クリスマスの恵みー「ことば」は人となり、わたしたちのうちに宿った

クリスマスの恵みー「ことば」は肉体となり、わたしたちのうちに宿った。ヨハネ1：14－18　主の2005.12.18礼拝

本日午後２時より「教会学校クリスマス」が行われます。次世代の教会を担う子ども達に毎週日曜日朝９時より教会学校が開かれ、聖書を体系的に教えています。子ども達がキリストを信じ、御言葉によって養われ、霊的に成長し、しっかり教会に繫がって行くようにお祈り下さい。一年間、毎週日曜日朝早く教会に来て、教会学校教師として奉仕されている方々のためにお祈り下さい。

以前夏に、教会学校で赤城山に行き、野外にテントを張ってキャンプをしたことがあります。テントが倒れないように地面に杭を打ち込んで支柱を立て、雨降りの時に水が入らないようにテントの周りに溝を掘り、眠りにつきました。ところが夜中に雨が降り、テントの中に水が浸入し、大騒ぎをしたことを思い出します。

本日はヨハネ1：14－18です。１４節に「宿った（住まわれた）」という言葉がありますが、これは「テントを張った」という意味です。テントはあくまでも仮のもので、永住が目的ではなく、一時的に寝泊りするためのものです。「言（ことば・ロゴス）は・・・宿った」とありますが、言とはイエス・キリストのことです。キリストは神の独り子としての栄光を棄てて、クリスマスの日にユダヤのベツレヘムの馬小屋に人として生まれ、３３年半の人生を歩み、最後に私たちの罪の身代りとしてエルサレムのゴルゴタの十字架に命を捧げて下さいました。しかし、キリストは死より復活され、天に帰って行かれました。もう一度この地上に来るまで（再臨）、キリストは信じる者のために天国に場所を備え、また私たちのために執り成しの祈りを捧げています。１４節の御言葉は、キリストが人間を救うという目的のために、テントを張るように、人間となって一時的にこの地上に住まわれたことを意味しています。

キリストがこの地上に宿った日がクリスマスです。教会では、この午後は教会学校クリスマス、２３日クリスマス祝会（於：行田商工センター）、２５日クリスマス礼拝、洗礼式と続きます。第一に祈り、第二に祈り、第三に祈ってクリスマスの中心であるイエス・キリストをお祝いし、救主であるキリストを伝えましょう。特に今週２３日（金・祝日）のクリスマス祝会に、祈って多くの新しい方々を誘って出席して下さい。

では、今朝も主のメッセージを共に聴き、祈って、今週の旅路を出発して参りましょう。

内　容

1、キリストは、私たちのために天から地上に来られ、人となられた救主である。1：14前半、１８節

2、キリストを救主と信じる者に、恵みが与えられる。１：１4後半―17節

資料問題

１４節「肉体」、直訳では「肉」で、もろい、死すべき人間を指す（イザヤ40：6－8、詩篇55：4）。「宿った」、直訳は「天幕を張る」。ヤハウェはイスラエルの民に幕屋（神殿）を建てさせ、そこに住んだ（出エジプト25：8－9、40：33－35）。幕屋はこの世におけるヤハウェの住いであった。この節では神であることば（キリスト）が人の姿をとって、人間の中に住んだこと、即ちキリストがこの世での神の新しい住いとして旧約の幕屋にとって代わったことを宣言している。「栄光」、キリストの変貌（マタイ17：1－5）、奇蹟（2：11）、特に復活を指す。「ひとり子」、人々が恵みによって神の子（養子）となるのと異なり、キリストは本質的に父なる神と同じであり、「唯一の神の子」だからである。1６節「満ち満ちている」、プレロマ（コロサイ1：9）でパウロの手紙に数回出てくる。「めぐみにめぐみを加えられた」、キリスト誕生以前の人々に増して、新約の人々がことば（ロゴス）であるキリストから多くの恵みを受けることを意味している。１８節「父のふところ」、親しい関係を指す表現。キリストは復活後、父のもとに上り、時満ちて再臨なさるまで、今もそこにおられる。

1、キリストは、私たちのために天から地上に来られ、人となられた救主である。

そして、言（ことば・ロゴス）は肉体となり、私たちのうちに宿った。わたしたちはその栄光を見た（１４節前半）・・・神を見た者はまだひとりもいない。ただ父の懐（ふところ）にいる独り子なる神だけが、神をあらわしたのである（１８節）。

１４節冒頭に「言（ことば）」とあります。1：1－4の箇所にも言が何回も出てきます。この言とは救主であり主であるイエス・キリストを指しています。この福音書を書いたヨハネは1４節を通して、「イエス・キリストは人間となられて、私たち（ヨハネなど直弟子）のいるこの地上に来られた。人となられたキリストに直接出会った私たちは、イエス・キリストがいかに恵み深いお方であるか、またイエス・キリストが真理そのものであるということをよく知っている。それは神の独り子としての栄光であって、私たちはその栄光を見たのである」と伝えているのです。１８節に「父の懐（ふところ）にいる独り子なる神」とありますが、これもイエス・キリストを指しています。

１４節、１８節からキリストの恵みを三つ知ることができます。

第一に、キリストは私たちの所に来て、私たちをきよめて下さる救主です。

キリストが生まれた場所は家畜小屋です。人間が住む所は寝る所、トイレは別々です。ふつう毎日、家の中を掃除して片付け、暮しやすくしています。家畜小屋は食べる所、トイレは一緒です。以前、牛を何十頭も飼っている所を訪ねました。牛を飼っている方は「うちの牛小屋はきれいですよ」と言いましたが、牛の食べる所、トイレが一緒ですから、糞とオシッコの臭いが入り混じり、ハエが群れをなして飛んでいました。その中で、牛は寄ってくるハエを尻尾で追い払いながら餌を食べていました。キリストは家畜小屋で誕生され、布にくるまれて飼い葉桶をベッド替わりにして寝かされました。新生児にとっては良くない環境です。そこへ羊飼い達がやって来て、キリストを礼拝し、喜びの讃美で心を満たされて帰って行きました（ルカ2：8－20）。遠い外国の地より、星を研究する博士達もやって来て、ひれ伏してキリストを拝み、黄金、没薬、乳香などを捧げて、またはるばる遠い地に帰って行きました（マタイ2：1－13）。キリストが誕生したことによって、暗い、臭い、汚い家畜小屋が輝く聖所になり、礼拝の場になりました。私たちの心は罪のために汚れきっていましたが、キリストを心に迎えた事によって、罪を赦され、きよめられ、聖霊の宮になっている事を感謝しましょう。

第二に、キリストは苦しんで、特に十字架で苦しんで、私たちを救って下さる救主です。

日本に仏教が入って来て、数多くの仏像が刻まれています。仏像はこの世の苦悩に打ち勝ち、悟りを開いたことを示す穏やかな顔になっています。その穏やかな顔は、人間の求める理想を示しているかも知れませんが、現実の苦しみの中にいる人間の痛みを知らないかのようです。

人間の現実を見てみると、様々な苦しみを背負っています。

＊人間は病気の苦しみを背負っています。

＊人間は孤独の苦しみを背負っています。私の場合、小学校時代、中学時代、高校時代、大学時代にそれぞれ親友と言える友人がいましたが、みな亡くなっています。しかし幸いなことにクリスチャンになったことによって皆さんをはじめ、多くの兄弟姉妹が与えられていることを感謝します。

＊人間関係の破れという苦しみを背負っています。２４日に上野ホームレス伝道に行きますが、集るホームレスの多くの人が、離婚、家族からの疎外などによって、懐かしい家族から切り離されています。人の保証人になったら、当事者は借金を残して逃げてしまい、そのために全財産を返済に当て、家を失っている人もいます。ホームレスの大半はそういう痛みを背負っている人々です。

＊人間は経済問題という苦しみを背負っています。

＊人間は良心の呵責という苦しみを背負っています。ある警察の留置場に盗みで捕まった男が、夜な夜な大きな唸り声を発している。最初は体の具合が悪いのかもしれないと警察病院で調べたが、具合の悪い所はない。そこで係官が「何か罪を隠しているのであろう」と、もう一度調べた時に「人殺しを隠していました。昼間はそれを忘れようとしているが、夢に人殺しのことが出てくる」と自白をしたそうです。罪を隠していると、心が責められます。

＊人間は死ぬという苦しみを背負っています。今年、教会はこの近所１２軒の町内会班長の年ですが、町内会の仕事の中にお葬式の時にお手伝いするという役割があります。教会がこの場所に移ってきてから２３年になりますが、今までに１２軒の家庭から１０人の方々が亡くなっています。人は確実に死んで行くという現実があることを思います。クリスチャンは「我らの国籍は天に在り」（ピリピ3：20）ということを信じ、死を越えて天国に行けるという希望があるから幸いです。しかし多くの方々は死の彼方に何があるか分からずに苦しんでいます。

キリストは、人間の背負っている苦しみの全てを人として体験され、苦しみの原因である罪の身代りになって十字架に命を捧げて下さいました。

＊キリストは、病気をしたことはないのですが、人々の病気を引き受けて、それによって人々の病気を癒しています（マタイ8：16－17）。

＊キリストは、３年半も寝食を共にした弟子達に裏切られ、孤独の苦しみ、人間関係の破れを、ご自分の身をもって味わっています（マルコ14：50、ヨハネ13：2）。

＊キリストは、流浪の旅をして経済問題の苦しみを体験しています（マタイ8：20）。

＊キリストは、罪のない神の独り子ですから、良心の呵責、死とは無関係なお方ですが、キリストは人間のもつあらゆる苦しみは、人間が神に背いている罪のためであることを知っていました。そこで、あらゆる苦しみの原因である罪のために、ご自分の清い命を十字架に捧げて、人間の罪の身代りになって下さったのです（Ⅱコリント5：21）。神の独り子キリストが十字架の上で私たちの罪のために苦しみ、血を流して死んで下さったことを信じると、罪が赦されたことによる大きな安心と喜びが心に満ちてきます。死を越えて天国があることを知って、死を怖れなくなります。心に聖霊が与えられて神様に祈りを捧げることができるようになり、神の御心に従って生きる力が与えられます（ローマ8：14－16）。

＊クリスマスに際して祈りましょう・・・「イエス様、十字架によって私の罪を贖うために、天の栄光の位を棄てて、人としてこの世に生まれて来て下さったことを感謝します。クリスマスの機会に、イエス様の素晴らしい救いを誰かに伝えることができるように私を用いて下さい」・・・。クリスマスに際し、イエス様を伝道しましょう。特に２３日クリスマス祝会に多くの方々が導かれるように祈りましょう。

第三に、キリストの救いと諸宗教との根本的違いを図示します。（豊留真澄博士による。）

一般の宗教は、人間が神を求めるもので「偶像礼拝」です。人間には罪があるので、絶対にまことの神に到達することはできません。そこで神様のほうからご自分を表して下さいました（啓示という）。旧約時代、まず預言者が遣わされました。そして、この終りの時代（終末）に神の独り子であるキリストが遣わされ、救いに関する真理を余すところなく明らかにされました。キリストはご自分の身を十字架に捧げて救いの道を開かれ、死を打ち破って復活されました。十字架と復活とによって、キリストはご自分がまことの救主であることを明らかにされたのです（Ⅰコリント15：1―11）。

2、キリストを救主と信じる者に、恵みが与えられる。１：１４後半―１７節

わたしたちすべての者は、その満ち満ちているものの中から受けて、めぐみにめぐみを加えられた。1：16）

１４節後半で、このヨハネ福音書を書いた使徒ヨハネは、「私たちはキリストを見た。このお方こそ恵みに溢れるまことの救主である」と言っています。１５節のヨハネはキリストより少し前に生まれ、キリストが来られることを人々に紹介したバプテスマ（洗礼者）のヨハネのことです。彼はキリストより先に生まれたのですが、後から生まれたキリストを、「わたしよりも先におられた」と紹介しています。これはキリストが永遠の神として存在しておられることを言い表したものです（８：５８）。ヨハネ福音書を書いた使徒ヨハネのことですが、彼は年若くしてキリストの弟子になり、キリストが天に帰ってから約６０年間生きて、諸教会を指導した人物です。彼は６０年間キリストのことを考え続けてヨハネ福音書を記し、全ての人が、キリストが神の救主であることを信じて永遠の命を受け、神の子どもになるようにと願っています（20：31）。

１６－１７節を通して、ヨハネは、モーセによって律法が与えられたが、人間は神様の教えを完全に行うことができなかったことを述べています。神様は律法を守れない人間を冷たく突き放すようなことはせず、人間を救うためにキリストが来られて、人間の罪の赦しという恵みの真理を与えて下さったことを告げています。１6節によれば、キリストには全てのものが豊かにあり、私たちは恵みに恵みを、即ち恵みを数え切れないほどに頂いていると言われています。

キリストによって与えられた恵みは数々ありますが、「インマヌエル（神我らと共にいます）」（マタイ1：23）という恵みがあります。・・・突然お尋ねしますが、キリストは、今、どこにおられますか・・・。キリストは私たちの心の中におられます。２００５年、教会に与えられた、「この奥義はあなたがたのうちにいますキリストであり、栄光の望みである」（コロサイ1：27）という素晴らしい御言葉を思い出して下さい。キリストは私たちを離れず、私たちを棄てず、どんな時にも私たちと共におられる、永遠に活きているまことの救主です。イタリヤにアッシジのフランシスコ（1181－1226）という修道僧がいました。アッシジにある聖ダミアーノ修道院に行くと、その壁にフランシスコの「太陽讃歌」が掲げられています。

　「造られたものは、たたえよみ神を、

ハレルヤ、ハレルヤ、

輝く太陽、夜を照らす月も

主をほめたたえよ。・・・」（「讃美歌21」223）

詩の横に説明の言葉が刻んであって、この讃歌を作った時のフランシスコは、ほとんど目が見えない状態だったそうです。詩の内容からは、若者が美しい野で喜びの声をあげているような情景を想像しますが、実際は狭い庭でほとんど目の見えないフランシスコが、心の目を開いて、神の恵みに照らされた世界を見つつ讃美していたのでした。これこそが、インマヌエル（神我らと共にいます）という信仰の恵みです。

ここでヤコブの言葉を思い起します（ヤコブ5：13－18）。

＊「あなたがたの中に苦しんでいる者があるか。その人は祈るがよい」・・・困難な問題に直面してなかなか出口が見えない人、心の鬱がとれずストレスを感じている人、人間関係のトラブル、家族の救い、仕事のことなど様々な事柄がありますが、目の見えなかったフランシスコが明るい太陽の輝きを心に感じたように、必ず心に光が与えられ、問題を乗り越えて行く力と逃れの道が備えられます。

＊「喜んでいる者があるか。その人は讃美するがよい」・・・もっともっと主に感謝して祈りましょう。

＊「病んでいる人がいるか」・・・主が病んでいる人を立ち上がらせて下さる。信じて祈りましょう。

活きているキリストが共にいて、必ず私たちを支え、守って下さいます。

まとめ

1、１４節前半、１８節、クリスマスの日、キリストは私たちの所に来られ、あらゆる苦しみを体験され、最後には罪がないのに私たちの罪を背負って十字架によって救いを与えて下さいました。キリストは私たちに救いを与えるために、死ぬために来られたまことの救主です。

2、１６節、キリストが与えて下さったものは恵みです。キリストは常に共にて下さるインマヌエルの活きている主です。目の見えないフランシスコでしたが、心は明るく恵まれていました。それは共にいて下さるインマヌエルの主に縋っていたからです。主が助け、支え、守り、導いて下さいます。主に祈りましょう。

＊聖歌584（旧560）番「心にあるこの安きを」をうたい、お祈り致します。

祈　り

父なる神様、クリスマスに独り子であるイエス・キリストが栄光を棄てて人となって下さったことを感謝します。人間のもつあらゆる苦しみを体験され、最後には十字架の上で私たちの罪の身代りになって下さったことを感謝します。この愛のキリストが共にいて下さるというインマヌエルの恵みに感謝します。午後の子どもクリスマス、２３日クリスマス祝会、２４日上野ホームレス・クリスマス伝道、２５日クリスマス礼拝、洗礼式を祝福して下さい。特に２３日クリスマス祝会に沢山の新しい方々が集い、イエス様の救いを求め、受け入れる機会にして下さい。全てが恵まれるように、聖霊が導いて下さい。私たちのために人となり、救いを与えて下さったイエス・キリストの御名によって祈ります、アーメン。

参考文献ヨハネ注解―黒崎、フランシスコ会、LAB、口語略解、米田、榊原、文語略解。「信徒の友１２月号」