我らは知る、神を愛する者には全てが益になることを

我らは知る、神を愛する者には全てが益になることを！ロマ8：28　　　　主の2006.3.26礼拝

「塞翁が馬」という諺があります。中国で国境に住む翁の飼馬が逃げてしまった。村人が気の毒がると、翁は「今に良い事がある」と平気であった。数ヶ月後に逃げた馬が駿馬を連れて戻って来たので、皆が「良かった」と言うと、翁は「何か悪い事が起るかもしれない」と喜ばなかった。すると息子が駿馬から落ちて足を折り障害者になってしまった。見舞いに来た村人に、翁は「何か良いことがあるだろうよ」と平気だった。やがて戦争が起きて、村の若者は兵隊に行き、多くの者が戦死した。息子は足の障害のために徴兵を免れて助かった。この事から、「人間万事塞翁が馬。禍福は糾（あざな）える縄の如し。吉凶は糾える縄の如し」という諺が伝えられています。

本日はロマ８：２８です。この聖句の中で「万事を（すべての事を）働かせて益とする」という言葉があります。塞翁が馬の翁は、人生を運に任せることにして、運命を甘受するという態度をとっています。私たちは生きている限り、良い事や悪い事など様々なことに遭遇します。その時、クリスチャンは運命ではなく、神様がすべてのことを、万事において益として下さるという信仰に立ち、神様の導きに期待し、委ねることが出来ます。運といわれる偶然の出来事ではなく、私たちは天地万物を創造されたまことの神様に信頼して行きます。なぜ神様に信頼するのかと言えば、まことの神様は善にして善を行われる恵み深い神様だからです（詩篇１１９：６８前半）。神様に信頼する時に、どんな事が起きようとも、「神様が一番良い事をして下さる」という平安が心に与えられます。

今朝、私たちはロマ8：28を通し、万事を益として下さる主なる神様に信頼する信仰を強めていただきましょう。神様は聖書朗読のイザヤ41：8－16の中で、「恐れるな、わたしはあなたの神である。わたしはあなたを助ける」と呼びかけて下さいました。主なる神様に縋り、あなたの問題、課題、健康、経済などあらゆる事柄を、聖霊に導かれ、主イエス・キリストの御名によって祈り、神様から答をいただいて行きましょう。

内容区分

1、私たちは、キリストの十字架を信じ、神を愛する者にされている。

2、私たちは、神のご計画によって召され、あらゆる事柄が益になることを信じる。

3、私たちは、神に愛され、召されている者であることを知り、キリスト中心の信仰に生きる。

資料問題

「神を愛する者」、クリスチャンのこと。「ご計画に従って召された者たち」、やはりクリスチャンを指す。前者はクリスチャンの神様に対する心、後者は、クリスチャンは自分の力で神を愛することが出来るのではなく、神様の予め定めて下さったご計画によって召されたからであるということを示している。「ご計画」、前以て計画すること。「共に働いて」、相共に働く共力のこと。最高の善は神の御心がなることである。この世においては困難、迫害、不幸など全被造物にまつわる不幸がある。しかし、これらの不幸は、神の御心が神を愛する者の上に行われる原因となり、神の最高の善を招来する原因となることを知る時に、私たちは決して絶望に陥ることがない。

1、私たちは、キリストの十字架を信じ、神を愛する者にされている。

神は、神を愛する者たち・・・。（8：28前半）

クリスチャンの特徴は何でしょうか。幾つか挙げてみましょう。

第一に、祈りを捧げます。漠然としたものに祈るのではなく、天地を創造され、私たちを生かし、支えて下さるまことの神様に祈ります。

第二に、神様をほめ讃える讃美を歌います。クリスチャンの幸せは心の底から歌えるということです。この世の歌は流行（はや）り廃（すた）りがあり、永続する歌はあまりありません。神様をほめ歌う讃美は永遠に続きます。神様は永遠に生きておられるので、神様への讃美は永遠に続くのです。

第三に、聖書を読みます。聖書６６巻を読み続け、人生の道標を与えられて行きます。

第四に、教会に集ります。私たちはキリストにつながり、キリストの体である教会に集ります。キリストの再臨の近いことを憶えつつ、休むことなく一回一回の集会に集ります（ヘブル10：25）。

第五に、感謝を表します。クリスチャンはあらゆる事柄に対して感謝し、神様と人に対し、言葉で、態度で感謝を示します。

ところで、「神を愛する者たち」という言葉から、先ず私たち人間の方から神様を愛したかのように思われます。しかし、ロマ書全体、また聖書全体の教えは、キリストを信じて生まれ変わることによって、はじめて人間は神を愛する者になれるという事を告げています。私たちは、本当は神様を愛することができない者でした。神様を愛せない理由は、人間が神様の戒めを破り、神様に背く罪人になってしまったからです。神様は１００％きよい、正しいお方です。１００％きよい、正しい神様に近づくために、私たち人間は神様の戒めを１００％守らなければなりません。今から３５００年前に、神様は人間に十の戒めを与えました（十戒、出エジプト20：3－17）。人間は必死になって１５００年間、十の戒めを守るように努めましたが、戒めを完全に守った人は誰もいませんでした。十の戒めを守れず、罪の解決が得られない人間は、罪から生じる妬み、殺意、争い、詐欺、悪い思い、悪口、悪事を企み、親に逆らい、神を憎む者になり、最後は死んで滅びるという悲惨な者でした。そこで、今から約２０００年前に、神の独り子であるキリストが天より来られて人間となり、罪を知らず（Ⅰコリ5：21）、罪を犯さず（Ⅰペテ2：22）、罪のないお方（Ⅰヨハ3：5）として、神様の戒めを１００％落ち度なく、完全に行う一生を送りました。そして、人間の罪の身代りになって、そのきよい身を十字架の上に捧げ、一度だけ死んで下さったのです。しかしキリストは、死後三日目に罪の結果である死を滅ぼして復活され、永遠に生きておられる救主です（黙示録1：18）。

私たちが自分の罪を認め、悔改め、キリストを信じれば罪が赦され、永遠の命が与えられ、天国に行く者になります。私たちが救われるために、はじめに主なる神様が私たちを愛して下さり、その愛の印として神の御子イエス・キリストが十字架にかかって救いの道を開かれたのです。私たちは、キリストの十字架の愛を信じて生まれ変わり、神様を愛することが出来るようになり、「神を愛する者たち」と言われているのです。そのことを使徒ヨハネは次のように述べています。「わたしたちが神を愛したのではなく、神がわたしたちを愛して下さって、わたしたちの罪のためにあがないの供え物（宥め供え物）として、御子をお遣わしになった。ここに愛がある」（Ⅰヨハネ4：10）。

現在、イスラム教が政治や戦争に影響を及ぼしています。イスラム教徒は結束が固いようですが、しかしイスラム教からクリスチャンになる人々がいます。（イスラム圏に入って伝道している方々がいます。この教会を開拓されたアメリカの宣教師クラー先生の娘ポーラさんは夫、四人の子どもとインドネシアに行き、英語教師をしながら伝道をしています）。イスラム教徒がクリスチャンになるのは、「神は愛なり」という教えにぶつかるからです。イスラム教の示す神は義を強調し、神の戒律を守ることが救いであり、守らなければ罰せられるという教えと聞いています。そう教えられている彼らが、新約聖書を読むと「神は愛なり」ということが教えられている。言葉や口先だけの愛ではなく、神の愛を表すために、神の御子イエス・キリストが罪人のために十字架にかかって死んで下さったということを聞いて衝撃を受けます（ロマ5：8）。神の義を行うことが出来ない罪をもっている自分のために、神の御子イエス・キリストが十字架にかかって死んで下さった愛を受け入れ、「自分は愛されている」と喜びを得て、イスラム教からキリストを信じてクリスチャンになります。愛雄が海外青年協力隊の一員としてイスラム教国モロッコに派遣され、そこで出会った青年は救いを受け、そのために牢獄に入ったりしましたが、「イエス様に愛されている」という信仰を保ち続け、レバノンの神学校に行きました。

2、私たちは、神によって召されているので、あらゆる事柄が益になることを信じる。

神は・・・すなわちご計画に従って召された者たちと共に働いて、万事を益となるようにして下さる・・（８：２８中間）

神様は天地を創造された神様です。創世記１章に天地の造られた様子が記されています。神様は御言葉によって、光、大空、陸地、植物、太陽と月、水の中の生き物、空の鳥、地上の生き物を６日間にわたって創造し、全てもの環境が整った６日目の終りに人間が創造されました。神様は全てのものを御言葉によって創造されましたが、人間だけは御言葉と共に、土のちりで人の形を造り、その鼻に神の息を吹きいれて、人間に命を与えたことが記されています（創世記2：7）。ですから人間にだけ、他の生き物にない特別な力、即ち神様と同じように意志を伝達する言葉が与えられています。また神様と交わりをする霊が備えられていますので、人間だけが神様を礼拝し、神様にお祈りを捧げます。このように、人間は他の生き物とは違った特別なものであったのに、神様に背き、罪人となり、死んで滅びる者になってしまったのです（創世記３章）。

しかし、聖書の神様は愛の神様です。人間を滅びるままに放っておかないで、人間を罪から救うことを考え、それを実行に移して下さいました。「ご計画に従って召された者たち」とありますが、その意味は、私たちを罪から救い出して下さる神様の特別なご計画を指しています。神様の救いのご計画を示す御言葉はヨハネ福音書３章１６節です。

「神はその独り子を賜ったほどに、この世を愛して下さった。それは御子を信じる者がひとりも滅びないで、永遠の命を得るためである」。

神様はこの世を愛されたとあります。これは、神様はこの世に住む私たちひとり一人を隔てなく愛しておられる、という意味です。神様の愛は全ての人に平等に注がれています。

御子を信じる者とあります。これは私たちの罪の身代りになって、神の御子イエス・キリストが十字架にかかって死んで下さったことを信じるという意味です。キリストを信じる時に罪が赦され、私たちは生まれ変わります。

キリストを信じる者は滅びないで永遠の命を得るとあります。キリストは死を打ち滅ぼして永遠に生きている救主です。キリストを信じて私たちは天国に行くことが出来ます。

神様は、私たちがキリストを信じて救われるように救いの計画を立てて下さいました。ではキリストを信じて救われるとは、どういうことでしょうか・・・。第一に、悔改めることです。第二に、罪から離れ、罪を棄て去る決意をすることです。第三に、キリストを信じることを決意し、心の扉を開いてキリストを心の真ん中に迎えることです。皆さんは、すでにキリストを試に迎えていることと思いますが、キリストを信じるならば、キリストは信仰を導き、全てを恵みに変え、益として下さいます。

Ｓさんはキリストを信じ、信仰生活をおくっていましたが、人間関係のもつれで教会から遠ざかってしまい、そんな生活がしばらく続きました。ある日、歯医者に行くと、「大学病院へ行って下さい」と紹介状を渡され、大学病院の診察を受けた。結果は口の中のガンと診断された。手術を受けることになった時に、教会の親しいクリスチャンが訪問してくれ、祈ってくれた。「主は私を見捨てない」という平安を与えられ、手術は成功した。退院後、なかなか教会に復帰できなかったが、遂に戻る時が来て、忠実に教会生活に励み、時満ちて天の御国に召されて行きました。Ｓさんは病気という試練を通して、再びキリストに縋り、忠実な信仰生活に復帰しました。紙様は病気を用いて、信仰復帰という祝福を与え、永遠の命を失うことがないように導いて下さったのです。

神様は万事を益となるように、特に信仰が守られるようにして下さいます。そして、あなたの問題、課題、病気などマイナスと見えるものを用いて祝福を下さいます。今朝、万事を益として下さる神様にイエス・キリストの御名によって祈りましょう。必ず良き答が与えられます。

3、私たちは、神に愛され、召されている者であることを知り、キリスト中心の信仰に生きる。

・・・わたしたちは知っている。（８：２８後半）

何十冊も難しい本を書いている神学者に「キリスト信仰とは何ですか」と質問した。聞いた人は何か難しい答が返ってくるのではないかと予想していた。すると神学者は歌いだした、

Jesus loves me! This I know, For the Bible tells me so, Little ones to Him belong, They are weak but He is strong.　Yes Jesus loves me (３回)　The Bible tells me so．

神学者は「この讃美歌の中のThis I know　私は知っている、これがキリスト信仰だ」と答えたの

です。日本語では「主がついてれば、怖くはないと聖書のうちに書いてあります、主はわたしを（3回）愛してくださる」（聖歌総合713番）という訳になっています。讃美歌も同じような訳です。日本語では、「私は知っている」ということが訳されていません。正確に訳せば、次のとおりです。

「イエス様はわたしを愛してらっしゃる。わたしはよく知っている。だって聖書に書いてあるもの。主の小さい子どもたちは弱くてもイエス様は強いんだ。イエス様はわたしを愛してらっしゃる。

そうだ、そうだ、愛してらっしゃる。聖書にそう書いてあるもの」。（「主われをあいす」ｐ7－8）。

皆さんにお尋ねします。イエス様が私を愛して下さっている。十字架にかかって命を捨ててまで私を愛して下さったのだ。私をこんなに愛して下さっているのはイエス様だけだ。私はそれを知っているのだ。イエス様感謝しますという思いをお持ちでしょうか・・・。

アメリカに母のいないジョニー君がいました。彼にはて教会学校のリンデン先生がいるので淋しくありません。先生はいつもイエス様の話をしてくれます。ジョニーは重い病気になり、やせ衰えて行きました。彼の所にリンデン先生が見舞いに来てはお祈りし、聖書の話をしてくれました。先生は、「イエス様の歌を歌おう」と言って「主がついてれば怖くはない」と歌ってくれました。しかし病気が進み、「イエス様が僕を愛して下さることを、僕は知っている」という歌を聴きながら、「先生、どうも有り難う」と言って、ジョニーはお母さんのいる天国へ召されて行きました。

イエス様は私たちを愛し、十字架の上で、私たちの罪を背負って死んで下さいました。それは私たちが罪を赦され、天国に行く道を開いて下さるためだったのです。あなたは、その事実を知っていますか・・・。もちろん知っておられるはずです。そのことを心に留め、キリストを信じる信仰の思いを強めていただき、信仰の道をまっすぐに進んで行きましょう。

＊ロマ8：28をもう一度読みます。聖歌総合713番「主がついてれば」を讃美し、祈ります。

祈　り

天地の主である神様、私たちはイエス様によって救われた者であることを知り、信じています。イエス様が十字架にかかってまで私たちを愛して下さったことを感謝します。イエス様をもっともっと深く知って、イエス様の愛で私たちを満たして下さい。今週も聖霊によって祈りながら、「神は神を愛する者たち、すなわち、ご計画に従って召された者たちと共に働いて、万事を益となるようにして下さることを、わたしたちは知っている」という御言葉に導かれて、信仰の道を歩み続けるように助けて下さい。病気の方を癒し、戦いの中にいる方に勝利を与え、仕事を求める方に適切な仕事を早急に与えて下さい。万事を益にして下さるイエス・キリストの御名によって祈ります、アーメン。

参考文献ロマ注解―黒崎、フランシスコ会、山谷、竹森、バーネット、文語略解。　「主われをあいす・インマヌエル文庫」