じて、私たちの人生は大きく変化しました。あるいは、全く別の世界に転換され、移動したと言ったほうがよいかも知れません。使徒ペテロの表現によれば、「暗闇から驚くべきみ光に招きいれられた」ということです（Ⅰペテロ2：9）。聖書朗読の箇所、イザヤ書では「見よ、暗きは地をおおい、闇はもろもろの民をおおう。しかし、あなたの上には主が朝日のごとくにのぼられ、主の栄光があなたの上にあらわれる」（60：2）と言われていました。どんなに夜が暗く、長くても、必ず朝日は昇ってきます。朝日がすべての夜の闇を打ち払うように、世の光であるキリストは私たちの心の闇を打ち払い、人生を明るく、照らし導いて下さる栄光のお方です。キリストを信じて、闇から光へ転換し、移動を与えられたのですが、どのような恵みを与えられているのでしょうか・・・。パウロは別の箇所で、「神は、わたしたち闇の力から救い出して、その愛する御子の支配下に移して下さった。わたしたちは、この御子によって贖い、すなわち、罪の赦しを受けているのである」（コロサイ1：13－14）という恵みであると告げています。具体的に三つのことが挙げられます。

第一に、「闇から光への転換であり、移動です」。私たちは罪に支配され、サタンに操られていた闇の子でした。70年か80年の人生を生きて、最後に死んで、永遠の地獄の中に進んで行く者でした。キリストは私たちを罪から救うために、十字架の上に命を捧げて、私たちの罪を背負い、また罪の罰である死を引き受けて下さったまことの救主です。私たちはキリストを信じて、滅びではなく、心を闇にしていた罪を赦され、永遠の命を受け、天国に行く者になったのです。これが闇から光への転換であり、移動です。

第二に、「奴隷から自由な者への転換であり、移動です」。私たちは、以前は罪の奴隷でした。しかし今やキリストにある自由を与えられています。罪は私たちを滅びへと追いやります。先日、４０歳の国会議員が酒を飲んで、東京の路上で女性の体に触り、逮捕され、その結果議員を辞職するということがニュースで報じられていました。折角築き上げてきた人生を台無しにしてしまったのです。上る時は多くの努力がいりますが、落ちる時は一瞬です、私たちはキリストの十字架の赦しによって守られていることを感謝し、今日という日、この一瞬一瞬を大事して、しっかりキリストに縋って行くように祈って行きましょう。

第三に、「サタンの支配から神の支配への転換であり、移動です」。サタンが与えるのは破滅です。サタンに支配されていると、悪口、意地悪、人を批判する、人の足を引っ張るなど人を蹴落とすことばかりです。キリストを信じて、私たちは人のために祈る者に変えられました。神は愛です。キリストを信じて神の子になり、聖霊によって神の愛が心に注がれ、私たちは人のために祈ることが出来るように変えられたのです。憎む者から、人の祝福のために祈る者になるという大転換です。

5：15に「今は悪い時代である」と言われています。誘惑を退け、信仰一筋に生活するために、「悪い時代に巻き込まれる愚かな者にならないで、賢く歩みなさい」（１５節）と言われています。

さらに続いて5：18－21を見て行きます。そこに光の子として歩む者に大事な勧めがあります。

まず、光の子として生きる者に、「酒に酔わないように」という注意があります。何故なら、「酒は乱行のもとである」からです。酒には、先程の国会議員のような失敗をさせる魔力があります。酒に限らずギャンブル、ポルノなど様々な誘惑があります。そうしたものに打ち勝って、光の子らしく歩むために御霊に満たされなさい、という積極的な勧めがあります。御霊とは神のきよい聖霊です。

光の子どもである私たちは、聖霊によって祈りを与えられています。祈りとは、何か分からないものに向かってお賽銭を投げて願い事を言うものではありません。また決められたもの、例えば南無妙法蓮華経という言葉を何百回も繰り返してご利益を求めるものでもありません。祈りとは、自分の願いや欲望をかなえるためではありません。私たちクリスチャンは、聖霊の助けをいただいて、イエス・キリストの御名によって祈ります。心を神に向けて、イエス・キリストの御名によって祈りましょう。どんな事でも祈りましょう。神の御霊が私たちを常に正しい祈りを与えてくれます。

光の子どもである私たちは、聖霊によって讃美を与えられています。詩とは詩篇を指していると言われています。さんびとはクリスチャンの作った歌で、賛美歌、聖歌のように神、キリスト、聖霊を讃える歌です。霊の歌があります。歌は広く一般の歌謡を指し、それが霊的にとありますので、キリストを讃える歌として歌われているのです。あらゆるものをもって主を讃美することが恵みにつながります。

光の子どもとして、キリストに従って行く時に、私たちの人生は恵みに変わります。ストーミーという方の証が出版されています。アメリカでテレビ、レコードで芸能人として成功していたが、生活は荒んでいた。精神的に異常であった母親に「お前は醜い、愚かだ。価値ある人間になれない」と虐待されて育った。彼女の心は飢え渇き、学生時代から男性や麻薬に幸せを求めていた。彼女は死にたいと思っていたが、クリスチャンの歌手によって牧師と話をすることができた。「キリストを信じれば、過去は赦され、新しく生まれ変わり、安心が与えられます」と聴き、「イエス様、あなたを神の御子であると信じます。罪人であることを告白します。私の人生に入ってきて、聖なる御霊で満たして下さい。私の人生から死を追い出し、この日を人生の新たな始まりにして下さい」と祈った。次の週から教会に出席した。受付の女性が明るく迎えてくれたが、彼女はその女性を観察した。そして、その笑顔が本物で、純粋であると分かった。教会全体に愛があることが感じられた。「ここに命がある。本物だ」と確信した。以前オカルト宗教に行った時には怖れがあったが、教会には愛がある。彼女は思い出す限りの罪を告白し、赦しと解放を与えられ、自分を虐待した母を赦すと神様に告白した。彼女は酒やタバコをやめ、それらのコマーシャル出演も断り、事務所をクビになる。しかし、神の愛を証しするために歌うように道が開かれます。オレゴン州の女子刑務所へ行った時、受刑者達は集まってきたが、ふてくされていた。講演をやめたいと思うが、祈って立つ。彼女は受刑者を見ながら、子どもの時の虐待、麻薬をやっていた事、二度の妊娠中絶、自殺未遂、完全に自分の人生が粉々になってしまったと思った時に、主イエス様に出会った。主は全てを回復し、全てを癒すお方だ。彼女は歌った・・・「かけら、かけら、たくさんの私の人生のかけら。周りじゅうに飛び散って、あるものは失われ、もう自分では二度と元に戻せない・・・・イエスが近づいて来られるのを見た。私に手をおいて主は言った・・・かけら、かけら、あなたの人生のかけらの全部を集めました。わたしには一つにできる、もう決してバラバラにならないように。決してほかの誰にもできないことが」。歌い終わると、全員が泣いていた。それからの三日間で、半数の受刑者がキリストを信じた。彼女は教会で知りあったクリちゃん男性と再婚し、三人のこどもに恵まれています。

まとめ　光の子らしく歩きなさい。暗誦して下さい。

1、キリストは、私たちの人生を闇から光に変えて下さる愛の救主です。キリストを信じて光のこどもになっていることを感謝し、光の子して歩み続けるように祈って行きましょう。

2、キリストは、私たちの人生に祈りと讃美とを与えて下さいます。祈りと讃美の中に、キリストは私たちの人生を恵み豊かなものにし。て下さいます。あなたの求め、願うことを主イエス・キリストの御名によって祈って行きましょう。

祈　り

天地の主である神様、救主イエス・キリストによって、私たちを闇から光に転換させ、地獄という永遠の滅びから、天国という永遠の祝福の世界に移動させて下さったことを感謝します。そのためにイエス・キリストの十字架の救いがあったことを感謝します。「光の子らしく歩みなさい」という勧めに従い、今週もイエス様に従う道を前進させて下さい。それぞれのファミリーの集まりを祝福して下さい。病気の方々に速やかなる癒しを与え、戦いの中にある方々に勝利を与えて下さい。キリストを喜び、キリストを伝える教会として、祈りと讃美に満ちる教会として成長させて下さい。私たちを闇から光に変えて下さった救主イエス・キリストの御名によって祈ります、アーメン。

参考文献エペソ注解―フランシスコ会、黒崎、バークレー、LAB.　「生きることに疲れたあなたへ・マナブックス」、「ストーミー　赦し、そして愛へ・ストーミー著・ことば社」