我らクリスチャンは神を喜ぶ者である

我らクリスチャンは神を喜ぶ者である。ロマ5：11　　　　　　　　　　　　　　主の2006.4.2礼拝

そればかりではなく、わたしたちは、今や和解を得させて下さったわたしたちの主イエス・キリストに

よって神を喜ぶのである。（ロマ5：11）

日本では４月より学校、会社が新しい一年の出発の時であり、国の予算も新しい年度に入ります。人生の節目である入学、進級、人事異動などの中で、それぞれが新しい気持で新年度に歩み出していることと思い、主の祝福を祈っています。特に新しい仕事を求めている方々に、主によって良き仕事が備えられて行くように祈っています。新年度出発直前の３月２８日―３０日、秩父で開かれた北東教区ユースキャンプに当教会より８名が参加し、恵まれたことを感謝し、皆様のお祈りに感謝します。感謝ということですが、私たち人間には考える力が与えられています。考えるというのは英語でThinkですが、その語源は感謝（Thank）と同じだそうです。そこで、私たちが物事を考える時には、感謝すべきことについて多く考えると、全てのものを備え、与えて下さるまことの神様の恵みが思い起され、心が恵まれます。

本日の御言葉はロマ5：21です。この御言葉の中に、「喜ぶ」という言葉があります。何を喜ぶのかといえば「神を喜ぶ」と言われています。神様が与えて下さった恵みの数々を考え、思い起し、感謝を捧げましょう。感謝をすると、神様を喜ぶ思いが心に満ちてきます。聖書朗読の詩篇34篇1－2節に、「わたしは常に主をほめまつる。そのさんびはわたしの口に絶えない。わが魂は主によって誇る。苦しむ者はこれを聞いて喜ぶであろう」と歌われていました。これはダビデが、敵を欺くために、よだれを流し、気が狂ったように見せかけて危機を脱したときの歌です（サム上21：10－15）。追い詰められ、命の危険の中で、ダビデは「わたしは常に主をほめまつる」と主の恵みを思い起し、感謝しています。これこそが神を喜ぶ者の態度です。今朝はロマ5：11より、「我らクリスチャンは神を喜ぶ者である」というメッセージを聴き、ひとり一人が神様を喜ぶ思いを深め、今週も神様に信頼しつつ、祈り合って、助け合って、励まし合って、キリストに従う信仰の日々を前進するように祈りましょう。

内容区分

1、私たちはキリストを通して神を信じ、罪の赦しを与えられている。

2、私たちはキリストの救いに感謝し、神様を喜んで（誇りに思って）生きる。

資料問題

本日は11節を中心にしているが、11節は1節からの結論とも言える聖句である。「和解を得させて下さったわたしたちの主イエス・キリスト」、キリストは十字架にかかり、神との和解の道を開かれたのである。「神を喜ぶ」とは「神によって誇る」、「神によって喜ぶ」と訳すべき言葉である。私たちは神の前に誇るべきものは何もない罪人であった。無価値の罪人である私たちを、神は御子イエス・キリストの十字架によって救って下さった。だから私たちは神様の恵みを喜び、神様のことを誇りに思うのである。

1、私たちはキリストを通して神を信じ、罪の赦しを与えられている。

そればかりではなく、わたしたちは、今や和解を得させて下さったわたしたちの主イエス・キリスト・・（・5：11前半）

11節の中に、私たちクリスチャンにとって親しい、麗しい名前が記されています。それは「主イエス・キリスト」という名前です。「イエス」は「神は救い」、「キリスト」は「世界の救主」という意味があります。この名前は、イエス・キリストは、私たちひとり一人の救主であると同時に全世界の人々の救主であるということを表しています。全世界の救主であるので、イエス・キリストとは「わたしたちの主」であると言われています。キリストが来られたのは神様を表し、救いの道を開くためでした。

何故キリストはこの世に来られたのでしょうか。それは人間が偶像礼拝をしているからです。

日本では山川草木、山にも河にも、太陽にも月にも、森羅万象すべてに神々が宿っていると思い、人間の力を越えたものや、何か有りがたそうなものがあると、それに対し手を合わせます。内村鑑三（1861－1930）は明治から昭和初期まで、伝道者として活動した人です。彼は若い頃に日本は神々のいます国であるということを教えられ、神社や道の片隅に祭られている地蔵の前を通りすぎる時には帽子をぬいで一礼して通ったそうです。時には神社や地蔵などが多くて、挨拶するのに忙しかったと述べていますが、しかし、そこに何が祭られているのか分からずにただ拝んでいただけだけでした。日本では「鰯（いわし）の頭も信心から」と言います。２月３日節分の日に鰯の頭を串刺しにして、柊の枝と共に神棚に祭ったのですが、それがありがたいものに思えて、鰯の頭に手を合わせて拝んでいることを言ったものです。鰯の頭を拝んでも何の意味もないことは明白ですが、創造主であるまことの神様を知らないと、人間はこうした愚かなことをしてしまうのです。

聖書でいう神様は、唯一の何でもお出来になる創造主であるまことの神様です。

ロマ書1：18－20によりますと、神様は天地自然を通してご自分のことを明らかにされています。春が到来し、桜の季節になりました。冬の間、すっかり葉が落ちていた桜の木に芽が吹き出てきたと思ったら、ピンクの花が開花し、私たちの心を和ませてくれます。これは春夏秋冬、四季の移ろいを秩序正しく与え、守って下さる創造主である神様がおられるからです。来週はファミリーの週です。ふだんのファミリーの枠を越え、荒川の桜堤に超ファミリーで集り、花を愛（め）で、お弁当を楽しみながら、良き交わりの時をもてると思います。自然の中で、創造主であるまことの神様に感謝しながら、喜びの時を持って下さい。会堂の後ろに時計がありますが、この時計は正確です。正しい時間は地球などの天体が常に一定の速さで動いていることを基準にしています。それを観測している地点から、正しい時間を知らせる電波が発信され、その電波を受けて時計は正しい時間に調整され、時間の正確さが保たれています。天体の運行に正確な秩序を与えたのは創造主である神様です。ただ漠然と、何かは分からないが神様らしいものに向って手を合わせても、それは一時の気休めにしかすぎません。世界を創造されたまことの神様に向かって手を合わせてお祈りし、縋って行く時に、心に平安が与えられて行きます。しかし人間は創造主である神様に背き、神様から離れ、神様に敵対して罪人になってしまっています。罪人のままでいれば、間違いなく死んで地獄に行きます。そこで神の独り子であるイエス・キリストがこの世界に来られたのです。

キリストがこの世に来られた目的は次の通りです。

第一に、神様を表すためです。「キリストにこそ、満ちみちているいっさいの神の徳が、かたちをとって宿っている」（コロサイ2：9）。キリストに、神の徳と言われる恵みがどのように表れているでしょうか。

神様は愛です。キリストは病人を癒し（マタイ8－16－17）、村八分にされていた罪あるサマリヤの女を救いを与えています（ヨハネ４章）、孤独なザアカイの友となり、救いに導いています（ルカ19：1－10）。

神様は力ある神です。キリストは嵐を静め（マルコ4：35－41）、悪霊を追い出し（マルコ1：23－27）、５つのパンと2匹の魚をもって五千人の人々を養っています（ヨハネ6：1－14）。

神様は生命の神です。キリストは「タリタ・クミ」という言葉をもってヤイロの娘を甦らせ（マルコ5：40－43）、死んで４日も経っているラザロを甦らせ（ヨハネ１１：39－45）、生命の主であることを示しています。

第二に、神様との和解を与えるためです。「さらに、わたしたちが罪に死に、義に生きるために、十字架にかかって、わたしたちの罪をご自分の身に負われた。その傷によって、あなたがたは癒されたのである」（Ⅰペテロ2：24）。偶像を拝んでいた内村鑑三は「自分はキリストに感謝する。私はキリストが私のために十字架上で血を流して死なれたとうことを聞いて、そのことを信じたら、何故かという神学上のことはさておいて、確かに罪が赦された。この事実から、自分の信仰は十字架教である」と言っています。キリストを信じれば、罪が赦され、生まれ変わり、神の子になり、天国へと導かれます。

第三に、キリストを信じれば、誰でも救われることができます。「人は心に信じて義とされ、口で告白して救われるからである」（ロマ10：10）。キリストを信じれば、どんな人でも救われます。キリストを信じるということは、具体的には罪を悔い改めて、キリストを心に迎え入れ、キリストから離れないで、ずっといつまでもキリストに縋って行くことです。

2、私たちはキリストの救いに感謝し、神様を喜んで（誇りに思って）生きる。

・・・わたしたちの主イエス・キリストによって、神を喜ぶのである（5：１１後半）

「神を喜ぶのである」と言われています。神を喜ぶというのは、神様がイエス・キリストの十字架によって救って下さったことを心から感謝し、神様が自分に与えて下さった恵みを常に喜んで行くという思いを表しています。

＊どんなふうにして神様を喜んで行くのでしょうか。三つ申し上げます。

第一に、神様がキリストの十字架によって、私たちを隔てなく受け入れて下さったことを感謝して行きます。今は分かりませんが、少し前に中国や北朝鮮国家では、その人の生まれた家柄、出身階級などによって差別があると言われていました。例えば地主階級、資本家階級の子孫は、悪い階級の出身者であるというレッテルを貼られ、社会の中に受け入れてもらえないということを聞いたことがあります。神様は生まれ、家柄、出身などで人を差別しません。「しかし、彼を受け入れた者、すなわち、その名を信じた人々には、彼は神の子となる力を与えたのである。それらの人は、血筋によらず、肉の欲によらず。また人の欲にもよらず、ただ神によって生まれたのである」（ヨハネ1：12－13）。キリストの恵みは全ての人々に及び、私たちはキリストを信じて、神の子にされていることを感謝します。

第二に、神様の恵みに感謝して、信仰生活をして行きます。

私たちを救って下さった神様の恵みを誇りに思い、神様を信じている者にふさわしく生きるようになります。いやいや強制されて信仰生活をするのではなく、イエス様が私を救って神の子にして下さったのだという誇りをもって、自分から進んで信仰生活をして行きます。信仰生活で最も大事な信仰の五原則を実践して行くことが、神様を喜ぶ者の信仰生活です。

第一に聖書を読む事です。マンガやゲーム以上に聖書を読むことです。テレビを見る時間を減らして聖書を読む事です。

第二に祈る事です。牧師をしていると、毎週毎週難しい問題、病気など、こちらの身を削るような事柄が起きてきて、そのつど祈ります。祈ると、すぐ答があります。すぐ答がなくても祈り続けるようにという聖霊の助けがあり、希望をもって祈りを継続することができます。そして解決があります。

第三に集会に励む事です。集会を休みたいと思ったら、危険信号です。休みたいと思う時こそ集会に励んで下さい。一回一回の集会を大事にして、信仰生活を継続して行きましょう。

第四に献金することです。献げる者は豊かに恵まれます。神様を試みることは、禁じられていますが、例外として献金の事だけは神様を試してもよいと言われています（マラキ3：10）。祝福されるかどうか実際に献金して試して下さい。必ず祝福を受けることができます。

第五に、奉仕と伝道があります。奉仕ですが、この礼拝は、皆さんの祈りと多くの方々の奉仕を通して、祝福を与えられています。伝道ということですが、キリストを伝えましょう。４月の間に多くの方々が救われ、教会に加わって行くようにお祈りして下さい。

第三に、主によって全てを赦されていることを感謝しましょう。これこそが神を喜ぶ者の生活です。この赦しを与えられていることを感謝し、他の人のために祈って行きましょう。

私の好きな聖句の一つに「誰でもキリストにあるならば、その人は新しく造られた者である。古いものは過ぎ去った、見よ、すべてが新しくなったのである」という御言葉があります（Ⅱコリント5：17）。私は和解を得させて下さったキリストの十字架によって、過去の全てが赦され、新しい者にされているという恵みを信じます。カトリック教会では、罪を犯した者は、司祭の所に行き罪を告白します。すると、罪の内容に応じて「祈りを唱えなさい」とか「弁償しなさい」などというい指示があり、それに従うことによって罪が赦されます。私たちは直接にキリストの十字架を見上げて、罪を悔い改め、祈ります。私は牧師ということで多くの方々と共に祈ります。私は、人の罪の告白を聞いても、私には人を審く事は出来ませんので、十字架の主イエス・キリストを仰ぎ見て、主の憐れみを求めて共に祈ります。祈っていると、いつも何故か涙がこぼれます。それは自分自身も多くの罪を赦してもらっていることを思い出すからです。主に祈る時に、キリストの十字架による赦しを体験し、感謝が心から湧き出てきます。

アフリカの女性のことを思い出します。彼女は自分の過ちを手紙に記し、牧師の前でそれを読みます。「私は神の戒めを犯しました。両親に逆らい、欺きました。私は淫らな女で、自分のみごもった子を殺し、また自分自身をも殺そうとしました。私は神の罰を受けるべき身なのです。それですのに、神の赦しを願います。私自身ではこの罪の縄目から自由になることは出来ません。でも、私はキリストが私に代わって、私のために死んで下さったことを信じます・・・」。牧師夫妻は彼女の手をとり、牧師が祈った。「主よ、あなたが私の罪を赦して下さり、今また、私が受けた赦しをここに友に引き継ぐことのできますことを感謝します。主はかく言われる。恐れることはない。わたしはあなたを贖った。わたしはあなたの名を呼ぼう。あなたはわたしのものである。たといあなたの罪が緋のように赤くても雪のように白くされる。あなたの罪は赦された。行きなさい、そして再び罪を犯すことがないように。すべて罪を犯す者は罪の奴隷である。キリストが自由を得させるならば、あなたは本当に自由な者となるのである」。彼女の過去は神の記憶から消され、完全な赦しと自由とを得て、クリスチャンの配偶者を与えられ、キリストにある新しい生活に出発して行くことが出来たのです。

私たちを、キリストの十字架によって受け入れ、赦して下さっている神様に感謝しましょう。神様を誇りにして行きましょう。神様の恵みを喜びながら信仰生活を、祈って前進して参りましょう。

まとめ

ロマ5：11を読みます。

1、私たちはキリストを通して神を信じ、罪の赦しを与えられています。キリストの十字架によって神の子にされていることを感謝しましょう。

2、私たちはキリストの救いに感謝し、神を喜んで生きて行きます。隔てなくキリストの十字架によって救われ、信仰五原則に従って信仰生活を続け、主の十字架によって全てが赦され、きよめられていることを感謝し、神の恵みを喜ぶ信仰生活を前進して行きましょう

＊聖歌総合版４６６（聖歌454）番「惑いの雲きえて」を讃美し、祈ります。

祈　り　天地の主である神様、キリストの十字架によって救われていることを感謝し、神様の恵みに感謝し、常に喜びをもって信仰生活を前進させて下さい。今週も聖書の御言葉によって日々の指針を与えられ、真理の霊である聖霊によって祈り、神様に従う日々を進んで行けるように助けて下さい。病気の方々を速やかに癒し、主の導きを求める者に適切な答を与え、戦いの中にある者に勝利の栄光を与えて下さい。私たちに救いの喜びを与え、神様を喜ぶ信仰を与えて下さった救主イエス・キリストの御名によって祈ります、アーメン。

参考文献ロマ書注解―木村、尾山、フランシスコ会、黒崎、文語略解、竹森、ＬＡＢ、バーネット、山谷、岩隈。　「キリスト教の事典・遠藤周作編著・三省堂」、「真実の結婚を求めて・トロビッシュ著・聖文舎」