「わたしはよみがえりであり、命である

わたしはよみがえりであり、命である。 ヨハネ11：25－26 　　　主の2005.4.3礼拝

先週は、主の復活を喜び祝う、復活祭の聖日であったことを感謝します。私事になりますが、私が主の復活を鮮烈に意識したのは、高校時代に、英語の学びのために雑紙を読んだ時です。何気なく開いた箇所に、「もしキリストがよみがえらなかったとしたら、わたしたちの宣教はむなしく、あなたがたの信仰もまたむなしい」（Ⅰコリント15：14）という御言葉がが記されていました。それに続く解説の中で、キリスト教信仰の根本は十字架であり、その後に起きたキリストの復活にあるということが力説されていましが、読みながら、「むなしい。Empty」という言葉が心に残りました。その記事を読んで直感的に思った事は、キリストが死んで終わりだったら、他の宗教の教祖と同じくキリストもふつうの人間であるにすぎない。だがキリストは死を討ち破って生きておられる神の子だ。キリストの復活がなければ信じていること全てがむなしい。Emptyなのだ。キリストが生きているから、パウロをはじめとするクリスチャン達は命懸けで全生涯を捧げて、キリストの福音を伝道して多くの人々が救われた。生きているキリストを伝道する働きはたゆみなく進められている。そんな事を思いつつ、私は単純に、心からキリストは生きておられるという恵みに感謝しました。それ以来、ここに至るまで生きているキリストによって、信仰を導かれ、数々の恵みをいただいていることを感謝します。

本日のヨハネ11：25－26の御言葉は、キリスト自らが言われたものです。とても大切な御言葉ですから、そのまま憶えて下さい。この御言葉の意味は、「わたしは死人を復活させ、また、死んだ人にもう一度命を与えて、生き返らせることのできる者です。わたしを信じる人はたとい死んでも、再び生きることができます。また、わたしを信じる人々は永遠の救いに入れますから、決して滅びることはありません」ということです（現代訳参照）。ご一緒に、主のメッセージを心の中にしっかりと受け止め、祈って新しい一週間の旅路を出発して参りましょう。

内　容

1，キリストは、復活によって十字架の救いを確実にされた救主である。

2，キリストは、復活によって私たちと共にいて、生きる力を与えて下さる救主である。

資料問題

ヨハネ福音書は紀元90年ごろ、御霊の導きによって使徒ヨハネが記したもの。マタイ、マルコ、ルカ（共観福音書）とは異なる視点からキリストの生涯を記している。例えばキリストの先在（1：1初めにことば（キリスト）があった）、聖書のハートといわれる3：16，十字架の前に弟子の足を洗い、決別遺訓を伝え、大祭司の祈りを捧げるキリストの姿（１3－１7章）などである。11：25、キリストが死者を復活させる力をもち、永遠の命の源であることを示している。11：26、キリストを信じる者は死んでも自然的命を失うだけであって、霊的には永遠に生き続けることを示している。

キリストは、十字架で死んだが、死から甦って、ご自分の御言葉を自ら証明された。すなわち、金曜日に十字架上で死に、葬られ、日曜日の日に甦った。これが福音の最も大切な中心メッセージである（Ⅰコリント151－11）。

1，キリストは、復活によって十字架の救いを確実にされた救主である。

世の中には様々な宗教がります。大抵の宗教は、教祖の教えを従い、善を行うことに励み、それによって安心が得られ、また御利益が得られると言います。では死後のことはどうなるのかという点については、大抵の宗教は沈黙しています。中には輪廻転生を説き、死後は今とは違うなにかに生まれ変わるという教えもあります。そこで悪い業（ごう、カルマ）と言われる因縁を断ち切って、良い者に生まれ変わるようにという願いを込めて、お金を捧げたり、川で身を洗い清めたりします。

では聖書は何と告げているのでしょうか。聖書の教えの中心はイエス・キリストです。キリストの教えは至って単純です。

キリストは、「すべて重荷を負うて苦労している者はわたしの許に来なさい。あなた方を休ませてあげよう」（マタイ11：28）と、私たちひとり一人を招いておられます。生きている限り、人生には様々な重荷があることは事実です。重荷と言えば、病気という重荷があります。私は先週後半、頭がキリキリと痛み、金曜日は午後から寝込んでしまい、金曜日に完成予定のメッセージ準備が出来ずにいました。しかし昨日皆さまの祈りに支えられて起き上がることができて、メッセージを備え、今朝こうして講壇に立つことが出来て感謝でいっぱいです。今年は花粉の量が多く、花粉症で苦しんでいる人が大勢います。重荷に経済的な重荷があります。例えば大学や大学院を出ても思うように仕事が見つかりません。仕事をしたいのに仕事がなく、経済的な悩みを抱えている人が多くいます。重荷に心の孤独、さびしさという重荷があります。社会全体が忙しく、人と向き合って話をする時間がなく、メールでやりとりをする。用事は足りても、顔と顔とを合わせて語り合うという温もりが失われています。それがストレスになり、心が満たされない状態になります。そうした風潮の中で、いわゆる鬱病というものが蔓延しています。最近は子供の鬱病が心配されています。また人間に飼われているペットも鬱病になっているということです。ですから教会に集って、共に歌い、メッセージを聴いて主に祈り、またお互いに祈り合って行くことは大きな祝福です。聖霊に導かれて讃美を大いに歌い、祈り、主にストレスを追い出していただきましょう。また、それぞれに様々な奉仕の場があることは恵みです。様々な奉仕者のために祈るということも素晴らしい奉仕です。奉仕する者、祈る者など全ての人々が教会の一員としてなくてはならない大事な者であるということを感謝します。特に、若い方々が讃美リード、手話讃美、楽器の奉仕、讃美のための機械操作の奉仕、パソコンで歌詞を写す奉仕などを始めていますので、ぜひ祈って下さい。重荷のことに話を戻しますが、重荷の中で絶対に避けることの出来ない死という重荷があります。人は誰でも例外なく、必ず死んで行きます。多くの人々が死の彼方に何があるのかという不安を持っています。あなたは大丈夫ですか？

今、述べたことをまとめれば、私たちは病気、経済的不安定、」孤独、死の怖れなどに包まれているということです。余談ですが、テレビはお笑いブームで、いろいろな芸人が登場しています。それはお笑いによって心の不安を吹き飛ばしたいということの現れかもしれません。私たちが抱えている心の不安の原因は、私たちが真の神様から離れているという罪の結果です。罪が解決されない限り、私たちの人生には重荷がつきまといます。この人間を苦しめる罪の赦しと罪の力からの解放のために、キリストは十字架にのぼり、罪の罰である死を引き受けて、私たちの身代わりになって死んで下さったのです。しかし、キリストが十字架で死んで終わりだったら、私たちの罪が赦されているのかどうか、罪から解放されているのかどうかという事が不確かなままです。そこで、きょうの御言葉、「わたしはよみがえりであり、命である。わたしを信じる者は、たとい死んでも生きる。また生きていて、わたしを信じる者はいつまでも死なない」ということが大事なのです。キリストは私たち人間の罪のために、一度は死にましたが、「わたしはよみがえりであり、命である」と言われたように、死から甦って、今も生きている救主です。私たちの肉体は土の塵で造られているので、一度は朽ち果てます。だがキリストを信じた者には永遠の命が与えられているので、霊は滅びずに天国に行きます（今はキリスト再臨前なので、霊はパラダイスに行きます）。私たちの肉体は、一度は朽ち果てますが、世の終わりの日に、キリストと同じような栄光の体に甦り、霊と体とが一つになって永遠に天国に住まうことになります。それが、「わたしを信じる者はたとい死んでも生きる。また、生きていて、わたしを信じる者は、いつまでも死なない」ということです。

４０年ぐらい前に、神学校のクラス一同で、東京郊外にあった所謂ライ病の方々の施設を訪問して、集会を開いたことがあります（ライ病は聖書独特の病気で、今日のハンセン病とは全く異なる。今ここではライ病と記す）。病気のために鼻が削げ落ちたり、手の指が全くない人がいて、舌で点字を読んでいる方もいました。そこにいる人々は、見た目には悲惨でしたが、しかし何となく明るい雰囲気をもっていました。集会後、何人かの方々と話して分かったことは、キリストを信じて心が生まれ変わっていることを喜んでいる事。現在は病気のために不自由な体になっているが、やがてキリストのごとくに栄光の体を与えられるという輝く希望を持っていて、毎日信仰生活に励んでいる事。それが彼らを明るくしているという事に気づきました。それは心の中に生きておられるキリストを宿していることによって、内から湧き出てくる命の喜びであったのです。私たちも、十字架によって救いを受け、キリストの復活によって、永遠の命を与えられていることを、もっともっと喜びなら、もっともっと感謝しながら、信仰の道をまっすぐに進んで行くように、新しい決断をもってお祈りを捧げましょう。

2，キリストは、復活によって私たちと共にいて、生きる力を与えて下さる救主である。

キリストは、死より復活されて永遠に生きておられます。十字架にかかる前に、不安におののく弟子達に対して、キリストが言われた御言葉を思い出します。「わたしはあなた方を棄てて孤児とはしない。あなた方の所に帰って来る」（ヨハネ14：18）。何という慰めに満ちた御言葉でしょうか。孤児とは、身よりのない、自分を助けてくれる者が誰もいない気の毒な境遇の子どもです。ふつうは頼るべき親がいる、兄弟がいる、親戚がいる。だが孤児にはそうした縁戚の者が誰もいない。キリストは弟子達ひとり一人を、そういう淋しい、大変な状況の中に、置き去りにしないと約束されました。しかし、この事を語った後に、キリストは捕らえられ、裁判を受け、十字架に死んで行かれました。弟子達は大いに失望し、もう頼るべき先生はいないのだ。我々は取り残されてしまったという絶望感に打ちひしがれていました。ところが、素晴らしい出来事が起きています。ヨハネ２０：１９以下を読んでみますと、弟子達がひっそりと戸を閉じて、深いため息をついて部屋の中にいた時に、戸を開けずにキリストが入って来られ、怖れ、隠れている弟子達に対し、「平安があるように」と呼びかけています。これはユダヤ人が普通の挨拶に使う言葉と言われています。キリストは死んだが、死を討ち破ってよみがえり、そして、よみがえったことが当然であるかのように、弟子達に対し、「平安があるように。今晩は」という挨拶の言葉をかけているのです。このことによって、キリストは「わたしは、あなた方の所に帰って来る」という約束を果たしています。

キリストは生きておられる救主ですが、キリストの復活の恵みを幾つか述べてみます。

キリストは体をもって甦っています。私たちもキリストを信じている者として、終わりの日に体が甦ります。キリストの復活の体は栄光の体に変わっています。もし私たちの体に不自由なところがあれば、それは全て栄光に変わって復活します（Ⅰコリント15：42－44）。

キリストは、いつでも私たちを助けようとして下さる救主です。キリストは怖れ、身を隠している弟子達の所に足を運んで現れて下さいました。使徒パウロが、アテネで伝道が思うように出来ず、コリントの町へやって来て、伝道を始めました。ユダヤ人達の妨害にあいますが、その時、キリストは幻のうちにパウロに現れ、「怖れるな。語り続けよ。黙っているな。あなたにはわたしがついている」という励ましの御言葉を与えます。パウロは勇気百倍し、１年６か月に渡って腰をすえて伝道に励んでいます。その結果、コリント教会が始まっています（使徒18：9－11）。ヨハネは、迫害のために、老齢に達していたのにパトモス島に流されます。その時に主が現れ、ヨハネに世の終わりについての啓示を与え、黙示録が記されました。キリストはいつでも私たちの方に来て下さる救主です。

どうやったら、主が私たちを助けて下さるのを知ることが出来るのでしょうか。それは祈りです。祈る時に、心の目が開かれ、キリストの助けを、信仰を持って受けることが出来ます。話がそれるかも知れませんが、大勢の方々が教会に集っています。ある方は教会の目標を数値によって示してくれれば、それに向かって進んで行くと言いますが、ある方は数値を出せば、それに縛られると言います。ある方は哲学的に理詰めに話をしてほしいと願い、ある方は情緒的に話してほしいと言います。千差万別のことを皆さんが求めておられます。私はそうしたことを思いながら、結局はキリストの恵みを語ることが全てのカギになると信じています。そして確信していることは、信仰が恵まれて行く秘訣は、生きているキリストに縋り続け、教会に結びついて、祈って行くことであることを、私は事あるごとに言い続けています。今、教会に次の世代を担う多くの若者がいることを感謝します。私は「こどもファミリー」を担当していますが、暴れたり、おしっこを漏らしたり、おやつが自分には少ないと泣いたりしていた子ども達が中学、高校になり、教会の奉仕に加わっているのを見ると感謝です。子ども達に信仰を継承するために、教会学校の先生達が毎週朝早くから聖書をしっかりと伝えています。さらに親がしっかり信仰に立って行くことが大切です。子どもが教会から離れたり、或いはなかなか信仰に対して心を開かない時もありますが、だが、親が一筋に信じ続けて行けば、キリストが子どもを導いてくれます。例えば、私たちの娘は、アメリカに行って、信仰に疑問を生じ、苦しみました。信仰を問い直すために、はるばるイギリスの誓書学校に入り、そこで生きているキリストに出会いました。今は諏訪神社の諏訪で、二人の子どもを育てながら、家の屋根に大きな光る十字架を掲げ、夫と共に「生きているキリストに救いあり」と開拓伝道の働きをさせてもらっています。

話を戻して、生きているキリストによって弟子達は力を受けて、積極的に生きるように変えられて行きました。キリストは、死を討ち破って甦った、生きている主です。キリストは弟子達に生きる力を与え、弟子達は「キリストは甦って生きておられる救主である」ことを命懸けで伝道して行きました。キリストを信じる時に、前向きに、積極的に、希望をもって生きる力が与えられます。

メンソレタームという塗り薬があります。ヴォーリズというクリスチャンが日本に来て、建築事務所を開き、合わせてアメリカの会社と契約をして、メンソレタームを販売するために近江兄弟社を設立し、儲けは伝道のためにという事にした。薬は売れた。あまりによく売れるので、みんな傲慢になり、しっかりとした経営者がいなく、特にヴォーリズが召されてから、経営がいい加減になり、１９７４年負債３７億円で倒産。クリスチャンである岩原氏が再建を引き受ける。だがメンソレタームという商標権が大手の製薬会社に移ってしまった。銀行は「メンソレタームの名前が使用出来なければ、会社の再建は９９．９％駄目であろう。取引拒否」と言ってきた。商標権を取り戻す交渉をするが失敗し、その間に最愛の奥さんが亡くなってしまう。そこでメンソレタームという名前は使えないが、新しい成分を付け加えて、メンタームＳという名前にして、当時の厚生省の認可を受けることが出来た。メンソレタームは大手の製薬会社がテレビなどで広告し、派手に売っている。自分たちはつぶれた会社であって資金がない。そこで岩原氏以下全従業員が一軒一軒薬屋さんを回ってメンタームＳを売り込んだ。その結果、認可がでて５年目に黒字となった。ここに生きているキリストを信じる者の底力があります。もう駄目だと投げ出さないで、生きておられるキリストに縋って行くことによって、みんなの力が結集されて、商売が再建され、その利益を教育、医療、福祉の事業に還元しています。キリストを信じることは単なる心の問題以上に、実生活に必要な生きる知恵と力とをもたらすものであることが分かります。

学生の皆さんは学びを真剣にして行くことによって、どこに進んで行くのかという自分の生きる道をキリストが教えてくれます。仕事に従事している方は厳しい日々であると思いますが、主が必ず助けて下さいます。何をするにも生きている主に縋って、祈りながら進んで行きましょう。

まとめ

ヨハネ11：25－26をぜひ憶えて下さい。キリストは生きておられるまことの救主です。

1，キリストは、復活によって、十字架の救いを確実なものにして下さいました。

2，キリストは、復活によって私たちと共にて、生きる力を与え下さる救主です。

キリストによって救いと永遠の命を与えられていることを感謝しましょう。あなたの問題は何ですか？生きている主の御名によって祈りましょう。必ず助けと導きが与えられます。

祈　り

天地の主である神様、私たちのために独り子であるキリストを遣わして下さり、十字架と復活によって救いの道を開いていただき感謝をささげます。キリストは生きておられる救主であることを信じ、何があっても主に縋り、祈り、信仰の道を歩んで参ります。４月は年度代わりの時です。進級、入学、或いは人事異動などがありますが、主にあるひとり一人の生活を祝福して下さい。病気の方を速やかに癒して下さい。仕事を求めている方の上に導きを与えて下さい。教会の会堂のこと、駐車場のことを主が導いて下さい。生きている主イエス・キリストの御名によって祈ります、アーメン。

参考文献ヨハネ注解ー黒崎、バークレー、フランシスコ会、LAB。　「足で訪ねた一万軒・岩原侑」