イエス・キリストは永遠に変わらない救主である

イエス・キリストは永遠に変わらない救主である　へブル13：1－8　　　　　　主の2006.9.17礼拝

本日は敬老の日改めシルバーエンジェルズの日として、長年風雪に耐えて人生を生きてこられた４名の方々に敬意を表し、主イエス様の祝福をお祈りする日です。モーセは、１２０歳まで生きましたが、彼は詩篇の中で「人の齢（よわい）は７０年か８０年でしょう」と言っています（詩篇90：10）。人の命には限りがあります。人に限らず全ての物事には限りがあります。聖書には強大な力を誇ったエジプト、アッシリア、バビロン、ペルシャ、ロマなどの国々について述べていますが、それらの国々は、権勢を誇りましたが、最後には滅んでいます。２０世紀には共産主義が勃興し、ソ連という国が権勢を誇っていましたが、７０年で崩壊しています。コロンブスが発見した新大陸、アメリカが建国され、自由の国、アメリカドリームと言われる夢が叶う国、また世界に平和をもたらす超大国であると言われてきましたが、テロ問題などでアメリカは揺れ動いています。キリストは「天地は過ぎ往かん」（マタイ24：35）と言われましたが、人も国もあらゆるものが移ろい、過ぎ去って行きます。

しかし、本日の聖書へブル13：1－8の中で、「イエス・キリストは、きのうも、きょうも、いつまでも変わることがない」（８節）と宣言されています。キリストは天地を創造された主です。キリストは罪に堕ちた人間を救うために、２００６年前にこの世界に人として来られ、３３年の人生を歩んで下さいました。その生涯の終り、１９７３年前に人の罪の身代りになって十字架上で命を捧げ、その三日後に甦り、永遠に群れである教会がエルサレムに誕生しました。教会は聖霊に導かれて、全世界に広がり続けています。聖歌に「興（おこ）りし国も滅び行き、栄（さかえ）し民も忘れらる、ただ主の国の勢いは陰府（よみ）の力も裂くを得じ」（総合聖歌281）とあるように、栄枯盛衰有為転変の世の中にあって、キリストは変わることなく私たちを導く、生きている愛の主であり、キリストの教会は発展し続けています。

内容区分

1、キリストは変わらない、クリスチャンであることを自分の身をもってあらわそう。13：1－5前半

2、キリストは変わらない、信仰の先輩に倣い、キリスト一筋の信仰で進もう。１3:5後半―８節

資料問題

１節「兄弟愛」、クリスチャンの特色であり、これによって人々は彼らをクリスチャンとして認める（ヨハネ13：35）。

２節「旅人をもてなす」、キリストの教えを見よ⇒マタイ25：35－40。「気づかないで・・・もてなした」、アブラハムとサラ（創18：1－6）、ロト（創19：1－23）の例がある。３節「獄につながれている人たちを思いやりなさい」、クリスチャンは目にみえないが、キリストの体という共同体の一員である。キリストにあって善も悪も全てこの共同体にあって共有するのであり、もしある者が獄につながれているなら、全ての信者は彼らと共につながれていることになる（１コリ12：26－27）。５節「私は・・・捨てない」は申31：6からの引用。６節「主は・・・人は何ができようか」は詩篇118：6からの引用。「助け主」とあるのは呼び声に応じて助けを与える者で、ここにだけ使われている。ヨハネがいう「助け主パラクレートス」とは異なる。７節「指導者」、教会の指導者を指す（１７節、２４節）。「生活の最後」、直訳は「生涯の結末」、「彼らが生涯の幕を閉じたかに思いをはせて、その信仰に倣いなさい」（フランシスコ会訳）。

1、キリストは変わらない、キリストを信じていることを自分の身をもって表そう　１3:１－５前半

「兄弟愛を続ける」（１節）、「旅人をもてなす」（２節）、「獄につながれている人たちを・・・思いやりなさい」（３節）、「結婚を重んずべきである」（４節）、「金銭を愛するな」（５節）

キリストが天に帰られた後に、その代わりに天から聖霊がおくられ、最初の教会がエルサレムに誕生しました。それから僅かな期間に、聖霊に導かれ、キリストの福音が各地に伝道され、現在のトルコ、ギリシャ、ロマに教会が誕生して行きましたが、世の中は異教の神々である偶像を信奉する人々が圧倒的に多いという状況でした。現代の私たちも同じような状況の中で、クリスチャンとして生活しています。異教の神々に囲まれながら、私たちがクリスチャンであるということを表すのにはどうしたらよいのしょうか・・・。

クリスチャンであることの大きな目印は、教会につながり、互いに励まし合って信仰生活を続けているということです（先々週メッセージ10：25参照）。信仰の成長を願い、主の御言葉を慕い求め、クリスチャンは共に集ることを大切にします、何故ならキリスが「わたしから離れては、あなた方は何一つできないからである」と言われたからです。私たちは、教会に固くつながることによって祝福を受け継いで行きます（ヨハネ15：5）。朝目覚めて、「きょうは礼拝だ、うれしいなー」という気持で礼拝に出席された事と信じます。先週３人が洗礼を受けました。３人の証がありましたが、３人とも「私はお母さんのお腹の中にいる時から、赤ちゃんの時から教会に来ていました」と言っていました。年をとってから教会に導かれた人々から見るならば、羨ましい証です。それはそれとして礼拝に出席できることは恵みです。出席したくても親が反対する、病気である、仕事が入り、代わりの人がいない、遠方であるなどの事情でなかなか出席できない人のために祈って下さるようにお願いをします。

クリスチャンであることの大きな目印は、１－５節までのことを実践することによって表されます。

1ー３節は思いやるという心にまとめることができます。思いやるとは他人の身の上や気持を推し量って、心をそこまで働かせることです。具体的に１節、兄弟愛、２節、旅人をもてなす、３節、迫害を受け、獄にいる人を忘れないことです。

まず、兄弟愛とは相手のために祈ることから始まります（１節）。祈る人は、相手を軽々しく審くようなことをしません。キリストは言われました、「人を審いてはいけません。人を審けば、あなた方は神様から審かれます・・・あなた方はどうして他の人の小さな欠点を咎め立てするのに、それよりももっと大きな欠点が自分にあるのが分らないのですか」（マタイ7：1,3現代訳）。ペテロはこう言っています、「あなた方は皆、心を一つにし、同情し合い、兄弟愛をもち、憐れみ深くあり、謙虚でありなさい。悪をもって悪に報いず、悪口を悪口に報いず、かえって祝福をもって報いなさい。あなた方が召されたのは、祝福を受け継ぐためなのである」（Ⅰペテ3：8－9）。

旅人をもてなすとは相手に仕える、相手を親切にもてなすホスピタリティーの実践です（２節）。礼拝が終わったら旅人をもてなす心をもって、新しい方々に声をかけ、お互いに声を掛け合って下さい。

迫害で獄に閉じ込められている人を忘れないで下さい（３節）。以前、ソ連時代に獄に閉じ込められているクリスチャン達のために釈放を訴えるハガキを送ったことがあります。小さな奉仕でしたが、世界中のクリスチャンが書いたので、何百万枚というハガキがソ連当局に届き、共産主義破綻に寄与したことと思います。現在は中国が迫害の中にあります。祈って下さい。獄に入ってはいないのですが、ブライアン・ポーラ夫妻（ポーラ夫人は熊谷開拓クラー宣教師次女）は四人の子どもを育てながら、イスラム圏インドネシアで英語教師をしながら、家に来る人を迎え入れて伝道しています。

４節、結婚を重んずべきであるとの教えです。ロマが世界を支配していた時代は不倫が横行し、一夫多妻であり、家庭崩壊が多い時代でした。その中にあってクリスチャンは一夫多妻の悪を犯さず、健全な家庭を形成し、人々にキリストを信じる家族の恵みを表していました。明日、結婚式があります。キリストを中心とするクリスチャンホームが誕生することを思い、主に感謝します。英弘・圭子さんのために祝福をお祈り下さい。

5節、金銭を愛することをするなとの教えです。お金があれば成功という風潮があります。しかし忘れないで下さい。・・・・食べ物はお金で買えるが、食欲は買えません。薬はお金で買えるが、健康は買えません。化粧品はお金で買えるが、美しさは買えません。見せかけの友達はお金で買えても真の友情は得られません・・・・金持ちになり、成功したと思われていたライブドア堀江元社長が裁判を受けています。かつては元社長の手足になって働いていた腹心の部下が、裁判では堀江元社長の不利になるような証言をしていました。そのニュースを見ながら、結局は信頼関係や友情というつながりではなく、二人の関係はお金のつながりにすぎない、脆いものであったということを思いました。キリストにしっかり結びつき、教会につながり、1－５節前半の御言葉を心に深く留め、キリストを信じていることを身をもって表して行く者であるように、信仰を成長させて下さいと祈って、主に従って行きましょう。

2、キリストは変わらない、信仰の先輩に倣い、キリスト一筋の信仰で進もう。１３:５後半―8

神の言（ことば）をあなた方に語った指導者たちのことを、いつも思い起しなさい。彼らの生活の最後を見て、その信仰にならいなさい。イエス・キリストは、きのうも、きょうも、いつまでも（永遠までも）変わることがない。（７－８節）

私たちの信仰生活キリストにすがる生活です。すがるというのは頼りにして、つかまって寄りかかることです。信徒の時代に、教会若者富士山登頂チームを結成して、夏の富士山に登ったことがあります。私がガイドブックをいろいろ調査研究してリーダーになり、服装、持ち物などの備えをし、牧師に加わってもらい、教会若者男子３名、若者女子２名、計６名で出発しました。まずバスで五合目に上り、そこで一時間ばかり歩き回って、高い所に体を順応させ、夜中に山頂を目指して上り始めました。夏の富士山は登る人が多くて、登山道に懐中電灯の光がつながっているように見えて、心強い感じがしてグングンと私たちは進んで行きました。八合目、九合目ぐらいになると、大勢の人が疲れて休んでいました。私は、若いから杖は要らない、要るのは私たちより１０歳ほど年上の牧師だけと思っていたのですが、しかし念のために持って行こうと全員が杖を持って行ったのですが、それが役に立ちました。夜明けごろに疲れてしまったのですが、杖にすがって一歩一歩上ることができて、「杖よ、有り難う、助かった」と思いながら、全員揃って山頂につき、日の出を見ることができました。山頂で食べたおにぎりの美味しかったことを忘れる事ができません。一本の杖が私を支えてくれたのですが、杖がなかったら大幅に山頂に着くのが遅れて、日の出を見ることができなかったと思います。

杖ですが、杖によりかかる私の体力が残っていたから、杖は役に立ったのです。私の体力が消耗していれば、杖に寄りかかることができず、杖は何の役にも立ちません。私たちがキリストにすがるというのは、私たちがダメになっても、動けなくなっても、生きているキリストが私たちを支え、抱き上げ、担ぎ上げ、導いて下さるという意味です。杖は死んでいますが、キリストは生きておられます。私たちの状態に関係なく、主は最善をして下さいます。聖書朗読は詩篇１４３篇ダビデの詩でした。旧約聖書を専門にしていた牧師の事を思いだします。この方は晩年パーキンソン病になり、８０歳を越えて脳血栓のため、言葉を失い、自宅で寝たっきりの生活をしていました。ある日、娘さんがお父さんのために詩篇１４１篇以降を読んであげていました。読み進んで行った時に、突然お父さんが泣き出したので、娘さんはビックリした。もうお父さんとは、もう意志が通じないのではないかと思っていたからです。お父さんが泣き出した個所は

「敵が私を攻め、わが命を地に踏みにじり、死んで久しく時を経た者のように私を暗い所に住まわせました。

それゆえ、わが霊はわがうちに消えうせようとし、わが心はわがうちに荒れさびれています。

わたしは古（いにしえ）の日を思い出し、あなたが行われたすべての事を考え、あなたのみ手のわざを思います。

わたしはあなたに向って手を伸べ、わが魂は、かわききった地のようにあなたを慕います」

という個所でした（143：3－6）。このことによって、娘さんは、お父さんの霊は目覚めている、お父さんが生涯を捧げて勉強した旧約聖書、とりわけお父さんが愛した「詩篇」は、その信仰を支え、導き、慰めてくれる、お父さんにとって尊い命の糧であったことを知ったのです。それから３か月後の聖日の朝、礼拝の讃美に包まれて、お父さんは天に召されて行ったのです。

私たちの生活は主によって守られ、導かれます。５節後半は申命記31：6からの引用の御言葉です。６節は詩篇118：6からの引用の御言葉です。６節で「主はわたしの助け主である」と言われています。助け主とは呼び声に応じて助けて下さる者という意味です（ここでだけ使われている言葉）。何かあったら、ためらわずに「イエス様」と呼んで下さい。それが危機の時になすべきことです。やせがまんしないで、すぐに「イエス様」と呼ぶのが信仰です。７節には信仰の先輩の生涯に倣いなさい。特に人生の最後まで信仰を全うして、天国に帰っていた信仰の先輩のことを思い出して、そのキリストを信じ続けた信仰に倣いなさい、と言われています。日本では、戦国時代、ザビエル（1506－52）の伝道により、多くの大名がキリストを信じ、日本古来の宗教から、当時は切支丹と呼ばれたまことの神様を礼拝する者に変わって行きました。改宗した大名の数は８７名で、彼らは領地召し上げ、流刑、国外追放、殉教の道を辿っていますが、信仰を貫いています。家光によって鎖国となるまでに３０万人が殉教しています。キリシタン大名で最も知られているのは高山右近（1552－1615）で、１６１４年フィリピン・マニラに流され、そこで天に召されて行きました。こういう信仰の先輩の方々によって、私たちの信仰の道が開かれてきたことを思い起し、感謝します。

８節にあるように、永遠に変わらないキリストに結びつく信仰が本物です。キリストを信じる時に、愛が与えられます。何故ならキリストは私たちの罪のために十字架にかかり、全ての人を愛する愛を表されたからです。永遠に変わらない愛であるキリストを見上げ、キリスト一筋に生きる時に、私たちの人生は愛に変わり、多くの方々を愛によって潤す人生に変わって行きます。

１９４３年フィリピンの奥地で伝道していたアメリカ人コルビ宣教師夫妻が日本軍に捕らえられ、スパイとして死刑判決を受けた。刑の執行前に３０分の時間が許され、夫妻は初めの１５分でマタイ福音書を読み、残り１５分を祈りにささげ、首をはねられ殉教したのです。アメリカで大学生であった二人の姉妹は親の悲報を聞いて、日本人を恨み復讐しようと思った。しかし姉のマーガレットは両親が殺される前に何を祈ったのかを考え、きっと両親はフィリピンと日本の人々の救いを祈ったに違いないと思った。そう思った時、祈って、自分もキリストの愛を日本人に示すべきであると考えた。彼女は近くにある日本人戦争捕虜収容所でボランティヤとして働き始めた。献身的に働く彼女に、「なぜそんなに親切にしてくれるのか」と尋ねる日本兵に、彼女は両親のことを率直に語り、神様から与えられたキリストの愛を伝えた。親が殺されたら仇討ちをせ、と教えられていた日本兵には信じられないことであった。この話を聞いたある日本兵捕虜は、後に伝道者になっています。妹のアリスも日本への宣教師に経済支援を続けたのです。

まとめ

もう一度へブル13：1－8を読みます。

1、キリストは変わらない、しっかり教会につながり、兄弟愛を実践し、旅人をもてなし、獄にある人を思い、結婚を重んじ、金銭を愛することなく、キリストを信じる信仰を表して行こう。

2、キリストは変わらない、キリストにすがり、どんな時でも「イエス様」と呼びましょう。キリストが私たちを守り支えて下さいます。愛の主であるキリストから愛をいただき、愛をもって周りの方々を潤す者になって行きましょう。

祈　り　　天地の主である神様、独り子イエスキリストによる救いに感謝します。イエスキリストは永遠に変わることのない救主であることを感謝します。教会につながり、救いの恵みを自分の身をもって表して行くように導いて下さい。永遠に変わらないキリストを信じ続けて天国に至ることができるように、私たちの人生の最後まで導いて下さい。愛を下さるキリストによって、心に愛を受け、愛をもって人に仕えて行くように導いて下さい。明日の英弘・圭子さんの結婚式を祝福して下さい。永遠に変わることのない救主イエスキリストの御名によって祈ります、アーメン。

参考文献ヘブル注解―有賀、名尾、黒崎、バークレー、フランシスコ会、LABNT、文語略解。　「高山右近史話・チスリク・聖母文庫」、「キリスト教ナビ・関栄二、教会新報社」、「星を動かした少女・松田明三郎・福永書店」

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