もろもろの人よ、主を仰ぎ見て救われよ

もろもろの人よ、主を仰ぎ見て救われよ！　イザヤ45：18－46：4　　　主の2005.9.18礼拝

本屋さんに「ヨーロッパ思想入門」という本が並んでいました。表紙に、緑豊かな地に、レンガ色の屋根の家が整然と並んでいるヨーロッパの町並みの写真が載せられていたので、イギリスを思い出し、内容に興味があり、購入して読みました。内容は、ヨーロッパ思想を形成するギリシャ思想、ヘブライ（ユダヤ）思想からキリスト教のことが分かり易く解説されていました。しかし、キリストの復活については、「弟子たちはみな、人間を根源的に生かす霊の力がイエスの言行のうちにあったことを、イエスの死後に自覚したのであり、これが、復活のイエスに出会ったということなのではあるまいか」と記されています。また、「人間の外にプネウマ（霊）が存在し、それが人間を動かすと考えてはならない。人間自身が人間のうちから吹き上げる善の息吹に鼓吹されて善き行為をなす。そこに神の栄光が現れるのである」と述べられています。人間が中心であり、神は実在のお方ではなく、人間の思想の産物であるいう考えに立っています。キリストがいたことは認めていますが、死んでしまった。だが、弟子達はキリストの言葉を思い出して生きる力を受けた、それが復活であるというように述べられています。

本日はイザヤ45：18－46－4です。主は45：22「地の果なるもろもろの人よ（すべての者よ）、わたしを仰ぎのぞめ（仰ぎ見よ）、そうすれば救われる」。46：3－4「わたしがあなた方を持ち運び（背負い）、かつ救う」と言われています。人間は、神がいると思うことによって、生きる力を自分の内から湧き上がらせることは不可能です。聖書は告げます、「人間を創造された主なる神がおられる。主なる神はキリストによって現された。私たちは、主なるキリストを仰ぎのぞめば、罪から救われる。聖霊が与えられ、人生を生き抜く力と、永遠の命を受けて、天国に行けるという確かな希望が持てる」。

今朝も、主の臨在の中に、共に主のメッセージを聴いて、今週も聖霊に導かれて行く日々であるように祈りましょう。

内　容

1、主はたた一人である。45：18－21

2、主を信ぜよ。45：22-24

3、主に縋れよ。46：1－4

資料問題

45：19「わたしは隠れたところ、地の暗いところでは語らない」、これは占い術をもって陰府より神託を求める必要のない事をいう。「『わたしを尋ねるのはむだだ』と言わなかった」、尋ねるとは占い術によるのではなく、真実をもって尋ね求めること。尋ねる者に、主は正しいことを語り、まっすぐなことを告げる。主の啓示は率直であり、霊とまことをもって神を拝する者に主は答えて下さる（ヨハネ4：24）。２２節「地の果なるもろもろの人」、全世界のすべての人々。「仰ぎのぞめ」、「顔を向けよ」の意で、偶像に向けられていた顔が主に向けかえられねならない。「わたしのほうに向きを変えよーフランシコ会訳」。23節「すべての舌は誓いをたてる」、ローマ14：11。ピリピ2：10－11でイエスの名に当てはめられている。46：1「ベル、ネボ」、バビロンの神々の名。46：2－3は、人や獣に負われる偶像と、人を背負う神との大いなる相違が示されている。４節には原文で「我」が６回繰り返され、我らを負いたもうお方は主ヤハウェであることが強調されている。

1、主はただ一人である。45：18－21

天を創造された主、すなわち神であって、また地をも造り成し、これを堅くし、いたずらにこれを創造されず、これを人の住みかに造られた主はこう言われる、「わたしは主である、わたしのほかに神はいない」。（45：18）

イザヤは旧約時代の預言者です。イザヤ書は６６章あり、特に５３章はキリストの十字架を預言した箇所として愛読され、また、神が私たちと共にいて下さるというインマヌエルの預言もあります（7：14）。

本日の箇所ですが、４５:１８で、天地万物を創造された主なる神様がおられること、45：２１に「わたしのほかには神はいない」と宣言されています。私たちクリスチャンは、使徒信条で「我は天地の造り主、全能の父なる神を信ず」と告白し、神は唯一の、何でもお出来になる（全能）、全世界の創造主であることを信じています。この神様は遠くにいるお方ではなく、イエス様が「主の祈り」で教えて下さったように、「我らの父よ」と呼ぶことができる親しいお方です。しかし、まことの神様を知らないと、人間の手で作った木像（２０節）を拝む、鳥や獣や這うものを拝む偶像礼拝という愚かなことをするようになります。私たちクリスチャンは、偶像礼拝から解放されていることを感謝しましょう。改めて、主はただ一人であることを、次の点から確かにいたしましょう。

第一に、多くの人は偶像を拝んでいます。偶像礼拝は罪です。江戸後期の国学者平田篤胤（1776－1843）は、「神といえば皆ひとしくや思うらん、虫なるもあり鳥なるもあり」と歌っていますが、何でもいいから信心すればいいのだということで、多くの人々が間違ったものを拝んでいます。例えば、船乗りが拝んでいる四国・金比羅神社はインドのクンピーラ、すなわち鰐を祭ったものです。大きな木にしめ縄を張って神木とする。大きな岩を大岩大明神とする。小さい頃、近所のおばさんが、お天道様と称して太陽を拝んでいました。考えて見ますと、冬にストーブを焚いて部屋を温めますが、ストーブに向って「ストーブよ、暖かくしてくれて有り難う」とは言いません。太陽は地球の１２８万倍ぐらいある火の塊で、地球を照らし、暖めるために神様が創造されたものです。その太陽を、お天道様として拝むのは無意味なことです。また日本では人が死ぬと、神々として祭ったりしますが、何と大泥棒のねずみ小僧次郎吉まで神に祭り上げられています。偶像礼拝は罪です。私たちクリスチャンは、様々な偶像を捨て、偶像礼拝から自由になっていることを感謝しましょう。

第二に、神様は、ただ一人、何でもお出来になる、生きているまことの神様です。日本には、病気の時はお薬師さん、婦人病は淡島さん、金儲けは恵比寿さん、縁談は出雲の神というようにいろいろな神々を拝む迷信があります。しかし、家には家長が一人、市には市長が一人、県には県知事一人、国には総理大臣一人というように、世界と宇宙の神様はただ一人です。日本の太陽、アメリカの太陽などの区別なく、唯一の太陽が全世界を照らしています。まして太陽を創り、月を創り、万物を創造された神様に、日本の神、アメリカの神などという区別はありません。全宇宙の神、何でもお出来になり、私たちが「お父さん」と呼ぶことのできる神様こそが、私たちの信じているまことの神様です。

第三に、キリストが神様を現して下さいました。トマスがキリストに、「主イエス様、私たちに天の父を、直接見ることができるように、今示して下さい。そうすれば満足します」と訴えました。キリストは「わたしを見た者は天の父を見たのである。それなのに、どうして『直接見ることができるようして下さい』と言うのか。わたしが天の父の中におり、天の父がわたしのうちにおられることを信じないのか・・・」と答えています（ヨハネ14：8－10）。キリストを見れば神様が分かります。神様が天地を創造された力を、キリストは嵐を静めることによって示しています（マルコ4：35－41）。神様が人に命を与えた力を、キリストは病人を癒し、死人を甦らせることによって表しています（マタイ8：16－17、9：18－26）。神が愛であることを、キリストは人となって３３年半の人生を歩まれ、人生の苦しみの全てを体験されました。そして人が神様から離れている罪の故に、人間が様々の苦しみを抱えていることを知り、十字架にかかって人間の罪の身代りになって死んで下さいました（マルコ10：45）。キリストを信じると、罪が赦され、神の子になり、聖霊が心の中に来られて、天の父なる神様にお祈りできるように導いて下さいます‹ロマ8：14－16）。

A青年が「神様が分からない。神様を見たら信じられるのに」と悩んでいました。ある日、彼が「神様が分かりましたよ。イエス様が『わたしを見た者は神を見たのである』（ヨハネ14：8）と言われた箇所を読んで、イエス様を信じれば良いのだ。イエス様を信じたら、神の子にされました。神様が分かりました」と喜んでいました。聖書に「イエス・キリストを信じ、受け入れた者は神の子となる特権を与えられた」（ヨハネ1：12）と約束されているように、イエス様を信じることによって、天地万物を創造された神様が私たちの天のお父様である、私たちはその子どもであることを感謝しましょう。

2、主を信ぜよ。45：22－24

地の果てなるもろもろの人よ、わたしを仰ぎのぞめ、そうすれば救われる。わたしは神であって、ほかに神はないからだ。（45：２２）

神様は全人類を救う計画を立て、まずアブラハムをカルデヤのウルの地から導き出し、ユダヤ人の先祖にしました。神様はユダヤ人に救いの計画を伝え、それが旧約聖書に記されました。神の特別な選びを受けたユダヤ人たちは選民という意識を持つようになって行きます。しかし神様の計画は全人類の救いであり、そのためにユダヤ人を用いるということでした。45：22に全人類を救う主の呼びかけがあります。「地の果てなるもろもろの人（すべての人）」とは全世界のすべての民族を指しています。特定の選ばれた民族、特別な階級の人が救われるのではない、主の救いはすべての人に与えられるものです。この主の呼びかけは真実です。何故なら、その次に「わたしを仰ぎのぞめ（仰ぎ見よ）、そうすれば救われる」とありますが、主のほうに自分の顔を向ければ、誰でも無条件で、その場で救われるという約束です。世の中に多くの宗教と言われるものがありますが、お布施や寄付の金額によって、信心のあるなしを判定します。主の救いはまことに簡単です。「わたしを仰ぎのぞめ（仰ぎ見よ）」という事だけです。なぜ主を仰ぎ見るだけで良いのでしょうか。

第一に、人間には良いことをする力がないからです。人間には罪があり、したいと思う良いことは何一つできず、したくないと思う悪いことをやめられないでいます（ロマ7：15－25）。人間は神様から十戒を与えられましたが（出エジプト２０章）、それを守ることができないというのが人間の実際の姿です。そこで、主を仰ぎのぞむだけで（仰ぎ見るだけで）救われるという恵みの方法が示されたのです。

第二に、主を仰ぎのぞむということは誰でもできるからです。例えば、もし何かをするという能力、特別な家に生まれるという身分、沢山のお金を積むという財力が必要であるとするならば、ここにいる誰一人として救われることはできなかったでしょう。新約の時代に生きる私たちは、主というお方がイエス・キリストであることを知っています。キリストは天の栄光の位を捨てて地上に人間として来られ、私たちの罪を、その身に背負って十字架に上り、罪の身代りとなって命を捧げて下さいました。「主を仰ぎのぞめ」ということは、キリストの十字架を信じるということです。十字架を信じるという事ですが、キリストが話されたことを思い起します。・・・・昔イスラエルの人々が神様に背き、蛇に咬まれて死ぬという刑罰を受けたことがある。モーセが神様に祈ると、神様は青銅で蛇の形を作り、それを竿の上にかけ、その青銅の蛇を仰ぎ見た者は、蛇の毒から守られて生きることができた（民数記２１章）。青銅の蛇が竿の上に上げられたように、わたしも上げられる、すなわち人の罪の身代りになって十字架に上る。青銅の蛇を押し仰ぎ見た者が救われたように、わたしの十字架を仰ぎ見て、わたしを信じる者は救われる（ヨハネ福音書３章）・・・・キリストの十字架を仰ぎのそむということだけで、救いの恵みを与えて下さった主なる神様に感謝を捧げましょう。

第三に、主を仰ぎのぞむということを、個人的に決断をすることが重要です。イスラエルの人々が蛇に咬まれた時に、青銅の蛇を仰ぎ見た者は生きることが出来たのですが、バカバカしいと言って青銅の蛇を仰ぎ見なかった者は毒が回って死んで行ったのです。キリストの十字架を仰ぎ見るか、仰ぎ見ないか。キリストの十字架を信じるか、キリストの十字架を信じられないというのか。救いの道は二つに一つです。皆さんがキリストの十字架を信じて救われていることは幸いです。キリストを信じるという決断をすることが救いを受ける時です。信じるということは、自分の心の扉を開いて、キリストを個人的に迎え入れることです。今までに、多くの方々にキリストを紹介して来ました。いろいろな人がキリストを信じる決断をして、キリストを心の中に迎え入れてくれました。その度ごとに「見よ、今は恵みの時、見よ、今は救いの日である」（Ⅱコリ6：2）ということを感謝しました。今、きょうという日に、キリストを信じることが祝福です。そしてキリストにつながり続けることが祝福を持続させます。ここにおられる方々は既にキリストを心に迎え入れていることと思いまが、大事な質問をいたします・・・・今イエス・キリストはあなたの心のどこにおられますか・・・・。あなたの心の片隅ですか。奥の部屋ですか。心の真ん中ですか（心の王座）。心の真ん中に主を迎えて、主に従って行く生活を前進して行きましょう。

3、主に縋れよ。46：1－4　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（46：4）

わたしはあなたの年老いるまで変わらず、白髪となるまで、あなた方を持ち運ぶ。わたしは造ったゆえ、必ず負い、かつ救う。

４６：1－2、ベル、ネボはバビロンの偶像です。偶像は人々が持ち運びしている。運んでいる獣が疲れ、人も疲れている。偶像には彼らを癒す力がないという皮肉を込めた描写です。46：3－4には一転して私たちの主は活きておられる、主は私たちを最後の最後まで面倒を見て下さるということが告げられています。

日本は急速に高齢化社会を迎えています。私事ですが、昨日私の親族が集って、家族の召天者記念会を行いました。１２時から礼拝をささげ、その後に交わりの時を持ちました。私は７人兄弟ですが、２人が召されています。残された兄弟たちも、５０代以上になっています。人は確実に老いて行くことを思いました。最近は、老人が急速に増えて行く対策の一つとして健康管理の必要が叫ばれています。様々な体操、健康法が紹介され、テレビでも放送されています。しかし残念なことに、肉体の健康保持は訴えられていますが、心の健康保持ということは訴えられていないようです。心の健康保持のために、このイザヤ46：3－4は大きな支えになります。本日「敬老祝福式」をいたしますが、７０歳以上の方々が３名いらっしゃいます。心から主の祝福をお祈りしたいと思っています。

主は、私たちを生まれた時から、一生の間守り続けると約束されています。主に縋りましょう。縋るところはイエス様です。個人的なことを言いますがお聞き下さい。家内の両親は既に天に召されています。この中にいる多くの方々が父母とのお交わりをもっておられたと思います。父母は韓国にいたのですが、戦争で一切を失い、身一つで日本に帰って来ました。苦労を重ねましたが、その時にキリストを信じ、クリスチャンになりました。ひとり娘で会った家内を献身者として主にささげましたが、不思議な主の導きで私たちと共に住むために九州より熊谷に移住して来ました。開拓伝道時代から、教会の働きのために祈り、献げ続けてくれました。教会に多くの方々が講師として、お客として来訪しますが、その接待費用を黙って献金してくれました。年金暮らしでしたが、主のためには惜しみなく献げてくれました。父は晩年にガンになり、１年自宅療養をし、たった一晩入院しただけで、母と家内の讃美と祈りに送られて静かに天に帰って行きました。母も最期まで家にいて、常に教会の方々のために祈り、最後に数日間入院し、讃美に送られて天に帰って行きました。私は二人を看取った者として、聖書朗読のピリピ１：６「あなた方のうちに良い業を始められた方が、キリスト・イエスの日までにそれを完成して下さるに違いないと確信している」と共に、イザヤ46：4は真実であると証言できる事を感謝します。

若い方々には遠い先のような話かも知れません。しかし人間は必ず老いて行きます。若い皆さんは「伝道の書１２章」を読んで下さい。少し年配の方々は４６:３－４を心に刻んで、最後まで信仰を貫いて、主に従い、天の御国に進んで行く決意を深めて行きましょう。若い人も、年配の方々も、主に縋って信仰の道を進んで参りましょう。

まとめ

1、45：18、主はただ一人の生きている神です。神を現して下さったイエス・キリストに感謝しましょう。キリストによって神の子になっている恵みに感謝を捧げましょう。

2、45：22、主を仰ぎ見れば救われます。主を信じましょう。主なるキリストを心の王座に迎えて。信仰生活に励みましょう。

3、46：4、主が私たちの一生を導き、支えて下さいます。主に縋って行きましょう。

祈　り　天地の主である神様、主を仰ぎのぞむだけで救われる恵みを与えて下さって感謝します。主イエス・キリストによって新しい人生に入っていることを感謝し、主が生涯の終りに至るまで私たちを導き、守って下さることを信じ、感謝します。いつも主を仰ぎのぞみつつ、聖霊によって祈りながら、今週も生活して行くように導いて下さい。主イエス・キリストの御名によって祈ります、アーメン。

参考文献イザヤ注解―口語略解、フランシスコ会、ソーヤー、岸。「キリスト教案内・沢村著」「ヨーロッパ思想」門・岩田靖夫・岩波」