キリストを喜び、キリストに喜ばれる信仰生活　ガラテヤ1：6

キリストを喜び、キリストに喜ばれる信仰生活　ガラテヤ1：6－10　　　　　主の2006.8.20礼拝

群馬県に住む星野富弘さんは、教師になり、生徒の前で体操の模範演技をした時に着地に失敗し、首から下が麻痺状態になり、寝たっきりになり、絶望の日々を送っていました。しかし、キリストを信じる恵みを与えられ、今も依然として寝たっきりですが、口に絵筆をくわえて絵を描き、詩を記し、多くの人々に生きる喜びと希望のメッセージを伝えています。星野さんは大学時代、寮生活をしていましたが、一年先輩の米谷さんと食事の時によく同じテーブルに座ったのですが、食事前に米谷さんは必ずお祈りをしていました。自分は食堂に走りこみ、手も洗わずに食べていたので、米谷さんのことをえらい人だなと思っていたそうです。でも米谷さんが何に向かって祈り、なぜ祈って食べるのか、全く関心がありませんでしたが、やがて米谷さんがキリスト教会に行っていることを知りました。大学卒業後、星野さんは、米谷さんが牧師になるため東京の神学校へ行くと聞いて、「たいへんな一生を選んだものだなあ」と思いました。米谷さんは、星野さんが動けない身になったと聞いて、東京から駆けつけ、「ぼくにできることは、これしかありません」と一冊の聖書を届けてくれた。贈られた聖書はしばらくの間、ベッドの下のダンボール箱に入っていましたが、やがて星野さんは聖書を読むようになり、キリストを信じる恵みを与えられたのです。

本日の聖書個所はガラテヤ1：6－10です。10節に、「今わたしは、人に喜ばれようとしているのか、それとも神に喜ばれようとしているのか。あるいは、人の歓心を買おうと努めているのか。もし、今もなお人の歓心を買おうとしているとすれば、わたしはキリストの僕ではあるまい」とあります。星野さんは、寮の中で、神様に喜ばれるために、ただ一人で祈っている米谷さんの姿が忘れられず、やがて星野さんは贈られた聖書を読みはじめ、生まれ変わってクリスチャンになることが出来ました。今では、星野さんは、絵筆に託して、キリストを信じる心から生まれる愛のメッセージを語り続け、人々に生きる力と希望をもたらす恵みの器として用いられています。米谷さんのように、たった一人の人が主を喜び、主に喜ばれる生活をすることによって、キリストを求め、信じる者が起こされて行きます。

内容区分

1、キリストの十字架の恵みにすがり、キリストに結びついて行く信仰生活　1：6－9

2、キリストを喜び、キリストに喜ばれる信仰生活のために三つの大切なこと　1：10

資料問題

ガラテヤ書はパウロの記したもの（紀元55年頃）。6節「キリストの恵みのうちへお招きになった方から離れて」、パウロは通常は、手紙の冒頭で挨拶に続いて、受取人に対する謝辞を述べるが（ロマ1：8、ピリピ1：3－5）、ここにはそれがなく、ガラテヤ人の変節に対するパウロの驚きの言葉がある。これは8－9節のガラテヤ人を迷わす者に対する呪いの言葉よりも穏やかである。6節「落ちていく（移って行く）」，背教者となることで、現在、落ちて行きつつあることを示している。８節「呪わるべきであるanathema」、旧約聖書レビ記27：28を見よ。Ⅰコリント12：3、16：22参照。

1、キリストの十字架の恵みにすがり、キリストに結びついて行く信仰生活1：6－9

しかし、たといわたしたちであろうと、天からの御使いであろうと、わたしたちが宣べ伝えた福音に反することをあなた方に宣べ伝えるなら、その人は呪わるべきである。（８節）

聖書は、天地の創造からはじまり、この世の終りに至るまでの全てのことが記されています。キリストは、膨大な聖書の内容を次のように言い表しています。「あなたがたは聖書の中に永遠の命があると思って調べているが、この聖書はわたしについて証をするものである」（ヨハネ5：39）。

聖書はキリストについて記してある書物です。聖書は素晴らしい書物であると知っていても、聖書を読んでキリストを見出し、キリストを信じなければ何にもなりません。ではキリストについて、聖書はどのように記しているのでしょうか。使徒パウロは、第一コリント１５章で、聖書の中で最も大事なことはキリストの十字架と復活であるという真理を記しています。

ところが、残念なことに、キリストの福音から離れて行く者がいる。６節「違った福音に落ちていく」とありますが、「キリストを信じることをやめ、キリストに背き、滅びの道を進んで行く」という意味です。８－９節にキリストの十字架と復活を否定する者は「呪われてしまう」という警告があります。キリストの十字架の恵みにすがり、キリストに結びついて行くために二つの事が大切です

一つは、信仰とはイエスキリストを信じ、キリストに結びついて生きて行くことです。

自分の罪を認め、キリストが十字架にかかって私の罪の身代りになって下さったことを信じれば、その瞬間に誰でも救われます。罪を犯し、死刑になり、息を引き取る直前に「イエス様、私は罪ある人間です。私を赦して下さい、私を忘れないで下さい」とお願いした男がいました。キリストはその男に対し、「わたしはあなたの罪を赦す、あなたが神の子になり、天国へ行く命を与える」と言って、この男に救いと永遠の命を与えて下さいました（ルカ23：40－43）。この実例が示しているように、キリストを信じれば誰でも神の子になれます。ところが、「信じるだけで救われるなんて虫が良すぎる」と異議を唱え、救われるためには良い行いも必要だという意見があります。そう主張する人々に、私は何回も会い、最初は色々と説明してあげました。しかし、そう主張する人々のことを観察してみると、その人々はそう言うだけで、キリストの救いを求めていないし、ただ議論のために自分の意見を言っているにすぎないということが分りました。けれども自分の罪に悩み、罪からの救いを求め、また永遠の命を真剣に求めている人は、ただひたすら十字架にすがって救われて行くという姿を目の当たりにしてきました。例えば、２００２年８６歳で召されたＹさんは、私とは５０年以上のおつき合いがありましたが、時々信仰を勧めると、信仰も大切かも知れないが、自分は一生懸命生きてみると言うのが答でした。しかし晩年病気になり、キリストの十字架と復活の話しをすがるようにして聴いて、救いを受け入れ、心に平安を与えられ、この世の人生を終えて天国に行かれたのです。

二つには、信仰とはイエスキリストを信じ、キリストの教会に結びついて行くことです。

現在、洗礼を希望している人々が８名います。神様と人の前に、キリストを信じる信仰を公にして洗礼を受け、教会の一員になり、天国へ入る日まで信信仰生活を続けて行くことは人生最大の喜びです。前の５０００円札の肖像は新渡戸稲造（1862－1933）というクリスチャンで、「武士道」という本を著した人で、国際平和に尽くした人です。この方は１０代後半で洗礼を受け、洗礼後５０年経った時に、内村鑑三など共に洗礼５０年を祝い、これからもイエス様を信じ続けて行こうという信仰の決断をしています。私事ですが、１６歳の時に洗礼を受けましたが、毎年洗礼を受けた１１月が巡ってくると、感謝の献金を捧げ、これからもキリストにすがって行こうという思いを新たにさせてもらっています。

2、キリストを喜び、キリストに喜ばれる信仰生活のために三つの大切なこと　1：10

今わたしは、人に喜ばれようとしているのか、それとも、神に喜ばれようとしているのか。あるいは人の歓心を買おうと努めているのか。もし、今もなお人の歓心を買おうとしているとすれば、わたしはキリストの僕ではあるまい。（１０節）

この手紙の著者、使徒パウロは、キリストを信じれば救われるという聖書のメッセージを伝えた伝道者です。当時はまだユダヤ教の力が強く、救われるためには良い行いが必要である、旧約聖書の律法を守らなければならないと唱える人がいました。現代でも、例えば土曜安息を守ることが救いに必要であるという考えの教団があります。しかし、今は恵みの時代です。キリストの十字架を信じれば救われる。救われて心が生まれ変わって良い行いをすることが出来るようになる。キリストの復活を記念して、土曜安息ではなく、日曜日を主の日として祝うという新約時代になっています。

私たちは、キリストの救いを喜び感謝し、キリストに喜ばれる信仰生活を前進して行くように祈る事が大切です。キリストに喜ばれる信仰生活とはどのような生活でしょうか。

第一に、キリストを喜び、キリストに喜ばれるために、礼拝を喜ぶ信仰生活をする事です。

今、日本で一番人数が集っている教会は、大和カルバリーチャペルで、毎日曜礼拝出席数が１２００名ですので、当教会の約１０倍以上の人が出席していることになります。主任牧師の大川牧師が「足の裏で４７０歩」という本を出しました。いろは順に書いたコラムを集めたものです。「る」の所に（同書ｐ３0）ある文章を紹介します

「『ルンルン気分で教会へ』・・・教会成長で最も重要な要素は、日曜礼拝に出席するために、心が躍っているかどうかで決まる。土曜夜は、必ずお風呂に入って（シャｙワーも可）、早めに寝るように心がける。決して遅刻をしないように、礼拝中イネムリなんてトンでもない。そんな気持で何十年も過ごしてきた。主がそれをご覧になって、驚くべき祝福を与えて下さった。礼拝のプログラムも大切だが、それ以上に、礼拝の対象であるイエス様を共に讃美し、崇めることのすばらしさに、前もってルンルンすることである。（デートの前のルンルン気分を思い出して下さい）。

『類は友を呼ぶ』・・・これも教会成長の原則である。恵まれた人は、一人で生きることをしない。人を誘い、似た者同士は自然に寄り集まってくるのである。

『ルカさんは、パウロを助けて最後まで』・・・ルカは医者だった。・・・パウロが首を切られて死ぬであろうギリギリのところで，側で健康管理をしてくれたルカの存在を、パウロはどんなに頼もしく思ったことであろう。（涙腺が緩む）」。

礼拝の大切さ、礼拝出席の心構えを易しく説いている内容だと思います。皆さんは、ルンルン気分で土曜日を過ごし、礼拝に臨んだでしょうか・・・。大川牧師は、礼拝中イネムリなんてとんでもないと言っていますが、イネムリをしない説教を語れるように牧師のために祈って下さい。もしイネムリするとしたら、牧師の側に責任があると同時に、皆さんの側で夜更かしなどをするという生活管理が悪いか、あるいは牧師の説教のために祈りが足りないということかも知れません。私の高校時代に英文法を教えてくれた藤島という年配の男性教師がいました。とても知識のある先生でしたが、何故か生徒がシンとしていると、教えながらイネムリをするという特技をもっていました。最初の頃は先生がイネムリするのを面白がっていましたが、先生を眠らせないようにするために、適当にザワザワする、また質問をするということをしたことがあります。いわば先生をサポートしたわけです。説教も語る牧師と説教を聴く皆さんとの共同作業です。時々は「アーメン」とか「そうだ、そうだ」という合いの手を入れて下さい。歌舞伎では、役者がセリフを決めると、客席から合いの手が入り、舞台、客席が一体になります。お願いとして、牧師のために祈って下さい。聖書の学び、洗礼講座、個人伝道講座を担当し、朝から夜まで様々な相談に乗っている牧師夫人睦子師のためにお祈り下さい。水曜日聖書の学びを担当する倫夫師、チヤチヤのためにお祈り下さい。毎週子ども達に聖書を教えている日曜学校教師たちのためにお祈りして下さい。個人的に家庭を開放し、聖書の学びの奉仕をしている方々のためにお祈り下さい。全ての奉仕者のために、そしてお互いのために祈り合って下さい。

第二に、キリストを喜び、キリストに喜ばれるために、自ら率先してキリストに仕えて行く事です。

個人的なことになりますが、ガラテヤ1：10の御言葉は、私の信仰生活を変えた恵みの御言葉です。私が１０代最後の時であったと思いますが、元旦礼拝でこの御言葉が読まれ、メッセージがありました。その時に、「自分はイエス様を喜び、イエス様に喜ばれるような生活をしているだろうか」という問いが心に突き刺さりました。そこで日曜礼拝、日曜夜の伝道集会、木曜日の祈り会に出席すること、あらゆる奉仕に加わること、献金をすることを、祈って決めたことを思い出します。そしてその他に、私が決意したことは牧師を支えるということでした。松崎牧師はよく勉強をされ、分り易い説教をし、よく祈っていました。私は牧師に聖書のこと個人的に質問して、多くの聖書の学びをすることができたことを感謝しています。私が心がけたことは、教会の中にあって理想を振りかざさないで、あれこれ言わないで、とにかく牧師の手足になって仕えることにしたのです。その時から主に仕え、人に仕える喜びが与えられました。昨日奉仕役員会がありました。当教会の役員の方々は、皆さんに仕え、奉仕するために選ばれています。奉仕役員が群れの先頭に立って主に仕え、牧師夫妻を支え、群れの良き模範になって行くように祈って下さい。奉仕役員だけでなく、私たち全員が主に仕えることを自ら率先して行くように祈って行きましょう。

第三に、キリストを喜び、キリストに喜ばれるために、祈りに励む事です。

先週、連続して一回が一時間以上の電話がありました。こちらの言うことを聴こうとしない一方的な話で、気持が重たくなるものでした。一昨日、早天祈祷会が終わってから、しばらく一人で祈り、主に重荷を委ねました。解決があったわけではありませんが、祈ることによって思い煩わない心を与えられていることを感謝します。人生は問題の連続ですが、私たちに祈りが与えられていることは恵みです。ある方が、長い間介護している母親につらく当たられていた。「遺産目当てに介護しているのだ」と誤解され、母親は「財産は親戚に渡す」という遺言まで書いていた。その方は、祈って、「財産などはいらないのです」という気持を手紙で母親に伝えた。次に母親の所に行くと、母親が「本当に悪かったね。自分は何かに取り付かれていたようだった」と言い、遺言を破棄してくれた。この人は牧師に祈ってもらっていたので、「先生に祈っていただくようになってから、急に事態が良くなりました」という報告をした。祈る時に、神様の愛が働き、人の心が変えられて行きます。キリストは、私たちが祈り合う教会となることを喜んで下さいます。

まとめ

1、８節、キリストの十字架の恵みにすがり、キリストに結びついて行く信仰生活をすることが祝福をもたらします。

2、１０節、キリストを喜び、キリストに喜ばれるために三つの大切なことがあります。礼拝を喜ぶ生活、自ら率先してキリストに仕えて行く生活、祈りに励む生活です。

祈　り

天地の主である神様、キリストが聖書の示すとおりに十字架につき、復活されたことによって、私たちは救われました。この救いの恵みから洩れることなく、キリストを信じ、キリストを喜ぶ信仰生活に励んで行けるように導いて下さい。キリストの救いを喜んで感謝し、恵み深い御霊によって祈りを絶やすことがなく、祈りに溢れる日々であるように導いて下さい。暑さが続いていますが、それぞれの健康を支えて下さい。信仰の戦いの中にある方々を特に支え、勝利を与えて下さい。イエスキリストの尊いお名前によってお祈りをささげます、アーメン。

参考文献ガラテヤ注解―黒崎、フランシスコ会、文語略解、口語略解、ＬＡＢ、山谷、尾山。　「足の裏で４７０歩・大川従道・ことば社」、「御翼、佐藤順・アンカークロス社」、「かぎりなくやさしい花々・星野富弘・偕成社」