神の前に生きるー教会とこの世　コリント第一5：9

神の前に生きる - 教会とこの世　コリント第一5：9－13　　　　　　　　　　　　　主の2005.8.7礼拝

先週、７月３１日夕から８月２日、二泊三日で軽井沢バイブルキャンプが開かれ、５2名が参加しました。「魂の休息を求めて」（マタイ11：28－30）という主題の下に、高田イサク師、井桁久志師、山本憲治師がそれぞれ心に響くメッセージを取り次いで下さり、一同恵みに満たされました。本日は家永大地君の洗礼式が行われます。「汝の若き日に、汝の造り主である神を信ぜよ」（伝道12：1）との御言葉に従って、さらに多くの若い方々が洗礼を受け、祝福の道を進んで行くようにお祈り下さい。キャンプのために、恵みシャレー会場確保、企画準備、先方との細かい連絡、集金、集会準備と音楽などの奉仕、行き帰りの交通などのために、また本日の洗礼プール準備のために（後片付けもあります）、多くの方が汗を流して奉仕して下さり、感謝します。

今、コリントの手紙を連続して学んでいます。コリントはギリシャの町で、経済的に栄え、人間の理性が一番であるという知恵を誇る人々がいましたが、その反面、人間の手で作った偶像を拝むことも盛んでした。偶像の神殿には専属の娼婦がいて、その影響で町全体の性的道徳が乱れていました。コリント教会には、コリントの悪い影響から完全に抜けていな人々がいて、例えば知恵を誇る人々が寄り集まって派閥をつくり（1；１２以下）、偶像礼拝による道徳的な乱れがありました（5：1）。経済的に繁栄を求めて競争し、その結果自己中心となり、弱い人を顧みないという事がありました（11：21）。コリント教会は聖霊の働きが活発でしたが、この手紙の中に、聖霊についての正しい教えがあります（１２－１３章）。しかし何といっても、キリストの十字架、復活が最も大切な事であると告げられています（15：1－5）。日本も、理性を誇り、進化論の考え方が人を支配し、反面偶像礼拝が盛んです。経済優先の結果、心が殺伐としてしまい、多くの人々が癒しを求めています。性が乱れエイズが蔓延しています。お盆の季節ですが、大概の人々は、まことの神を知らずに、習慣的に墓参りをしています。その意味で、コリントの手紙は今日の我々の生活に最も近いと言えるでしょう。この手紙を通してキリストの十字架、復活に感謝し、教会生活のあり方を学んで行く事が出来ます。連続してメッセージを聴いて行くと、心に確信を与えられる時もあるし、また心にグサリと来る場合もあります。そうしたことを通して、信仰が偏らずにバランスを保って、成長します。心に恵みが与えられたら感謝し、罪や過ちを示されたら、悔改めて祈れば、主は祝福を新たにして下さいます。

本日はコリント第一5：9－13です。この箇所から、この世における生活、教会における生活のあり方を教えていただき、祈って、新しい一週間を出発して参りましょう。

内　容

1、この世には罪があるが、それは神が裁かれる。5：9－10

2、教会の中に罪が侵入しないように祈り、日々悔改めて主に従って行こう。5：11－13

資料問題

９節「前の手紙」、この手紙以前にコリント教会に送ったと思われる手紙について触れている。１０節でパウロは、その手紙では考えていなかった事を告げている。例えば、異邦人の家で仕える奴隷にとって、またノンクリスチャンを配偶者とする者にとって、通常の生活の中でノンクリスチャンとの交際を避けることは不可能である。１１節では以前の手紙で述べたことをハッキリさせているようである。１２節「外の人たち」、教会外の人たち。「内の人たち」、キリストを信じる神の民としての新しいイスラエル（コロサイ4：5、Ⅰテサ4：12、Ⅰテモ3：7）。１３節の言葉は申命記17：7からのもので、申命記の他の箇所で（19：19、22：21,24、24：7）決まり文句のように繰り返されている。

1、この世には罪があるが、それは神が裁かれる。5：9－10

これは、この世の不品行な者、貪欲な者、略奪をする者、偶像礼拝をする者などと全然交際してはいけないと、言ったのではない。（１０節）

私たちクリスチャンは、教会を中心にして生活をしています。毎週日曜日には主イエス・キリストの復活を記念し、お祝いする礼拝を捧げるために集ります。水曜日には朝、夜と祈り会があります。早天祈祷会もあります。子どものために教会学校があり、今週の１３日土曜日は朝から夕方まで子どもサマースクールが開かれます。共に支え合うためにファミリーがあり、イエス様を中心にして、御言葉の恵みを分かち合い、祈り合っています。このように、私たちは共に集ります。なぜ集るのかといえば、それはイエス様が私たちひとり一人を召し集めて下さったからです。私たちのほうから「集ろう」と言って集ったのではなく、「わたしがあなた方を選んだのである」（ヨハネ15：16）というイエス様の選びによって救いを受け、私たちは集りをしています。

私たちの集りである教会は、この世で行われています。日本では99％がノンクリスチャンという環境の中で、教会の集りは行われています。１０節で、パウロはこの世の典型的な三種類の罪をあげています。私たちは罪が教会に侵入しないように祈って行くことが大切です。この三種類の罪をもっている人は次の通りです。

第一に、道徳的にだらしのない人間で、不品行の者です。不品行とは性的な罪です。進化論の立場から言えば、人間は動物から進化した者であり、動物のように本能を満足させれば良いのであり、それは当然の事だと考えます。しかし、人間には霊があり、本能を満足させるのではなく、神の戒めに従って生きる者であり、十戒の7番目に「あなたは姦淫してはならない」（出20；14）との戒めがあります。余談ですが、この教会の立っている場所は、昔、遊郭だった所ですが、そこが今は教会になっていることは、全てを清くする神の御心の現われです。

第二に、この世の富に対して貪欲な者、略奪する者です。これは何でも欲しいという罪であり、物質中心主義の心です。人は裸で生まれて、裸で死んで行きます。ある銀行家が、自分の棺桶の両側に穴を開けて、そこから手を出させ、死ぬときには何も持っていけないことを皆に見せるようにということを遺言したそうです。聖書は「富むことを願い求める者は、誘惑とワナとに陥り、また人を滅びと破壊とに沈ませる、無分別な恐ろしい様々の情欲に陥るのである金銭を愛することは全ての悪の根である」（Ⅰテモ6：9－10）と告げています。

第三に、偶像礼拝をする者です。十戒は「あなたは、わたしのほかに何者をも神としてはならない」と告げ、「あなたは自分のために刻んだ像を造ってはならない」とい戒めを最初に掲げています（出20：3－4）。

今、三つの代表的な罪のことを言いましたが、この世はこうした罪が満ちています。私たちは、この世に生きていますが、神が最終的には、世の罪を裁かれます。この罪の世にあって、私たちはクリスチャンになりました。クリスチヤンになれたのはイエス様の恵みによります。私たちを、この罪の世から救い出すために、イエス様は十字架にかかって私たちの罪の身代りになって下さいました。自分の罪を認めてキリストを信じることが信仰です。この後に洗礼式がありますが、この信仰を神の前に、人の前に言い表し、「私はクリスチャンとして、イエス様に一生の間、従って行きます」という決意を表すことが洗礼の式です。洗礼は、古い自分を葬る（お葬式する）ことです。洗礼を受けて、自分の信仰がハッキリします。そして、この罪の世の中にあって、罪に負けず、聖霊に導かれて、祝福の道を歩み続けることができます。既に洗礼を受けている方々は、本日の洗礼式を通して、救われていることを感謝して下さい。イエス様を信じているが、まだ洗礼を受けていない方々は。「一日も早く洗礼を受けます」という祈りを捧げて下さい。

2、教会の中に罪が侵入しないように祈り、日々悔改めて主に従って行こう。5：11－13

外の人たちをさばくのは、わたしのすることであろうか。あなたがたのさばくべき者は、内の人たちではないか。外の人たちは、神がさばくのである。（１２節）

教会はこの世にあります。この世は、空中の権をもつサタンの支配の下にありますので、この世は教会を圧迫し、迫害をします。そして、サタンは陰険にも、教会の内側に罪を侵入させようとします。ある人々は教会を理想化しますが、外部からは迫害、内部には罪の侵入という戦いがあり、教会には戦いや混乱があることは事実です。また教会員自身が古い習慣を捨てきれないでいて、躓きを与えることもあり得ます。迫害が来ると、教会をやめる人が出てきます。或いは未熟なクリスチャンの姿を見て、自分はもっと理想の教会を見つけると言って、よその教会へ行く人もいます。

ここで少しばかり、この教会に与えられている恵みを考えてみましょう。１９６５年１２月、アメリカ人宣教師クラー先生夫妻が、宮前町に家を一軒借りて熊谷伝道が始まりました。私は最初から熊谷伝道に携わってきていますが、多くの方々が教会に出入りするのを見てきました。また、いろいろな人間模様がありました。教会は救われた罪人の集りですから、完全無欠ではありません。そうした中にあって、人は移ろい変わって行きましたが、しかし、聖霊に導かれて主の業は前進して来ました。１９８２年１１月、皆の勤労奉仕で現在の会堂を建て上げることが出来ました。神学校に献身者を送り出して５名がフルタイムの伝道者として働き、１名が学びの課程にあります。また、この教会で訓錬を受け、働きつつ神学校で学び、ホームレス伝道に献身している方々がいます。私たちは弱く足りない者ですが、今も生きている主イエス・キリストに導かれて、教会は前進を続けています。それは、イエス様が熊谷の教会を愛し、導いて下さっていることの徴（しるし）です。そして、ここにいるひとり一人がイエス様の愛を受けて、何があろうとうも主を見上げて、常に教会形成のために祈り、奉仕し、献金し、教会を支えておられることを感謝します。

話を戻して、コリント教会の事ですが、教会は港町にあり、長い船旅をした船員や商人が偶像にお参りをして、ついでに売春宿に来るという現実があり、それが不品行という罪になっています。貪欲、略奪をする者がいる、偶像礼拝をする者がいる。しかし、それらはこの世の罪です。この世の罪は神が裁かれます。パウロが問題にしているのは、そうした罪が教会内に侵入していることであり、その事をここでは指摘しています。

１１節に、クリスチャンと呼ばれる人で、不品行な者がいるということです。現在インターネットが普及していますが、人々が一番見ている内容はポルノであるという統計が出ています。日本ではアニメ、テレビドラマを通して不品行の罪が侵入しています。貪欲、略奪とありますが、大きくは道路公団の談合、大会社の不正などがあります。私たちは裏表のない、神の前に明らかな生活をして行くように祈って行きましょう。偶像礼拝とあります。ある方はイエス様を信じると言いましたが、偶像の呪いの本を隠し持っていて、そのために精神的に混乱して入院してしまいました。どんな小さな偶像も棄て去って下さい。偶像を通してサタンが働いてきます。酒に酔う者とありますが、ある訳では酒におぼれる者と訳されています。酒によって自他共に害を与えることを意味しています。私事ですが、私がクリスチャンになった一つのきっかけは酒です。私の父が、飲んでは管をまき、人に迷惑をかけ、暴れたりしている様子を見て、酒とは無縁の者になりたいと思ったからです。その父も、感謝な事に、最終的には悔改めてイエス様を信じて天に帰って行きました。酒と言われていますが、酔って我を忘れるという事で、酒だけでなく、人の理性を狂わせる麻薬も入るでしょう。

１２節の言葉を読みましたが、『クリスチャンであると自称しながら、その生活がまったくこの世の人と変わらない人がいる。そういう人とは本当の交わりが難しいであろう。この世の人のことは神の裁きに委ねよう』と言う事です。１３節に「悪人を除きなさい」という言葉がありますが、これを自分自身に適用して、「悪いもの、罪を私から取り除いて下さい」と祈りましょう。

この箇所から教えられる第一のことは、イエス様を見上げて行くことです。そのために日々に聖書を読み、祈ることが大切です。聖書を読むと、自分の罪が分かり、悔改めの祈りが生まれます、本日の聖書朗読、詩篇51篇で、ダビデは、「わたしは自分の咎を知っています。わたしの罪はいつもわたしの前にあります」と正直に告白しています。「ヒソプをもって、わたしを清めて下さい。わたしはきよくなるでしょう。わたしを洗ってください。わたしは雪よりも白くなるでしょう」と歌っています（55：3,7）。ヨハネは「御子イエスの血がすべての罪からわたしたちをきよめるのである」（Ⅰヨハネ1：7）と言っています。今、新約時代に生きる私たちは、イエス様の十字架によって罪を赦され、恵みの中を歩むことができます。イエス様の十字架の恵みをほめ讃え、感謝しましょう。

第二に、どんな罪でもイエス様によって赦されるという事実です。教会除名などという厳しいことが出てきましたが、コリント第二７：８－１０を開いて下さい。そこに「悲しんで悔改めるに至った」という言葉が記されています。また「悔いのない救いを得させる悔改めに導く」とあります。もし、私たちが悔改めるならば、主は私たちを赦し、聖霊が心に注がれて、新しくなれます。

第三に、イエス様の救いに感謝して行きましょう。感謝の心が主に従って行く力を与えます。よく町の中で、黒い板に白い文字で「死後さばきに会う」、「罪の報酬は死である」という裁きに関する御言葉の一部を抜書きして掲げられているのを見たことがあると思います。またスピーカーのボリュームを一杯にあげて、「さばきについての御言葉」を放送し、「悔改めましょう」と訴えている団体があります。言っていることは間違いではありませんが、あまりにも地獄の恐ろしさだけが強調されすぎているように思います。地獄に行かないで、救われて欲しいという願いの下に伝道がされているのですが、もう少し角度を変えてキリストの恵みを強調してもらいたいと感じます。私たちはキリストの恵みによって救われ、喜びの日々を送り、天国に向かって進んで行く者です。

ある人が、「自分はクリスチャンかどうか分からない。実は酒を飲んでいる。聖書が全部信じられない。例えば偽預言者を殺せと書いてあるが、人を殺せということは信じられない。また自分が救われているという感じがしない」と言った。S牧師は「キリストを信じることが先で、行いは後からついてくる。聖書で救われるのではなく、聖書を通してイエス様を知り、信じ、罪を悔改めて救われるのである。人の救いは感情ではない、キリストの十字架の尊い血潮によって救われる」と答えた。そして、イエス様は「わたしに来る者を決して拒みはしない」（ヨハネ6：37）と言われる愛の救主です、ということを伝えた。半年後、牧師が電話をすると、その人は「キリストの救いは本物です」と答え、その一週間後に天に召されて行ったとのことです。

私たちは、教会生活を共にしながら、愛し合い、赦し合い、祈り合って行きましょう。個人的にイエス様の十字架を見上げて、古い罪の習慣を捨て去って行くように祈って行きましょう。

まとめ

1、１０節、この世には、不品行、貪欲や略奪、偶像礼拝の罪がある。それらの罪から救われていることを感謝しよう。私たちは罪の世から救い出されていることを感謝し、この世のことは神の裁きに委ねて行きましょう。

2、１２節、教会はこの世にあるので、外部からは迫害、内部には侵入してくる罪との戦いがあります。特に侵入してくる罪を取り除いて行きましょう。自分の心の中にある全ての悪しきものを、罪を悔改めて、イエス様の十字架によって清めていただきましょう。イエス様を見上げて下さい。イエス様はどんな罪でも赦される愛の救主です。イエス様の救いに感謝して下さい。

祈　り

天地の主である神様、救主イエス・キリストの救いを受け、神の子にされていることを感謝します。この世は罪に満ちていますが、イエス様の選びにより救われ、祝福の道を歩ませていただいていることを感謝します。今、重荷を抱え、戦いの中にある方々に主の愛と力とが与えられ、勝利を得ることが出来るように導い下さい。病気の方々に、また病気の家族の上に、主イエス様の癒しを与えて下さい。洗礼式を主の臨在をもって導いて下さい。家永大地君が神の聖霊に満たされて、信仰の道を前進して行くように祝福して下さい。洗礼を受ける方々を次々に起して下さい。教会は新幹線下に駐車場を借り、新たなる発展に向かって行きます。全ての経済の必要を満たして下さい。　今週も全ての方々の勤労を祝福し、学びを祝福し、健康を守って下さい。恵み深い神の聖霊による導きを信じ、救主イエス・キリストのお名前によってお祈りを捧げます、アーメン。

参考文献コリント注解―榊原、バークレー、西川、佐藤、フランシスコ会、竹森、文語略解、LAB。