神を畏(おそ)れ、その命令を守れ。伝道の書12:13−14 主の 2006.6.25礼拝
日本で六本木ヒルズという場所が、金持ちたちが住む場所として知られているそうです。そこに入っているある企業の社長が、「百億円あげるから僕と結婚してくれ」と働いている女性にプロポーズした。女性は「私、そんな大金いりません」と断った。断られた社長は非常なショックを受けたという話を読みました。その社長にとっては、お金に力があり、女性の心も買えると思ったのでしょう。いわばお金が万能の神のようであると考えていたのに、お金で人の心を買うことができない、お金は万能ではないということを感じてショックを受けたのでしょう。
本日は伝道の書12:13−14です。この個所は、伝道の書を記した人が、人生の様々なことを見聞きし、体験した結果、人間の生きる道は「神を畏れ、その命令を守ることである」という結論を述べた部分です。人生には様々な生き方がある、先ほどの社長のように金の力に頼る人もいる、自分の才能に頼る人もいる、身分や地位に頼る人もいるなど様々です。しかしお金は使えばなくなる、才能も枯れて行く、身分や地位は不安定です。この世に永遠のものはありません、永遠に変わらないものは、ただ独りの、全天全地全宇宙を創造された創造主なる神様だけです。聖書は、人生の幸いを得ようと思うなら、神様の命令(戒め)を守れ、と告げています。なぜなら「草は枯れ、花は散る、しかし、主の言葉はとこしえに残る」(1ペテロ1:24)からです。
今朝も、永遠に変わることのない神様のメッセージを聴き、共に祈って、新しい一週間の旅路を出発して参りましょう。
内容区分
1、まことの神様を畏れる者は幸いである。12:13前半
2、まことの神様の命令を守る者は幸いである。12:13−14
資料問題
ヘブル原語の題号コ−ヘレスは「召す」または「集める」の意より出た言葉で、演説のために民を召集する者を意味し「伝道者」と訳される。新改訳は伝道者の書、新共同訳はコへレトの言葉としている。著者は伝統的にはソロモンとされている⇒(1:1,2、1:16−18,12:9、列王上4:32参考)。大工事、大きな富と高い地位(2:4−9)、婦人に関する経験(7:26−28)などの記事からである。しかし現在では紀元前3世紀頃、エルサレムで無名の一著者によって、特別な文学様式、すなわち自分を指すのに「ソロモン」と言う名を用いて書いたものであろうと言われている。本書の結論部分である12章で「空の空、いっさいは空である」(8節)と繰り返し、最後に「事の帰する所は、すべて言われた、すなわち、神を畏(おそ)れ、その命令を守れ。これはすべての人の本分である」と言い(13節)、神が一切の行為を審かれることを付言している(14節)。新約的に考えれば、「空の空」である人生を満たすものは「すべてのものを、すべてのもののうちに満たしているかた」(エペソ1:23)である。空の空に、すべてのすべて(オールインオール)が満ちて、人生は意味深いものになり、未来への希望があるのである。
1、まことの神様を畏れる者は幸いである。12:13
事の帰する所は、すべて言われた。すなわち、神を畏れ・・・(13節前半)
神様についての教えについて、伝道の書は、聖書中で最も完全な教えの一つとされています。伝道の書では、神様の存在を理屈なしに信じていて、神様の名前は41回も出てきます。昨日は上野公園ホームレス伝道があり、私はメッセージを取り次ぎました。神様のことを伝える時に、上野の山には寛永寺をはじめ、多くのお寺があり、また墓地が存在します。近隣には七福神なども祭られています。ですから誤解されないように、偶像の神々とまことの神様は全く違うことを伝え、まことの神様の恵みを語るようにしています。
伝道の書に出てくる神様は、もちろん本物の神様で、創造主です(12:1)。創造主ですから、人間も含めて(5:17)、すべてのものの造り主です(11:5)。創造主である神様は全能であり(3:11)、人間に繁栄と喜びをもたらすお方です(2:14,3:13)。神様は最高の主、聖なるお方です。神様は悪人に対して厳しいお方ですが(2:26,7:26)、しかし彼らを罰することを、しばしば延ばされます(8:11)。最終的に神様は善と悪とを審かれるお方です(3:17)。
13節はじめに、「事の帰する所はすべて言われた」とあります。人生には様々なことがあり、時には「空の空、いっさいは空である」(8節)と思えるようなことがある。生きていると、説明できないような事がしばしば起きる。しかし、人生において最も大事なことは神様を畏れることである、と言われています。昔ヨブという人がいました。神様を信じ、正しく生きていたのですが、サタンの試みによって、財産を奪われ、子どもを亡くし、自分は皮膚病にかかり、奥さんからは「神を呪って死になさい」と罵られ、友人からは「悪いことをしたからだ」と責められるという悲惨な状況に投げ込まれました。そんな中でヨブは次のように告白しています、「われわれは神から幸いを受けるのだから、災いをも受けるべきではないか」(ヨブ2:10)、「見よ、彼は(神は)わたしを殺すだろう。わたしは絶望だ。しかしなおわたしはわたしの道を彼の(神の)前に守り抜こう」(ヨブ13:15)。このヨブのように、神様を畏れるとは、良い時も悪い時も、どんな場合でも神様に信頼して行くことであることが分かります(ヨブは後に、再び神様の祝福を受けます)。
神様を畏れる心をもたないと、人間は最終的にダメになります。時代の寵児と言われたホリエモンと村上フアンド村上氏が逮捕されました。ホリエモンは若くして莫大なお金を儲け、自家用ジェット機を所有し、若者達は成功者としての彼を羨み、自分達の模範のように考えました。彼はアイドルのようにテレビに出て話題を振りまき、お金の力で「人の心は買える」、「女は金についてくる」と広言し、衆議院議員選挙に出て議員もお金で買えると考えていたようです。しかし人の心はお金では買えなかったのです、その証拠にホリエモン逮捕となるや、多くの人々が「彼とは関係ない、知りません」と言って離れて行き、あるいは彼を批判する側に廻っています。村上氏も法を犯して金儲けに狂奔して逮捕され、今では冷たい獄舎で取調べを受けています。
神様を畏れ、神様に従う者を神様は愛して下さいます。神様は愛の証拠として、御子イエスキリストを十字架につけて、私たちの罪を赦し、永遠の命を与え、神の子にして下さる祝福の道を開いて下さったのです。キリストを信じて神の子になることはお金では買えません。神の子になることはただ謙って神様を畏れ、敬う者に与えられる愛の贈り物です。神様を畏れ、敬い、信仰の道を歩み続けるように祈って行きましょう。
2、まことの神様の命令を守る者は幸いである。12:13後半―14節
神の・・・命令を守れ。これはすべての人の本分である。神はすべての業(わざ)、ならびにすべての隠れた事を善悪とともに審かれるからである。(13節後半―14節)
神様を畏れ敬う者は、神様の命令である戒めに従って行きます。神様の命令を守れば、祝福の道が開かれて行きます。神様の命令である戒めとはなんでしょうか。旧約の時代にはモーセを通して与えられた十戒を指していました。そのすべてをまとめて、キリストは「神を愛すること、隣人を愛すること」であると教えてくれました(マタイ22:37−40)。聖書朗読のヨハネ第一の手紙3:23では「神の戒めとは、神の子イエスキリストの御名を信じること、互いに愛し合うこと」と教えられています。神の命令である戒めを守る時に、神様の祝福が与えられます。
現在、北朝鮮による拉致事件解決のために、多くの方々が関心をもって、その解決を望んでいます。1977年11月15日、当時13歳の横田めぐみさんが北朝鮮に拉致されました。最初は拉致とは分からず、行方不明とされていました。ところが1997年韓国に亡命した元北朝鮮工作員の証言により、拉致の事実が判明しました。拉致されたと分かるまで20年の月日が経過しています。この事件を通して母親の早紀江さんはクリスチャンになっています。早紀江さんを導いたのは、めぐみさんの親友の母親、真保節子さんです。
真保さんは、こどもの頃、クリスチャンの母親と教会に行っていましたが、戦争で教会は軍部により閉鎖されてしまいました。戦後の混乱期に、真保さんは教会を離れてしまい、神様も否定してしまったのです。結婚し、子ども二人を与え与えられた。ところが、めぐみさん行方不明の事件が起き、真保さんは人間の無力を知り、一度は否定したイエスキリストの御名によって「イエス様、ご両親の許にめぐみちゃんを返してあげて下さい」と祈った。涙を流して祈っているうちに、自分自身が神の戒めに背いていた罪を悔い改め、信仰が甦った。神を畏れ、救主イエスキリストを信じる信仰に立ち返ったのです。
キリストを信じる信仰をもった真保さんは、「早紀江さんが心の思い煩いを神様に委ねることが出来るように」と祈りはじめた。すると早紀江さんから電話があった。「ある宗教の人が、めぐみさんが見つからないのは因果応報で、親や先祖に罪があるからだと、冷たいことを言われた」と、早紀江さんが泣きながら訴えてきた。真保さんは必死に祈った、「神様、助けて下さい。私は長い間、神様から離れていたので、早紀江さんの助けになる聖書の御言葉がどれか分かりません。私の罪を赦して下さい。適切な御言葉を教えて下さい」。祈ってから、心を静めて聖書を開くと、語るべき御言葉が教えられたのです。それはヨハネ9章1−3節に、生まれつきの盲人の人に対し、イエスキリストがおっしゃった御言葉です、「本人が罪を犯したからでも、両親が犯したからでもない。神の業がこの人に現れるためである」。真保さんは祈りに答えて下さった神様に感謝し、心が喜びでいっぱいになった。真保さんはすぐに早紀江さんの家に行き、このイエスキリストの御言葉を伝えた。後に早紀江さんはこう記しています。「はじめて聴く不思議な言葉でした。このことが子どもの罪のためでも、両親の罪のためでもないという言葉は、当時の私の心に大きな平安と慰めを与えてくれたのは確かでした」。そして真保さんと早紀江さんは1984年に洗礼を受けました。
一人の人が、神を畏れ、神の命令に従った時に、自分が救われ、同時に友人が救われて行きました。アブラハムは月を神とする所から、神様によって導かれ、新しい土地に向って行きました(創世記12章)。それは、彼が神様を畏れ、神様の命令に従ったからです。アブラハムが神様に従ったことによって、神様を信じる家族が形成され、それが民族になり、民族を越えて世界中の人々がキリストを信じて神様の家族になるという祝福の道が開かれたのです。
横田早紀江さんのことですが、「ブルーリボンの祈り」(フオレストブックス)という本を出しています。早紀江さんは「いつの日か、めぐみが帰って来た時に、母は困難な中にあって、素晴らしい神様の御手の中に守られてきたこと、そして多くの方々に祈られてきたということを伝えたいと願って、この記録を残すことにした」と述べています。地上で再会が果せなくても、天国での再会があるということで、めぐみさんに信仰をもってもらいたいという願いが込められているようです。めぐみさんがいなくなる2か月前のこと、居間にいた早紀江さんの所にめぐみさんが来て「ねえ、ママ、キリストって信じられる・・」と聞いてきて、「私は何だか信じられるような気がする」と言ったそうです。どこから、そんな話を聞いたのか分からなかったが、その2か月後に拉致され、早紀江さんは真保さんを通して聖書を知り、きりストの救いに与ったのです。早紀江さんは娘めぐみさんが、どこかでキリストの救いに与ってくれたらと願っています。
14節を見ます。神様の前にあって、全ての善悪は審かれるという厳粛な教えがあります。
佐々木満男というクリスチャンの弁護士がいます。「恵みの雨」という信仰雑誌に寄稿しています。弁護士として法律上のことを担当している企業から、企業の利益になる国際取引があるのでチエックすることになった。その取引は銀行も加わっているもので、1回で数百億円の利益がでるという内容であった。一つ一つの書類はOKであるが、全体でまとめて見ると、法律違反になるように思えたので、サインをしなかった。相手側は、さらに書類を作成してもってきたが、合法を装っているが、やはり法律を犯している。だが見破られる可能性はほとんどない。自分がサインをすれば、企業に多大の利益が入り、自分も報酬をもらえる。その報酬を伝道の働きのために使えると思った。だが神様の戒めに従うことが大切である。結局3回書類が作成されたが、違法であるということでサインをせず、相手は怒った。だが、やがてその取引を持ち込んできた相手企業は摘発され、部長は首になり、後押しをしていた銀行は法律違反で一部業務閉鎖を命じられた。相手の側についていた弁護士は不祥事を起こし、辞めることになってしまったということです。
神様はすべてを見ておられます。箴言に、「主の目はどこにでもあって、悪人と善人とを見張っている」と言われています(15:2)。神様は善悪を間違いなく審かれます。私は伝道牧会をしていますが、実に多岐にわたる事柄が起きてきます。しかし、主は私が行き届かない所にもしっかり目配りをして下さっていることを信じ、全力を尽くして主に仕え、教会の働きを推進しようと祈り願っています。ここで、私たちの伝道牧会のためにお祈りをお願いします。昨日は上野に八名で行き、ホームレス伝道奉仕をし、祝福されましたが、お祈りを有り難うございました。夜にはオーストラリヤから電話があり、訪問を頼まれました。今日は午後から中野区にある新中野教会に行き、関東南西教区西地区壮年・婦人集会でメッセージを伝えます。今週は伝道訪問があります。休んだ方々に手紙を書き、Eメール連絡、携帯メールなどもあります。家内は聖書の学びを受け持ち、多くの方々が電話で、あるいはやってくる方々の相談を受けています。私たちの健康が守られ、聖霊の知恵と力とをいただき、何よりも愛に満たされて伝道牧会に励んで行く日々でありますようにお祈りください。
まとめ
*伝道の書12:13−14を読みます。
1、神様を畏れ、敬うこと、どんな時でも神様に信頼して行くように祈りましょう。
2、神様の命令を守る時に祝福が与えられます。神様はすべてをお見通しです。神様に言えないようなこと、間違ったことをやめましょう。神様の戒めは御子イエスキリストを信じ、互いに愛し合って行くことです。
祈 り
天地の創造主である神様、神様を畏れ敬い、神様の命令である戒めを守って行けるように、信
仰の力を与えて下さい。6月も残り少なくなってきましたが、恵み深い御霊によって祈りを与えられて一日一日感謝を数えながら前進させて下さい。病気の方々を癒して下さい。今仕事を求めている方々を支え、良き仕事を備えて下さい。戦いの中にある方々を守り、勝利を与えて下さい。会堂を広げる必要があります。祈りを結集して行きます、会堂のために主の答を与えて下さい。永遠の救主イエスキリストの尊い御名によって祈ります、アーメン。
参考文献伝道の書注解―米田、フランシスコ会、旧約略解、文語略解、LAB、「信仰雑誌・恵みの雨4月号」