大事なのは神のみである　コリント第一３：1

大事なのは成長させて下さる神のみである　コリント第一３：1－9　　　　　主の2005.6.19礼拝

先週は激動の一週間でした。解決し難い大きな問題が持ち込まれ、とにかく祈りました。病気、手術などの方がいましたので訪問し、祈りました。ホームページを見て相談して来た方に返事を書くということがあり、その他にたくさんのメールが寄せられました。その他遠方にいる人に手紙を書き、その間に教会の事務があり、また来訪者があり、電話が多くありました。ウカウカしているとメッセージのために祈り、学ぶ時間が無くなってしまうことになる。メッセージの内容を完全原稿にして通訳者に渡すために、少しばかり睡眠時間を削って説教準備の時間を確保しました。昨日は奉仕役員会がありました。なかなか静まる時間がとれないような日々の連続でした。しかし、神の愛に守られ、上よりの力をいただき、礼拝のご用に立つように守られていることを感謝します。

本日はコリント第一3：1－9です。６節に「成長させて下さるのは、神である」、７節には「大事なのは成長させて下さる神のみである」と言われています。先週は激動の一週間であると言いましたが、幾ら人間がジタバタしても事態は変わらない、だが聖霊に助けられて、主イエス・キリストの御名によって祈る時に、神が解決の道を開き、物事を恵みに変えて下さるということを体験しつつ、きょうの主の日を迎えることができて感謝しています。まさに全てを恵みに変え、成長させて下さるのは神さまであることを信じ、祈って、新らしい一週間の旅路を出発して参りましょう。

内　容

1、肉の人から霊の人へと変えられて行こう。3：1－4

2、大事なのは成長させて下さる神のみである。3：5－9

資料問題

1節「肉に属する者（サルキノス）」は、「肉から成る」（Ⅱコリント3：3、ローマ7：14）の意で、人間的なことをまだ超越していないことを言っている。3節「肉の人（サルキコス）」（9：11、ローマ15：27、Ⅱコリント1：12,10：4）は、肉によって支配されていること。この二つの言葉は、すでにキリストを信じ、洗礼を受けていながら、主の導きに自分の身を委ねないので、未熟であるクリスチャンを指している。彼らが「幼な子」と言われるのは、神の教会の一員でありながら、まだ一人前のクリスチャンとは言えないということを示している。パウロは、彼らが他の人について考えるということをせず、分別のない幼い子どものように自己中心的に生きている。そのことは分派争いや論争があることから明白であると、指摘している（3－4節）。2節「乳」とはキリスとの十字架と復活に関する信仰の初歩の教え。「固い食物」とはクリスチャンが日々の生活の中で、キリストに倣って自分の十字架を負わなければならないという十字架の知恵についての教え（ヘブル5：12－24、Ⅰペテロ2：2）のことである。６節「植える者、水を注ぐ者」、各自、主から与えられた働きは異なるが、その働きを神が祝福し、成長させて下さる。成長させて下さる神を見上げて、それぞれの働きを認め合って行けば、争いはなくなり、キリストを頭とするキリストの体である教会の一致が保たれて行くのである。

1、肉の人から霊の人へと変えられて行こう。3：1－4

あなた方に乳を飲ませて、堅い食物は与えなかった。食べる力が、まだあなた方になかったからである。（2節）

私たちはクリスチャンであると言いますが、ではクリスチャンとは何であろうかということを考えてみましょう。30年ぐらい前に軽井沢で聖会が開かれ、アメリカ人の講師が「クリスチャンとは・・・」というメッセージをしました。私の記憶によれば、そのメッセージの中で、イエス・キリストを信じ、洗礼を受けた者がクリスチャンであるというのは誰でも知っている。しかし、それで終わりとするならば、それは単に「クリスチャンになった」ということだけで終わってしまい、キリストに従うことをせず、何の霊的成長もなく、ノンクリスチャンと殆ど同じと言うことになってしまう。真のクリスチャンには次のような特徴がある。第一にキリストの教会につながって、聖書の御言葉に従って信仰生活に励んでいる者である。第二に信仰の導き手であり、その完成者であるイエス・キリストに縋っている者である。第三にイエス・キリストに似る者となって行くことを目標にしている者である。第四に聖霊によって日々に祈って行く者である。第五に主に献金を捧げ、キリストを伝道する者である。それがクリスチャンであり、霊の人である、というメッセージでした。

本日の聖書に、霊の人とは違う「肉に属する者」（１節）、「肉の人」（３節）と呼ばれている人のことが出ています。これは、せっかくイエス様を信じ洗礼を受けても、生まれながらの肉の欲に支配され、キリストを一番としないで、この世の考えに染まって生きていることを指しています。パウロは「コリントの教会の中に、肉に属する者がいる。その証拠は、あなた方の中に妬みや争いがある。争いや妬みを棄て去るために『堅い食物』を食べる大人のように、キリストの十字架を信じ、キリストを一番として、聖書の御言葉に従って信仰生活に励み、神を愛し、隣り人を愛して行こう」ということを教えています。私たちひとり一人が、霊の人になって行くために三つのことを知っておきましょう。

第一に、私たちの心のうちに、「霊の人」、「肉の人」という二種類の心がないかどうかということです。例えば日曜日は教会に来て霊的にすごす。しかし、勤めや学びという現実の世の中にあっては、信仰を片隅において、肉に属する者のように生きてしまう事があるかも知れません。霊の人となるために、聖書を読んで、祈って下さい。そして、ここが大事ですが、何があってもキリストの教会から離れないことです。コリントの教会に肉に属するような者がいたが、彼らは教会につながっている。教会につながっているから、彼らもこの手紙を読んで、自分たちの過ちに気づき、悔改めて再出発する機会を与えられています。教会から離れたら、恵みはどんどん遠のいて行きます。

第二に、赤ちゃんクリスチャンから成人クリスチャンになって行くことを祈って下さい。赤ちゃんクリスチャンとは何でしょうか・・・。教会の玄関で優しく迎えられ、皆に親切にしてもらい、愛の説教を聴いて満足し、気の合った人と楽しい会話をする。教会堂はキレイで、夏であればエアコンが快適に効いていることを望むが、でも自分で掃除をしたりするのはゴメン、献金はなるべくしたくないがプレゼントは歓迎するなど自分を中心にして行くならば、それが「キリストにある幼子」（１節）であり、赤ちゃんクリスチャン（baby christian）です。成人クリスチャンは、先ず自分のほうから笑顔をもって人に接する、新しい人や初心者に気を配り、讃美を喜び歌い、メッセージを自分のものとして聴いて祈りを捧げる。礼拝後は仲間内だけで会話をせず、新しい人や初心者に進んで声をかけ、教会堂がキレイに保たれるように掃除をし、献金を捧げ「さらに捧げられるように健康と経済を祝福して下さい」と祈り、不平不満を言う人がいたら、これを他に広げず、その人のために執り成しの祈りをささげ、どんなことでも「主の恵みに感謝します」と言う事によって、その言葉のとおり一層恵まれて行きます。不運を嘆き、人を羨み、妬めば、ますますその言葉どおりに不運になります。

第三に、成人クリスチャンになるために、決断の生活をすることです。決断とは、キリストを一番として、聖書の御言葉に従う生活をすることです。クリスチャン生活は決断の連続です。キリストに従うことを選んで行くことが決断です。毎日聖書を読み、お祈りするという日々の決断があります。大小さまざまな決断があります。個人的なことですが、私にとって神学校に入るということは大きな決断でした。それが出来たのは、曲がりなりにも毎日聖書を読み、祈り、教会を休まないという決断の連続があったので、神学校入学という大きな決断がスムースに出来たのです。結婚という大きな決断がありました。子どもを外国で学ばせるという決断もありました。大小さまざまな決断をしながら、ここまで進んで来ました。この後に倫夫兄弟・チャチャ姉妹の婚約式があります。これも大きな決断ですが、日ごろ主に従う生活の中で培われた信仰によって、二人に決断が与えられたのです。二人の祝福のためにお祈り下さい。

2、大事なのは成長させて下さる神のみである。3：5－9

わたしは植え、アポロは水を注いだ。しかし成長させて下さるのは、神である。だから植える者も水を注ぐ者も、共にとるに足りない。大事なのは成長させて下さる神のみである。（６－７節）

コリントの教会には「パウロにつく」、「アポロにつく」という幾つかの派閥がありました。ここではアポロとパウロという二人の伝道者の名前が出ています。派閥ができた理由は、ある人々がキリスト中心の信仰を忘れて、パウロ、アポロという人間を中心にして教会を形成しようとしたからです。パウロは、コリント教会が人間中心になろうとしているのを防ぐために、「わたしは植え、アポロは水を注いだ。しかし成長させて下さるのは、神である」（６節）と言っています。パウロは開拓伝道の時からキリストを熱心に伝え、教会を形成してきました。アポロは、雄弁で教養があったと伝えられていますので、聖書の真理を深く説き明かすい説教をしたことと思います。二人の働きはそれぞれに優れたものでした。この二人の働きがあったので、コリントの教会が形成され、成長してきたと思われがちですが、パウロは「そうではない」と言います。パウロは、「成長させて下さるのは神である」ということを断固として、強く訴えています

６－７節に「植える、注ぐ」という言葉があります。また「成長させる」という言葉があります。先ずパウロは植え、アポロは水を注いだという二人の役割が記されています。ここに使われている「植え、水を注いだ」という言葉は、一つの動作が完了したことを表す言葉です。パウロが植えた、アポロが水を注いだという事は、一連の動作として完了したという事を示しています。それに対し、「成長させて下さる」というのは、いまだにその動きが続いていることを示す言葉が使われています（未完了動詞）。パウロが植え、アポロが水を注ぐという、二人の伝道者としての働きは終わった。だが、成長させるという神の働きは終わっていないということを示しています。ひとり一人の心に蒔かれた福音の種は、それぞれの心の中で、神によって成長を続けているのです。人間の働きは終わる。だが神は永遠の神です。神はその働きをやめないで、成長させて下さるということが示されています。ここに私たちの希望があります。蒔いた福音の種は神様が成長させて下さることを信じて行く時に、それは必ずどこかで実を結びます。パウロやアポロがいなくなっても、二人がコリント教会の人々の心の中に蒔いた種は、神によって成長し、時代を越え、国境の壁を越えて、全世界に広がって行き、私たちの心の中に届いています。

パウロは、アポロの働きを認めています。彼が心の狭い人であるなら、自分が開拓した教会に、その雄弁さによって人気のあったアポロのことを妬んだことでしょう。しかし、パウロは「わたしたちは神の同労者である」（９節）であるということを述べ、自分たちの働きは人の評価ではなく、主が報いて下さると言っています（８節）。イギリス・ノルウエーに行って来ましたが、そこでは互いの賜物を生かし合いながら伝道がなされていました。家庭を開放する人、御言葉を伝える人、連絡をとる人、車で送迎する人など、神の同労者として共に働いているのですが、それを当然のごとく、当たり前にしている姿に心を打たれました。それは、彼らが、自分達の働きは神に対する奉仕であるということに徹しているからである、ということを学びました。ですから、それぞれが喜んで主に仕えて行くことが出来ているのです。英語にco-workerという協力者という意味の言葉がありますが、私たちも神の協力者として、神に仕えて行く思いを新たにして行くことを願って祈って行きましょう。

教会では様々な奉仕があります。直接に奉仕に与っていない方々もいますが、誰でもできる最大の奉仕は祈りです。どんな場合でも祈りが必要です。奉仕には神の助けが必要です。直接奉仕に与る人も祈りますが、私たちが陰にあって祈りをもって支えて行くことが奉仕を恵みあるものにします。

９節に「あなた方は神の畑、神の建物」とあります。「畑」という言葉は「よく耕された土地」という意味の言葉が使われています。これは私たちの心を探る御言葉です。良く耕された土地のように、神の言葉を素直に受け入れて、１００倍の実を結ぶように祈って行きましょう。

神が全てを導き、信仰を与え、信仰を成長させて下さいます。アメリカにジョン・ウェインというスターがいました。西部劇などで強いアメリカを代表するスターとして人気のあった人です。１９７９年６月１１日に胃ガンで天に召されています。彼がガンの疑いで入院した時に、シュ―ラー牧師が呼ばれました。牧師は、彼にどのようにして福音を伝えるべきかを考えつつ病院に向かった。病室に入る前に聖霊の細い声が聞こえた、「純粋にキリストを紹介しなさい。キリストを受け入れるか、拒絶するかは、ジョン・ウェインが決めるだろう」。病室に入り、しばらく話をしてから、「あなたのために祈らせてもらってよいでしょうか」と聞くと、「もちろんだとも、あらゆる助けが必要なんだ」。牧師は祈った、「主よ、ジョン・ウェインはあなたのことを知っています。あなたのことを生涯耳にして来ました。彼はあなたを誉め讃えます。あなたを尊びます。そして、心の深いところで、あなたがジョン・ウェインの全ての罪を赦すことが出来、ジョン・ウェィンはそうされたいという御旨を受け入れ、あなたを愛しています」。牧師が祈り終わって、目を開けて見ると、ジョン・ウェィンの顔は、朝日のように輝き、平安に包まれていた。彼は大スターでしたが、信仰的には幼な子であったので、牧師がキリストを信じる信仰を伝え、またこの祈りを通して、信じることが出来たのです（御翼より）。

まさに成長させて下さるのは神の愛のみ業であるであることを知ることが出来ます。

まとめ

1、肉の人ではなく、キリストに心を明け渡して、キリスト中心の霊の人として成長させてもらうように祈りましょう。赤ちゃんクリスチャンから、成人したクリスチャンになるように、キリストを一番にして行くように決断し、キリストに仕えて行きましょう。

2、神が成長を与えて下さいます。神の成長の働きは終わることがありません。私たちの奉仕は、神が成長させて下さいます。そのことを信じて、祈って行きましょう。皆で思いを一つにして、主に仕えて行きましょう。神の同労者として、神の協力者として、互いの賜物を生かし合って、力を合わせて奉仕して主の働きを進めて行きましょう。

祈　り

天の神様、救主イエス・キリストによって神の子にされている恵みに感謝をいたします。キリストを信じている者として、赤ちゃんクリスチャンではなく、自立した信仰を与えられて、霊的に豊かに成長して行くことが出来るように導いて下さい。どんな時でもキリストに従うという決断をすることが出来るように、聖霊によって導いて下さい。私たちが福音の種を蒔くならば、必ず神様が成長させて下さる事を信じ、周りの方々に、家族にキリストを伝えるために私たちを用いて下さい。午後のユース・ファミリー、ネームレスの集会を祝福し、夜の礼拝も祝福して下さい。きょうも様々な事柄が恵みの座で祈られますが、それぞれの祈りに主の最善の答があることを信じます。婚約式を祝福して下さい。私たちの救主イエス・キリストの尊い御名によって祈ります、アーメン。

参考文献コリント注解―バークレー、佐藤順、フランシスコ会、竹森、黒崎、西川、文語略解、モリス。