神の国を求める者は、キリスト中心の教会生活を実践する　ロマ12：17―20

神の国を求める者は、キリスト中心の教会生活を実践する　ロマ16：17―20　　主の2006.2.26礼拝

Ｙ牧師が東北の教会に派遣されました。そこは会堂があり、信徒の方々も多い教会でした。しかし牧師のいない無牧の時代があり、その時に何かのことで信徒同士の意見の食い違いが感情的にもつれてしまい、教会がバラバラになりそうな状態でした。そこへ赴任したＹ牧師は、祈って、聖餐式を行いました。聖餐式とは、私たちの罪の罰のために、十字架の上で裂かれた主イエス・キリストの体を記念するパンを食し、罪の赦しのために主イエス・キリストが十字架上で流された血を記念するブドウの杯を飲んで、「主よ、十字架は私のためでした」という信仰を新たにする恵みの式です。新しい牧師と共に信徒一同が聖餐式に与り、十字架の恵みに感謝し、心を合わせて祈った時に、信徒同士の仲違いがなくなり、それぞれの心に喜びと平安が与えられました。

本日の聖書はロマ１６:１７－２０です。２０節に「平和の神」とありますが、私たちの信じる創造主であるまことの神様は、常に平和をもたらす恵み深い神様です。１７節に「分裂、つまずき」とありますが、これはサタンからくるものです。サタンは、１８節で「キリストに仕えない」と言われていますが、キリストに反対する反キリストがサタンの正体です。サタンにより東北の教会に生じた分裂の危機は、十字架を信じ、記念する聖餐式を通して、キリストによる神の平和という祝福を受けました。

私たちは、年頭に「まず神の国と神の義とを求めなさい」（マタイ6：33）という御言葉をいただき、毎週それに関連する各方面よりの御言葉のメッセージを通して、主の教えと励ましとをいただき、主に従う決断をささげてきました。今日の礼拝後、昨年の恵みを振り返って感謝し、今年も主を見上げて前進するために、それぞれがキリストへの献身を新たにする教会総会があります。主キリストに仕え、平和の神を見上げ、私たちを常に真理に導く聖霊の助けを求めて祈って下さい。今朝、「神の国を求める者は、キリスト中心の教会生活を実践する」という、主の御言葉のメッセージをいただき、共に祈って新しい一週間を出発して参りましょう。

内　容

1、主は、私たちにサタンの働きを見破る知恵を与えて下さる。16：17-18

2、主は、私たちをキリストに従うように導き、勝利を与えて下さる。16：19－20

資料問題

パウロの伝道を妨げた一派にユダヤ主義の偽教師がいた。本日の個所で、パウロはロマ書を閉じるに際し、改めて偽教師を含めたあらゆる反キリストの教えに警戒するように注意を促している。

１８節「仕える」は奴隷となること。「自分の腹に仕える」はピリピ3：19を見よ。自分の腹に仕えるとは、自分の欲望を第一とすること、さらに自分の思想至上主義、霊的自己満足主義、人間中心主義を指す。１９節「疎（う）とく」は悪を混合せず人を害することのないことを意味する。マタイ１０:１６参照。２０節「平和の神はサタンをすみやかにあなた方の足の下に踏み砕く」、やがて神はサタンを完全に征服して、御子の足台とする（詩篇110：1）。今サタンの活動は蛇の臨終における尾の躍動にすぎない。昔、戦勝者が完全な勝利を得た証拠に敵の大将の首を足で踏んだように（ヨシュア10：24）、やがて神は私たちに、サタンに対する全き勝利を得させるのである。

1、主は、私たちにサタンの働きを見破る知恵を与えて下さる。16：17－18

なぜなら、こうした人々は、わたしたちの主キリストに仕えないで、自分の腹に仕え、こうして甘言と美辞（なめらかな言葉、へつらいの言葉）とをもって、純朴な人々の心を欺く者どもだからである。（１８節）

使徒パウロはロマ書を閉じようとしていたのですが、彼の心の中に思い起した大事なことを急いで記しているのが本日の個所です。パウロは、今から約２０００年ほど前、「人は罪を悔改めて、十字架に罪の身代りとなられたイエス・キリストを信じれば誰でも救われる」という福音を伝道して、世界各地を行き巡り、多くの人々が救われて各地に教会が誕生しました。ところが、ユダヤ主義の教師たちが、「信じるだけでは足りない、律法を守ることによって、また行いによって救われる」という偽の教えを説いて、パウロの伝道活動を妨害し、迫害を加えていました。さらに、その他に「キリストは神ではない」という異端の教えを持ち込んで、教会に分裂、躓きをもたらす者たちもいました。そこで、パウロは「あなた方に勧告する」（１７節）と言って、間違った教えに対し警告しています。

１７－１８節より間違った教えを見分けるために三つのことを教えられます。

第一に、間違った教えは、学んだ教えに背かせる、即ち聖書に従わないようにさせます。聖書の中心はイエス・キリストですから（ヨハネ5：39）、聖書に従わないという事は、キリストを信じない事であり、救われないという事です。ここでキリストを信じて救われるという事を確認しておきましょう。

はじめに間違った教えです。

第二に、間違った教えは分裂を起こし、人につまずきを与えます。主イエス・キリストにある交わりは、あたたかく喜びに満ちています。何故ならキリストは愛のお方ですので、キリストを信じる者の交わりに愛が注がれ、心が恵まれるからです。キリスト中心から外れて、「自分が幻を見た」とか「あの人の信仰はこうである」とかいう人間の言葉、評価を言う人がいれば、そういう人たちは分裂と躓きをもたらします。パウロは、そういう人々から遠ざかりなさいと言っています。私は、聖霊に導かれて、そうした間違った人々から守られてきたことを感謝します。間違わないために、常日頃、聖書を読み、祈りをし、集会で主のメッセージを聴いて、信仰を養って行くことが大切です。

第三に、間違った教えはキリストに仕えないで、自分の腹に仕えます。自分の腹に仕えるというのは、自分の欲望を満たすということで、そのために甘言と美辞というごまかしの言葉をもって人を騙します。以前にアメリカでふたり牧師がスキャンダルを起こしました。ふたりともテレビを通して福音を伝えるという事で、楽団や合唱隊による華やかなショーのような演出をし、その後で聖書を語るというものでした。「教会に行かなくても、お茶の間で礼拝できる」ということで献金を募りました。テレビを見て、伝道のためにという事でアメリカ中から献金が寄せられました。その献金を用いて、さらに伝道をするはずであったのに、ふたりの牧師はサタンの誘惑に負けて、豪華な生活をし、女性問題を起こし、それが明るみに出され、ふたりとも消えて行きました。彼らの失敗の原因はキリストに仕えないで、自分の欲望に仕えたからです。仕えるというのは奴隷になるという意味があります。キリストの奴隷になって、キリストに仕えるのがクリスチャンです。しかし、ふたりのアメリカの牧師は金銭の奴隷になり、失脚してしまったのです。ライブドア事件があり、警察が捜査を進めています。事件の根底には「お金があれば何でも出来る」という考えがあったと言われています。パウロは、「富む事を願い求める者は、誘惑と罠とに陥り、また人を滅びと破壊とに沈ませる、無分別な恐ろしいさまざまの情欲に陥るのである。金銭を愛することは、すべての悪の根である。ある人々は欲張って金銭を求め、信仰から迷い出て、多くの苦痛をもって自分自身を刺し通した」という警告をしています〈Ⅰテモテ6：9－10〉。

2、主は、私たちをキリストに従うように導き、勝利を与えて下さる。16：19－20

平和の神は、サタンを速やかにあなた方の足の下に踏み砕くであろう。〈２０節〉

パウロは、１９節前半で、ローマ教会の人々がキリストに従順であることを喜んでいます。彼らの信仰はまわりの人々の知るところとなって、多くの教会に良い影響を与えていたようです。パウロはまだローマの教会に行ったことはないのですが、ローマ教会の人々が、キリスト中心の信仰を保ち、キリストに対する従順さをもって信仰生活に励んでいることを伝え聞いて心から喜んでいます。そして、キリストに従順であることに付け加えて、パウロは１９節後半で二つのことを願っています

一つめに、クリスチャンは「善にさとくあって欲しい」と言われています。神の御言葉に従い、神に喜ばれる良いことは、積極的にどんどんして行こうという願っています。昨日は上野公園ホームレス伝道３００名の集会がありました。上野公園ホームレス伝道に行き始めて６年ですが、一つのことを長く継続するためには信仰が必要です。皆さんのお祈りに支えられていることを感謝します。この働きは何処らの援助もありませんが、クリスチャンの祈りと支援、またノンクリスチャンからの助けによって支えられています。このために全てをなげうって、足立区梅島の倉庫の建物を教会にし、その場所で救われたホームレスの人々と共同生活をしている比留間夫妻によって続けられています。上野公園・国立博物館前の広場が集会の場所で、昨日の礼拝で私がメッセージを語り、奉仕参加者による讃美と祈りの御用をしました。礼拝後の給食活動の時に、皆さんからのおにぎりをお配りし、大いに喜んでもらいました。その他に、お米、カイロ、生活用品、衣類、醤油、衣類などの献げ物。献金に感謝いたします。「善にさとく」ということを、ホームレス伝道という具体的な形で、皆さんの祈りと多くの献げ物によって実践されていることを感謝します。「善にさとく」あるために、これまで以上にお互いのために祈り合って下さい。教会の祈りの最前線基地は水曜日の朝と夜の祈り会です。また火曜日から土曜日朝６時からの早天祈祷会です。あらゆる事柄が祈られています。出席する方々は自分のために祈ることより、もっぱら様々な祈りの要請を受けて人々のために執り成しの祈りを捧げています。しかし、人のために祈ることによって、自分の問題、願いなどがいつの間にか叶えられ、満たされているという恵みが与えられています。今日は教会総会がありますが、思いを新たにしてキリストへの献身を新たにする機会です。キリストへの献身の具体的な表れとして、祈り会出席、早天祈祷会出席を祈って下さい。

二つめに、クリスチャンは「悪にうとくあって欲しい」と言われています。これは悪を混ぜてはいけないという意味が含まれています。サタンの得意の手口は、正しい事の中に嘘を混ぜることです。最初の人間アダムとエバに対し、神様は「善悪を知る木からは取って食べてはならない。それを取って食べると、きっと死ぬであろう」（創世記2：17）と言われました。サタンは「あなた方は決して死ぬ事はないでしょう」（同3：4）と嘘を言っています。私たちは、どちらが本当なのかと迷う時には、いつでも神の御言葉である聖書に照らし合わせて、聖書の言うとおりにするならば間違いありません。聖書の御言葉に従うことが悪にうとくあるための秘訣です。

２０節は勝利の約束です。（もう一度読んでみます）。神様は私たちにサタンを踏み砕く力、サタンに勝利する力を与えて下さいます。創世記3：15によれば、キリストによって、サタンの頭が砕かれると記されています。そのことはキリストの十字架によって実現しました。でもサタンが活動しています。何故でしょうか。それは蛇が頭を砕かれて臨終を迎える時に、しばらくの間、蛇の尾はバタバタもがいています。サタンは十字架でキリストによって滅ぼされていますが、やがて地獄の火の池に投げ落とされます。それまで少しの間だけ、蛇の尾のようにバタバタして最後の悪あがきをして、人間を誘惑しています。しかし、サタンは間もなく完全に滅ばされる時がやって来ます。私たちの心をキリストに向けて、信仰生活に励んで行けばサタンに負けることはありません。

サタンを打ち砕く力は、祈りによって与えられます。私も様々なことで祈りますが、なかなか聴かれない祈りもあります。サタンは言います「お前の祈りは聴かれない」「祈りをやめて活動しなさい」などと言って、サタンは祈りをやめさせようとします。しかし、平和の神はサタンを速やかにあなたの足の下に踏み砕く、と約束されています。速やかにという約束を信じて、祈りましょう。速やかに、最も良い時に、最も必要な時に、祈りは聴かれて行きます。現在も様々な祈りの要請があります。金曜日、神学校の同級生から電話がありました。彼は家の事情で教団を退き、働きながら伝道する道を選び、自宅を集会できるように建て、日曜日礼拝を行っています。娘さんの結婚も決まって一安心という時に、奥さんがガンになり、医師からあと２年の命ですと告げられたので、祈って欲しいということでした。彼は言っています、「こういう試練の時こそ、神様に信頼し、主の癒しを信じて祈る。働きながらの伝道であるが、祝福されている。娘と結婚する相手はノンクリスチャンであったが、信仰をもち洗礼を受けた。そして彼の両親も教会に来るようになっている」。サタンがどんなに攻め寄せて来ても、私たちには信仰が与えられています。パウロは言っています、「誰がキリストの愛から私たちを離れさせるのか。患難、苦悩、迫害、飢え、裸、剣か・・・私たちを愛しててくださった方によって、私たちは、これら全ての事において勝ち得て余りがある（圧倒的な勝利者となる）」（8：35－37）。

祈りましょう。キリストを信じ、キリストの教会にしっかりと繫がり、教会の仲間のために、その家族のために、イエス・キリストの御名によって執り成しの祈りを捧げ続けて行きましょう。祈りは聴かれ、神様の力によりサタンの力は打ち砕かれます。私が祈った祈りで、長い祈りは１７年間の祈りでした。人間の尺度では長いかも知れませんが、主にあっては一日は千年のようであり、千年は一日のようです。人間的な時間ではなく、神様は一番良いタイミングをもって祈りを叶えて下さいます。諦めずに祈りましょう。祈りは必ず聴かれます。今朝あなたの課題を祈って下さい、

まとめ

1、17－１８節、私たちにはサタンの働きを打ち破る知恵が与えられています。サタンは分裂と躓きをもたらします。サタンはキリストに敵対する反キリストです。サタンは偽教師達を通して、キリストを信じないように誘惑します。救いはキリストを信じることです。キリストを信じる私たちは聖書の御言葉に従います。キリストを中心にして、あたたかい真実な交わりをして行きましょう。

2、１9－20節、キリストに従って行く時に勝利が与えられます。教会にしっかりと繫がり、主イエス・キリストの御名によって祈りましょう。神様はサタンの力を打ち砕き、勝利を与えて下さいます。

＊聖歌総合534（旧516）「世人は敵に」を歌い、祈ります。

祈　り　　天地の主である神様、独り子イエス・キリストの十字架を信じ、救われて神の子にされていることを感謝します。キリストの体である教会に繫がり、キリストに仕えて行く信仰の日々を導き。守って下さい。あらゆるサタンの力を砕いて下さる神様に心から信頼し、聖書の御言葉を信じ、キリストの御名によって祈り、いつも神様に従って行けるように、私たちを恵み深い聖霊によって導いて下さい。教会総会を聖霊によって導き、献身を新たにするように祈りを与えて下さい。十字架によって一致をもたらして下さった救主イエス・キリストのお名前によって祈ります、アーメン。

参考文献ロマ書注解―黒崎、フランシスコ会、竹森、尾山、バーネット、文語略解、木村、福田、佐藤、バークレー、内村、岩隈