わたしの教会を建てよう

わたしの教会を建てよう。マタイ16：15－19　　　　　　　　主の2005.11.27礼拝（アドベント第一週）

私は高校生２年生６月礼拝に出席し、１１月に洗礼を受け、教会生活が始まり今日に至っています。２３歳で神学校に入り、全国の教会を廻りました。卒業後、熊谷に任命されて伝道牧会をしていますが、時々全国の教会やアメリカ、韓国、イギリス、ノルウエーなどの教会を廻る機会を与えられている事を感謝します。また、毎月１回、上野ホームレス伝道で野外の教会で奉仕できる事を感謝しています。私が日々の伝道牧会を通して確信することは、「信仰生活とは教会生活である」ということです（使徒2：41－47、ヘブル10：19－25）。また、私が全国、世界各地の教会を廻って得た恵みは、どの教会にも、でしゃばらず、目立たぬようにして、牧師を助け、教会を支えている、忠実な方々がいるという事実です。熊谷の教会も、ここにいる忠実な皆さん方によって支えられていることを感謝します。私の信仰生活が今日まで保たれているのは、主の選びと恵みによるものですが、私の側から言えば、教会にずっと結びついていたからであると信じ、感謝しています。ここにも30年、40年、50年とキリストに従い、教会生活を続けている方々がおられる事を感謝します。

本日はマタイ16：15－19です。キリストに対し、ペテロが弟子を代表し「あなたこそ生ける神の子キリストです」という信仰告白をしました（16節）。それを受けて、キリストは、「ペテロよ、神様が示された『あなたこそ生ける神の子キリストです』という信仰告白の岩（土台）の上に、わたしの教会を建てよう」と宣言されました（18節）。キリストは、十字架の犠牲によって罪の赦しの道を開き、十字架の三日後に死を打ち破って復活して永遠の命が確かであることを示し、天国に帰って行かれました。現在キリストは天国において、私たちのために場所を備え、間もなく再臨されます（ヨハネ14：1－3）。キリストの再臨までの間、私たちは教会の一員になって信仰生活をしていますが、キリストは聖霊をおくって私たちに祈る力を与え、祈りながら信仰生活を継続するように導いておられます。

今朝、「あなたこそ生ける神の子キリストです」という信仰によって、私たちひとり一人がキリストの教会の一員として、共に礼拝を捧げる祝福の中にいることを感謝します。教会につながっていることを喜びながら、今週も恵み深い聖霊に導かれて祝福の道を歩んで参りましょう。来週はスティーブン・ケイラー師を招いて特別集会が2回あります。今週、特別に毎日祈って備え、2回の集会に出席して主の恵みをいっぱい、溢れるほどにいただくようにしましょう。

内　容

1、まことの教会は、キリストを信じる者の教会である。16：15－17

2、まことの教会は、キリストの教会である。16：18前半

3、まことの教会は、勝利の教会である。16：18後半―19

資料問題

16節「生ける神の子キリスト」、マルコ8：27－30、ルカ9：18－21と同じ内容であるが、「生ける神の子」という表現はマタイだけである。マタイは、いろいろな時や場所で起った幾つかの事柄をまとめて記すことがあり（５－7章の山上の説教、８－９章のいやし）、ここでは教会に関する考察をまとめている（１４－１８章）。１８節「この岩」、１６節の信仰告白を指す。１８節「黄泉の力（門）もそれに打ち勝つことはない」、キリストはご自分の死と復活とによって死を征服された。教会はキリストの体と言われ（Ⅰコリント１２：１２以下）、教会にはキリストの勝利による永遠の命の力が満ちている。１９節「天国のかぎ」、キリストを伝える時、信じる者は罪を赦され、信じない者は罪の中につながれたままである。その大事な福音伝道という権能はペテロ以下今日のクリスチャンに委ねられている。

1、まことの教会は、キリストを信じる者の教会である。16：15－17

シモン・ペテロが答えて言った、「あなたこそ生ける神の子キリストです。するとイエスは彼にむかって言われた、「バルヨナ・シモン、あなたは幸いである。あなたにこのことをあらわしたのは血肉ではなく、天にいますわたしの父である」。（16－１７節）

毎週毎週日曜日が巡り来（きた）るたびごとに、私たちはキリスストの復活を記念して、喜びと感謝をもって礼拝に集っています。その他、日曜日の夜の礼拝、週の半ばの祈祷会、毎朝の早天祈祷会など多くの集会があります。ある方は、ノンクリスチャンから「よく毎週教会に行かれますね」と不思議そうに言われたことがあるそうですが、私たちクリスチャンにとっては、キリストを信じる者が教会に行くことは当たり前のことになっています。また、共に集って礼拝などの集会を捧げる教会堂があることを感謝します。

ここで教会の歴史を述べます。開拓当初、一年かかって集会のできる家を捜し、そこで集会が、軌道に乗ってきた時に、新幹線建設で立ち退きになり引っ越しをしました。引っ越した家は、一ヶ月前に越して下さいと言われたら明け渡す、という条件でしたが１０年以上守られ、１９８０年現在地を購入し、１９８２年１１月、今の会堂を皆の勤労奉仕で建てあげました。この会堂で集会を始めた頃は「広い所に移れた」と思っていましたが、現在は狭いとう感じになっています。それだけ教会が成長していることを感謝します。今後ますます集る人が増えるでしょうし、クリスマス、冠婚葬祭、ファミリー、食堂、トイレなどのことを考えれば、もう少しの広さが必要です。駐車場として借りている裏側（北側）の土地を地主さんが「教会に売りたい」という気持ちになるように祈って下さい・・・。

話を戻して、キリストを信じる者の群れである教会の集会に共に集えることを感謝します。クリスチャンにとって、教会は心の故郷です。聖書朗読の詩篇８４篇の冒頭で、「万軍の主よ、あなたの住いはいかに麗しいことでしょう。わが魂は絶え入るばかりに主の大庭を慕い、わが心とわが身は生ける神に向って喜び歌います」（Ⅰ－2節）、終りでは「あなたの大庭にいる一日は、よそにいる千日にもまさるのです。わたしは悪の天幕にいるよりは、むしろ、わが神の家の門守りとなることを願います」とうたわれていました（10節）。この詩篇を読む時に、神の宮にいることを喜んでいる詩人の思いが強く迫ってきます。クリスチャンであれば、教会という神の宮にいることを最善最上の喜びとしている事と思います。しかし、実際問題として、キリストを愛する思いに満ち溢れ、信仰が恵まれ

ている時は常に教会に行きたい、教会の集会に出席したいと思っています。例えば日曜礼拝に出席するために、掃除洗濯や様々な用事を土曜までに済ませ、日曜日にはさっと出かけられるよう

に生活を整えます。ところが、信仰が少しマンネリ化し、この世の事を優先させると、様々な理由を作り出して教会から遠ざかる事を考え、休んでしまい、祝福を逃がしてしまうことになります。

ここで、「クリスチャンはなぜ教会に集まるのか」ということを確認しておきましょう。それは１６節にあるように、キリストを神の救主、私の人生の主として信じる信仰の告白をしたからです。キリストを信じる者の集まりが教会ですから、クリスチャンがキリストを中心とする教会の集りに出席するのは当然な事なのです。キリストを信じるという事ですが、１７節で、キリストはペテロに対し、「バルヨナ（ヨナの子）・シモンよ。あなたに信仰を告白させたのは血肉（人間）ではなく、神様です」と告げています。パウロは、「聖霊によらなければ誰も『イエスは主である』と言うことができない」と述べています（Ⅰコリント12：3）。「あなたこそ生ける神の子キリストです」という信仰告白は、「キリストが私たちの罪の身代りになって十字架の上に死んで下さった救主である」、「キリストが死を打ち破って復活され、永遠に活きている主である」という内容を含んでいます。

私たちは、キリストがご自分の身を犠牲にして十字架の上で死んだこと、キリストが死を打ち破って甦ったことを感謝し、キリストの恵みをほめたたえ、喜び、記念するために、キリストの甦った日曜日に礼拝を捧げています。礼拝の始めに、「あなたがたの体を神に喜ばれる、生きた、聖なる供え物として捧げなさい。それがあなた方のなすべき霊的な礼拝である」（ロマ12：1）という御言葉が読まれます。体を捧げるとは、自分の全てという事です。心を捧げているから体は好きなことをしていと言って教会に行かない、忙しいから少しだけ献金して教会に行かないということではありません。体を教会に運ぶということが大切です。ある方は夜勤明けで出席し、あるかたは仕事をやりくりして出席しています。どうしても来られない方は夜の礼拝に出席する、水曜日の祈り会に出席するというように工夫しています。クリスチャンはキリストの教会を愛し、教会中心の生活をして行きます。

島村牧師は、若い頃に四国の山奥で救われました。教会は町にしかない。礼拝を捧げるために彼は祈って、考えて次のようにした。自動車のない時代ですから、日の出前に起きて山道を５時間ほど歩いて町の教会の礼拝に出席する。礼拝後５時間かけて山の村へ帰って行く。彼は日曜日ごとに礼拝を守り、信仰が恵まれ、後に牧師になって主に用いられ、良い働きをしました。

私たちもキリストを信じる者として、教会に集うことを喜びとして、信仰生活に励んで行くように、決断の祈りを捧げて下さい。

2、まことの教会は、キリストの教会である。１６：１８前半

「そこで、わたしもあなたに言う、あなたはペテロである。そして、わたしはこの岩の上にわたしの教会を建てよう」。（１８節前半）

１８節で、キリストはペテロの信仰告白を受けて、驚くべき宣言をされています。「ペテロよ、ペテロには岩と言う意味があるが、あなたは時々感情に流されたりしてグラグラする。だが、あなたの『生ける神の子キリスト』という信仰告白は、神様が与えて下さったものである。わたしは、この信仰告白を岩とし、土台として、わたしの教会を建てよう。わたしを『生ける神の子キリストである』と信じる者は、誰でもわたしの教会の一員になれる」と言われたのです。人種、男女、身分、貧富、学歴などは関係ありません。キリストを信じる者は誰でも神の家族になり、教会のメンバーになれるのです。教会は、キリストを生きている神の救主として信じるという信仰を土台にしています。

キリストは、「わたしの教会を建てよう」と言われました。三つの事柄がまことの教会の土台です。

1、教会は、キリストが頭（かしら）です。キリストが中心です。コロサイ1：18

私たちは頭（かしら）であるキリストにつながる体の各器官です。キリストに固く結びついて、キリストの命をいただいている者です（ロマ12：4－5）。

2、教会は、聖書６６巻が私たちの信仰と生活の唯一の基準（正典）であることを信じています。テモテ第二3：16

私たちは毎日聖書を読んで、霊的に養われ、聖書を規範として生活して行きます。

3、教会は、聖霊によって導かれます。使徒9：31

聖霊は常にキリストに栄光を帰する働きをしますので、キリストを頭（かしら）とし、キリストを中心とする教会には聖霊が豊かに働いています。

キリストは、「わたしの教会を建てよう」と言われました。五つの事柄がまことの教会の印です。

1、礼拝ー神を畏れ敬い、神に仕えること。ヨハネ4：24

2、交わりー神の家族として、互いに重荷を担い合い、祈り合って行くこと。コロサイ3：12－17

3、奉仕―クリスチャン相互が仕え合って行くこと。ロマ12：13－21

4、学びー神の言葉である聖書を学び、聖書に従う生活をする。テモテ第二3：14－17

5、伝道―教会外の救われていない人々に向って、救主であり主であるキリストを宣べ伝え、キリストの弟子となるように導く。マルコ16：15、マタイ28：18－20

賀川豊彦（1888－1960）は、現代で言えば山谷のような町、神戸の貧民窟に住み込んでキリストを伝道しました。しばしば海外伝道をし、社会事業を実践しました。日本が戦争に負け、侵略した中国から多額の賠償金を請求される事になりました。その時、中国代表の蒋介石は「日本には賀川豊彦先生がおられる」という事で賠償請求を取り下げてくれました。賀川豊彦の遺書の一節に、「日本の教会を強くして下さい」という祈りの言葉があります。キリストを信じる者たちが集い、喜びと感謝の力を受けて行く所が教会です。彼は、日本の教会に讃美の声が高らかに響きわたり、祈りが熱心に捧げられ、神の言葉が真っ直ぐに説き明かされ、感謝の献金が捧げられ、伝道が盛んに行われ、温かい交わりが盛んになることを祈っていました。私たちの教会も含めて、全国７８３５の教会（日本宣教祈りのガイドより）が恵まれて伝道に励み、救われる人々が増え続け、クリスチャン人口１％のカベを打ち砕いて行くように祈りましょう。付け加えますが、温かい交わりの、具体的な事柄として、初めて教会に来られた人や、新しい人に声をかけることを忘れないで下さい。

3、まことの教会は、勝利の教会である。１6：１８後半―19

「黄泉の力もそれ（教会）に打ち勝つことはない。わたしは、あなたに天国のカギを授けよう。あなたが地上でつなぐことは天でもつながれ、あなたが地上で解くことは天でも解かれるであろう」。（１６：１８後半―19）

黄泉の力（国）とは、サタンの支配する死と滅びを指しています。サタンは、以前は明けの明星と呼ばれ、神に仕える天使の中で最も美しい天使でした。ところが彼は自分の美しさや力が神から与えられたものであることを忘れ、神に背き、天上から落とされ、世界の終りの日に審判を受け、地獄の火の中に投げ込まれます（イザヤ14：12－15）。それまでの間、「この世の君」（ヨハネ16：11）として活動し、人間を罪に誘惑し、地獄に行く仲間を増やそうとしています。しかし、キリストは十字架によってサタンの力を打ち砕かれました。キリストを信じる者には聖霊が与えられています。聖霊は、祈りを与え（ロマ8：15）、伝道の力を満たし（使徒1：8）、霊の賜物（Ⅰコリント１２章）をそれぞれに分け与えて下さいます。パウロは、キリストを信じる者の群れである教会のことを「聖霊の宮」（Ⅰコリント3：16）と呼んでいます。サタンは必死になってクリスチャンを誘惑し、教会に分裂分派をもたらそうとしています。だが、私たちには聖霊が与えられています。キリストを信じる者には、聖霊によって神の愛が注がれ（ロマ5：5）、サタンを退ける力が与えられ、キリストにおける神の愛から引き離されることはないのです（ロマ8：38－39）。

１９世紀末に共産主義という考えが世界に広まりました。心などの精神を認めず、「宗教は阿片である」という唯物主義の思想です。この考えに基づいて、２０世紀にロシヤで革命が起きて、共産主義を原理とする国家が樹立されました。共産国家がしたことは、キリスト教会の破壊であり、多くのクリスチャンが迫害され、強制収容所に送られました。教会は壊滅すると思われました。ところが、迫害が激しければ激しいほど、クリスチャン達の信仰が燃え、会堂を逃れて、森の中、農家の納屋などに集まり、教会の働きを継続し、自由世界にいるクリスチャン達がひそかに聖書を運び、多くの人々が救われて行きました。ご存知のように、共産主義国家ソビエトは僅か７０年で滅んでしまい、現在ではソビエト時代に壊された教会堂の復興が盛んに行われています。「黄泉の力は教会に打ち勝つ事はない」というのは本当であり、教会には勝利の力が与えられています。北朝鮮、中国などの共産主義に基づく国家の将来も神の手に握られています。そこで迫害を受けながら信仰生活をしているクリスチャン達のために祈って下さい。

まとめ

1、16：15－17、まことの教会は、キリストを信じる者の集まりです。

2、16：18前半、まことの教会は、キリストの教会です。キリストが頭であり、聖書を基準（正典）とし、聖霊の導きという三つの土台があります。礼拝、交わり、奉仕、学び、伝道という五つの印があります。

3、１６：１８後半―19、まことの教会は、サタンの力を砕く勝利の教会です。

祈　り

天地の主である神様、私たちのためにキリストを遣わして下さったことを感謝します。私たちは、キリストに対し、聖霊によって「あなたこそ生ける神の子キリストです」という信仰告白をし、キリストを信じるように導かれてクリスチャンになっていることを感謝します。「信仰生活は教会生活である」ことをますます実践して行くように導いて下さい。キリストの教会にしっかり繫がり、聖書の御言葉に従い、聖霊によって祈りを与えられて、今週も主に従う日々でありますように祝福して下さい。

来週はスティーブン・ケイラー先生を迎えて、午後２回の特別集会があります。祈って備え、２回の集会を通して、ひとり一人が主の恵みを受けて、キリストに従う献身の決意を深める時として下さい。生ける神の子イエス・キリストの御名によってお祈りをいたします、アーメン。

参考文献マタイ注解―フランシスコ会、米田、口語略解、LAB、「主の弟子となる・尾山著」、「人生の選択・木村著」