体を神殿として神をたたえよ

体を神殿として神をたたえよ。コリント第一6：12－20　　　　　　主の2005.8.21礼拝

4年に一度オリンピック競技が開かれ、世界中の国々から集った肉体的に完全な選手たちが、スポーツの分野で金メダル、銀メダル、銅メダルをとるべく、戦いを展開します。その華やかな陰にあって、体に障害を持つ人々のパラリンピックという競技があります。事故などで、体に障害を背負っている肉体的に不完全な人々が、例えば事故で歩けなくなり車椅子生活をしている人が、車イスでマラソンをするというように、障害を越えて競技をする姿には敬服させられます。

本日は、コリント第一6：12－20です。20節に「あなた方は代価を払って買い取られたのだ。それだから、自分の体をもって、神の栄光をあらわしなさい」という勧めがあります。私たちは不完全で、愚かですが、キリストの十字架によって救われ、聖霊を宿す者になっていることを感謝します。パラリンピックの人々が、全力を挙げて競技に取り組んでいるように、私たちは聖霊の宮であることを感謝し、全力を注いで神の栄光をあらわして行くように祈って行きたい、と心から願います。この体が、聖霊の住いである神殿であることを感謝し、今週も心から神を喜び、讃える者となって行くように、メッセージを聴き、祈って、共に新しい一週間の旅路を出発して参りましょう。

内　容

1、キリストによる真の自由を、正しく使って行こう。6：12－14

2、キリストによって与えられた聖霊に満たされ、神の栄光を讃えて行こう。6：15－20

資料問題

12節「すべてが許されている。しかし、すべてが益になるわけではない」。モーセ律法の束縛から解放されたことを述べたもの。しかしコリント教会の中に、これをゆがめて、自分たちは性道徳においても、もはやいかなることも禁じられていないと曲解する者達がいた。自由を乱用するのではなくて、クリスチャンに与えられている自由は、人間にとって益になることの獲得のためであることを忘れてはならない。13－14節、食物と腹は相互に依存し合い、持ちつ持たれつの関係。一方は、他方なしにその本来の役割を果たすことができない。この二つのものは。この世の生活に関わることであり、神はそれもこれも滅ぼすと言われているように、いつかは無くなる。キリストの教会は人間の体のようであり、私たちはその肢体である。これは滅びない。何故なら神はキリストを死から復活させたように、私たち人間の体をも復活させて下さるからである。16節「ふたりの者は一体となる」、創世記2：24からの引用。16―17節「遊女につく者、主につく者」、売春婦と交わる者は、自分をその女の支配下に置き、自分の体についての自由を放棄することになり、キリストの体である教会から自分を引き離すことになる。結婚による男女の結合は、キリストの支配の下にあって二人が結ばれることであり、神の祝福を受けて、キリストとの一致をより一層強くすることになる（エペソ5：31－33参照）。19節、クリスチャンひとり一人の体が聖霊の宿る神殿と言われている。（3：16ではクリスチャンの群れである教会に、聖霊が宿っていることを示している）。クリスチャンは自分の体という神の神殿における祭司であり、祈りと讃美をささげ、キリストを信じる者にふさわしい生活をする。姦淫のような自分の神殿を汚すようなあらゆる罪から遠ざからなければならない。

1、キリストによる真の自由を、正しく使って行こう。6：12－14

すべてのことは、わたしに許されている。しかし、すべてのことが益になるわけではない。すべてのことは、わたしに許されている。しかし、わたしは何ものにも支配されることはない。（12節）

多くの人は自由こそ大切であると言います。この箇所で、使徒パウロは「私たちクリスチャンは全てのことを許されている。全てにおいて自由である」と言っています。自由なのであるから、自分の好きなように、勝手気ままにしていいのかと言えば、「何でも自由だからと言って、全ての事が益になる訳ではない。また自由を乱用して、かえって何かに束縛され、支配されるようであってはならない」とも言っています。ある人が刑務所に行き、囚人たちに次のように告げたそうです。「君たちは法律などに縛られずに、法律を越えて自由にやってきたつもりだろう。だが、今の君たちの現状を考えてみるが良い。こんな狭い所に24時間拘束され、冷たいご飯を食べている。何をするにも監視がついている。私はこれから家に帰り、素敵な妻に迎えられ、ステーキを食べ、フカフカのベッドで寝るのだ。いったい本当に自由なのはどっちであろうか。法律を破ってきた君たちのほうであろうか、それとも法律を守ってきた私の方だろうか」（御翼より）。私事ですが、高校時代に足駄（あしだ、高下駄ともいう）というものがあって、それを履いて学校へ通っていました。学校は「靴で登校すべし。下駄、足駄は駄目」という規則でした。私は素足に足駄を履いて歩くと、カラコロカラコロという音がして、それが好きでしたので、「何を履こうと個人の自由だ」と言って足駄を履いて学校へ行く。すると、校門に風紀係りの先生が見張っている。そこで塀の破れ目から入る、見張りがいなくなるのを待って、わざと遅刻して行ったりしました。しかし高校２年生の１１月に洗礼を受けてから、校則を守るようになり、その結果、先生の目をいかに掻い潜るか、塀の破れ目から入る、わざと遅刻するという余分なことから解放されて、学校へ行くのが楽になったということを体験しました。全ては許されているが、しかし全てが益になる訳ではないのです。

13－14節を見てみましょう。食物は腹のため、腹は食物のためである」とありますが、コリント教会の中に、食欲も性欲も同じだと言って、自分の欲望どおりに生きよう、という人がいました。それに対し、パウロは、腹とか食物という地上のもの、地上の生活は、いつかは絶えて無くなるものである。私たちは救われてキリストにつながる者になっている。だから欲望のままに生きて、不品行という罪を犯して体を汚し、心を汚してはならない。キリストは、一度は十字架で死んだが復活されている。私たちも一度は死ぬが終りの日に復活する。食物は地上だけの問題である。不品行に関する性の問題は人格と魂の救いにまで影響を及ぼすことを心に留めなければならない、と言っています。

「すべてのことは許されている。しかし、すべてのことが益になるわけではない」ということについて、10：23では、「すべてのことは許されている。しかし、すべてのことが益になるわけではない。すべてのことは許されている。しかし、すべてのことが人の徳を高めるのではない」と言われています。すべてのことが、私たちを良い人に造り上げ、徳を高めるものではないのです。何が善で、何が悪いことかを識別できなければ、自分を良い人に造り上げ、徳を高める力にはならない。自らを良い人に造り上げ、徳を高めるためには、神の御言葉に従うことが秘訣です。人は罪を犯す自由がある。しかしそれ以上に「罪を犯さない」という自由があります。昔、居酒屋のおばさんがタバコをプカプカ吸いながら私に、「ヘー、タバコ吸わないんですか、うちのお客さんは皆さん吸いますよ。我慢して吸わないんでしょう」と言われたので、「吸えば体に悪いし、周りの人に迷惑をかけるし、私には吸わないという自由があるんですよ」と言ったことがあります。体を汚し、健康を損ねるものから守られ、また様々な場面で守られてきたのは、高校２年の時から毎週日曜日の礼拝と週の半ばの祈り会に出席し、御言葉が知らず知らずのうちに心に蓄えられていたからであると感謝しています。誘惑に勝ち、罪に巻き込まれず、罪を犯さない者になるためには、神の御言葉に従うことが大切です。聖書朗読の箇所、詩篇119：11で、旧約の詩人は、「わたしはあなたにむかって罪を犯すことのないように、心のうちに御言葉をたくわえました」と告白していす。キリストによって与えられた真の自由を感謝し、聖書によって神の御心を知り、聖霊によって祈り、神に従う道を進んで行くように祈って行きましょう。

2、キリストによって与えられた聖霊に満たされ、神の栄光を讃えて行こう。6：15－20

あなた方は知らないのか。自分のからだは、神から受けて自分のうちに宿っている聖霊の宮であって、あなた方は、もはや自分自身のものではないのである。あなた方は代価を払って買い取られたのだ。それだから、自分のからだをもって、神の栄光をあらわしなさい。」（１９－２０節）

私たちはキリストの救いを受けて、教会という群れの中に導かれています。教会とはキリスとの体であると１２：１２以下に記されています（ローマ１２：４以下参照）。キリストを信じて、私たちはキリストの体である教会の一員になり、１５節に言われているように、キリストの体の一部（肢体）になっています。キリストはきよいお方であり、恵みの主です。キリストにつながっていることによって、私たちはきよくされ、沢山の祝福を受けることができます。キリストが下さる祝福は愛です。十字架に命を捧げて、私たちを愛して下さった愛です。ちょっと個人的なことをお許し下さい。先日、孫の愛が、突然小さな台の上にこわれたマイクをもって立ち、「君は愛されるために生まれた、きみの生涯は愛で満ちている」と手を上げて歌い出し、慧がギターを抱えて「あうー」と伴奏し、拓愛がそばで手拍子を打つということになりました。幼子の心の中、イエス様の愛がいつの間にか届いていることを知り、感謝しました。キリストが下さる祝福は平安です。何があっても、万事を益として下さるイエス様によって守られるという平安があることを感謝します。キリストが下さる祝福は霊的必要と共に経済的祝福です。仕事のこと、家族のこと、様々な必要のために祈って行きましょう。

ところが、この素晴らしい恵みを下さるキリストから離れて、教会を離れて、遊女と一体になる者がいる。キリストにつながり、キリストと固く結びついているならば、私たちはいつまでもキリストのものである。その恵みから飛び出て、不品行の罪によって遊女と結びつけば、キリストの恵みを失ってしまうことになります。それは十戒の「あなたは姦淫してはならない」（出エジプト20：14）という神の戒めに背き、心も体も汚すことになる。パウロは「そういうことは断じていけない（絶対に許されない－新改訳）」と厳しく警告しています。

１５－１９節に「知らないのか」という言葉が３回出ています。６章最初のほうにも３回出ています。コリント教会の人々の中には、自分達は何でも知っていると高ぶっている人々がいました。そこでパウロは声を大にして、「あなた方は知るべき大切なことを知っていないではないか。だから、私は『知らないのか』とあなた方に何回もいうのである」と言っていることが分かります。１９節で、パウロは「あなた方は聖霊の宮であるということを知らないのか」と告げ、２０節で「それだから、自分の体をもって神の栄光をあらわせ」という勧めをしています。

体という言葉があります。私たちは体を与えられて生きています。体について、皆さんはどう考えているでしょうか。ふだん元気でいる間は、体のことは当たり前すぎて考えていないかも知れません。少し具合が悪くなると、体を意識して、健康を保つことを考えます。体については、昔から二つの考え方があります。一つは、体は卑しいもので、罪を犯させる。そこで食事を絶ったリすることによって体を苦しめ、欲望を抑えるという禁欲主義があります。もう一つは心がしっかりしていれば、体は好き勝手にしてもかまわないということで、快楽主義があります

聖書は、禁欲主義、快楽主義でもない、全く違う恵みを示しています。　１９節を読みます。私たちのうちに聖霊が住んでおられる。私たちの体が神の神殿であるという恵みが告げられています。そのために「あなた方は代価を払って買い取られた」。だから、あなた方は買い取って下さったお方のものであるから、「自分自身のものではない」と言われています。この体は一度は土に返りますが、１４節にあるように、やがて私たちは甦ります。そのことを信じ、自分の体が聖霊を宿すものであることを感謝し、この体を大切にし、きよく保って生きるのです。そのために、１８節の「不品行を避けなさい」という戒めを心に留めて、キリストにしっかりつながり、教会につながって行くことを心に刻み込んで行くことが大切です。

「神の栄光をあらわせ」ということですが、私たちは喜びと感謝に溢れるクリスチャンとなるように祈って行きましょう。クリスチャンになって、様々な恵みが与えられています。家族が守られている、救われたということも恵みです。仕事が順調である、健康である、願いが叶えられたということなど、自分に与えられた恵みを通して、神の栄光をあらわすということも必要です。しかし最大の感謝は、十字架にかかって、命という代価を払って、私たちを救って下さったイエス様の恵みを受けたことです。この小さな、罪深い者を愛して十字架にかかって下さったのはイエス様だけです。『君は愛されるために生まれた』という讃美は、私たちひとり一人の心の証です。聖霊に満たされている者は、イエス様を愛して、イエス様に感謝して、イエス様の愛を少しでも実践しようという力を与えられます。特に、この素晴らしいイエス様の愛と赦しとを伝えるように祈って下さい。

照井さんという工場に勤める職人の方がイエス様を信じて救われた。彼は年下の若い職人Aにお嫁さんを世話した。ところが、結婚してみて、この女性が性病患者であることが分かった。Aは怒って、嫁を怒鳴りつけ、殴ったり、蹴ったりという騒ぎになった。嫁さんは「私は全ての関係を断ち切って嫁いできました。こんなことでは親元に帰れないし、許してくれなければ、ここで死にます」と泣くばかりです。照井さんはAに呼ばれ、「照井さん、どうしてくれるのだ」と食ってかかられ、照井さんは困って牧師の所に行く。牧師も困って「照井さん、明日の晩もう一度来て下さい」と言って帰ってもらった。翌晩、照井さんが来たが、顔が晴れやかになっている。「帰って聖書を読みましたら、ヨハネ８章より『なんじらのうち、罪なき者、まず石を投げ打て』という御言葉をいただきました」。よい知恵が浮かんでいなかった牧師は驚き、すぐに照井さんと祈った。照井さんがAさんの所に行くと、Aさんは部屋の真ん中に座り込んで難しい顔をしている。隅ではお嫁さんが突っ伏して泣いている。照井さんが言った、「すまんことをした。私は彼女を君に世話した。だが、ああいうことがわかったのだから、君がもう我慢ができない、出すというのであれば、止めない。彼女は親元にも帰れないだろうから、私の責任だから、私の家に引き取って世話をする」。そして「しかし、俺は長い間職人だ。お前も職人だ。全部が全部ではないが、職人がどんな生活、遊びをしているか知っているだろう。ところでイエス様はこうおっしゃるんだ」と聖書をめくって、「イエス様は『なんじらのうち、罪なき者、まず石を投げ打て』と言われている。どうだ、出すか、出さないか。出すんだったら私が引き受ける」。Aさんはじっと考えこんでいたが、最後に弱々しく「照井さん、今さら出すわけにも行くまい」と言ったそうです。その一言を聞いたお嫁さんが、職人の膝にしがみついて「これから、これから本当に良い嫁になります」と言って泣き伏した。次の日曜日から、Aさん夫婦は新しい生活を求めて礼拝に出席するようになったのです。照井さん自身が罪の生活から救われて、新しい人生を歩んでいました。イエス様を信じて、「誰でもキリストになるならば、その人は新しく造られた者である。古いものは過ぎ去った、見よ、すべてが新しくなったのである」（Ⅱコリ5：17）という救いを受けて、聖霊に満たされていたので、牧師も及びもつかないような知恵を神から与えられ、イエス様の愛を示し、Aさんとお嫁さんの危機を救い、二人をイエス様の救いの中へと導くために用いられました。

キリストによって救われ、心も体も清められていることを感謝します。この私たちのうちに聖霊が宿っていることを感謝します。この体が神の神殿です。キリストの十字架の救いを感謝し、神を讃える者であることを感謝しましょう。私たちも周りの方々に、キリストの救いの恵みを伝えて行きましょう。それが神の栄光をあらわす生活です。

まとめ

1、１２節、キリストによって与えられた真の自由を正しく使い、キリストに従う自由を与えられていることを感謝し、御言葉に従って進んで行きましょう。

2、１９－２０節、聖霊の宮である体をもって、霊をもって、イエス・キリストの十字架を讃えましょう。喜びと感謝をあらわし、神の栄光をあらわして行くように、特にイエス様の愛を伝えることができる様に祈って行きましょう。

祈　り

天地の主である神様、イエス様の救いを感謝します。私たちの罪を赦し、この体を聖霊の宮として下さったことを感謝します。神の栄光をあらわして行くように、心にイエス様による愛と喜びを一杯に満たして下さい。十字架という代価をもって救いを与えて下さったイエス様の恵みを宣べ伝えて行くように、私たちを用いて、家族を、友達を、周りの方々を救いの中に導いて下さい。多くの方々の体の病気、心の病気を癒して下さい。今週も聖霊に満たされ、どんなことも祈りながら、主の祝福の道を歩ませて下さい。午後からのネームレス集会、夜の礼拝を祝して下さい。十字架の代価によって私たちに救いを与えて下さったイエス・キリストの御名によって祈ります、アーメン。

参考文献コリント注解―黒崎、フランシスコ会、バークレー、西川、榊原、佐藤、竹森。LAB。「人生の選択・木村文太郎著」