人生のまことの土台　コリント第一3：10

人生のまことの土台　コリント第一3：10－15　　　　　　　　　　　主の2005.6.26

いま私たちが礼拝している会堂は狭い土地を有効に利用するために、上に高く４階になっています。４階の建物を支えるために、かなりの深さまで地面を掘り下げ、そこにこぶし位の石をトラックで何回も運び入れて敷き詰め、その上にコンクリートを流し込み、鉄筋を張りめぐらし、実に念入りに基礎を作りました。その上に建物が建っていますので、大きな地震にも耐えられる構造になっています。しかし土台は建物が建ってしまえば隠れてしまい、人の目には見えません。目に見えませんが、土台こそが建物を支えるのに最も重要なものなのです。

本日はコリント第一3：10－15です。この手紙を記した使徒パウロは、「わたしは熟練した建築師のように、あなた方の信仰のために土台を据えた。その土台とはイエス・キリストである」と言っています。キリストという土台の上に信仰生活が築かれて行きます。さらに続けて、パウロは「やがて終りの日に、私たちの信仰生活の全てが火をもってためされる」（１３節）と述べています。この会堂の土台は隠れていて見えませんが、私は建築に携わった者として、とても堅固な土台であることを知っているので、多少の地震があっても安心していることができます。信仰生活の土台はキリストです。キリストという揺るがない土台の上に、恵まれた信仰生活を続けて行けば、やがて神の前に平安な気持をもって出ることができて、天の御国に移されて行きます。キリストという土台に支えられて信仰生活を続けるために、祈って、今週も主にお従いして行きましょう。

内　容

1、土台はイエス・キリスト。3：10－11

2、各自の仕事（信仰）は火でためされる。3：12－15

資料問題

１０節、「建築師アルキテクトン」は英語architectの語源。アルキ（主人、長）、テクトン（（木工大工）を組み合わせた語で、手仕事だけではなく頭脳と知識とをもって貢献する働き、また個々の大工に任務を分配する働きを含んでいて建築の棟梁、設計士を表す。「熟練した」は知恵のある（ソフォス）という言葉。神から賜った恵みによって熟練している（知恵がある）という意。「他の人が・・・」とはコリント教会の全員を指す。私たちもキリスとの土台の上に信仰を築いて行く者である。「土台」は十字架の贖いを成就されたイエス・キリストである（1：23,30、2：2,8－9）。１３節、「かの日」とは生きた者と死んだ者とを裁くためにキリストが現れる時を意味する（１：8、主イエス・キリストの日）。「火」とはかの日（終末の主の日）のためす火のこと。火が質の悪いものを焼き尽くすという思想が聖書中にはある（イザヤ1：25、エレミヤ6：29－30、マラキ3：2－3、マタイ3：12、ルカ3：17）。

1、土台はイエス・キリスト。3：10－11

すでに据えられている土台以外のものを据えることは、誰にもできない。そして、この土台はイエス・キリストである。（１２節）

パウロは、１０節で、自分のことを「熟練した建築師」）であると言っています。熟練しているとは知恵のあるという意味です（新改訳は賢いと訳している）。パウロは、コリントの町で伝道しましたが、熟練した、知恵のある賢い建築師のように、ひとり一人の信仰のために、またコリント教会ために信仰の土台を据えたのです。それは「神から賜った恵みによって」為された尊い働きでした。１１節で、パウロが据えた土台とは、イエス・キリストであることが明らかにされています。私たちは常々キリスト中心の信仰、キリスト中心の教会になろうということを教えられています。そのことが、この箇所でハッキリと教えられています。土台について、パウロは、別の箇所で、「また、あなた方は、使徒たちや預言者という土台の上に建てられたものであって、キリスト・イエスご自身が隅のかしら石である」（エペソ2：20）と述べています。ではキリストが土台であるとはどういうことでしょうか・・・。

第一に、信仰の土台はイエス・キリストです。イエス・キリストは神であったのに、人としてこの地上に来られ、人の罪を背負って十字架に死んで下さったまことの救主です。キリストに行くならば誰もが罪から救われ、永遠の命をいただいて天国に行くことができます。スポルジョンは１６歳の時に「わたしを仰ぎ望め。そうすれば救われる」（イザヤ45：22）という御言葉によって、キリストを信じ、イギリスを導く伝道者として用いられました。キリストを信じることが、私たちの人生を変えます。しかし、人々はキリストを素直に信じようとしない、あるいは否定します。聖書に、「見よ、わたしはシオンに、つまづきの石、妨げの岩を置く。それにより頼む者は、失望に終わることがない」（ロマ9：23、出所はイザヤ28：16）と記されているとおりです。ある方々はキリストに躓く、バカにする、しかし、ある人々はキリストを信じて祝福の人生を歩んでいます。私たちもキリストを信じる者である事を感謝しましょう。

第二に、キリストを信じて愛が与えられます。現代は愛のない時代です。弟が兄を殺し、子どもが両親を殺すという事件が起きています。終りの日には「多くの人の愛が冷える」（マタイ24：12）というキリストの預言のとおりです。この殺伐とした世の中にあって、キリストの十字架を見上げるなら、そこに、「父よ、彼らを赦したまえ」（ルカ24：33）と祈っておられるキリストの愛を見ることができます。キリストは罪ある人間を滅ぼすためではなく、救いに来られた愛の救主です。キリストの愛は私たちひとり一人に向けられている愛です。キリストによって愛されていることを感謝しましょう

第三に、キリストを信じて罪の赦しが与えられます。現代は罪の時代です。多くの大会社が不正をし、役人たちも談合という不正に一役買っています。大会社を担っている人々、また役人たちは、ふつうは一流と言われる大学を出てエリートといわれる、頭が良い人たちでしょう。しかし、心が罪に支配されていますので、いかにして人の裏をかいくぐって自分達が得するかということを計算し、見つからなければ良いのだと言って平気でウソをつきます。これが神を信じない者の実態です。こうした罪に支配されている人間を救うために、キリストは「世の罪を取り除く神の子羊」（ヨハネ1：29）として来られた救主です。キリストは人を罪から救うために、また人を罪に誘惑するサタンを打ち砕くために、また私たちの罪の身代りとなるために十字架にかかって下さいました。罪を悔改めて、キリストの十字架を信じる時に罪が赦され、罪から離れ、きよい人生をおくる清めの力が与えられます。キリストを信じ、救われていることを感謝しましょう。

キリストを人生の土台としている私たちの人生は幸いです。本日午後３時から関東北東教区北地区のメンズミーティングが当教会で開かれます。その事で、先週は奉仕をお願いして、多くの方々が申し出て下さり、感謝しています。午後３時から礼拝があり、井桁久志師が司会をします。当教会より富田さん、石田さん、大谷さんの３名が証しをし、私がメッセージをします。３名の方々の証しは、ぜひ皆さんに聞いてもらいたい恵みに溢れた内容です。3人の証しに題をつけるとしたら、富田さんは「ネオンの光からキリストの光へ」、石田さんは「マルクスの僕からキリストの僕へ」、大谷さんは「涙の谷より恵みの高き嶺（ね）へ」ということになります。３人は、救われる前、「キリストをどう思いますか」という問に対し、「私は今のところいいですよ」「棺桶に片足を突っ込んだら考えましょう」「なかなか良い教えですね」などと言っていましたが、聖霊によって罪を悔改め、「イエス・キリストは主である」という信仰を与えられました。それ以来、キリスト一筋、キリストいのち」となり、今では「キリストきちがい」を目指しています。この３名だけではなく、ここにいるひとり一人が、キリストを信じるという土台の上に、恵みの日々を進んでいることを覚え、主に感謝を捧げます。土台はイエス・キリストです。聖歌205（旧236）を歌いましょう。

2、各自の仕事（信仰）は火でためされる。3：12－15

この土台の上に、誰かが金、銀、宝石、木、草、または藁（わら）を用いて建てるならば、それぞれの仕事ははっきりと分かってくる。すなわち、かの日は火の中に現れて、それを明らかにし、またその火は、それぞれの仕事がどんなものであるかを、ためすであろう。（１２、１３節）

キリストを信じるという土台の上に、私たちは信仰生活をして行きます。またキリストを土台として信じる者の群れである教会が形成されて行きます。

ここで私たち自身のことを考えて見ましょう。どういう信仰生活をするのか「気をつけるがよい（注意するがよいー新改訳）」（１０節）と言われています。気をつけるとは、見る、見張る、注意するという意味です。それぞれという言葉が３回あります（１０,１３節）。ひとりひとり、個人個人という意味です。パウロは、「あなた方ひとり一人が、個人的に、充分注意しながら信仰生活をしなさい」と勧めています。どんなふうに気をつけて信仰生活をするのでしょうか・・・。

第一に、キリストが土台であるということは、土台が建物全体を支えるように、キリストが私たちの全生活を支えるお方である、言葉を変えて言えばキリストが私たちの支配者であり、主であることを忘れないということです。箴言3：5－10の中に、次のように教えられています

「心を尽くして主に信頼せよ、自分の知識に頼ってはならない。

すべての道で主を認めよ。そうすれば、主はあなたの道を真っ直ぐにされる。

自分を見て賢いと思ってはならない、主を恐れて悪を離れよ。

そうすれば、あなたの身を健やかにし、あなたの骨に元気を与える

あなたの財産と、すべての産物の初なりをもって主を崇めよ。

そうすれば、あなたの倉は満ちて余り、

あなたの酒ぶねは新しいぶどう酒で溢れる」。

箴言の教えによれば、先ず私たちの心を主に向け、主の御言葉である聖書に従うことです。また経済生活のために神の恵みに感謝してささげることです（現代では献金すること）、すると神様があなたの必要のために報いて下さるという固い約束が実現します。

第二に、キリストを信じて生きていても苦しみに遭う事があります。それを怖れないことが大切です。火という言葉がありますが、これは現在の信仰生活における試練であり苦しみを指していると理解できます。どうして様々な試練があるのかということを考えてみましょう。

1、罪からくる場合があります（マタイ9：2中風の人の癒し）。

2、私たちを罪から遠ざけ、肉の生活から離れさせるためです（Ⅰペテロ4：1－3）。

3、信仰の従順を試みられる時があります（ヨブの例）。

4、特別な目的がある場合があります（ヨハネ９章生まれつきの盲人）。

以上のことを思い巡らして、試練・苦しみの時には祈ることが大切です。確実に言えることは、どんな状況に追い込まれたとしても、「神は愛である」（Ⅰヨハネ4：8）ということです。そして、「神は真実である。あなた方を耐えられないような試練に遭わせることはないばかりか、試練と同時に、それに耐えられるように、逃れる道も備えて下さる」（Ⅰコリント10：13）ということを忘れない事です。聖書朗読した詩篇66：12に「われらは火の中、水の中を通った。しかしあなたはわれらを広い所に導かれた」という感謝が歌われていました。イエス様は十字架という生涯最大の危機に直面し、ゲッセマネで血の汗を流して祈りました。そして逃れの道があることを確信し、自ら敵の手にかかり、十字架に向かって進んで行きました。敵はキリストを捕らえ、侮辱を加え、頭にイバラの冠、両手両足に釘を打ち込み、脇腹を槍で刺して息の根を止めたと思っていました。しかし人の罪のために命を捧げたキリストは復活を成し遂げ、罪の結果である死に打ち勝って今も生きている真の救主です。この生きているキリストが、試練・苦しみの時に私たちを助けてくれます。主に縋りましょう。

第三に、キリストを信じている私たちは、最終的に神の前で人生の総決算をするということです。パウロは聖霊に啓示されて、「なぜなら、わたしたちは皆、キリストのさばきの座の前に表れ、善であれ悪であれ、自分の行ったことに応じて、それぞれ報いを受けねばならないからである。このようにわたしたちは、主の恐るべきことを知っているので、人々に説き勧める。わたしたちのことは神の御前には明らかになっている。さらに、あなた方の良心にも明らかになるようにと望む」（Ⅱコリント5：10－11）と述べています。私たちはそれぞれの信仰生活を一生懸命に生きていますが、最後に火でためされると思うと不安な気持ちになります。しかし、知っておきたいことは、私たちのわざがためされるのであって、われわれ自身がためされるのではないという事です。もし御心にかなわない事があったとしても、われわれは滅ぼされない。ここに「しかし彼自身は、火の中をくぐってきた者のようにではあるが救われるであろう」と言われているからです。キリストを土台として信仰生活をして行けば、御心にかなうことは残り、御心にかなわないことは滅びます。しかし神は審きの神ではなく、救いの神ですから、キリストの十字架を信じる全ての者を間違いなく救って下さって、永遠の天国の中に導き入れて下さいます。

昨日、６年目に入った上野公園ホームレス伝道の奉仕があり、８名が参加しました。ユースが奉仕に参加するということで、今回は大地君が奉仕に加わってくれました。皆様の祈りの支援に感謝します。昨日も３００名の方々が上野国立博物館前の地面に座って待っていました。暑い陽射しの中で礼拝をささげ、給食活動があり、クリスチャンドクターが来て医療活動もありました。熊谷教会から５５０個のおにぎりが捧げられ、その他に日用雑貨品、お米３５キロ、シャツの献品もあり、捧げて下さった方々に感謝します。ホームレスになるということは人生を投げ出したということであり、折角の人生を自らの手で木や草やわらのようなもので終りにしてしまうようなものです。大抵の人は、彼らを人生の敗残者、落ちこぼれと呼ぶことでしょう。しかしキリストは違います。「全て重荷を負って苦労している者は、わたしの許に来なさい。あなた方を休ませてあげよう」（マタイ11：28）と言われる恵みの主です。上野でも礼拝のはじめに、毎回この御言葉が読まれます。多くの方々がキリストの招きの声を聴き、悔改めて、キリストを心に迎えて救われています。救われた者はトポス教会につながり、社会に復帰しています。それらの方々が奉仕と献金をもって教会を支え、またホームレス伝道のためにも奉仕し献金をささげ、その働きを支えています。彼らは救われて、金や銀のような輝く人生を築いているのではないかと思います。もちろん世の終りに神が火をもってためしてみて最終評価が決まりますが、確実なことは彼らが天国に入る恵みを得ていることです。社会のどん底以下の暗い所にいた人が、キリストを土台とする恵みの人生を築いている姿を見る時に、救って下さったキリストを見上げて、さらにこの働きを継続して行く思いを新たにしています。

まとめ

1、１１節、私たちの信仰の土台、人生の土台はキリストです。キリストは昨日も、明日も、いつまでも変わらない救主です。キリストを土台にして、何があっても揺れ動くことのない恵みの日々を祈って進んで行きましょう。

2、１２－１３節、私たちの全ては主によって火でためされます。もし私たちのわざがためされ無くなってしまったとしても、キリストを土台としているなら、私たちは滅ぼされることはありません。人生のまことの土台であるキリストにしっかり縋って行きましょう。

祈　り

天地を造られた神さま、救主イエス。キリストが私たちの人生の土台であることを感謝し、さらに主に縋って祝福の日々を歩めるように導いて下さい。今週も、聖霊による祈りを与えて下さい。ひとり一人の求めに答を速やかに下さい。午後からのメンズミーティングを導いて下さい。北地区から集る３５名の方々を祝福し、当教会からの参加者を祝福し、特に種々の奉仕をなさる方々を豊かに用いて下さい。主イエス・キリストの尊い御名によってお祈りいたします、アーメン」。

参考文献コリント注解―黒崎、佐藤、西川、バークレー、フランシスコ会、榊原、竹森、文語略解、LAB.　米田。