信仰の真髄―神の聖霊に導かれて　コリント第一2：6

信仰の真髄―神の聖霊に導かれて　コリント第一2：6－16　　　　　　主の2005.6.12礼拝

Ｓさんは麻薬をうち、賭博に手を出し、借金が膨らみ、借金取りから追われる身となり、連日「金を返せ。返せなければ命はもらう」という脅しを受けていました。借金取りが付きまとい、逃げないように見張られていましが、その厳重な見張りの目をかいくぐって何とかして逃げ出しましたが、自分を匿ってくれる人はいないし、隠れる場所もない。遂に彼は教会に逃げ込みます。そこで匿われている間に麻薬の禁断症状が出て苦しみ、自分は人間の屑だと思い、もう人生は終わりだと思った。その苦しみの中で、牧師を通して、「わたしの目には、あなたは高価で尊い」（イザヤ43：4）と呼びかけて下さる神の愛に心が砕かれ、悔改めてクリスチャンになりました。それから紆余曲折はありましたが、今はキリストを信じるクリスチャンとして主の恵みに日々守られて人生を歩んでいます。

本日はコリント第一2：6－16です。９節に「目がまだ見ず、耳がまだ聞かず、人の心に思い浮かびをしなかったことを、神は、ご自分を愛する者たちのための備えられた」とありますが、Ｓさんは最低の状況の時に神の愛に触れ、生まれ変わることができました。麻薬の禁断症状の中で、Ｓさんが救われたのは、１０節にある、神の御霊の働きです。神の御霊とは聖霊ですが、聖霊によってＳさんは自分の罪を認め、悔改め、キリストを信じ、神の子にされて、新しい人生を歩む者にさせていただきました。聖霊は私たちに信仰を与え、祈りを導き、キリストに従うように常に助けて下さいます。今朝、主のメッセージを聴いて、祈って、今週も聖霊に導かれて信仰の日々を前進して参りましょう。

内　容

1、聖霊は、私たちに人知を越えた神の知恵である十字架の奥義を教える。6－１０節

2、聖霊は、私たちに人知を越えた神の導きを教える。11－16節

資料問題

6節、パウロの言う知恵とは、神がキリストによって啓示された信仰の奥義としての十字架による救いを示す（8節）。「円ｊ塾している者」、特別な知恵を持っている、或いは特別に選ばれていると称するこの世の知恵ではなく、十字架による救いという神の知恵を信じる者が円熟した者（成人した者ー新改訳、信仰に成熟した者―新共同訳）である。7節、「わたしたちの受ける栄光」、聖霊によって与えられる救いの究極的目標（ローマ3：23、8：17－18,21、２９－30,　Ⅱコリント3：18参照）。８節、「栄光の主」、「わたしはわが栄光をほかの者に与えない」（イザヤ42：8）とあるようにキリストを神としていることを示す。９節の括弧内の引用はイザヤ64：3、65：17、エレミヤ３：１６参照。１０節、クリスチャンには聖霊が与えられ、救いの計画が示されている‹ローマ5：5参照）。１５節、霊の人はすべてものものを判断する、御霊はすべてのものを究めるので（１０節）、神の霊に導かれて生きる者はすべてに判断を下すことができる。しかし生まれながらの人は（１４節）、神の霊をもっていないから、神の霊に導かれて生きている人に対して判断を下すことはできない。１６節括弧内はイザヤ４０：１３の７０人訳からの引用。キリストの思いとは、十字架につけられたキリストの思い（１：１３,17,18,23,　2：2,8）であり、ピリピ2：5－11で説明されている。

1、聖霊は、私たちに人知を越えた神の知恵である十字架の奥義を教える。6－１０節

しかし、聖書に書いてあるとおり、「目がまだ見ず、耳がまだ聞かず、人の心に思い浮かびもしなかったことを、神はご自分を愛する者たちのために備えられた」のである。そして、それを神は、御霊によってわたしたちに啓示して下さったのである。（9－10節前半）

私たちクリスチャンは毎日聖書を読みます。礼拝を始めとする諸集会で聖書の説き明かしである説教（メッセージ）を聴きます。聖書を読み、神のメッセージを聴くことによって、神の御心を知り、祈って神に従って生きるように生活しています。ご存知のように聖書は世界のベストセラーであって、2,500以上の言葉に翻訳されていますので、世界中の多くの人々が自分の言葉で聖書を読むことができます。日本でも文語訳、口語訳、新改訳、新共同訳などの訳があり、自分の好きな訳で自由に読めます。これだけ聖書が普及しているならば、全世界の人々がクリスチャンになりそうですが、大まかに言うと世界中の約三分の一の人々がクリスチャンであり、日本では人口の約1％の人々がクリスチャンであると言われています。クリスチャンになるのを阻む壁として、中国のように人口に比べて聖書の印刷部数が少なすぎて、人々に聖書が行き渡らないので神のことが分からずに信じられないでいる、またイスラム圏のように聖書を読ませないという理由が考えられます。

しかし、もう一つの大きな理由があります。パウロは、多くの人々がキリストの救いを信じられないのは、人間的な知恵しか持っていないからであると言っています。世の中には「自分には知恵がある」、「特別な経験による霊的知恵がある」と称する人々がいます。パウロは、６節で、それはこの世の知恵であり、滅び行く知恵であると断じています。それに対し、「円熟している者（成人）」と言うのは、信仰において成熟している者という意味でクリスチャンを指しています。7－8節によれば、クリスチャンは聖霊によって神の知恵をいただき、人々の目に隠されている神の奥義を知らされ信じている。奥義は神が世界の始めから定めておられたものであって、それはキリストの十字架であると告げています。ここでキリストのことを「栄光のキリスト」と言っています。イザヤ42：8に「わたしはわが栄光をほかの者に与えない」という神の宣言があります。パウロは「栄光の主」という事によって、神とキリストは同じであると告げているのです。神であるキリストが人の罪の身代わりになって、十字架につけられたが、それは「人の心に思い浮かびもしなかった」（９節）驚くべき恵みです。十字架を信じるようにさせて下さったのは、「神は、御霊によってわたしたちに啓示された」（１０節）とあるように、神の聖霊に導かれて罪を悔改め、聖霊によって「イエスは主である」（12：3）と告白して、私たちは救われました。まことに人がキリストを信じて生まれ変わることが出来るのは聖霊の働きによります。

今から９年前の１月３０日（火）、馬場さんのお父さんを栗橋の病院に訪ねました。７５歳で、再起不能の病気で入院していました。主の救いを伝え、私たち夫婦と馬場夫妻、馬場さんの妹の悦子さんと一緒に祈りましたが、お父さんは祈りに合わせて目を閉じ、大きくうなずいて信じるという意志を表しました。７５歳まで神仏を認めず、宗教行事は全て断り、何回も祈りを拒否し、自分の力だけを信じて来たのですが、聖霊の不思議な助けによって、イエス様の話しに耳を傾けてくれたのです。２月１日（木）再び病院を訪れたのですが、意識はハッキリして、ベッドからいろいろな指示を与えていました。罪について、イエス様の十字架について、甦りについて、永遠の命について話をし、イエス様を信じ受け入れるように勧めました。「信じます」との返事があり、私のあとについてハッキリと信仰告白の祈りを捧げました。すると馬場兄弟が洗面器に水を汲んで来て「父は起きられないので、この水で滴礼による洗礼式をして下さい」との事。私が洗礼について説明すると、お父さんは了解し、午後２時５８分、病床でお父さんの額に水を注いで滴礼で洗礼式を行いました。私たち夫婦、馬場さん夫妻、恵ちゃんでお父さんの枕元で「主われを愛す」を歌い、感謝の祈りを捧げました。馬場さんの妹の悦子さんに、この事をすぐに電話をすると、午後から大宮の家で、悦子さんと二人のお子さんで祈っていたとの事で、主に感謝していました。お父さんは「アーメンの国にわしは行く、アーメン」という事を何回も繰り返して言っていました。息子がクリスチャンになり、娘もクリスチャンになり、自分の妻もクリスチャンになると言う中で、この世の知恵によって頑強にキリストを拒んでいたのですが、神の聖霊によって心を砕かれて救いを受け、洗礼から２週間後に永遠の御国に召されて行き、キリスト教式で社葬が行われました。それから約１年２か月後、一人の男性が突然に教会にやって来ました。トラブルに巻き込まれ、途方に暮れていたのですが、その時に馬場さんのお父さんの葬式で聞いた聖書の話を思い出し、教会を訪ねて来たのです。その方はイエス様を信じる決心をし、その後個人的に聖書研究をしましたが、新しい仕事を得るために忙しくなるなどのことが重なって、連絡が途絶えていました。ところが、一昨日その方から、「あれから１０年です（実際は満８年）。私は『イエスは主である』と信じます。ついては単身赴任で新しい所に来ていますが、近所の教会を紹介して下さい」との電話がありました。ビックリしましたが、うれしい電話でした。これこそ人知を越えた神の聖霊のみ業です。聖霊は、私たちに十字架を信じさせて下さると共に信仰の道を歩むように導いて下さる助け主です。聖霊の恵みに感謝し、聖霊に導かれて進んで行くようにお祈りして行きましょう。

2、聖霊は、私たちに人知を越えた神の導きを教える。11－１６節　　　　　　　　　　　　　　

生まれながらの人は神の御霊の賜物を受け入れない。それは彼には愚かなものだからである。また御霊によって判断されるべきであるから、彼はそれを理解することができない。しかし、霊の人は全てのものを判断するが、自分自身は誰からも判断されることはない。（13、14節）

　神の言葉は最初ユダヤ人に啓示されました。キリスト以前の旧約時代に、ユダヤ人は預言者を通して、神の言葉を聞きました。今から約2000年前、キリストの時代にパレスチナ地方にいたユダヤ人は、キリストから直接に神の言葉を聞きました。今はユダヤ人の枠を越えて、全世界の人々に神の言葉を余すところなく伝えるために、預言者、キリスト、キリスの直弟子である使徒たちの言葉が纏められ、聖書となっています。聖書は全世界の言葉に翻訳されていて、私たちは日本語で聖書を読む恵みを与えられています。誰でも謙った気持をもって聖書を読むならば、私たちは心に神の語りかけを聞くことが出来ます。11－12節に、私たちの心に語りかけ、神の御心を教えるのは、神の聖霊であることが述べられています。13節に「御霊の教える言葉」とありますが、それは聖書を指していると理解できます。パウロは、「聖書はすべて神の霊感を受けて書かれたものであって、人を教え、戒め、正しくし、義に導くのに有益である」と教えています（Ⅱテモテ3：16）。

14－16節、「生まれながらの人」とは物質的、肉体的なものを一番にして全てを判断する人のことです。この世の価値が一番ですから、神のこと、キリストの十字架をバカバカしい事として信じようとしないのです。「霊の人（御霊を受けている人）」は聖霊によってキリストを信じて、聖書の御言葉に従って生きるクリスチャンです。「キリストの思いを持つ」とありますが、キリストの思い、キリストの心を持つために、日々聖書を読み、聖霊によって熱心に祈り、他の人に愛をもって接する事が大事です。「生まれながらの人」は神の聖霊に従わないで、サタンの支配下にあります。物質的、肉体的なものが一番であると考えて、心の清さ、喜びを持っていない状態を指しています。

生まれながらの人は、危険な人生をおくっています。最近のニュースで憂慮すべきことが報じられていました。正確な数字は忘れましたが、日本でエイズという病気が増えている、しかも若い世代に広がっているということです。霊的なことを軽んじ、肉体的、物質的なことを一番にすることによって、性欲を満足させること以上に重要なことはないと考えている人々が増大していると言うことです。そういう人々にとっては、純潔という言葉は理解できないでしょう。ノルウエーに行ってきましたが、暗い話を聞きました。それは結婚しないで同棲するカップルが多いという事です。しかも社会が同棲を容認し、社会保障の対象にしています。ノルウエーはキリスト教ルーテル派を国教とする国です。日本にも多くの宣教師を送っている伝道熱心な国です。しかし、その反面、キリスト教が国教でありながら、聖書に反することが公然と行われています。アメリカも離婚率が多く、家庭の崩壊が言われています。そうした中にあって、神の御言葉に立ってキリストに従う清い道を進もうという流れが教会より起きています。アメリカのシューラー牧師の牧会する教会で多くの青年男女が講壇の前に立ち、「結婚する日まで、性的に純潔を守る」という決意を表し、牧師に祈ってもらっている様子をビデオで見ました。若い方々は勿論のことですが、クリスチャン全体が清い者であることを誇りにして、神に従う生活を進んで行くように祈って下さい。

生まれながらの人は、肉体的、物質的なものが一番です。人間万事金の世の中ということになって、人に分け与えることや、貧しい人に手を指し伸ばすことを忘れて、自己中心の生き方しか出来なくなってしまいます。生まれながらの状態でいれば、サタンに支配されて、滅びへの道を進むだけであり、霊的に死んでいると言えます。しかし、心を神に向け聖霊を受ける時に、サタンは逃げ去り、正しい判断力を与えられ、神の子として祝福されます。神の子として祝福される秘訣は聖書を読み、祈り、集会を大切にし、主に献金し、奉仕に励んで行くことです。

詩篇143篇の朗読がありました。ダビデは主に訴えています、「わたしはあなたに信頼します。わが歩むべき道を教えてください。・・・あなたの御旨を行うことを教えてください。あなたはわが神です。恵みふかい御霊をもって、わたしを平らかな道に導いてください」（143：8,10）。私たちも、恵みふかい御霊に導かれて行くように祈りましょう。

聖霊の導きを信じて祈り、主に縋って行きましょう。聖霊は私たちをあらゆる真理に導かれます（ヨハネ16：12）。キリストは「道であり、真理であり、命である」救主です（ヨハネ14：6）。どんな時でも聖霊に頼って行くならば、キリストが私たちを導きます。ある食品会社の社長は仕事に行き詰まり、「自殺する、きちがいになる、夜逃げをする」という三つの可能性が残された。その時にもう一つの第四の道がある、それは「信仰」という道だということを教えられて、立ち直るきっかけをつかむことが出来たのです。信仰など思いも浮かばなかったのに、聖霊の助けによって救いの道が開けたのです。パウロも現在のトルコ地方を伝道しようと思い、旅を続けたのですが、どうしても伝道の道が開かれない。思い悩んでいる時に、マケドニア人（ギリシャ人）の幻を見て、これは海を渡ってマケドニアに行って伝道しなさいという事であると信じ、聖霊に導かれてヨーロッパ伝道に行き、祝福を受けました（使徒16章）。主は私たちを見捨てることをせず、導いて下さいます。そのために聖霊が送られ、祈ることができ、どんな時でも行き詰まらないで道が開かれます。今朝、あなたの祈りの課題があれば、主イエス・キリストの御名によって、聖霊の導きを求めて祈りましょう。恵みふかい御霊が、祈りの答を心に語りかけて下さいます。

まとめ

1、9－10節前半、聖霊は、人知を越えた救いの奥義である十字架を信じるように導いて下さいました。聖霊の導きによって神の子になっていることを感謝しましょう。

2、13－14節、聖霊は、人知を越えた神の導きを与え、私たちを助けてくれます。祈りましょう。

祈　り

天地の主である神様、聖霊によって、人の心に思い浮かびもしなかった、神の奥義であるキリスとの十字架の救いという恵みを与えられていることを感謝します。また人知越えた聖霊の導きによって祈りながら信仰の道を進めることを感謝します。この世の知恵に騙されず、神の深い御心を教えて下さる聖霊に頼って、日々御言葉を読み、祈り、信仰の道を歩んで行きます。惠み深い御霊によって、平らかな道を歩ませて下さい。病気の人を癒し、問題ある方に勝利を与えて下さい。今月末に北地区メンズミーティングが当教会で開かれます。祈って、また様々な奉仕をもって北地区の方々をあたたかく迎える惠みの時として下さい。深谷・諏訪・松江の伝道所を祝福して下さい。聖霊の導きに感謝し、救主イエス・キリストの御名によって祈ります、アーメン。

参考文献コリント注解―佐藤、フランシスコ会、黒崎、竹森、榊原、LAB。　「誰だって人生をやり直せる・鈴木啓之著」、「ミッションバラバの妻たち・ことば社」