クリスチャンは、聖霊の助けによって祈る恵みを与えられている　ロマ8：26

クリスチャンは、聖霊の助けによって祈る恵みを与えられている　ロマ8：26－27　　主の2006.3.19礼拝

先週１７日（木）－１８日（金）中央聖書神学校関東分校教師研修会が、飯能市・あじさい館で開かれました。あじさい館で開かれたのは、忙しい日常生活から離れ、じっくりと祈り学ぶためです。それと、県の施設で料金が安く、特に６０歳以上は料金が３０％ほど安くなるという特典があったからです。来年から分校は、中央聖書神学校の４年間の夜間コースとなり、卒業生は伝道師として教団の伝道師になれます。教会奉仕者コースも併設し、教会での奉仕者養成もします。夜間コースが出来ることによって働きながら学んで伝道者になり、また定年退職した人が余生を主のために捧げる道が開かれます。伝道者として、或いは教会奉仕者として主に仕え、伝道する人々が増大して行くことを願っています。そうしたことを祈り、協議しましたが、皆さんのお祈りに感謝します。

ところで、学校ということですが、私たちはイエス様によって救われ、天国学校の一員になっています。天国学校の生徒として、聖書を学び、お祈りをします。音楽は主を讃美します。信仰生活の中心は教会です。私たちは礼拝を中心にして、教会に常に集まり、様々な奉仕を通して信仰の実践をしています。ふつうの学校では卒業がありますが、天国学校は地上で卒業はありません。天国に行くことが目的だからです。天国では涙が拭われ、死も、悲しみも、叫びも、痛みもなく、キリストに結びつき、永遠の祝福の中に生きて行くようになります（黙示録２１章）。

本日はロマ8：26－27です。私たちは天国学校の生徒として、毎日祈っています。私たちが祈れるのは8：15、「聖霊を受け、『アバ、父よ』とまことの神に祈る」ことが出来るようになったからです。本日の聖書個所では、聖霊によって祈るということが教えられています。私たちは、神の聖霊によって祈る恵みを与えられていることを感謝し、今週も祈りを深め、喜びと平安の日々を前進して行くために、メッセージに耳を傾け、共に祈って新しい一週間の旅路へと出発して参りましょう。

内容区分

1、聖霊は、弱い私たちを助けて祈りに導いて下さる。8：26前半

2、聖霊は、私たちと共にうめき、執り成して下さる。８:２６後半

3、聖霊は、私たちが本当の祈りをささげるように導いて下さる。8：27

資料問題

２６節「同じように」とは「聖霊が今まで恵みをもって導かれたように、ここでも同じように導いて下さる」ということを表している。今までに述べられている聖霊の働きは、第一に聖霊が肉を征服すること（8：5－13）、第二は私たちが神の子であることを証しすること（8：14－17）、第三は私たちが御国を受け継ぐ事を保証（8：18－25）、第四は、本日の個所で、聖霊は私たちの弱さを助け、祈らせてくださることを教えている。「弱い私たち」、私たちは弱い、特に祈るべき時に祈れないという弱さをもっているが、聖霊は弱い私たちを祈りに導いて下さる。「助ける」、共に担うの意で、マタイ11：28にあるような助けである。「言葉にあらわせない切なるうめき」、私たちの心の中にある言い表し難い諸々の思いを、聖霊は共にうめいて下さる。それは２７節にあるように神に理解され、神に通じるのである。２７節「とりなすエンテュンカノー」、人のために人に代わって神に逢うこと。その人に代わって、助けを神に祈り求めること。

1、聖霊は、弱い私たちを助けて祈りに導いて下さる。８:２６前半

このロマ書は、キリストを信じれば誰でも救われるという恵みを徹底的に教え示し、それに加えて、救われた者がどのようにして生きるべきかを教えてくれる内容になっています。今朝お開きした箇所には、キリストを信じて救われた者は、聖霊によって、神に祈る恵みが与えられているということが述べられています。

「御霊もまた同じように弱い私たちを助けて下さる」とあります。これは、聖霊は私たちを祈るように導いて下さるということです。聖書は祈りについて、「絶えず祈れ」と教えています（Ⅰテサロニケ5：17）。それは「祈りをやめえてはならない」と意味です。よく祈りは呼吸に例えられます。呼吸を止めれば死にます。海に潜って仕事をする海女さんの中には５分ぐらい息を止められる人がいるそうですが、私たちは１分もたたないうちに苦しくなってしまいます。神様は、私たちが地上に誕生した瞬間から呼吸をするように創造して下さったので、人間は本能的に呼吸をすることが出来ます。私たちはキリストを信じて生まれ変わり、聖霊によって祈る力が与えられていますが、祈りには修練が必要です。最初はなかなか祈れませんが、少しづつ自分の言葉で、また手話で祈りの言葉が増えて行き、祈る時間が長くなり、いろいろなことを祈れるようになります。キリストは祈りの模範として「主の祈り」（マタイ6：9－13）を教えて下さいました。「主の祈り」以外は、私たちは自由に自分の言葉で祈ります。祈祷書を使って、決められた言葉で祈る、それ以外の祈りは祈ってはならないということを命じた団体もありました。「天路歴程The Pilgrim’s Progress」を書いたジョン、バンヤン（1828－88）は、イギリス国教会以外の者は聖書を語ってはならない、また国教会の定めた祈り以外に祈ってはならないというのは間違っていることを指摘しました。彼は聖書の真理を伝え、自分の言葉で祈りましたが、そのために迫害を受け、長い牢獄生活を強いられます。その苦難の中で、「天路歴程」を記し、不朽の名作として今も読み継がれています。私たちは聖霊によって祈りを与えられていることと、自分の言葉で自由に祈れることを感謝し、もっと祈りに励んで行こういうことを祈って下さい。

「弱い私たち」とあります。自分の弱さを認めて聖霊に助けてもらいましょう。私たちは祈りの重要性を知りながら、「忙しい」、「後で祈ろう」、「祈る気分になれない」、「テレビがすんでから」、「教会の牧師に祈りを代行してもらおう」など様々な口実を設けて、祈りを後回しにしようとする傾向があります。それは間違いなくサタンからの思いです。そういう考えが湧いてきたら、「サタンよ、退け」（マタイ4：10）と祈って下さい。サタンは、私たちをキリストから引き離し、祈らないように私たちを誘惑します。祈りのコツは祈りたくない時にこそ祈るということです。ある人が、「礼拝を休もうかな」という悪い考えが出て来たが、礼拝に出席した。そしたら、いつもより５倍も１０倍も恵まれた。何故かというと、礼拝に行きたくないということは、霊的病気の始まりです。医者が必要なのは病人です。キリストは霊の医者として、礼拝をサボるという霊的病気を治療して下さったので、心が恵まれたのです。祈りを後回しにするものも、立派な（？）霊的病気の始まりです。手遅れにならないうちに、聖霊にすがって、「主よ、実は祈りたくないのですが、私に祈りを与えて下さい」と祈って下さい。祈りたくない時こそ祈りのチャンスです。とにかく祈ってみて下さい。必ず恵まれることを保証します。

「私たちを助けて下さる」とあります。助けるというのは共に担うという意味です。「すべて労する者・重荷を負う者、われにきたれ、われ汝らを休ません」（マタイ11：28）というキリストの助けがあります。キリストは私たちのすべての重荷を負っておられます。重荷をキリストに下ろして、安心して祈りましょう。

私が高校生の時に、礼拝後に1０人ぐらいで輪になって祈ったことがあります。その中に関さんという年配の方がいました。長らく教会をサボっていて、しばらく振りに礼拝に来たのですが、終わったらすぐ帰ろうとしたら捕まってしまい、不機嫌な顔をしていました。でも祈り終わったらニコニコして、「ああ、来てよかった」と言っていました。聖霊が関さんの弱さを助け、重荷をキリストに下ろして祈るように導いて下さり、恵まれたのです。私にとって、聖霊が弱い私たちを助けて下さるということを知った最初の時でした。私自身も弱い者ですが、聖霊によって導かれ、支えられて、キリストに従って来られたことを感謝し、これからも聖霊に縋って祈って行こうと願っています。

2、聖霊は、私たちと共にうめき、執り成して下さる。8：26後半

私たちは時々どう祈ってよいか分からないことがあります。立て板に水のようにスラスラ祈る人の祈りを聞くと、自分はあんなに祈れないと悩む時もあります。サタンは、「クリスチャンであるのに、何で困難の中にいるのか。お前の祈りは聴かれない」、「お前の信仰は未熟だから、お前は祈れない」など言って、私たちを祈らせないようにします。たしかに、私たちはどう祈ったらよいか分からない者ですが、弱い私たちを聖霊が助けて下さって、言葉に表せない切なるうめきをもって、私たちの思いを神様に執り成して下さると約束されています。

うめきとは何でしょうか。これは私たちの心の奥底にある様々な思いで、言葉には簡単にあらわせないような叫びや願いのことです。言葉には表せない、どう祈ったらよいか分からない心の悶え、うめきを、聖霊が察知して下さり、私たちのうめきに合わせて共にうめき、私たちの思いを神に届くようにして下さるのです。

執り成しとは何でしょうか。執り成しとは、弱い私たちに聖霊が助けの手を差し伸べて下さって、私たちの代わりに神様に祈り、神様からの助けを与えられるようにして下さるということです。

外国のある母親のお話を思い出します。その方は息子を戦地に送り出し、毎日無事で帰ってくるようにということを祈っていました。ある晩、夜中に目が覚めた。そうしたら何か知らないが「祈れ、祈れ」という迫りを感じた。こんな夜中に何を祈れといいうのだろうかと不安に思ったが、とにかく祈った。いつもとは違う言葉にならない、うめきのような祈りをささげた。長い時間うめきながら祈っていたが、心が平安になり、祈りがとまった。それから暫くして息子が帰還した。息子が言った。「僕は実は死ぬところであった。夜中の歩哨を命じられて、一晩中、敵の侵入を防ぐために陣地の外で見張っていた。すると敵の狙撃兵が自分を狙って銃で撃ってきた。弾は左胸に命中し、衝撃で地面に倒れ、気を失った。自分は死んだと思った。ところが気がついた。『どうして自分は死ななかったのか』と不思議に思いつつ、撃たれた左胸を見た。すると歩哨に立つ時に、聖書を左胸に入れてあったのですが、その聖書に弾がめり込んで残っていたことが分かった」と。母親は息子の話を聞いて、「それは神の守りです。あなたが打たれた晩、そんな事は露知らず、私は眠れずに、ただうめいて祈っていました。それはあなたが守られるために祈れということだったという事が、今よく分かりました」。そして、母と息子は神に感謝したという事です。この話を読んだのは、今から３０年ぐらい前で、一般の少年少女向けの本に出ていたものです。この実話から、「御霊みずから、言葉にあらわせない切なるうめきをもって、わたしたちのために執り成して下さる」というのは本当であるということが分かります。皆さんの中で多くの方々が似たような体験をされていると思います。

祈りましょう。聖霊はどう祈ってよいか分からない私たちを助けて下さいます。ただ泣いて、うめいているだけの祈りであっても、聖霊はどんな祈りも無駄にしないで、父なる神の御許に届けて下さいます。あなたの思いを言葉によって、あるいはうめきをもって神に向って祈りましょう。

3、聖霊は、私たちが本当の祈りをささげるように導いて下さる。8：27

聖霊は、私たちが本当の祈りをするように導かれます。本当の祈りについて五つの事を知っておきましょう。

第一に、私たちはイエス・キリストの御名によって神様に祈りを捧げます。

天地を創造された神様はきよい神様です。罪ある私たちは神様に近づくことが出来ない者でした。しかしキリストが私たちの罪の身代りになって十字架にかかり、罪の赦しの道を開かれました。悔改めてキリストを信じれば罪が赦され、私たちはキリストの御名によって父なる神様に祈る者となっています。

第二に、私たちは聖書を読んで祈る時に、神様の御心に叶った祈りを捧げることができます。

祈りは自分の要求を通すことではなく、祈りの基本は神様の御心を知って、それに従うことです。聖書を読む者は祈るようになります。祈る者は聖書をよく読むようになります。

第三に、私たちが人の救いのために積極的に祈ること、これは大切なことです。

神様は、全ての人が真理であるキリストを信じて救われることを願っています（Ⅰテモテ2：4）。人の救いのために祈るならば、神様はそれを必ず聴いて下さいます。家族のために、友のために祈りましょう。その祈りは必ず神様に届いて行きます。佐藤さんのご主人は病気で昏睡状態でしたが、常に枕元で祈りが捧げられ、聖歌のテープが流されていました。ある日、突然に神様が佐藤さんを昏睡状態から目覚めさせ、その時に罪を心から悔改めてイエス様の十字架を信じ、復活のイエス様を心にお迎えして永遠の命を得たのです。本当に不思議な事でしたが、人の救いのために祈れば、その祈りを神様は聴きいれて下さるのです。

第四に、祈りにおいて自分の願いや要求だけを神につきつけないことです。

神は主権者ですから、私たちは謙って神の御心に従うべきです。使徒パウロは「自分の肉体のとげを取って下さい」と三度祈りましたが、それは聴かれませんでした。しかし、パウロはその願いを通して、主の恵みが自分に十分に与えられていることを気づかせてもらい、「このとげというハンデイを通して神の偉大な力が表されるという恵み」を体験しています（Ⅱコリント12：7－10）。

第五に、正直に祈ることです。

どのように祈ってよいか分からない場合、「神様、私は祈れません」ということを正直に訴えれば良いのです。神様は祈れるように導いて下さいます。

まとめ

８章２６－２７節を読みます

1、聖霊は、弱い私たちを助けて祈るように導いてくれます。

2、聖霊は、私たちと共にうめき、私たちの心の思いを神様に執り成して、届けて下さいます。

3、聖霊は、私たちが祈りの五つの大切なことを心に留めて祈るように導かれます。イエス・キリストの御名によって神様に祈ること。聖書を読んでは祈り、祈っては聖書を読む時に御心に叶う祈りを捧げることが出来ること。人の救いのために積極的に祈るならば、その祈りは神様が聴いて下さること。自分の要求だけを突きつけるような祈りはしないこと。正直に祈るということです。

＊聖歌をうたい、祈ります。（聖歌総合版２３２番（聖歌２５６番）「祈れ物事みなままならず」）

祈　り

天の神様、独り子イエス。キリストによって救われ、聖霊を与えられ、祈る恵みを与えられていることを感謝します。祈りの足りない弱い私たちに、聖霊を満たして下さい。どんなことでも祈りを捧げて、神様に従って行けるように導いて下さい。家族や友を救って下さい。病気の方々を癒し、家族に病人を抱えている方々に希望を与えて下さい。ユースファミリー、ネームレス集会、結婚式の準備とリハーサルを導いて下さい、聖日夕拝を祝福して下さい。明後日に結婚をする松葉靖兄弟、長谷川裕子姉妹を主の愛で満たして下さい。イエス・キリストの御名によって祈ります、アァメン。

参考文献ロマ注解―木村、尾山、黒崎、フランシスコ会、文語略解、ＬＡＢ。「天路歴程・新教出版社」